性暴力に関するNHKアンケート、過去のあれも性被害だったのだと気づいた話 [まじめに]

重い!!
またか!!
すいません!!

重い記事が続いて本当に申し訳ありません。でもあの、こういうのって勢いも大事で。しかもこれ、期限が今月末で。

だから書きますが、どうぞ無理しないでください。

以下、性被害について、具体的な描写や、間接的な表現が含まれていますのでご注意ください。私が書いたこの文章にも、リンク先にも。

それから最後にも書きましたが、NHKのアンケートの期限は4月30日までで日にちが限られているのですが、焦って答えようと無理なさらないでくださいね。読もうと思えない、書き進められない時は、今があなたにとってまだ向き合う時ではない、ということなのだと思います。

NHKの性暴力実態調査アンケートへのリンクはこちらです。

NHK性暴力 実態調査アンケート

アンケートの存在は、友人が教えてくれて知っていました。そしてお互いにこれまで遭った痴漢や性的嫌がらせ、盗撮などの行為について話して、多い!と驚きねぎらいあいました。たった2人のサンプルから、なんて件数とバリエーションだ。

その翌日、いつも読んでいるおたまさんのブログでも取り上げられていて、アンケートの設問などの書き方がとても配慮されている、と書かれていたので、リンク先を開いて答えていってみよう、という気持ちになりました。
それから、おたまさんのもうひとつの性被害に関する記事も読んで、あ、こういう体験なら私もたくさんあるな、と思いました。前日友人と話した体験は、ほとんどが通りすがりの他人からの被害でしたが、おたまさんの過去の体験には、また少し違ったものも含まれていました。

2022-04-19
NHK性暴力 実態調査アンケートに回答協力しました – おたまの日記

2020-01-25
痴漢について個人的に思い出すこと、思うこと – おたまの日記

「性被害」と聞くと、まず頭に浮かぶのは、無理矢理、暴力的に、性的行為を強要され、さらに完遂された、という強烈なイメージです。少なくとも私はそうでした。

でも、おたまさんの過去の記事を読んで、こういう、やった側は覚えてもいなさそうな、あるいはちょっとした恋の鞘当て的な、ほんのりと良い思い出として記憶されている可能性すらある、「ささいな」「ほんのちょっとした」こと、だけどやられた側にとっては、恐怖であり、脅威である、という出来事は、とてもとても多い。私にも身に覚えがたくさんある、と改めて思いました。

そして、私が友人から最初に、このアンケートの主旨が「自身の中で最も衝撃を受けた性被害」についてである、と聞いた時にまっさきに思い浮かんだのも、「ささいな」ことでした。20代前半の今よりもっと若かった頃、当時の恋人との間に起こった出来事です。

以下、今回のアンケートをきっかけに、私が「性被害」について思うこと、今後の社会でどのようにしたら性被害を防ぐことができるか、について、書いていきます。
私は身体も女性、性自認も女性なので、ここでは自分を基準として、性的な被害を受けやすい対象を「女性」、意図せずとも加害的な行為をしてしまう可能性のある側を「男性」と表現している箇所があります。

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私が遭った被害に関しては、性教育を幼いうちから適切におこない、「性の同意」の重要性が世間に広く伝わっていれば、未然に防ぐことができたはずだと考えられるので、個人として悲しいだけでなく、悔しいです。こんな世の中であることが。

加害者個人の責任だけとも言い切れない。だから、上の設問でも「加害者にはしかるべき処罰が下されてほしい」という項目を選択することはできませんでした。私は、相手が30年前の件で処罰を受けることを望んでいないからです。

私はただ、当時の相手に、私がどれだけ傷ついたかを、理解してもらいたかった、と望んでいます。

当時の恋人から性行為を「強要」され、しかも暴力を振われたわけではない。大声を出されたわけでもない。ただ、彼は私が嫌がっている、拒否したいと思っている、などとは微塵も想像しなかった、それだけでした。

信頼している、愛情のある、お互いに思いやっていると信じていた相手だっただけに、とてもショックでした。
普段から接していて、通常の彼は想像力に欠ける人物ではなく、温かく理知的な人であるはずなのに、性衝動に関してはなぜかとても身勝手で、独善的になってしまう。今思えば、以前から薄々感じていた違和感にその時まともに直面し、激しく動揺、混乱しました。

当時こんなこともありました。その後だんだん彼から気持ちが離れていく自分が理解できなくて、どうしてあんなに好きだったのに、と悩んでいたのですが、ある時ふとしたきっかけで、この時のことを出し抜けに思い出したのです。忘れていた、ということが衝撃でした。わずか半年かそこらしか経っていないのに、すっぽりと記憶から抜け落ちていた。ショッキングな出来事を封印するかのように。どれだけ自分が傷ついていたのか、自分でもやっと理解できた瞬間でした。

