800人の敵。どこの戦国武将か。
今日は4月1日ではありますが残念ながら嘘じゃないの。エイプリルフールのネタでなしに。本気です。少なくともうちの子はがっつり本気。落ち着いてるわよ私は落ち着いてる状態。
えーうちの子タロー氏の幼稚園の時の、孤独の話をいたしましたよね。
孤独!!(立木文彦声)
幼稚園児の孤独。
そういうこともあるよね。わかるぞ?なんだかんだであなたのその魔太郎怨み念法な性格私にそっくりだからね(お前のせいか)。
そんな引っ込み思案で内弁慶なタロー氏が、幼稚園を卒園し無事近所の小学校に晴れてご入学いたしまして、その後どうなったかというと。今回はそんなお話です。
ピッカピカの一年生になってコロナで大混乱の怒涛の数日が過ぎた頃。ある日のタロー氏に、学校どう?楽しかった?と聞きましたらば。
うちのクラスは嫌な子ばっかりだと。
他の学年にも嫌な子ばっかりだと。
僕のことだけを狙って学校中の全員が嫌なことしてくるんだと。
ん、ん〜。
全校生徒800人が敵。
あなたなんでそんな校内に名を轟かせてるの。学園バトル漫画の主人公なの。生意気な一年が入ってきやがったぜ的な。島本和彦先生の全力で冗談やってる世界観で想像していいのそれとも梶原一騎とながやす巧先生の大真面目な劇画タッグなの。
今日は下校時間に階段のところで5年生か6年生が水筒で思いっきり僕の頭をぶってきたとか(たぶんすれ違い様に当たった)、今日はクラスのエヌ子ちゃん(仮名)がすれ違い様に腹パンしてきたとか(たぶんすれ違い様に当たった)、しかも渾身の力で。
渾身の腹パン!?ドゴォ!ゴフゥァ!って!?きみの小学校修羅の世界すぎない!?龍が如く学園なの!?拳と拳で語り合うの!?
いや笑い事ではない。本人にとっては大問題だから。夜にオットに話した時には笑いが止まらなかったのですが(ごめんだって)昼間本人と話した時は笑う隙がなくて助かりました。
もちろんほんとに修羅学園だって可能性もないとは言い切れないのですが、何日か丁寧に聞き取りをしてみた結果、どうもこれはそうじゃないなと。何らかの身体的接触は本当に起きているのだろうけど、故意かつ意図的な暴行を受けたわけではおそらくないなと。
きっと新生活が始まって、これまでの20人ひとクラスのおっとりした幼稚園から30人x4〜5クラスx6学年の大きな小学校に入ってしまっていろいろ戸惑っているのだろうと。しかしこのまま周囲が自分に敵意を向けてくる!悪意でもって向かってくる!害意をぶつけてくる!と怨み念法フィールド全開にしていては障りがありすぎる。本人とてつらかろう。
そんなわけで、なるべくほぐしてみようかと。
じゃあ、Eテレの素晴らしい、コミュニケーションについて実践的に学べる番組『お伝とでんじろう』に倣って、事実と主観を分けてみようよ、と提案しまして。
みんな大好きフランクロイドライトの手による美しい構造美に溢れた自由学園明日館がロケ地になっている番組の、「それって本当?」という回ではですね、子供たちが耳にした噂を解体していくのです。
「じぶんで確認したこと(事実、出来事)」
「人に聞いたこと(伝聞、憶測)」
「じぶんのいけん(主観、想像)」
の3つに。このように分けていくと、ほとんどが不確かな「意見」「憶測」だということがわかる。有用すぎる!!これ小中高校あたりまで必修にしてもいいと思うの。どうかすると大人にも学んでほしいの。
番組に倣って表を書いてみるタロー。すんごく小さい字と絵で、
「じぶんで確認したこと(事実、出来事)
エヌ子ちゃんの手が腹(リングフィットのお腹のマーク)にあたった」
リングフィット…フッキンリーさん…
「じぶんのいけん(主観、想像)
なぐられた」
バイオレンス…
書いたことでちょっとくたびれたのか気持ちが逸れたのか、これ以上の検証には踏み込まないままフェイドアウトしそうに。それならそれでよし。じゃ最後に、自分の気持ちも書いておいたら?と進言しました。たとえ「なぐられた」わけではなかったとしても、痛かった、びっくりした、悲しかったなどの気持ちまで否定することはないもの。
ただこうして、身に起きた出来事と沸き上がった感情の区別を明確にするのはすごく大事。「嫌な思いをしたから相手が悪い」と決め付ける癖をなるべくフラットにしてほしい。これ大人になってから治すの相当困難なんやで。
もしもタローの感じたこと(みんながわざと殴ってくる…)がすべて「事実」なら、全校生徒800人で、好きな人は5人いるんだっけ?なら、んーと残りは何人だ?
