母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き 単行本 – 2008/4/10 信田 さよ子 (著)
いやあさすがあさイチ朝から攻めてる!毒親特集なだけでなく、一歩先をゆく「毒親と離れてわかったこと」!
■【あさイチ“毒親”特集】専門家・信田さよ子さん|親と離れ自分の幸せをまん中にすえる方法
毒親について改めておさらいしつつ、毒親から離れた人たちがその後どうしているか、どう感じているか、についても踏み込んだ内容でした。俺たちの信田さよ子先生も生出演で、
「毒親というと娘と母親の問題が多いが、では父親は何をしているのか。育児が母親の専業とされてきた弊害ではないのか」
「(妻が疲弊して子供に辛く当たってしまう時)夫の仕事は妻のケア」
などなど名言いただけてTVの前で膝を打ちまくり情熱パーカッションでした。うおおおん!(すぱたたた)
今回はそんな、ただただ番組の感想です。
まず、冒頭の信田先生によるおさらいから。ざっとまとめてみます。
2010年頃から「毒親」「アダルトチルドレン」という言葉が出てきて(『毒親』という言葉自体はあまり好きではない、と信田先生は言及しつつ)、親からストレスを受ける子供の問題が顕在化し、注目されるようになってきた。当時は「親から離れることが良いことだ」「離れてもよい」とされてきたけれど、そこから10年経ち、親も歳を取り、子供も歳を重ねて「親から離れていて本当に良いのか」と葛藤するようになってきた、さらに今度はその「毒親」にも介護が必要になり、子供がまたも苦しんでいる、という新たなフェイズに入ってきた、と。
あ、新たなフェイズ…!ほんとだ…!
大吉さんが「高齢化」とおっしゃっていましたが、ほんとだ毒親高齢化問題…!
いや、連綿とあったはずなんですけどね、ここ10年の話じゃなしに。やはり顕在化したからこそですよね。信田先生も冒頭で続けて言っておられた、「子供の側から親を否定するようなことを言えるようになったというのは歴史的に非常に新しい」と。そこへ介護の問題が。
さらにあれですよね、これは番組では今回触れられていなかったけれど、きっと日本の中では長らく専業主婦の無償労働に寄りかかって育児や介護を家庭内の女性に丸投げしていて、女性たちも当然と思い込まされて文句を言えなかった背景があり、それがここ数年は共働きが増え介護要員が家庭内で賄えなくなってきて、ということも絡んでくるんだろうな。
田房永子さんも出てらして、すごいなあと思いました。子供を産むたびに、孫に会わせていない罪悪感に苛まれ、親に会ってみては後悔する…という…わかる!こっちは5年も10年も20年も悩み続けているのに親の屈託のなさときたら!あら久しぶり〜みたいな。萎える瞬間。この不均衡よ。
私は親に子供(親からすると孫)を完全に会わせてないので(会わせてないのです)偉いなあ、優しいなあと思いました。
それから青木さやかさんも、複雑な思いをおさえて、笑顔でいよう!とシミュレーションを重ねて介護に臨んだと…すごい…。
私が想像の中で、「会っても(子供を会わせても)あんなことやこんなこと、私が子供の頃されて嫌だったことをされるだろう」としか思えず、会わない選択をし続けているのに対し、田房さんは「孫に会わせないことで親に罰を与えているような気がする」と!そんな発想はなかった!
公式サイトに寄せられた感想もついつい読み込んでしまったのですが、中には「毒親と関係を復活させている人の話が多くてつらかった、これを見て親や親戚が連絡をしてくるかもしれないと思うと怖い、もっと完全に関係を絶っている人の話も聞きたかった」と書いている人もおられて、すごくわかる…とも思いました。そうですね、関係修復している人の話が多かったですね。
私も見ていて、まだ親に会いたくない、子供を会わせたくないとわだかまっている自分は、番組で紹介された田房さんや青木さんと比べて未熟ということなのかな…とちょっと考え込んでしまいました。
ただ、信田さよ子先生はきっぱりと「会いたくないなら無理しなくてよい」「絶縁したままで良い」とも明言してくださったのが救いでした。「お葬式にも出なくて良い」!NHKでこんな発言!実父の葬儀に出るか迷った私も励まされました!実父に関しては母ほどじゃないから出ましたけども。
そもそもほんとに出られない可能性もあったんですけどね、母と兄が「あっちゃんには内緒にしておこう」と話してたらしいので。「あっちゃんそんなのショック受けちゃうでしょ!繊細なんだから!」と母談。ええー。警察の人が兄を飛び越えて私に連絡くれなければ(自宅での急死だったので不審死として警察が入ったのです)(なかなかドラマチックな体験をしているあひるちゃん)私、しばらく実父の死を知らずにいた可能性もあったという。まあいいんだけど。知っても葬儀行こうかどうしよかなってちょっと考えるくらいの関係性だったし。