このままではいけないと、この件について相手になんとか伝えようとしたこともありました。でも、「いつまで言われるのか、謝る以外にどうしたらいいのか」と不機嫌になられたり、「その場ではっきり言ってくれないとわからない」「男はそういうものだから仕方ない」と言われ、打ち返されてしまって、心からの謝罪と反省はしてもらえなかったと感じています。

繰り返しになりますが、謝罪や反省が欲しいのではなく、私は、私がどれだけ傷ついたかを理解し、受け止めてほしかったのです。

それから、拒むという選択肢が欲しかった。それを尊重して欲しかった。当時の自分には、その選択肢すらありませんでした。

時々、今はしたくない、という意思を伝えようとしても、いつもがっかりされたり、しょんぼりされたり、その後しばらく口を聞いてくれなくなったり、そういうことがたびたびありました。私は断ってはいけないのだな、あんまり嫌がっていると彼に嫌われてしまうのかもしれない、と、そのたびに刷り込まれていきました。いつしか、断った時のそのやりとりを思うと負担で、だんだん拒めなくなっていきました。好きな相手ですから、こちらから積極的にしたいと思うことも多かったです。でも、あまり気が進まない時に自分の希望をすんなり聞き入れてもらえないことが続いて、だんだんと、この人にとっては私がどう感じているかは重要じゃないんだな、と、諦めというか、何とも言えない無力感に苛まれるようになっていきました。

男性がこれを読んだら、「その程度のことで『性被害』だなんて言われてしまうのか」「このくらいで加害者扱いされるのは酷すぎる」とショックを受ける人もいるかもしれません。私も、これが性被害だったとは今まで思わずにきました。私がはっきり断れば良かったのだ、拒めなかった私が悪いのだ、と思ってきました。

これを書いている今も、これは単なる恋人同士の揉め事に過ぎないのでは、性被害というには軽すぎるのではないかと迷いがあります。もっと深刻な被害にあった人に失礼なんじゃないかと。

ですが、この時の体験が30年近く経った今も心の奥底に重く沈殿していて、その後の生活の端々に支障をきたしているのも事実です。
そして、誰にでも起こりそうなことだからこそ、ここに書くことにしよう、と決意したのです。

自分にはあまりそういうつもりがない時に、性的に興奮した男性を前にする、というのは、女性にとって、とても緊張する、恐怖感を覚えるものである。そういう認識を、まず持ってほしいのです。女性にとって男性は、身体も大きく力も強い。そして興奮し、理性を失っているように見える。ほとんどの場合は2人きりの密室です。そして大抵の場合は、親密な間柄で、相手に好意があるからこそ、力弱い立場の側からでは拒みにくい。そういう認識を、男性側に持ってほしいのです。

一方、男性はもしかしたら、性的な行為を拒まれる、断られる、ということに対し、自分の存在を否定された、受け入れてもらえなかった、というふうに必要以上にネガティブに解釈してしまうのかもしれません。だから余計にショックが大きく、すんなり受け入れることができず、がっかりしたり、動揺した姿を相手に見せてしまう。そうされると、断る側も動揺し、罪悪感が生じ、次から断りにくくなる。男性側は、断られなかったから当然OKなのだと解釈する。でも女性側は心から同意していたわけではない…。そういうどちらにとっても不幸な悪循環が働いてしまう。

だからこそ、「性の同意」というプロセスが、とても重要なのだと思います。
(文末にリンクを載せます)

このアンケート項目では、「はっきり拒絶したかどうか」「できなかったとしたらそれはなぜか」「相手に嫌われたくなかったから」「咄嗟のことでどうしていいかわからなかったから」というような、被害者に寄り添った項目や選択肢が豊富に用意されていたと感じました。そのおかげで、被害の詳細を思い出しながら答えて行く上で、私は何度も自分の感じ方に近い選択肢の存在にホッとして、最後まで書き切ることができました。

ページを進むのも、ひとつひとつどれが自分に当てはまるのか考えながら答えて行くのも、想像以上にしんどい作業でした。ですが、項目を進んでいくうちに、「嫌なら嫌と言われないとわからない」「はっきり拒絶しない方が悪い」と、これまでこの一件に関してだけでなく、直接間接に、身近な人や世間から知らず知らず追い詰められ、拒む権利を奪われ続けてきたことに改めて気づき、それに自分が傷ついてきたことも判りました。

さらに、それは間違っている、拒む権利を奪うことや、被害者を責める数々の言動は間違っているのだ、とアンケート作成者が伝えようとしてくれていると感じ、とても励まされました。

