ドラマ『しあわせは食べて寝て待て』がとっても素敵だった。もうええねん恋愛は。それよか自分を大事にしたいねん


<しあわせは食べて寝て待て 1 水凪トリ/amazon>

ひあもう6月、いや違うはいです。はいって書いたつもりがひあになってた。いやいいやもうひあで。ひあ!もう!6月!
ドタバタしておりますがどっこい生きてます。季節の変わり目きちいっす。皆さまいかがお過ごしですか。

そう、こちらもそういう作品ですよね、『しあわせは食べて寝て待て』。
体調を整えることの大切さ、難しさと、ある種の諦観、そして一周回って大切さに戻ってくる。それを細やかに、等身大で、決して綺麗事にまとめず(急に病気が治ったりしない)、それでもなんてことのない日常を営めることの美しさ、を描いた作品に思えました。すっごく良かった〜!大好きでした。

以前コメント欄で原作漫画をおすすめいただいてから気になっていたら、桜井ユキさん主演でドラマ化!ということで見てみたらすごく好きだったので、これを機に原作もKindleで一気購入しました。

以下、感想と、いつものようにとりとめのない連想や日常日記のようなもの。

原作の方が、ドラマよりもややコミカルかな?それから一番違うのは、恋愛描写、恋愛っぽさ匂わせ描写では、と思いました。原作にはそういう描写がちょいちょいあるんだけど、ドラマではほぼ無い。

原作では、主人公のさとこも、団地から地方に移住することになった反橋さんも、わりと恋愛、異性を意識してるように見えるんですよね。さとこが司さんのことをやけに、意識しないように意識しているとことか、人付き合いが苦手な八つ頭くんがメガネを取ったら紅顔の美青年で、ほんとに紅顔しちゃう反橋さんとか。コミカルに描かれているから小ネタなんだろうな、と思うのですが、この話の中にこういう恋愛要素いるかな…と、原作読んでてちょっとだけ引っかかった。世の一般的な作品に比べたら断然控えめとはいえ、だからこそノイズに近い。編集さんに言われて無理矢理入れてるのかなとか、こういうの入れるものだろうと作者さんが無理して入れてるのかなとか、余計なことを考えたり。

そしたらドラマでは、そういう箇所が見事に丁寧に取り除かれていたので(えっ取り除かれてましたよね?私が見逃してるだけだったりして)やっぱり!この方がいい!って思いました。もうええねん恋愛。もうええねん他者目線は(今のあひるちゃんが言うと重みある)。自分のために時間を、自分を使いたいねん。それがささやかながら大いなる贅沢であるっちゅう話やねん。それもままならない世の中やから。心身を労りながら働くってのがそもそも無理ゲーやねん今日びのご時世な。

という!そういう重さや暗さがね!?そういうのも注意深く目立たないようにアク抜きされていたこの作品だのにあひるちゃん持ち込まないで!戻さないで!どけたのに!目立たせないで!

うん、でも、目立たせないようにそっと面取りされていただけで、ありましたよね確実に。さとこしょっちゅう”お昼寝”してるし。必ず首元温めてるし。わかる!首あっためるの大事!

友人にもね、ドラマ面白かったよって勧めたんですよ。そしたら見てくれてこれ良いねって言ってくれたのはともかくとして、驚きだったのが「そして見ながら同じ免疫疾患系の薬を飲む私」と。えっそうだったの!?し、知らなかった…!長患いの持病がちょこちょこあるとは聞いてたけど…そうかああ〜。そうだよね、考えてみれば知り合った20歳頃からずっとだもんね。基本パワフルな人だからうっかり忘れそうになるんだけど…。

