本当に哀しい『うらしまたろう』[絵本の話]

お、こんなまとめを見かけたので、ちょうどいつか書きたいなと思っていた、『うらしまたろう』の謎について。
前から書きたいなーと思っていた、「絵本をガチで語ってみる」的エントリです。

浦島太郎って理不尽な話だと思うんだけど | 2ちゃんねるスレッドまとめブログ – アルファルファモザイク

1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします2018/04/20(金) 03:53:47.912ID:ElpeXJ4d0.net

あれなんとかなんないの?

亀を助けたのに、ちょっと竜宮城に長居しただけで、
娑婆では親も知り合いも誰も居なくなってて何百年も経ってて、
んでもって老人にされた太郎は踏んだり蹴ったりだろう?


ですよねー。私もそう思っていました。これを読むまでは。




時田史郎 再話
秋野不矩 絵
福音館書店
1974-03-25

古典物語の絵本を買う時は、基本一番古いものを選ぶようにしています。『うらしまたろう』では福音館書店のこちらがたぶん一番古い。

amazonレビューで、「美しい絵がとても雄弁」「お馴染みの浦島太郎の昔話がこんなに心に余韻を残す物語だったとは」などと書かれているなあ、とは思っていたのですが、確かに手にとって読んでみるとその通りでした。
絵の美しいこと!そしてそれを支える、平易でありながら美しい言葉遣いで語られる、オーソドックスな物語。
両方にとても引き込まれて、この物語の持つ哀しさが、描かれている冬の海の侘しさのように、しんしんと胸に入ってきてですね…

以下、あくまで私の解釈なのですが、『うらしまたろう』が思っていたよりもずっとずっと哀しい物語だった、というお話です。
乙姫が浦島太郎に「玉手箱」を渡したのはなぜなのか。
色々なバージョンのあるお話ですが、時田史郎さん再話、秋野不矩さん絵、福音館書店1974年発行の絵本を読んでの感想です。 “本当に哀しい『うらしまたろう』[絵本の話]” の続きを読む

うちの子と重機

先日うちの子タロー(仮名)4歳ほやほや、もらったばかりの重機のミニカーをいきなり紛失し(もう見つかりました)朝から大騒ぎで。
家から持ち出してないし、夜開けて(ことのほかお喜びのご様子であらせられました)寝て起きただけなので絶対家の中、居間のどこかにあるはずなんですけどない。おかしい。
両親であちこち探したのですが、またしても上から目線で昭和の現場監督のようなタロー氏。

TR「ホイールローダーどこ!?」

これ?

TR「違う!それは油圧ショベル!」




これ?

TR「違う!それはフォークリフト!」




OT「これ?」

TR「違う、それはダンプトラック」


水陸両用カー ダンプトラック
パイロットインキ(PILOT INK)
2017-08-05



どれもこれもすごい上からなお叱りが飛んでくるのです。いや自分で探そうよ。てか黄色いはたらく車多すぎなのよ!
オットに対してはそこまで強い語気ではなく、諭すような調子だったそうです。やはり上からだが。
私はタローに対しこんな口の聞き方はしてないつもりなのですが、オットに対してはいちいちきつく当たっている心当たりがあるそういう心当たりしかない柔らかく当たった試しがない。そういうのを見て学んでしまっているのだろうか、大変ゆゆしきことであるなあ、と思っております。

そしてあまりに重機が好きな息子のためにどっかそういう博物館とか展示場とか行ってみる?と朝まだすやすや寝ている子供の顔を見ながら夫婦で検索し、
「はたらくじどうしゃ博物館」(長野県伊那市)とか
「土木パビリオン」(情報サイト)とか
「わくわく建機まつり」(石川県小松市)とか
「ケンケンキッキ」(コマツのサイト)とか
次々とヒットし、朝から黄色いです。そしてどこも遠いい。

お仕事体験ができるアミューズメントパーク「キッザニア」で土木工事のお仕事ができる、との情報も見かけましたが、他の子供たちと一緒にわいわい系ってうちの子が苦手なあれで…。1人ないし家族相手なら元気いっぱいなんだけど他人に対しては途端にもじもじ引っ込み思案になっちゃううちの子が、社会に出ても人とうまくコミュニケーションできなくてそういうの得意な他の子にどんどん先を越されちゃってぽつんとぼっちみたいな、そんなリアルすぎる社会人先行体験までさせられちゃうのを親としてブースの外から見て泣くしかないんでしょうか。実松さんか(やめろ)。





絵本はですね、こちらがお気に入りです。頂き物。
こもりまことさんの「はたらくくるま みちをつくる」

はたらくくるま みちをつくる
こもり まこと
教育画劇
2006-08-01



細部までリアルな筆致ながらアメコミ風の線の強弱が効いた見やすい絵柄で(ソムリエか)、はたらく車の土木作業の様子を、車たちの語りと擬音満載でお届けします。「おいらはダンプトラック、ブオンブオン、ブルルルル」みたいな。うちの子もすっかり擬音が上手になっています。床に這いつくばってトミカを走らせながらすごく上手にいろんなエンジン音を使い分けています。