どうか、「性の同意」という考えを、世間に広く根付かせて欲しいです。

日本社会では、男性の性欲が甘やかされている、私は常々そう感じてきました。男の性衝動は抑えられないもの、だから仕方ない、という考えが、免罪符のように、テレビや漫画、アニメ、ドラマ、YouTube番組など、子供たちが小さい頃から目にするコンテンツに溢れています。

それらのすべてを制限するのはなかなか難しいかもしれませんが、同じかそれ以上に、「性的欲求の対象にされたとしても、それを断って良い」ということ、断られた側も、「すねる、悲しむ、などのネガティブな言動を相手に見せず、当たり前のこととして相手の希望を受け入れる」という常識を、社会に根付かせたいです。そうすることで、信頼と愛情のあるはずのパートナー間での被害、加害はかなり防ぐことができるはずです。

ただ、「相手を尊重する」、それだけのことですが、それが時として機能しなくなってしまう。往々にして、その時には気づかない。

私には今8歳の息子がいます。息子には、被害者にも、加害者にもなってほしくない。同時に、性的な衝動、興味に、罪悪感も持ってほしくない。それは当たり前で日常的なことのはずで、だからこそ丁寧に、慎重に取り扱う必要がある事柄です。そのために、幼児期から読める性教育の本について調べ、いくつか買って一緒に読んだりしています。(そのうち記事にまとめます)

おそらく今回のアンケートの中では、自分が受けた被害は相対的に見てかなり軽度ではないかと思います。ですが、「人生で一番衝撃だった性被害について」というこのアンケートの設問を見て、まっさきに思い浮かんだのはこの一件でした。そこで初めて、私はこの件を性被害だと認識しているのだと気づくことができました。NHKの担当者さん、貴重な機会を本当にありがとうございました。

それからおたまさんにも、つらい個人的な体験について書いてくださって、ありがとうございましたと伝えたいです。おたまさんの記事がなければ、アンケートに答えようと思わず、辛い作業ではあったけれど励ましを受け取ることもなく、こうしてブログに書こうとも思えなかったかもしれない。答えて良かったし、書けて良かったです。

読んでくださった皆さんもありがとうございます。どうか、アンケートに答えるかどうかはくれぐれも無理せず。途中でしんどくなったらやめてくださいね。

そして、頑張って書いたよ…1時間半かかったよ…と報告したら友人が、「おおお大変だったね、ブログにも重いことを書いたばかりだし、相当な負担がかかっていると思います。美味しいもの食べて!」と労ってくれました。確かによほどしんどかったのかはたはたと涙が溢れ落ちていたのが、嬉し泣きに変わりました。

なので、頑張って書いた方には、私からもがんばったね…!と労いたいです。美味しいもの食べて!ゆっくり過ごして、自分を褒めてあげてね。

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関連リンク

性的同意についてのわかりやすい解説。
性的同意 | 性についてお悩みの方・学びたい方 | PILCON

こちらは、性的同意に関するさまざまな意見や経験談。
(フォーラム)性的同意とは?:朝日新聞デジタル

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次のリンクは、おたまさんも載せてらした、性暴力裁判の記録、私も読みました…。このかたの勇気と決意が本当にすごい…!全部言ってくれた。

かなり詳細で具体的な、性暴力を受けた際の記述があるのでご注意ください。

“性暴力”裁判 被害女性が語った15分のことば 【性暴力を考える】NHK

なぜ、女性の見た目でいるだけで、このような暴力や見えにくくされている差別に晒され続け、社会はそれを見逃し加害者を許し続けるのでしょうか?みんな酷いと思っているのに、そう言葉にはするのに被害者を救えないのは、社会構造の問題です。だから、社会構造を変える一歩として、メッセージとして、ここで正当な判決を出してください。過去の判例に従うのみで事務的な判断をするのならば、これからも加害者を許し続ける、性暴力をしょうがないこととして見逃し続ける社会を選択するということだと考えます。裁判官のみなさまは、法律については専門家です。でも、ジェンダーや性暴力の問題については、まだまだ実情を知らない部分もあるのだと、心に留めていただきたく思います。


そうなのです。私も、男性を責めたいわけではない。ただ、「ジェンダーや性暴力の問題については、まだまだ実情を知らない部分もあるのだ」と、心に留めてほしいのです。自分はそんなことしないから関係ない、と打ち返さないで。犯罪を犯す人間だけが悪い、と限定しないで。大袈裟すぎる、と矮小化しないで。