そうだよね、そうですよね。私もなんだかんだあるし、みんななんだかんだ抱えながら、工夫しながら日々をやり過ごすのが当たり前になってるんですよねきっと。友人がよく言っているのが「低空飛行」です。低空飛行でもゆるやかに飛び続ける。フルスロットルで全力疾走なんてしなくて良い。あとが大変だから。私はまあまあ今人生の中で元気玉くらい全精力出さないといけない局面なのでんん〜タイヘンなんですけども、だからこそ、休む時はしっかり休まないともたないなと。戦闘モードと休息モードの切り替えを明確にするように。

その点この作品が、休息モードにちょうど良くて…すごく助けられました。見てるとほんわかする。でもちょっと寂しくて、哀しいすきまがある。そのすきまを、野菜と一緒に鍋で煮込む。おいしいスープができあがる。おなかがほっこり温まる。滋養をもらえる。私もね、まずは食!と思って、野菜と豆のスープをまとめて作っては小分けにしてるんですかれこれ9ヶ月。冷蔵庫に入れておいて、朝まずそれをあっためて食べればいいっていう状態に。あとはパン焼き機で甘酒作ったりもして(これもそのうち書きたい!)。そういう自分の最近の生活と、さとこや、団地暮らしの大先輩、鈴さんやウズラさんが重なって、ちょっと嬉しかったです。おんなじだ〜って。

そうそう!鈴さん役の加賀まりこさんに、ウズラさん役の宮崎美子さん!すてきですよね〜〜!こういう、何気ない普通の暮らしを一人で楽しんでいる高齢女性のモデルケースってなかなかない気がします。バリバリに働きまくって悠々自適の隠居生活!とかでもなく、空の巣症候群で侘しい老後…というネガティブイメージでもなく。そういえばよしながふみ先生の『きのう何食べた?』でも、弁護士事務所の所長さんが「家族の栄養とか考えないで良いひとり飯サイコー!」って肉まんにかぶりついてましたよね。わかる!

ーー

このペイルトーンの物語の中でちょっと異質にビビッドで印象的だったのが、司さんの過去の話でした。むちゃくちゃヘビーでしたね。特に、やっと母を看取ったあと、寄り添ってくれた(…?)恋人と別れた、っていうくだりが。「何か嫌だ」「このままこの女性と居続けたらまた依存される」と感じる何かがきっとあったんだろうな…(にしてもあの彼女のべっとりした感じはなんだったんだ…顔もろくに見えないのに…いや普通に優しい良い子だっただけかもしらんけど!ごめんね!警戒心強くて!迷子のキツネリスのよう!)

ここも、実際そうなる前に回避してるのがフィクションの過去語りとしてちょっと珍しい展開だな、と思いました。「嫌な予感はしつつも、介護に協力的だった彼女の申し出を今さら断るわけにもいかない…周囲もすっかり寿ムードだったし…と結婚してみたけれどやっぱり数年で破局したんですよ」ってなりそうなもんなのに、本能的に察知して、自分のやりたくないことをきちんと事前に断れた司くん頑張ったな、と。

うん、やっぱりこの物語は、他人よりも自分を優先していいんだよ、と、そっと背中を温めてくれる作品だな。
ただ…断られる側としてはきついな!?(五十にして惑ってるあひるちゃん)
ドラマでは最終回に据えられていた、さとこが元同僚の愚痴の誘いを拒む場面。自分が話聞いて欲しい…って頼った時に「あなたの話聞くと疲れるから無理」って言われたら(いやそんな言い方してないけども!?)ざっくりやられるわ〜〜!と思うと怖い。相手にそんな思いをさせるのも怖い。
や、でもそんなん言い出したらキリないものね。そもそも「この人愚痴長いんだよな…」と思ってる時点でさとこにとって大切な間柄ではないわけで。大事な人が悩んでたらえっどうしたの話聞くよ、てなるだけか。ならいいのかこれで。自分にとって重要でない相手にまで自分を削って接待する必要ない、って話だものね。うんうん大丈夫大丈夫。と、罪悪感や疎まれる怖さも、永遠のケーキみたいにだんだんと切り分けていけばそのうち極小になるはず。ゼロにはならないまでも。


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