オット母のこと、『監察医朝顔』2022年スペシャルに寄せて [まじめに]



いやもうドラマ『監察医朝顔』2022年スペシャルが素晴らしくて。

最後の上野樹里さんの長回しが。じっと表情だけを捉える長回しが素晴らしくて見入ってしまって滝ほど泣いて、エンドマークにホワイトアウトではあ…と溜息着く暇もなく10月からのドラマが同じスタッフによる小児専門のPICUの物語で北海道舞台だからって主題歌中島みゆき様って!!そんだけでどんぶり3杯泣かすのやめて。

でも正直子供がつらい目に遭ったりその親御さんがつらい目にあったりするドラマつらすぎて見れないから見ないと思いますごめんなさい…絶賛されてた『透明なゆりかご』もあらすじだけで無理だったから見てない…。

なのでほんとに。今回の『朝顔』もかなりきついシーンがたくさんありましたけど。でも全体としては良かったし、やはり自分の最近の生活に近いものがありすぎて。

以下、ドラマのネタバレも含みつつ、オット母の介護と、その終幕の話を。

とりあえず先に、ドラマのネタバレの話から。

リンクの後にネタバレ書きます。リンク先もネタバレ注意です。

監察医朝顔SP – フジテレビ

『監察医 朝顔』が描き続ける未来への希望 上野樹里演じる朝顔に再び会えることを願って|Real Sound|リアルサウンド 映画部

えっとですね。

産後うつかと思われたベランダから転落したお母さんが実は人助けのために思わず飛び出しただけであって、それも陸上の選手だったから物干し竿で棒高跳びって!そんなご都合あるかーいと心の中の11人ほどのあひるちゃんは突っ込みつつも残り88人のあひるちゃんは号泣(待って全員で99人なの?100じゃなしに?)。

残された子供ちゃんがね、お母さんは僕がきらいだったんだ、だから死んじゃったんだって泣くじゃないですか。でもそうじゃないんだよ、お母さんは人を助けようとしただけだったんだよ、って。そう思えるだけで救われるじゃあないですか。もういいのご都合でもなんでも。

って思って号泣してたら、さらにドラマ内でも朝顔が茶子先生に(絶対宇宙行ってた茶子先生)、あくまで可能性でしかないのに、断定的に話して聞かせてしまった、と内省するんですよね。産後うつで飛び降りたという可能性だってあった、でも残されたご遺族にそう思ってほしくなくて、あの女性が子供を残して死を選んだと思いたくなくて、あのように断言してしまった、と。

さらに、亡くなった女性が早くに母親を亡くし、つい先日まで父親の介護をしていたという境遇が自分と近くて(仏壇の中に遺影が並んでいる光景が朝顔の家ととても似ている。朝顔のは母と祖父だけど)、気持ちがわかるような気がした、と。

それに対する茶子先生の、「私たちは真実を伝えなければなりません」「しかし、この仕事は今、生きている方のためにあるのだ」という言葉も胸に残りました。朝顔がしたことを責めるでもなく、褒めるでもなく。

そこから物語は後半の、平(たいら)さん(時任三郎さん)との別れまでの日々を丁寧に綴っていくことになるのですがもう…つぐみちゃんが!!なんて演技が達者に!!すねたような怒ったような口調がうちの子そっくり!!怨み念法!!大きくなって…ついこないだまでスヤスヤ寝てるだけでも可愛くて仕方なかったのに、妹に嫉妬したり、おじいちゃんのことを心配したり、複雑なことを考えるようになって…そしてそれを見事に演じていて本当にすごい。

最初の方、つぐみちゃんが「じいじ早く治るといいね!」と無邪気に言っていて、朝顔たちも「そうだね」と返していて。胸が痛みました。治らない病気なんだよ、と教えてあげてほしい、と思った。そしたら最後の方ではしっかり説明していたのでほっとしました。ただそこで「お父さんもお母さんもつぐみより先に死んじゃうから」ってそこまで言うのはちょっと!?今そこにそれ絡めるのはショッキングすぎないか!?とも思ったけど。