ハートをつける ハート 34

“性暴力に関するNHKアンケート、過去のあれも性被害だったのだと気づいた話 [まじめに]” への2件の返信

  1. これもですね、思うところた~くさんありました。
    私実は小学生の時に警察を呼ぶほどの割とわかりやすい性被害にあったことがあり、幸い大きな被害にはならずに済んだのですが、それはそれは怖い思いをし、その後の自分の行動に大きな影響を及ぼした経験だったでした。
    それとは別に、大人になってから、交際(?)相手による「単なる恋人同士の揉め事に過ぎない」と思われかねない性被害が私もいくつかありました。
    前者と後者では自分の中では別の感情が結びついていて、未だにイライラもしくはクヨクヨと考えたりするのは、実は後者のほうなんですよね。たぶん前者はわかりやすく悪!被害!と思っているので、ある意味割り切れない気持ちというのがないのかもしれません。ちょっとした言葉の端々(「早く脱いでよ!」とイラっと言われたこととか)を思い出してイラっとしたり。頭の中で彼と議論して打ち負かすところを想像したり。見知らぬ相手ではなくて、ある程度関係性があったからこそ、あひるさんおっしゃるように、私も、「理解し、受け止めてほしかった」、一人の人間として「尊重して欲しかった」のだなぁと思います。そして、そんな相手とある程度の期間続いていた自分にも腹が立つからなのかなぁ。

    そして、以前、非日本人の人に言われたのですが、日本のポルノは女の人が嫌がる、男が無理やり、的なシチュエーションがすごく多い、と。女は恥じらい嫌がらなければいけない、だから男は「嫌がっているサインは本物ではなくて実は喜んでいるのだ」と受け止めるし、少し強く出ないと成し遂げられない(!)みたいな風習があるのだ、と。欧米のポルノはどちらかというと女性も積極的に楽しんでいるものが多いし、その方がセクシーなのだ、と言われて色々とショックでした。
    ポルノ業界も古い価値観にとらわれた人たちが作っているからなのかもしれないし。女性の側の性表現も変わらないとこの男女の意識のギャップ(本当に嫌vs本当は嫌がっていないにちがいない)も埋まらないかもしれないな、、とも思います。

  2. ほしこさん
    なんてことでしょう…辛い体験を話してくださってありがとうございます…。大丈夫でしょうか、もし今思い出してしんどくなってしまったら、どなたか親しい方や、どこか専門機関に話を聞いてもらってくださいね。

    ちょっとした言葉の端々、頭の中で彼と議論して打ち負かすところを想像したり…わかる、わかりすぎます。
    今回の記事は、自分の中でも、また読む人にとってもかなり重い内容になってしまうと予想されたので、これまでの長いブログ人生で初めて、アップする前に親しい友人に読んでもらいました。彼女から、きっと自分のあれも…と気づく人は多いと思う、と言われたのですが(彼女もまた似た体験を持っています)、それが果たして良いことなのか、辛い記憶を掘り起こして、辛いラベルを貼ってしまうことが本当に良いのか、躊躇いもあります。知らなければよかった、知りたくなかった、と思う人も多いのではないかと。

    ただ、自分だったら知りたい、と思うため、公開に踏み切りました。知らないままでいれば傷付かずに済んだ、と考える人もいるかもしれないけれど、私にとっては、知らないままでもずっとそこに傷があることは知っていたので。傷ついた事実をなかったことにはできないし、似たような体験に、無知と無自覚のせいで大勢の人が晒されている現実を少しでもなんとかしたくて…。
    本当に、多いですよね、自分の友人女性の中だけで考えても、性被害に一度もあったことがない人は皆無です。みんな何かしら受けている。こんなの絶対おかしい。

    「そんな相手とある程度の期間続いていた自分にも腹が立つから」なのかも…というほしこさんの気持ちも、すごくすごくわかります。
    でも、先述の頼もしい友人が良く言ってくれるのですが、そうやって自分をつい責めてしまうのも、「相手」の思うツボ。「相手」の方が絶対に悪い。「相手」…というのがなんなのか、日本社会なのか、男性優位の風土風潮なのか、尊大な個人なのかは判然としないのですが。

    それから、「日本のポルノは女の人が嫌がる、男が無理やり、的なシチュエーションがすごく多い」!これも本当に!その通りですよね!
    恐ろしいことに、私がそういう話を最初に耳にしたのは大学時代、つまり25年以上前で衝撃を受けたものですが、あれから四半世紀も経ってまだ変わらないどころか、今はネットの普及のせいでそのような歪んだ性的妄想の産物であるAVが簡単かつ正当に海外に輸出されてしまっており、ますます誤解と偏見を生んでいる…なんて話も聞いています…。

    それでも、同じくネットの普及でme too運動が広く拡散して、勇気を出して声をあげる女性が増えたように、少しずつだけど着実に変わってきているんだと信じたいし、その一助を担いたいですよね。

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