TR「795人」
計算早いな。そうね、795人も意地悪な人がいることになってしまう。そんな世界だったらどう?
TR「…嫌な世界…(不吉なお顔で)」
そうだよね!ほんとだよ!
だから、そんな嫌な世界じゃない方がいいじゃない。決めつけずにいろんな角度から検証して、可能性を探ってみようよ。
次に、嫌な思いをしてしまうのはいつが多いか、どうしたらそれを未然に回避できるか。
下駄箱の混雑はね、オフピーク下校をすればいいと思うよ!タローはもともとおしくらまんじゅう苦手じゃない。それを避けるようにしてみよう、と話したら、
TR「ぼくは変なんだ…普通の子供が好きなことが嫌いだから…」
可愛いこと言うな。確かに普通の子供が好きなことが嫌いなことが多いけど、父ちゃんも母ちゃんもそんなタローが好きだよ。
そもそも下駄箱の混雑も大人の通勤ラッシュもね、みんな好きじゃないけどしょうがないから我慢してるだけだと思うよ。大人だってどうしても我慢できない人はオフピーク通勤してるんだ。タローもピークをずらしてみようよ、とあれこれ考えまして。
そこで、トイレに寄る、別の階段を使う、保健室(下駄箱のすぐ横)に寄る、などのまともな案も出たのですが、急にタロー氏、
TR「じゃあ、天井をバーンと突き破って」
えっ
TR「ひゅーーーっと校庭に飛んでいって最後の着地のところではくるくるっと回転して」
はい、するよね回転ね。
TR「ザッて校庭に着いたらドゴッとクレーターができて」
なにそれ!!『童夢』!?
大友克洋の伝説のSF漫画です。ドラゴンボールなどではすっかりおなじみになった、超能力の影響範囲は球体、という描写を初めて視覚化したのがこれじゃないかと言われている、けどまだ見せてないし!どっからその発想出てきたの!?
TR「え、だって隕石が落ちてきた時クレーターできるでしょ?ボコって」
さも当然のように!?
しかも『童夢』の超能力描写じゃなく隕石からか!科学的!すごいなタローの発想力楽しいな!
親バカな賞賛をよそにタローの脳内でそのままいずこかへ飛んでいったり敵?をなぎ倒したりする主人公。
TR「そんなことができるのは…世界一の戦士…」
誰!?
なんて名前?
TR「…コーデリア…は赤毛のアンに出てきただけだから変かな…男の人だし…」
コーデリア!!いやいいんじゃん!?最高だよ!!男でコーデリア!!大友克洋ばりのハードアクションSFの主人公の名前が!赤毛のアンから!
と、大盛り上がりであれこれ話しているうちに、最終的にコーデリアのフルネームはなぜか宇宙戦艦ヤマト2199のマイナーな悪役、TR「ゴランダガーム」からとって、
コーデリア・ゴラン・ダガーム
になりました。
タロー先生の次回作にご期待ください!!
えーとなんの話でしたっけ?あ、うちの子の孤独?や、なんかきっと大丈夫だよあなた。うん。ちなみにこれは1年生の頭の話で、ほぼ2年経って2年生も終わりを迎えた現在もまあまあ変わらず煮え煮えしています。
いやすごい、すごく勉強になりました。私も人の言動が「自分を傷つけている」と感じやすいので、これすごくわかる!
お伝とデンジロー、私も見てみますね。
嫌なことがふたつ以上続くと「必然」と感じてしまうんですよね。わかる、わかるよ、タローくん、おばちゃんもそうだもん。
でも、タローくんの悩みをきちんと受け止めてくれるお父さんとお母さんがいるからきっと大丈夫だよ。
最近、過去のブログを整理していて、退職に至った相手の荒削りな言動が積み重なったことで、自分を追い詰めていったんだなと、ようやく冷静に当時を振り返ることができた気がします。
文字に書いて、一旦おいてから確認するの大事だなと。
日月さん
おお、ありがとうございます!この番組はほんと大人にも助けになる!と思いました!
人の言動が自分を傷つけていると感じやすい…すごくわかります〜。私も何年も前のことにも新鮮に悶々としてしまいます。自分が必要以上に人のご機嫌を損ねないように気を回しすぎる性格だから、余計に思ってしまうんだな、世の中良くも悪くもそんなにみんな人のことなんて気にしてないよな、と思うようになって、ほんのちょっとラクになりました。相変わらずすぐくよくよするけど!
過去のしんどかったこと、お疲れ様でした。時間が経つと冷静に振り返ることはできても、当時は無理だったよな、とむしろ諦めがついたりもしますよね。そりゃーしんどいわ、しょうがないわ、というか。