ただ、選択肢がほしいですよね。そうやって、自分で行くか行かないかを選べるように。知らされないっておかしいよねやっぱり。いや知らされたってさて葬儀に行くかどうしようかなって選択肢が発生する時点でだいぶおかしなご関係なんだけども。
今回番組を見ていて、それからコメントを拝見していて、そうやって「選択肢を持たされなかった」方が多いのだな…と感じました。
と同時に、私も親として子供の選択肢を奪っていないか日々気になっています。つい言っちゃうんですよね。「そこに置くとこぼすよ?」とか、「こないだもそれでこぼしたでしょ」とか、「今日寒いから上着着ていきな」とか。そして「ええー!?やだ!」という子供とバトることになる。
失敗する経験を子供自身に積ませないといけないのに、その失敗の片付けを回避したくてつい先回りしてしまう自分がいる。こぼした飲み物を拭く手間を惜しみたい、家具の汚れを厭う、風邪を引かれて病院に連れて行くことを避けたい、などなど。
でもそれって、「あなたはそのままじゃダメなんだ」というメッセージになってしまう。私が子供の頃はっきりと明言されてきたような「だからあんたはダメなのよ!」という、そんなことは言わないようにしたいと思っているのに、結果的に無言のうちに伝えてしまっているような気がして、とても怖いです。
実際こぼした時に「あー!ほらあ!」と言ってしまうし。だから言ったのに、何度も言ったでしょ、とイライラしてしまう。言わないようにしていても態度にきっと出ている…「言わないようにしよう」と思ってる時点でダメ…
いや!自分がダメ、と思うのもあかん。言わないようにしてる時点でがんばってる!と認めていかないとやっけてん。
ほんとに小さなことですが、まめに謝るようにしてます…「さっきごめん怒りすぎたよね私」と。私は親から謝られたことがなかったので、そこでひとつ断ち切ることができている、と思うようにしています。
親と同じことをしたら私と同じになってしまう、と思い込むのもおこがましいというか、うちの子の可能性を限定している、選択肢を無視していることになるし。ただ、先日のネットに子供について書くことの時にも書いたように、子供を傷つける可能性には敏感でいたいです。
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あさイチのコメントに寄せられていたご意見があまりに素晴らしかったので、一部抜粋させていただきます。
「『私が悪い、自分がダメなんだ』という苦しみの種は幼少期に撒かれ、つたのように頑丈で、抜いても抜いても生えてきました」
「それでもなんとか自分の花を咲かせたいと苦闘し、心に良い土を育み、日々自分をケアをする大切さを学び、夫という協力者に出会い」
「太陽のような信田先生の言葉に照らされ、60歳にしてやっと、自由を得ることができました。あきらめなくて本当によかったです。信田先生、スタッフの皆さん、ありがとうございます」
という…!植物になぞらえた比喩が温かく力強くて、そして60歳というご年齢にも、そんな年齢まで苦しんでこられたことを思うと胸が痛みますが、その年齢でも解放される、自由を得ることができると勇気をもらえました。
それから番組スタッフへありがとうは、私も伝えたいです。
番組を見ていて終始励まされたのは、華丸大吉さんと、アナウンサーの鈴木奈穂子さんの真摯な態度でした。
この手の番組って、そうやって「やっぱり親子だからわかりあえますよねー」みたいにキレイな話に無理矢理まとめがちだけど、皆さん決してそうはされなかった。先ほども出たような、親との関係を修復し、それでよかったと思っている、という一例が紹介されても、「でも、無理しなくていいんですよね?」「修復だけが正解じゃないんですよね」と繰り返し問題の原点に立ち返ろうとしてくださって、皆さんすごく熱心に、この問題に取り組もうとしてくれている、この問題を抱えた人たちに寄り添おうとしてくれているなあ、と感じました。ありがとう…私たちとかく責められがちなので。わがままとか親不孝とか、サラッとグサッとカジュアルに無視否定されがちなので、すごくとても、嬉しかったです。
本当に、親との問題、親からの呪縛というのは一生続く、解き放たれたとしても決してすっきり晴れやかになれるわけではないものだと思います。それでも、これが鎖なんだと気づくこと、ここに鎖があったと過去形で思うことは、確実に意識を変えて、行動も変わってくるはず。
信田先生が言っておられたのは逆に、行動を変えれば気持ちがついてくる、というもので、それもとても新鮮でした。吉田戦車がやってたやつ!伊藤理佐っちとお正月の用意が大変すぎてギスギスした時、「オレは早くずんだにいきたいんだよ!」とキレてしまった戦車さんがそこで踏みとどまってあえて「ニコッ!」と作り笑顔で全然別のことを始めて、夫婦喧嘩を回避できた…というエピソードを理佐っちの漫画で読んだ時私は震えました。自分の機嫌を自分でとる!大人の姿がそこにある!
見習いたいと思います!
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ずんだ回、『おんなの窓』3巻でした!