野木亜紀子x新垣結衣『獣になれない私たち』の溢れんばかりの女性たちへのエールと、夫婦を超えてゆきたくてもがくここ数年の私 [まじめに]


<獣になれない私たち Blu-ray BOX 新垣結衣 松田龍平/楽天>

もう!あのね!一つ前のぐだっとした、オットに関するもにょっとした違和感記事にね、ハートが!ひと晩で50も!びっくりよ!

アップしたはいいけど我ながら全然とっちらかっててもう大幅に削除しようかなと開いてみたら50も!
誰!?50連打してくださったのは!
ありがとうございますめっちゃ励まされた!あひるちゃんちょっと泣いた!

マジで本当に泣きました。ありがとう連打さん…(変な名前つけんな)高橋さんてお呼びしてもいい?(ほんとに感謝してる!?)同世代にしか通じないネタ。いやだってこれ同世代でしょどう考えても!50がらみじゃないとあの記事に50連打しようと思ってくれないでしょ。むしろ30代とかもっとお若い方だったらそれはそれでびっくりだし嬉しいけど複雑。こんなぐだぐだな気持ちに50連打するほど共感してくれるってあなた大丈夫…?つらいの…?て心配になる。ていうかそろそろお一人が50連打以外の可能性についても考えてみようか。お二人で25連打くらいかもしれないし。ありがとう…なんでもいいのありがとう。何人でもいいの。

ほんとね、マジで。
ブログにはっきり書き始めたのは2022年初頭のオット母の介護記事がきっかけでしたが。
たった一人の伴侶と、理解しあえていないのではないかという、疑念。
懸命に伝えようとしても
理解されない
女たちで支え合うばかりで
結局は通らない悲しみをね。

そればっかりでは決してないのだけれど、
それでも確実にあったそれを、
見ないように見ないようにしてきたそれ
目を向けるしか
なくなって
つらいな
って思っているここ最近なので。

1人でも2人でも、わかるよって言ってくれたことが本当に嬉しくて。ここ最近の心の葛藤みたいな記事面白くないよな、と気にもなってたし。私も前みたいに楽しい記事書きたいんだけど(って例がそれか)でもこれを出し切ってしまわないと戻れなくて。でも出し切ってるうちに前みたいな楽しい記事を期待してくれているお客さんはきっと離れてしまうよな、申し訳ないなと。離れてしまっても仕方ないと思うので…誰も暗い気持ちになるものを無理して読む必要なんてない。期待に応えられなくてごめんなさい。

あのね。またドラマの話なんですけど。
けもなれ。野木亜紀子さん脚本の、新垣結衣さん主演の『獣になれない私たち』。あれが好きです面白かったって前もちらっと書いたけど、最近TVerで配信が始まったから友人C美が見始めてくれてね。毎回あれやこれやと感想を交わせるのが楽しくて。私はボックス買ってあるので久々に見返したりもしてね。それで自分の記事も読み返したら、まあ、うっすいことしか書いてない。うっすいことしか書いてない。でもね、2018年当時は、これしか書けなかったな、と思ったのです。今回改めて見直したり読み直したりして。

ガッキー演じるドラマの主人公、晶(あきら)がね。いつもニコニコして、周囲に気をつかって、周囲から求められる自分を演じてしまう子で。職場の上司からはわかりやすくパワハラで怒鳴られまくってるんだけど、一見優しい彼氏(田中圭さん)からもじわじわとわかりづらいモラハラをずーーっと。ずーーーーっと受け続けている子で。TV放送で見ていた時はね、私そこまで気づかなかったの。劇中でもわりとコミカルにさらっと流されてるし。でもほんと…23年の今改めて見ると酷いのね(後述)。

なんでボックス買うほど応援したくなったかって言うと、コロナ前後の2019年と2020年にね、アンナチュラルとMIU404にもハマって、改めて野木亜紀子さんの作品についてあれこれ検索してたらまあ、けもなれの評判が悪い悪い。すごいこきおろされてて…。主にメディア発信の記事でね、ガッキー主演なのに視聴率奮わずとか、ガッキーなのに笑顔がなくてもったいない、かわいくない、ガッキーの魅力半減とか。えっそう!?そんなことなくない!?とびっくりしまして。

だってそれ…ドラマでまさにやろうとしてたことじゃん!
いつもニコニコ可愛い、気の利く、おくゆかしい、ぶっちゃけ言うたら男ウケするオンナを晶は周囲から求められるままに演じていて、それに疲れ果て、電車に飛び込みそうになったり、ビルの非常階段から飛びそうになったりするほど追い詰められたひとりの女性が、もうヘラヘラ愛想笑いしなくていいんだ!可愛くなくて何が悪いんじゃボケ!と、人ぶん殴れそうなごっついヒールのブーツで敢然と立つ、という話なのに…?

