鈴木祥子ソロライブ at ロバハウスが素晴らしくて、私の今のつらさは恋なのかもしれないと思った

そうなのです。いやそれはいいとして(どれ?)
こんな素敵な会場で!完全アコースティック、マイク無しの生歌ライブだったのです!

こちらのツイ主の中山佳敬さん、最近祥子さんのライブやレコーディングで一緒にお仕事してらっしゃるエンジニアさんだそうです、が、会場にもまるで雑用スタッフさんのように普通にいらしてお客さんをご案内してくださってました。もしや他のスタッフさんも皆アーティストさんとか関係者…?どの方も皆優しくて、雨の中小一時間外に並んでいた私たちを気遣ってくださって。アットホームな良いライブでした。

中はこんな!

あらっわたくし写っとらす!後ろ姿だし影の中だから完全に自分にしかわからないレベルだけど!嬉しい!
もう本当にかつてない近さで大興奮でした…。

今回は、私も実にコロナ以降初のプロのライブ…!社会人バンドの友人たちのライブには時々お邪魔していたけれど、そのバンド仲間たちともこの会場でかなり久しぶりに顔を合わせることができたり、とっても楽しいひとときだったので、せっかくだからライブの様子を詳しく綴りつつ、47歳の今、35年前の曲たちを聴いて思ったことを書いていきます。

そう、本当にもう、近くて。
そして、手作り感満載。
でも、なんだろう、ぐだぐだ感はなく、ピリッとプロフェッショナルのパフォーマンスで、素晴らしかった…。

祥子さんはピアノと、いつものウーリッツァー(ヴィンテージ電子ピアノで、オルガンのような柔らかな音がする)の間を行ったりきたりして、マイクを使わず生歌で歌ってくれました。デビューアルバム『ビリジアン』から6枚のアルバム収録曲を次々に。当時のキーの高さのまま!すごい!

2曲目の『Swallow』をウーリッツァーで1曲弾き終わってから、横に立ってらした会場スタッフさん…じゃなくてエンジニアの中山さんだった!を呼んで祥子さん、音がヘン…と急遽調整してもらう。確かにビビビビビ…と本体箱??の振動音がしてたんですよね、こういうものかと思ってたらやっぱり違ったのか。そしたら中山さん、黒のビニテを持ってきてビビーっと!ビビビーっと貼る!ウーリッツァーの箱にべったべたに貼る!レトロでシックなうぐいす色の、ヴィンテージ楽器なんじゃないの!?いいの!?そんなこんなも至近距離だから全部丸見え!祥子さんも動じず、前回のレコーディングライブでもこうだったんですよ、雨のせいかなー?とトークをしつつ、試し弾きしつつ、まだ響くねえ、とお二人でテキパキあれこれ試す。

祥子「前回はここに漬物石を置いたら治ったんですよ。バンドメンバーのツケモ=ノイシさんです、とか言って」

ツケモ=ノイシさん!!
今回はすぐには治らず、じゃあ漬物石的なものを探します!となって、ピアノの方でもう一度Swallowを弾き直す祥子さん。この演奏がまた素晴らしかった…そんな祥子さんが演奏しているすぐ横で漬物石の代替品をごそごそと探しては、毛布でくるんだり、何やら準備している中山さん。私友人とかなり前に座ってたので、ちょっと隠れてやってるつもりだったかもしれないけど全部丸見えで。次の曲には間に合わせようとがんばってらっしゃるのだな…と思っていたら!中山さん、またしてもガムテを!さっきの黒ガムテをビビッと!ビッビッビーッと!ガムテってすごい音するじゃないですか剥がす時!演奏中!演奏中なのにその音ありなの!?(ナシでは!?)とちょっとかなりびっくりしたのですが、そんなガムテのビビビ音にもアクシデントにも負けない、祥子さんの素晴らしい演奏と歌声でした…。

そして次の曲からは、中山さんによって急遽作られた重し導入。ウーリッツァーと同じくらいの幅のでっかい浅い木製の踏み台?をどーんと本体の上に置き、ななめになってるので黒ガムテでビビッビビッとあちこち固定!本体と踏み台の隙間には布をぎゅぎゅっと詰める!(ドラムとかに丸めて布入れてあるのと同じような効果が?)急ごしらえの振動防止措置、完了!見た目はかなりアレなことに!レトロで味のあるフォルムのヴィンテージ電子ピアノが!黒ガムテで木の台括り付けられてヒドイことに!