[真面目に] 絵本作家のぶみ『あたしおかあさんだから』『ママがおばけになっちゃった』などなどについて思った、”感動”を押し付けることへの違和感

少し前から炎上騒ぎを巻き起こしているこの案件について、色々と思うところはありつつも、しっかり書く時間がないなあと思い、リンク紹介にとどめるつもりだったのですが途中からどんどん重めの内容かつ常々嫌だと思ってきた価値観の押し付けや無自覚な感動強要などに対し全否定モードになってしまいましたすみません。
でも勢いでアップしてしまいます。

えー重いの読むのあれだなーって方はこちらの小ネタへどぞー。

February 09, 2018 #あたしおかあさんだから の歌詞を読んで騒然となる新井素子クラスタ

さて。
『ママがおばけに』も数年前話題になった時にwebで読んでみて、ふーんと思ってそのままでした。子供のためじゃなく親が泣くための本だな、うちの本棚には置かないな、で終了。

ただその後、今回の『おかあさんだから』の騒動で知ったのですが、もっと他にもとんでもない絵本をたくさん出してるんですねこの人…

何が問題って作者さん本人よりも、こういう本を「良い話だ、読むべきだ」と子供に読み聞かせてしまう大人の浅はかさを憂うべきだと思いました。

また、忘れちゃいけないのは、こういうものに感動して泣けてしまうくらい、世のお母さんたちは追い詰められている、ということだとも思います。誰もねぎらってくれない。肯定してくれない。どこへいっても肩身が狭い。だからこんなものにすがりついてしまうんだと思う。二分の一成人式とかもそう。

色々検索した中でたどりついた、作者さんへのインタビュー記事。これを読んで、あーご本人がだいぶ闇の深い人なんだな、と思いました。

情熱大陸の舞台ウラ! 絵本作家のぶみ 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.1】|ウーマンエキサイト(1/3)

のぶみ─情熱大陸のインタビュー中にお母さんの口からは信じられない言葉が出てきました。「のぶみは小学生のとき、みんなと仲が良くて、友達がいっぱい居て…」と話しはじめたんだよね。 違う人の話でもしてるのか? って思うくらい。(笑)

のぶみ─「お母さん何言ってるの!?」僕がいじめられていたことや、悪さをしていたことをいくら話しても「あなたは忘れているの。」の一点張り。撮影現場は、変な空気になってしまいました。

撮影後、お母さんからメールが届いた。「テレビでいろんな人に知ってもらうのに、のぶみのマイナスイメージな面を見せたくなかった。だから、いじめられていたことや、悪さをしていたことを隠したかったのよ」と。

それを聞いて、今まで「あなたは良い子だから」と言われていた意味がわかった気がした。お母さんの中で、悪かった僕はいなかったことにしたかったんだ‥と。

うーん。
なのでというか何というか、この人の個人的なお母様との軋轢みたいなものを見せられているだけ、と思えば、無関係な他の人たちが動揺したり憤ったりすることじゃないな、と。励まされる人はもらっとけばいいんじゃないですかね、と。

それよりも、問題はそれを安易に「良い話」として子供たちに押し付けようとする大人たちの感覚だよな、と思いました。おそらくは善意で。だからタチが悪い。
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「筋肉の力で全てを解決」、そして昔話改変といえばほめ子さん

だいぶ前の下書き掘り起こしネタ。
オットからいつものようにネットで見つけた小ネタリンクが送られてきたのですが、そういえばこれあたくしの誕生日当日に届いたわ。何のつもりだ。

筋肉の力で全てを解決 @kinniku_subete

色々ありますが、フフッてなったのをいくつかピックアップ。

うん、ねえ。ゴンさん噴いた。あちこちで見かけるなあ
別にあたくし筋肉好きじゃないんですよ?ついネタにしがちですが。あのこれゾンビものに対する謙遜(?)と違うのよ?ゾンビものはね、好き。もう認めた。今までずっとそんなに好きじゃないんだからねって誤魔化してきたけど素直になることに決めたの。恋愛ものかよ。高校生かよ。告白する気かよ。

それはいいとして。
でもマッチョに関してはほんとに違うの。友人があまりにマッチョを毛嫌いしてて、ああこれ友人だったらきっと激おこだろうなーと思うとつい目についちゃうっていうあれなの(どれなのか)。私もどちらかというと無駄につきすぎた筋肉はちょっと。ナルシストな感じがちょっと。同じナルシストならキザな方に振ってほしいの。ミッチーとか靖幸とかああいう系に。

まあそれもいいとして。
昔話改変系といえば…禁断の…ほめ子さんですよね。

以下、自己責任でお願いします。言いましたよ。注意喚起しましたよ。この先にはホモホモしい描写がありますのでご注意くださいね。面白いと感じて頂けるかどうかの保証はできかねますよ。 “「筋肉の力で全てを解決」、そして昔話改変といえばほめ子さん” の続きを読む

サンタクロースはいるのかいないのか論争

急行「北極号」
クリス・ヴァン・オールズバーグ
あすなろ書房
2003-11-10


サンタクロースの扱いが酷い映画をご紹介した流れで、この微妙な話題!
世界的に大変繊細な、厳重取扱注意議題!!