そういう作品だったはずなのに、それが可愛くない、今までの方がよかった、視聴率的にも低迷、みたいに言われてしまうって…ひどすぎんか!?
私ものすごく!好きだった!励まされたのに!と思いまして。

(ちょっと追記、2024/1月)
あのね、面白くなかった、好きじゃなかった、と個人個人がそういう感想を持ったり、今は誰でも発信できる時代だからそれをSNSに書いたりするのは自由だと思うのです。けもなれを好きになれなかった人とか、私のブログの最近の暗い記事はしんどいなと感じてしまう人とか、私はここでそういう人を責めているわけではないのです。でも、メディアは別。そういう感想をただ集めてまとめて「このような批判的な意見も多い」みたいに、メディアが発信してしまうのは、あまりにもプロじゃなさすぎると思う。最近多いその手のいわゆるコタツ記事。それを無責任に、無思想に、無批判に垂れ流している大手マスメディアの姿勢は、好きになれない。インターネットがここまで発達していない時代にも批評家なんて無責任で的外れに言いたい放題なものだったのかもしれない。でも、批判するなら自分の名前で、自分の名義でやれよと思う。ネットで自分の感想を好きにつぶやいている一般人の感想をただ集めて隠れ蓑にして対象を攻撃するというのは、姑息で、意地が悪いようにしか見えない。のです。(追記以上)

そう憤慨していたら。
検索して見つけた野木さんのnoteの『獣になれない私たち倉庫』の最後に野木さんが、
「私たちは女性ですが、その前に人間です」
って書いてらして。
それを読んで、ああやっぱり、これはそういう話だったんだ、と思って、ボックスを購入する決意をしたのです。

女性である前に、私たちは人間です。
そう!そうなんですよ!
ヤマシタトモコさんも『違国日記』の、医大入試不正に憤る女生徒のセリフとして書いていた「人間扱いされてないってことじゃん!」と。

は?そんなこと言ってないでしょ、ときっとオットは言うんだろうな、としか思えない。
私の目下の苦痛は、そこにあるのだと私は思っているのです。(後述)

けもなれにね、介護の場面があるんです。
それも…2018年に見ていた時はまだここまで体感していなかったから、母の介護看取りを終えた2023年の今見るともう滲みて滲みて。

主人公晶の、彼氏の母、千春さんがね(田中美佐子さん)。ずっと夫を自宅介護してて。でももう限界だろ、病院に入れるぞ、と息子二人から呆れられてて。そんな千春さんの味方をするのが晶ただ一人で。

千春さんが息子たちに向かって、「あ、あんたたち、私のことバカだと思ってるんでしょ!!」と、晶の加勢を得てようやくぶちまけたら、息子たちが呆れ顔で「そんなこと言ってないだろ」「今そんな話してないだろ」とか言うんですよ。「母さん今冷静じゃないんだよ」と。あたしは冷静よ!と言っても耳を貸さない男たち。そういうとこ。そういうとこ。もうほんとまんま。ほんとまんまこれ。

あのね、2020年頃、ボックス買って見直した時にね、気づいたことがあったんです。
晶が千春さんを訪ねる場面で。

玄関の表札がね、旦那さんの名前だけだったの。

同居している長男夫婦の表札にはね、妻の名前も併記されてるの。
でもね、親世代は旦那さんの名前だけで。「千春」の名前はどこにもないの。
それでも、玄関を開けて笑顔で晶を出迎えるのは千春さんだし、家の中を整えているのも千春さんなの。私をバカだと思ってるんでしょ!?母さんは社会に出てないからわからないんだとか、父母会だってご近所付き合いだって社会なんだからね!?と言い募っても、「今そんな話してないだろ」と封されてしまうの。

表札に主婦の名前が無い。
これは絶対に、演出の意図だろうな、と思ったのです。そして、それはおかしいよ、という、エールに見えたの私には。私への。私たちへの。

ドラマの世評としては何も的外れな批判ばかりじゃなく、野木さんのnoteには視聴者さんからかつてないほどDMもたくさん来た、とあって。励まされた、晶は私、と。そもそも向田邦子賞を受賞してますから!しっかり評価もされている!良かった!