さらに「だからずっと一緒にいることになる妹と仲良くしてほしい」って繋げるのもどうなのかなと思ってしまったけど。大人になって仲良くしたい人間性と関係性でいられるかなんてわからないのに、しかも姉の立場で妹を頼むと親から言われたら離れたくても離れられない呪いになってしまうのでどうなのかなと。普通に仲睦まじい姉妹に育つ可能性もあるんですけどねもちろん!あひるちゃんが見てきたどろっどろのゴンズイ玉のようなきょうだい関係ばかりじゃないと思うんでね世の中ね!(何を見てきたんだよ)

でももう妹「里美ちゃん」の名前の由来が妻、里子さんって!そこも号泣しました。しかも「だから会うのが照れ臭いです」て。平さんどんだけ妻愛してるのほんと。そういうのよ私の人生に足りてないのは。真面目な話(その後オチもついたけどな!)。庵野秀明監督クンの妻への愛とかモヨとの相思相愛とか、考えてみれば私けっこう前からちらちら出してるな。

朝顔の名前の話も、すごく素敵だった。両親がね、まだ若く、親として駆け出しだった頃の話を聞き思いを馳せる、朝顔たち中堅どころの夫婦、という構図が、もう。時の流れを感じさせてくれて。私ももっと、オット父の話を、オット母の話を聞いておけばよかったなあ。もっともっと。

ーーー

ここからは、オット母の話をします。

まずはうちの子の話から。
先ほどの、「親が自分より先に死ぬ」という可能性を知った時、うちの子はものすごく動揺したんですね。はっきり言ったわけではなく、絵本か何かの話で(もちろんのぶみではないのでご安心ください?)、ピタゴラスイッチ的にあれがこうなってそうなるってことは…と自分でどんどん推理をつなげていって。

4歳くらいの時だったかな、夜寝る前の絵本を読み終わって、ぽつぽつお話していたらふいにこちらを見つめてみるみる顔をくしゃくしゃにしながら「父ちゃんも母ちゃんも僕より先にしんじゃうの〜〜〜?」と号泣しはじめたことがあって。

こんな年齢でその読解力と想像力すごいな、と感心しつつ、そんなふうに泣かれると、こちらとしても大丈夫だよ、と言うしかなかった。少なくとも今じゃないし誰も望んでないから大丈夫。誰も望んでいなくとも、ある日理不尽に残りの人生が奪われてしまうことももちろん可能性としてはあるのだけど、それを伝えるのは今じゃないなと。

それからもうひとつ。
これはごく最近、8歳のうちの子がおばあちゃん(オット母)に関してこんなことを言い出しまして。

TR「おばあちゃんは、最初はゆーくん(オット妹夫妻の子)の近くに住んでて、次はしーちゃん(オット弟夫妻の子)の近くに住んでて、まだうちの近くにだけ住んでないから、次はうちの近くに住んでほしいな」と。

涙が噴き出るかと思いました。
この一年、母が余命の短い病だと判明し、24時間看護の施設に入ってなお、たびたび状況が悪化しては病院への入退院を繰り返し、その何度目かの入院中だったので。

母自身が、一人暮らしの部屋に戻ることを目標に懸命にリハビリに励んでいたのだけど、大人たちはそれが叶う日はこないだろうと思っていて。
はっきりとした形での告知ができないままだったんですよね。入退院を繰り返して面会もままならず、母の意識も朦朧としている時も多く、話しそびれたままになっていて。

だから、涙をこらえて、そうだね、と言うしかなかった。そうしたいね。病に追いつかれず、本当に退院することができたなら、確かに順番通り行くと次はうちの近くだね。どうせどこに住んでたってうちら長男夫妻が一番頻繁に顔を出すことになるだろうからいっそ近くに住んでもらったほうがラクだし。同じマンションの隣の部屋とかに住めたらいいよね。