でもその見た目がまったく気にならなくなる、この後の素晴らしいパフォーマンスの数々でした。なら書かないでこんな詳細に!?いやその、このドタバタ感にも関わらず、本当に素晴らしいライブだったのです…。あの、祥子さんも一時はもっともっと大きな会場を満員にするアーティストだったじゃないですか。それがだんだん小さな会場になっていって、お客さんの数もきっと最盛期と比べたらすごく少ない。でも、なんでしょう、会場が小さくなって、人数が少なくなったからなおさら、祥子さんが一人一人を懸命に楽しませようと心を砕いてくれているのが、すごく伝わってきたんですね。物理的にもそれ以外の面でも、なんだかとても距離が近かった。

前にもどこかに書いたかもしれないけど…以前祥子さんのこういうかんじの小さめのライブに行った時、彼女がすごく、ちらちらと横を見ながら、ピアノに向かって客席には横顔を向けて座っている状態だったんだけれど、ものすごく客席にちらちら目をやりながら歌っていて、(確か10年くらい前の)当時の私は、えっそんな無理にサービスとかしなくていいのに、もっと前を向いたまま集中して歌ってくれていいのに、と思ったんだけど、今回のライブでは、あ、きっと祥子さん自身がお客さんの様子を、顔を見たいんだろうな、と思いました。勝手な想像なんだけど。きっと聴いている私たち、ファンの顔が、まなざしが、彼女の力になっているんだな、と、なんだかすごく感じてしまって、嬉しくなりました。目があったからって私のこと好きなのかもって喜ぶって。子供か。いや、子供のように、単純なものなのかもしれない。美しい曲を書き、華やかな声を響かせ、力強く鍵盤を叩く、稀代のアーティストであろうと、子供と同じに、好きって言われたいし思いたい。そうなんじゃないかな、と。

そんな祥子さん、もうすぐ還暦!57歳!わたくし今年年女の47歳なので、ちょうど10歳違うのか〜。そんな祥子さんが、デビュー当時の曲たち、私が高校生の頃から聴き始めた珠玉のナンバーを次々に演奏してくれるなか、『苦しい恋』が始まって。

私この曲、ものすごく。ものすごく好きなんです。
発売当時は、いわゆる80年代ガールポップシンガーの代表だった祥子さん、繊細で儚げな、ぶっちゃけ不倫臭のする(とご本人も後に言ってらした、それが嫌だったとも)、幸薄い若い女性の歌が多かったのに、ここから急にロック調になって。当時の男性ファンたちからはかなり不評だったんですって。

とブログにも書いております私。2006年、17年前!に、祥子さんの「昔の曲はよかった、今の曲は女を前面に出しすぎてて恐い(と言われた)、非常に間接的に、”あなたが大好き”とでも歌っとけ、と言われてるかのようですよね」という名言を!記録しておる!うおおん祥子ねえさんんん!!

私はもちろんこのアルバムが大好きで。『Candy Apple Red』と、その前の『SnapShots』が大好き。この2枚が祥子さんとしても大きな転換になったという、そんな『Candy Apple Red』収録の、1曲目からガツンとロックな『苦しい恋』が、今回目の前で、ピアノでガツンと演奏されまして。

You Know I’m tryin’ to hide it
あなたしか見えなかったの夢中だったの
あなたはいつもわたしの幸せそして苦しみだった

You Know I’m tryin’ to hide it
傷つくことが何より怖かったの
あなたがいつかわたしを置いていってしまう気がしたの

鈴木祥子 苦しい恋 歌詞 – 歌ネット

これがものすごく響いて。ものすごく、入ってきて。
オットのことで最近苦しいのって、もしかしてオットに恋をしているからなのか?と。
バカなの?
いやもうほんと馬鹿みたいなんだけれど、そう思ったりもして。恋ならしょうがないのか?結婚20年も経って片想いって。そういうとこだろ?とも思うんですけど。問題を矮小化しようとしているのか。そうやって逃げようとしているのか、真面目に取っ組み合うことから。そうも思って、そうかもしれないのだけど。