あのね彼氏役の田中圭さんがほんと上手くて。パリッとサクッとスナック感覚で女性蔑視な発言しまくるのね。圭が。いや違う圭じゃないんですけど。マキタ現象がまたしても。それはもう毎回酷えな!圭が!と友人C美からもLINEが鳴り止まないレベルで。千春さんばりに鳴り止まない。止まらない圭へのダメ出し。なぜなら私も同意するから。ラリーの応酬。ほんとだよね!?ひどすぎん!?無理無理。無理すぎと。

いや、違うの私はね、正直C美に言われて改めて気づいたんよ今回。ほんとひでえと。2018年の自分はまだ気づけていなかった。流せてしまっていた。だからうっすい感想しか書けなかったとこもあるの。このブログにそこまで重い話を、フェミニズムとかジェンダーとか書くのが怖くて、気遅れして書けなかったというのもあったけど。

でも、そんな自分はもう嫌なの。
こんなのおかしい。私は怒っている。
そんなこと言ってないとか、差別なんてしてないとか、オットにも言われたことがある。
自分は男だとか女だとかで分けて考えたことはない、それなのに女性を差別する一部の男性たちへの文句を、自分に言われても困る、と不機嫌そうに滔々と言われて、黙らされてしまったことがある。まだ20代の頃。それで私は、ああこの人にはこういうことを言うと怒らせてしまうんだ、嫌われてしまうんだな、と理解して、なるべくそういう話題を避けてきたの。

でも、そんな自分はもう嫌なの。
あなたが女性を差別しているから怒っているわけじゃない。
差別なんてしてないと言い切るあなたの傲慢さに、私は怒っている。
私は傷ついているんだと伝えようとしているのに、傷つけてない、そういうつもりじゃない、と受け取ろうとしない無責任さに怒っている。
必死で伝えようとしているのに、感情的になられると理論が通用しなくなる、冷静じゃないと話し合いなんてできないよ、と呆れたように突き放す身勝手さに怒っている。

あなたは自分の感情に理論、理性という名前をつけているだけに見える。
私が何か訴えようとするとあなたはすぐに「感情的になりたくないんだけど」とため息をつく。
私からすればあなただって十分感情的だ。
だけど、それでいいんじゃないかって言いたいの。
感情を大事にしたいの。私のも、あなたのも。
悪いもの、取るに足りないものとして、蓋をして隠しておいても、それはそこにあるの。

私はそれを、いい加減片付けたいの。開けて外に出したい。20年もしまいこんでいたそれを、今後の20年のために。

はあはあ。ちょっと蓋空いた。地獄の釜の蓋が。でもいいの。鈴木祥子ねえさんも言ってる。何も知らない何も言えない、そんなあたしはもうどこにもいないのって(『Shelter』の歌詞)

こういうことをわーっと書いても、私はまだびくびくしているの。アグレッシブなくれはファッションに身を包んでもパワハラ社長にびくびくしてしまう晶とおんなじ。これをオットに読まれて、何あれ俺の悪口ばっかり書いてひどくない?と怒られたり、傷ついたんだけどとかぶされるのが怖い。
でも、それを超えてゆきたいの。

野木さんによると、田中圭さんは脚本の京谷の言動に複雑な思いを抱えながらもすごく自然に、悪気なく!演じてくださったそうです。圭の名誉のために申し添えておく。ちゃんとあれおかしいひどいと思ってくれてた中の人は。

ーー

今回見直して改めて心掴まれ、書き留めておきたい場面がもうひとつあります。詳しくは次の記事にしますね。
千春さんの若い頃の、旦那さんと出会った頃の話がもう…純愛で…。その話を聞いて晶は、もう圭とはダメだと(マキタ現象)。いや圭がダメとは言わないの晶は優しいから。もう一緒にいられない、と決意するに至る重要な分岐点が、千春さんの思い出話で。親世代の純愛。千春さんの、旦那さんへの、一緒にいたい、そばにいたいというシンプルな思い。違う、自分と圭との間にあるものは、それとはもう形を変えてしまっているのだと、晶は気づいてしまうわけです。

その、若い二人の、昭和の終わり頃かな。海辺の情景がとても素敵で…。

あのね私もね、オット父の日記を!先日読む機会がありまして。若い頃の。それこそ、母と出会った頃の!
その話もこれを機に、次の記事に書きたいと思います!

(追記)書きました!
父の日記(夫婦を超えたくてもがく私・続き)

ーー

こっから追伸です。長いけど。ごめんけど。
あのね…けもなれボックス買ってびっくりしたのがね、仕様がくっそつまんないの!
本編の内容はもちろん言わずもがなですよ素晴らしいですよ!?