TR「そしたら僕、朝早起きしておばあちゃんち行って朝ごはん食べる。学校行くまでの時間おばあちゃんちにいて、おばあちゃんちからランドセルしょって学校行く」

いいね!楽しそう!
そうなったらいいね。状況が整ったらきっとそうしようね。

それから数ヶ月後、母は亡くなりました。
この夏のことでした。

ここ1年、数日ほどの入院を何度か繰り返していたので(この医療逼迫の時勢に本当に有り難かった…)、今回もそうなるかなと思っていて。数日で退院かなと。毎回入院のたびに緊張感はそれなりに持っていたつもりだったけれど、回を重ねるごとに少し麻痺もしていたようで、毎回持っていた緊張の向こう側へ、とうとう今回は超えていってしまったのだな、という、どこか現実味のないような思いもあり。

けれど振り返ってみれば、余命中央値1.5年という病が判明した昨年の緊急入院から確かに1年と2ヶ月でこの世を去ったことになる。
可能性としては昨年の入院直後に命が消えても、あるいは入院すら間に合わず自宅で命を落としてもおかしくない状況だったので、この1年と2ヶ月は貴重な猶予期間だったのだな、と思えます。できればもっと延びてほしかったけれど。

今回のドラマの中のつぐみちゃんの、泣いたり笑ったりする様々な姿と、それからそれを受け止める朝顔の様々な表情を見ていて、そんなうちの子の言葉を思い出しました。うちの子が語ってくれた明るく穏やかな未来の光景を。くるはずはないとわかっていながら願い、思い描いた朝の風景を。

うちの子もおばあちゃん大好きで。引っ込み思案でもじもじしがちなうちの子だけど、おばあちゃんに対してはもじもじも人見知りも発動せず、施設に入ってからは見慣れない場所での短時間の面会になってしまったけれど、久しぶりに顔を合わせるような時でも、そして会うたびに声が出なくなっていって、まっすぐ座れなくなってきて、やつれていく姿にも、怖がって躊躇してしまうのではないかというこちらの危惧などまったく杞憂で、おばあちゃんに会いに行くのはいつも楽しそうでした。主にSwitch持ってって最近のマイクラ建造物をお見せする回になってましたけど。大丈夫、母も好奇心旺盛な人なのできっと興味津々だったはず。

母のこと、まだあまり整理できていないので、もう少し落ち着いたらゆっくりと書きたいと思っています。なにしろ父のことを書くのに10年以上かかってるのでそこまで引っ張る気はないけれど、でも急いで書こうとするとどうも違う方向に筆が滑っていって。まだ終わっていないんだと思うのです、私の中で。

年末年始にかなり無理をして連日通った時には心身ともに疲れ果てて寝込んだけれど、オットの「年末年始も今年が最期になるかもしれないから」という言葉に、そうだね確かに、と頷きながらどこかでまた次もあると思っていた、けれど本当に次は無くなったのだな、じゃあやっぱり何度も顔を出して良かった、と思えたり。

母の日の花もああ2年分とフンパツしたつもりで、でも来年も同じくらいのにしようと思っていたけれどもう来年からは母に直接渡すことはできないんだな、と思ったり。

母の施設の居室に飾っていた花のカレンダーをうちにもらってきたのですが、8月にめくる時ふいに、ああ母はこのカレンダーを5月までしか目にしなかったのだなと思い至ったり。5月末から緊急入院し、そのまま亡くなったので。

そんな感情にたびたび行き当たりつつ、日常生活を慌ただしく営んでいます。

ひとつ今のうちに書いておくとしたら、コロナ禍にもかかわらず、母の孫たち(うちの子を筆頭にみな小学生の子供たち)も含め、家族の全員が直前に母に会うことができ(最後の数ヶ月は個室で隔離状態だったから許可してもらえた)、臨終にも実子3人が立ち会い、葬儀も極々小規模ではあるけれど、母が書き遺しておいた希望の形で、家族も納得いく形で執り行うことができました。本当に有難いことです。医療従事者の皆さんには改めて感謝を送りたいです。

母のことを、おそらくは好ましい思いで読んでくださっていたであろう皆様、本当にありがとうございました。

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監察医 朝顔 Blu-ray BOX 上野樹里 (出演)

赤毛のアン (文春文庫) 文庫 – 2019/7/10 L.M. Montgomery (原著), L.M. モンゴメリ (著), 松本 侑子 (翻訳)


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