ドラマ『チャンネルはそのまま!』、何度見ても素晴らしい作品でした(ネタバレあり)



いやあ、『チャンネルはそのまま!』、GWにテレ玉でやってたので、Netflixで全話見たのですがもう一度見ちゃった。改めてしみじみ素晴らしいなあ。
ネタバレも含めて、もうちょっと感想を書き記しておきたくなったので書いちゃいます。

キャストなど、ちょいちょいネタバレも含みますので未見のかた、予備知識を入れたくないかたはご注意くださいませ。

なんといっても、藤村D!

小倉部長役が改めて、あまりにも本人。いやご本人なので本人なんですけど。意味がわからない。いやほんとに意味がわからないほどの存在感で。なんであんな演技上手いのか。自然に熱演しすぎていてなぜなのか。だって他のキャストは皆北海道出身の役者さんや、北海道を拠点に活動している劇団員さんなどで固められているんですよ?それなのになぜ、テレビのディレクターさんがあんなに普通に浮かずに存在していられるんだ。いや浮いてたけど。変な人なんだけど。キャラとして。

そしてこれがネタバレ。
嬉野Dまで!!劇中劇的なテレビ番組『夕方ビッグバン』の中で原作でも佐々木倫子先生の伝統芸、明朝体の書き文字で「誰?」とか矢印されていた、地味すぎる謎のコメンテーター「山道一徹」さん役。誰も何も!嬉野Dじゃないですかー!!めっちゃうけた。登場人物一覧の下の方にいらっしゃいますのでぜひどうぞ。原作と違い派手すぎるキャスティング。

あとはもうほんとに、大泉さんの熱演がね。最終話の、床に置かれたままのカメラの映像という不自然さを忘れてしまう、引き込まれる激白。
ちょうどこのGWに『ブレイキングバッド』も見終わりまして。犯罪に手を染める人、社会規範から逸脱してしまう人も、その人の生まれや育ちや、連綿と続く人生の、細かな一つ一つの出来事が積み重なって、そこへ至る道が形作られてしまうのだなあ、と、重く考えさせられました、どちらの作品にも。途中で立ち止まったり、戻ったり、別の角を曲がったり、できたはずなんじゃないか、と傍目には思ってしまうんだけれど、当人にとってはどうしてもそれができなかった、気づけばのっぴきならない深みにはまってしまっていた、そういうこともあるんだろうな、と。

そういうことをつい考えさせられる、大泉さんの熱演でした。
そしてそれに淡々と相槌を打ち、そっとお茶を入れる、雪丸花子を演じた芳根京子さんの存在感!
ほんとすごかった!
あの屈託のない笑顔や、真剣にキリリと引き締めているつもりが絶妙に相手をイラっとさせたり不安にさせたりするほにょっとした口元といい、おじぎひとつもアホっぽい、あの雪丸感!
それが、大泉さん演じる蒲原さんと向かい合った時の、静かに抑えた笑顔や発声で、雪丸さん自身として傷つき戸惑いながらも、テレビマンとして必死に職務を遂行しようと振舞っていることが見事に伝わってきて。

簡単に顔をくしゃくしゃにして泣いちゃったりしなかったところが、演技としても演出としても本当に素晴らしかったと思います。テレビ的なわかりやすさという易きに流れず、きっちり繊細に表現してくれたところ。
他の記事でも見かけましたが、カット割りして顔のアップにして、とやらずに、本当に床に置きっぱなしのカメラのままでドキュメンタリーのように淡々と撮り続けた演出の胆力も本当にすごかった。大泉さんの演技力への信頼、というか投げっぱなし?だったみたいなインタビューもありましたが、素材の良さを活かしきる最低限の飾り付けで、そのおかげであれだけひしひしと胸に迫る場面になったのだと思います。

あとね、元キャラメル好きとしては、大内厚雄さんにも触れておきたい!
北海道に縁のある俳優陣で固められたキャストの中、かなり目立つ美味しいポジションをぽんと獲得できていてすごい!テレビの仕事も普段それほど多くはないんじゃないかと思うので、かなりのアウェー感だったのでは。でも地元の劇団の人たちも多かったみたいだからそうでもないのかな?同じ舞台の人間同士。
天然な雪丸さんに振り回され、鬼デスク…のはずが厳しさをことごとくかわされて困り果てている役どころを見事に楽しく演じてくれていました!大内さんおつかれさまでしたー!

