ほとんどリンク集ですが、ここ数週間の『虎に翼』をきっかけに、太平洋戦争について知ったこと、考えたことなどをつれづれに。ドラマについての感想ではありません。
■『虎に翼』岡田将生さん演じる航一モデル・三淵乾太郎が所属<ある機関>総力戦研究所とは?若きエリートたちは「日本必敗」を開戦前に予測したが… 昭和16年夏の敗戦<前編>|芸能|婦人公論.jp
■「虎に翼」星航一役・岡田将生インタビュー 「航一が生きていてくれてよかったと心から思いましたし、隣にトラちゃんがいてくれることも、本当によかった」 | ステラnet
ステラのインタビュー記事の最後のプロフィールを見ていたらなんと岡田将生さん、8月15日生まれ!!
総力戦研究所、というものがあったことを、とらつばで初めて知りました。太平洋戦争の日本の死者の9割が1944年以降の1年半に集中しているというのも、死因のほとんどが餓死、病死であるというのも、ドラマをきっかけに知って驚愕した事実でした。
それを考え合わせると…昭和16年、1941年の時点で敗戦濃厚、日本必敗というシミュレーションが出来ていたのになぜやめなかったのか…と暗澹たる気持ちになりました。
が、友人は、「私はあの航一さんの『負けるのが分かってたのに止められなかった』というのも気になってて。じゃあ勝てそうならやるんじゃん、と。戦争に勝つってことは他国の誰かを殺してるわけで」
たっ確かに…!
「あと戦勝国アメリカに講和条約で『賠償請求をしない』としているので民事で国を訴えるというの、あれまんま日本が韓国に言われてるのと同じことだよね。とらつばでやってることは日本も問われなければいけないことだよ」
うお…
他にもツイッターで「日本はもっと早く降伏すべきだったという意見もあるが、それだとアメリカとソ連による南北分断統治が始まっただろう、多大な犠牲は出したが日本軍が粘ったおかげで占領されずに済んだ」という意見もあり…
多大な犠牲は出したが、のひとことで正当化していいものなのかどうか…正直私にはわからない、結論が出せない。
先日から、この本を読んでまして。
総力戦研究所について調べていて、どれを読もうかレビューなどを色々比べて、こちら、女性研究者である加藤陽子さんが、中高生向けにおこなった近現代史の授業をもとに書き起こした本を選びました。
amazonのレビューも参考になりました。裏表紙の画像と一緒に、Kindle版のリンクを貼っておきます。
それでも、日本人は「戦争」を選んだ(新潮文庫) 2016/6/26 加藤陽子/amazon
Kindle版、戦争を考えるキャンペーンでだいぶオフになっている。買っておこうかしら。うちの子も読めるように紙の文庫本で買ったんですけど、やっぱりKindleの方がちょっとしたすきま時間にiPhoneで読み進められるの便利。
まだ最初の方だけなのですが、「人民の、人民による、人民のための」というリンカーンの有名な演説が、日本国憲法に反映されているとか!(言われてみれば!)、しかしあの演説自体は、南北戦争でボロボロだった国内を国外の戦争へ鼓舞するための為政者に都合良いものだったとか(そんな状況下だったのか…)、アメリカにとっては内紛だった南北戦争の死者が62万人と、太平洋戦争の米国人死者数29万人よりよほど多かったこと、一方日本の戦死者は310万人、うち原爆が2ヶ所合計21万人、などなど、データの暴力に圧倒的されています…
戦死者数に関して調べたところ、こちらのサイトがわかりやすかったです。
より死んだ方が勝ちでも負けでもないし、より殺された国が単純に被害者でも、殺した国だけが残虐というでもわけでもないのですが。
おお…
知人が載せていたNHKの特攻隊についての特集番組を検索したら、こんな地図が…
■特攻>4000人の記憶>出身地 地図|戦争|NHKアーカイブス
夥しい!