思えばMIU404、アンナチュラル、コタキ兄弟、けもなれ。野木亜紀子作品めっちゃボックス買い揃えてまして。好きなものは買って応援しようとね、コロナで芸術を蔑ろにする国の姿勢を見せつけられてしまったから思うようになったの。個人の力は微々たるものだけど、それでも。

でね、色々買い集めてみたから差が歴然。
けもなれは…円盤のデザインもシンプルすぎて何の工夫もないし、ブックレットは各話のあらすじだけ。あらすじはさ!みんな知ってるよね!?見ればわかるし!?

特典映像もしょぼかったの!NG集とかは楽しめましたけど…。主演二人へのインタビューも内容はとっても面白かったけど、場所が!収録終わった後でその辺の椅子に座らせてその場でちゃちゃっと録りましたって感じで。えええ…チープ…と絶句。MIU404もアンナチュラルも特典映像すごくちゃんとしてたのに…コタキ兄弟も収録現場の様子すごく面白かったのに…。

極め付けは、けもなれファンミーティング、みたいなイベントの様子がくっそつまんねえ!!キャストの皆さんに妙なクイズやらせたり、寒い合コンみたいなノリなの!それこそもったいない!錚々たるキャストの無駄遣いも甚だしい!何これ!?って思いましたよね。

だから!この作品はそういう安易でチープな女性像に!世間が無邪気に求めてくるカワイイに、女のコといえば恋愛はぁと、愛され愛玩キャラ、っつークソなイメージは暴力だと!NOを突きつけるのがテーマじゃないのかっつー話ですよ!!

はあはあ。怒らせんなまったく。ぶつぶつ。
それでわたくし今度は、シナリオブックを買いました。これだ!!私が読みたかったことが書いてある!アンナチュもMIUもボックス買えば付いてくる野木ノートが、けもなれではシナリオブックに書かれているの。

だからもしけもなれボックス買おうかなって方がいらしたら、シナリオブックも一緒におすすめしたいです。ボックスもね、内容は面白いよ!?最終話もディレクターズカットだし、テレビ放送分もTVerの配信もCMでぶちぶち途切れるところを滑らかに繋げてあるからストレスフリーよ!

<獣になれない私たちシナリオブック[野木 亜紀子]>

ドラマキャスト[新垣結衣 松田龍平 田中圭 黒木華 犬飼貴丈 伊藤沙莉 近藤公園 一ノ瀬ワタル 菊地凛子 松尾貴史 山内圭哉 田中美佐子]


ハートをつける ハート 157

“野木亜紀子x新垣結衣『獣になれない私たち』の溢れんばかりの女性たちへのエールと、夫婦を超えてゆきたくてもがくここ数年の私 [まじめに]” への2件の返信

  1. 52歳ランドリスキーです。
    おそらく同世代(おこがましい)のあひるさんなら、分かって下さるかもですが、こういうモヤモヤがたまりにたまって、叫びだしたい時に私が歌う曲は、レベッカの「POISON MIND」
    こう思う自分の心が「POISON」なのではなく、何気なく振る舞う相手のそれが致死量を超えているのだと、訴えたい相手は端からこちらを「まるで動物みたいに思ってる」
    それが暴力だと気付きもせずにね。
    …ちょっと支離滅裂になってしまいました。
    ちゃんと気付いて、臆せず言葉にしてくださるあひるさんに、私も50連打しようかと思いましたが、炎のコマは打てないので控えめに(笑)
    続きを楽しみにしています。

  2. k.satさん
    わああ!ありがとうございますううう!!同年代だー!部活の先輩みたいな近しさ!嬉しいですー!
    レベッカ大好きでしたー!NOKKOのソロ曲も好きだった…「POISON MIND」は存じ上げなかったので検索しちゃいました。かっけえ…
    こう思う自分の心が「POISON」なのではなく、何気なく振る舞う相手のそれが致死量を超えている…すごくわかる!すごくわかります!

    若い頃好きだった歌手や漫画家さん、クリエイターの人たちが、本当に繰り返し訴え続けていたのだな…と、改めてびっくりしたりもしてしまいます。先輩姐さんたちが力強くて頼もしい。私も見習いたくて時々こうしてえいっと頑張ってみるのですが、めちゃめちゃ臆しています〜!だからこそ、k.satさんのコメントにすごく励まされました…ありがとうございます!!

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