平成最後の日 | あつをの一服日記

藤やんと~ | あつをの一服日記

大内さんの名コメディアンっぷりもですし、芳根京子さんの雪丸っぷりも完璧すぎて、あのー、佐々木倫子作品の大きな特徴のひとつでもある、恋愛要素が皆無な点。男女取り揃ってるのにちっとも恋愛に発展する気配がない感。トレンディーじゃない感。ときめかない感。その辺も見事に原作通りでした。もはや読んでる方も全然そういう期待はしてない。ある意味ジェンダーレスですごい。

他にも、カメラワークが地味に凝ってたり。いや地味じゃないか?
長回し多いんですよね!すごい。長回し風に映像をつなげているのではなく、ほんとにずーっと長回しなんだとしたらかなりすごい。『ショーンオブザデッド』『カメラを止めるな』もびっくり(なぜ例が2つともゾンビなのか)
1話の冒頭など、札幌上空の空撮からのテレビ局の裏口とか、あとエンディング!エンディングは今後局内をドローン?的な小型カメラっぽいアングルでずーっと飛んで行っていろんな部屋を練り歩いて関係者たちがそのたびに写り込んで、最後に主演の芳根京子さん、の前にさっきも出たはずの藤村Dがなぜかカットインしてくるという美味しさ。

それに、ドラマ内でもちょいちょいすごいな、と思ったのは、カメラの目の前でメインの人たちがやりとりしているシーンでも、その後ろに写り込んでいる他のキャストのかたがたも、ちゃんと細かい芝居をしてるんですよね。それも主演の人たちが後ろにいるの。サブキャラ的な人たちが会話している後ろで、ちゃんと主演の人たちが打ち合わせしてたり。普通こういうの、主演の人は主演の人たちでまとめ撮りして、脇役の人たちのシーンは脇役の人たちだけで撮ったりするんじゃないのかな、と。そうやって撮ったシーンもあったのかもしれませんが、どちらかというと全員がカメラに収まっているシーンがよくあって、テレビドラマというよりも演劇的だった。セットとなっているテレビ局の縦長な室内を、ちゃんと奥の方までがっつり使ってリアルに「あちこちで話し合ったり準備をしたりして、多くの人たちが番組づくりをしている」という表現をしていて、すごいな〜と思いました。

今回のドラマ化で改めて思いましたが、原作でも「HHTVではドラマは作ってないよ」と、知らずに採用試験を受けにきた雪丸さんの無知をたしなめるような、そしてちょっと自虐的にも思えるような面接官さんのセリフがあったのですが、今回はそんなHHTVいやHTVが、まさに初の!オリジナルドラマを作ったわけですよね!
原作の最後でも「HHTVが初のミニドラマを作る!」という題材がありましたが、時を経てあれが現実になったんだな〜、としみじみしました。しかもいざやってみたらこんなふうに、随所にまでこだわりと魂と、原作愛、地元愛の宿った素晴らしい作品に仕上がっていて。

いや〜本当に良い作品でした。これは、『アオイホノオ』以来のボックス購入決定かな。
円盤出るのが待ち遠しいです!

まだのかたはぜひ!Netflixで全5話見れますし、これから放送する地域もあるのでどうぞどうぞ!!

チャンネルはそのまま! | Netflix (ネットフリックス)

HTB開局50周年ドラマ「チャンネルはそのまま!」 各地の放送日時はこちら

公式サイトのインタビューなども楽しみにちょっとずつ読みます。
HTB開局50周年ドラマ「チャンネルはそのまま!」

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関連リンク。
水どう・藤やん出演『チャンネルはそのまま!』の優れた点|NEWSポストセブン

『チャンネルはそのまま!』で美味しい役柄といえば、雪丸がピンチの際に助言をくれる陽気な情報部長・小倉である。間違いなく注目されるドラマ、俳優にとって喉から手が出るほど欲しい役柄だ。

 で、小倉を演じたのは誰か?

 藤村忠寿。

実は藤村、上記した“タレントよりも騒ぐスタッフ”でおなじみ、『水曜どうでしょう』の名物ディレクター。確かに原作漫画の連載時から、小倉は藤村そっくりだと評判だった。しかし、ドラマ制作時にはプロの役者によって演じられるのが通常である。ところがモデルそのままに藤村が小倉役を射止めた。メインキャストの1人が裏方のテレビマン、そういった点でも前代未聞のドラマとなっている。


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次はこちらがドラマ化!石原さとみでー!!



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2 Replies to “ドラマ『チャンネルはそのまま!』、何度見ても素晴らしい作品でした(ネタバレあり)”

  1. TV版の「ショウ・マスト・ゴー・オン」みたいでしたね。マスターカット!マスターカット!
    ヨーロッパ企画の面々の馴染み感といったら!

    個人的に雪丸の「悪いことしたら、あやればいいんですよ」が好きです。糾弾するんじゃなくて、寄り添う感じのセリフですね。

    藤やんの演技力はミスターさんの劇団OOPARTSに「出してくれよお」と再立ち上げから参加して、名だたる舞台俳優と演技してるときから鍛えられてきたんでしょうね。本広監督の映画にも出てますしね。

    今回のキャストは藤やんの人脈相関図のようでした。希望を言えば嬉野Dと親交のあるシャープくん(公式)やタニタさん(公式)のネタも絡めてほしかったと思ってます。

  2. 日月さん
    おー!ご覧になりましたか!ね〜、面白かったですよね!
    ね、「悪いことしたら、謝ればいいんですよ」、良かったですよねえ。あのおちゃらけたノリで、この深刻すぎる事態をどうまとめるのかと思ったら…見事でしたね。
    藤村D、劇団に参加したりもしてたのですね!納得です…いや?やっぱ謎だ!?

    あとそうそう、HTV(本物)の新社屋がひぐまテレビの社屋として悪役っぽく使われてたのも好きでした!

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