1つ2つクリックしただけで、とてもじっくり見ることができません…。
番組はこちらのようです。
#NHKスペシャル
“一億特攻”への道
~隊員4000人 生と死の記録~17(土)夜9時[総合]https://t.co/jRU4nIGiYw
特攻隊員はどのように選別されたのか。これまで謎だった実態に迫る極秘資料を入手。
背後にあった軍部内の思惑や、隊員たちの心情も描きながら、「一億特攻」の真相に迫る pic.twitter.com/GfG5lZPPAp— NHKスペシャル(日)夜9時(土)夜10時 (@nhk_n_sp) August 17, 2024
心が塞がれて、考えがまとまらない。
でも、そんなことも言っていられないな…どうしたら再びこんなことをせずに済むのか、考えて行動しないと。
いつも読んでいるきなこさんのエッセイも胸に迫りました。
政治的意図はさておいて、警備の問題や無用の混乱の回避、高齢化の進む被爆者や遺族への配慮等、様々に理由があるだろうこの問題は、なんとはなしに広島が世界で最初に原子爆弾が落とされた街で、かの緑かがやくデルタの街が未来永劫、大量殺戮兵器を市民に投下した悲惨さと非人道性を広く世界に訴える責務をもつことと、対して長崎は人類が原子爆弾を市民に向けて投下した最後の地であって、あのうつくしい天主堂を抱く海辺の街が未来永劫、人類の平和の砦でありつづけなくてはいけないという、そういう立ち位置の違いでもあるのかなと、勝手に考えたりもしたのでした。
世間にもこのニュースへの評価や意見は賛否両論、喧々諤々、色々ある模様。戦前に生まれ、第二次世界大戦に青春をスポイルされて育った祖父母を持ち、結果「どうあっても戦争はあかん」という戦後教育のエッセンスを当事者からほんのり浴びて育った世代の私は、「流石にアメリカが出席しないのはないんじゃないの」とは、思ったりするのですが。
広島生まれの友人のコラムも。
■夏が来れば思い出す | 女性専用カウンセリングルーム アセンブリー | 神戸市東灘区
先生に教わったことでとてもよく覚えているのが、「国が戦争を起こす理由」です。なぜ国は戦争を起こすのか。それは、「内乱を防ぐため」でした。経済状況が悪いなどの理由で国民に政府への不満が渦巻き、内乱が起こりそうになる時、国は他国と戦争を起こす。外部に敵を作ることにより、国内を団結させ、政府への意識を逸らす。つまり、為政者は自分たちの政治責任への追求を避けるために、戦争を起こすというのです。
加藤陽子先生と同じことを…。
みんな知ってたんだな。みんな知ってたのね。総力戦研究所について知った時も、そう思って衝撃を受けました。盲目的に、国の偉いさんたちのプロパガンダに騙されて突き進んでいた人なんてごくごく一部だったんじゃないのか。みんな知ってたのに、避けられなかったんだな。
本当に、暗澹たる気持ちになります。
いや、そんなこと言ってる場合じゃないんだけれど。
毎年大したことは書いていないし、ここ数年はできていないのですが、8月15日には戦争についての記事を載せるようにしてきました。今年久しぶりにタグをつけてみたら[79年目の八月十五日]。終戦の1945年5月に東京で生まれた父が30歳の時の子供が私、1975年生まれ。来年50歳になる2025年は、終戦80年目ですね。
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関連あひる
■2024-06-29 虎に翼とうちの子と太平洋戦争 [まじめに]
ハルキ氏のスピーチについて、私も当時夢中になってたくさん記事を書いたな。とはいえほとんどが訳文の比較だけど。
■2009-03-13 村上春樹「僕はなぜエルサレムに行ったのか」文藝春秋4月号に掲載 [翌日追記]
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■2020-08-15 水木しげる戦争漫画『敗走記』8月いっぱい公開、片渕須直監督「スイカの皮を被っている右から5人目の子ども」 75年目の八月十五日
■2018-08-15『朝、目覚めると、戦争が始まっていました』 未来を知らない十二月八日の言葉 73年目の八月十五日
■2017-08-16 長岡花火2017、FMながおかの実況中継がなんか変なテンションで超面白かった
■2017-08-15 「もう1つの原爆ドーム」 長崎・旧浦上天主堂
■2017-08-15「この世界の片隅に」を見て、戦争や食料難より「嫁ぎ先がいい人ばかり」な事に目が行く方もいる、という話 72年目の八月十五日
■2015-08-15 アニメ『団地ともお』戦後70年スペシャルが面白かった 70年目の八月十五日
■2011-08-03 今夜8月3日の19時から、長岡まつり2011大花火大会をUstream中継。[地震関連]
■2010-08-15 「もし私たちが1930年代にタイムスリップしたとして、第二次世界大戦への参戦を防ぐことはできたのか」ー2010年の八月十五日