でも私が今、ここ最近苛まれている、女というもの、に対する、どうしようもない違和感、焦れた気持ち、そういうものに対し、すでに祥子さんはずいぶん前から言ってくれていて、57歳の今の祥子さんが目の前で歌っていて、47歳の今の私がそれを聴いて、震えるほど心に響いて。

『苦しい恋』ってそんな泣ける歌じゃないはずなんだけどもうぐしゃぐしゃに号泣してしまって、嗚咽を抑えるのが大変なほどでした。すごい。デトックス。その後もそんな感じで、高校生、大学生だった当時、この曲を聴きながら思い浮かべて胸を焦がした相手はあの人だったな…今うちにいて、毎日同じ玄関をくぐる関係で、そんなことを考えていたら、なんだかすごく、うん、人生走馬灯、でした。早いような、長かったような。

祥子さん自身も最後の方で、私もそうだし、皆さんもだんだん歳をとって、人生のステージでそれぞれにいろんなことがあると思います、この先声も出なくなっていくし、キーも下げないといけなくなるかもしれない、でもそういう変化は悪いことばかりじゃない、自然なことだし、この身体と心でやっていく、それでいいんだと思う、みたいな感じのことを言ってくれて、とっても励まされました。そうだよね、そうですよね。

4月の雨の土曜日、玉川沿いの緑もしっとりとつややかな、とっても思い出深い一日となりました。本当に素敵だった…。第二弾もあるっていうので、ぜひまた行きたい!

余談ですが、私が時々やってる、この、妙に句点を入れてしまう文章の書き方、祥子さんの影響だったりします。祥子さんが以前よく書いていたブログの文章や、エッセイなんかがこんな感じだったんですよね、喋る時のリズムで点を入れていく感じ。こう、考え考え言葉をつないで、出てきたその一単語、を、強調したい時。そんな時に。文章としては点が多すぎるのはわかってるんですけど、音読すると自然になるかも?私大体文章書く時目で音読?しながら調子を整えていくので。

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関連リンク
この日発売された、2月のレコーディング・ライブCDについてのお知らせ。購入もこちらから。
21 Apr 2023 『歌う、聴こえる~そして10のメモワール』 4/21(金)より発売になりました

このライブについての公式お知らせ
10 Feb 2023 鈴木祥子ソロライブ A Fantasy Of “Epic” Days~ at 玉川上水・ロバハウス | 鈴木祥子オフィシャルサイト Syoko Suzuki Official Site |

当日のセットリスト
季節のスケッチ | 鈴木祥子オフィシャルサイト Syoko Suzuki Official Site |

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関連あひる

2006-01-25 鈴木祥子の新譜が『鈴木祥子』だということ

「思い込みって言えばさ、女はこういうもの、男とはこういうもの、っていうよくあるあれは、きっと思い込みの最たるものでしょうね。」

「昔の曲はよかった、今の曲は女を前面に出しすぎてて恐い(といわれたことがあるが)男を前面に出しすぎてて恐い、とは誰も言わないのに、なんで女が思ってることを書くとコワイ、と言われるんでしょうかね。
(中略)
非常に間接的に、”あなたが大好き”とでも歌っとけ、と言われてるかのようですよね。」

2012-02-11 鈴木祥子ライブ、Syoko. absolutely alone in CAYに行ってきた

2008-12-29 鈴木祥子 20th LIVE、カバーソングデイがとっても楽しかった

2013-11-15 友人の鈴木祥子カバーライブにコーラス出演したよ

そうそう、今回この時の友人と並んで座って、今回のライブの特筆すべき点、それはこっちもめっちゃ歌ってOKだったこと!!マスクは着用でしたが、声出し解禁!しかも祥子さんめちゃ煽ってくる!いいのですか!?(キラッキラ)こんなバンド活動やってる私たちだからもちろん歌いまくったよね!なんならハモりパートを歌いかけたけどちょっとこれは他のお客さんたちが困るか…!?と主メロに軌道修正したり。帰り道みんなでわあわあしゃべってたからボーカルさんとはこの話してないんだけどきっと彼女も同じ思いだったに違いない!そして別の席にも転々と座っていた同じ社会人バンドメンバーの面々から「あひるちゃんたちの声が目立ちすぎてた…」と言われ恐縮しております…えっ悪目立ちだった!?そうならない程度に気をつけたつもりだったけど…すみませんつい。


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