えー、サンタクロースはいるのかいないのか論争。

一番危険なのが、小学校高学年とか中学生くらいですよね。いや、今時はもっと下かなあ? “サンタクロースはいるのかいないのか論争” の続きを読む

アンパンマンのキャラ「しらたきひめ」と付き人の「しゅんぎくさん」に男女のドラマティっこを感じた

あのね、先日子供と小児科に行った時、待合室のアンパンマン絵本を読むじゃないですか。アンパンマンキャラ、いろいろいらっしゃるじゃないですか。全然知らない人たちもいて毎回新鮮なんですが、今回は。

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「しらたきひめ」と「しゅんぎくさん」

何それ!!
姫と従者!!
美味しい!!
捗る!!
どんぶり飯三杯はいける!!
すき焼きだけに!!

と一人密かに大盛り上がりでございました。一応静かに盛り上がったよ?病院ですしね。家だったら全部口に出してるとこだけどね(やめてよ母ちゃん恥ずかしいよ)。もうこれからすき焼きを見てもモジモジキュンキュンな予感しかしません。姫と従者!!(二回言った)

姫は文字通り姫系なの?高飛車で、でも脆いの?あるいは高貴で柔和で消え入りそうなんだけどいざとなったらビシッと快適、腹から声出す系なの?
そして従者はひたすら忠誠系なの?あるいはベルセルクのセルピコみたいにちょっとニヒルでやれやれまーたうちのお姫様は…(ため息)とか言いつつもちろんピンチの時には息を乱して駆けつけてくれちゃってざっくり手傷を負っちゃう系なの?

声!!
声は誰!?!?Σ(゚Д゚||;)(||; ゚Д゚)
(まずはお前が落ち着け)

ぶふぉ!(すき焼きのたれ吹いた)調べてみたら期待以上ではないですか!!
しらたき姫、武術の達人だった!まさかのそっち系!戦闘姫さま!!
しゅんぎくさんも武人だそうです! “アンパンマンのキャラ「しらたきひめ」と付き人の「しゅんぎくさん」に男女のドラマティっこを感じた” の続きを読む

ワイ子供の運動会で放送係、大好評。絵本の読み聞かせで気をつけていること

お弁当について暑苦しく2度にも渡りお送りしてきてしまったうちの子タロー年少さん、はじめての運動会では、わたくし放送係でしたの。好評だったよ!プロみたい!!ってお褒めの言葉をたくさん頂きました。ありがとうございます~。私も楽しかったです!まあね、「ちょっと今ひとつだったよね」なんてどこのプロデューサーさんかってな辛口辛口批判批判コメントくれる人なんていないでしょうけども。そりゃ褒めるでしょうさ。でも楽しかったからいいのん。

もう一人ご一緒したママさんはほんとに声を使う仕事をしてらっしゃるみたいで、上の子の謝恩会の司会なんかもされたとか。さすがの落ち着きで頼もしかったしご一緒できて光栄だったのですが、一方この私の無駄なこなれ感はなんだったのか。ほぼニートなのに。まだ聞かれてないんですが、「何かそういうお仕事してたの?」と聞かれた暁には、いいえ何にも、ただ、

強いて言えば、アニメを嗜んできたおかげですかね(キリッ)

と答えようと思っています(やめとけ)(いんや、やめないッ)

子供に絵本を読む時も、なんとなく意識してしっかりはっきり、ゆっくり…というか一定の調子で読み通すように心がけています。気をつけていないと語尾が急ぎめになっちゃったり消えちゃったりしがちじゃないですか。でも子供はこの絵本の朗読、じゃない読み聞かせか。読み聞かせで日本語や文字を覚えるのだから責任重大だな、と。
『Papa told me』にも「またとない名誉な仕事」と書かれていたし。

あと抑揚とか緩急とか。文と文のあいだの間(ま)の取り方とかも、何となく自分がこうと思うようになんだけど、気をつけながら読んでいます。みんなそうじゃないかな?児童館の絵本読み聞かせの会で、お母さんたちが順番に読む機会なんかがたまにあったのですが(幼稚園に通い始める前は居場所を探してよくお邪魔していた)、そういう時もみなさんすごく上手だったし、私が普段気にかけていることをやっぱり皆さんも意識してるのかなーと思える仕事ぶりだった。

それもこれもね、私はアニメから学びましたよね(真顔)。いやマジで。アニメとか、映画の吹き替えとかからね。日本の声優さんたちの職人技は本当に素晴らしい。これまではただお客さんとしてその恩恵を享受してきましたが、子供ができてからは絵本の読み聞かせという形でドメスティックに受け継がせていただいております。まことにささやかながら文化継承活動、的な。



お!また知らないの出てる!
一時期に比べて、昔の静かな面白さが戻ってきているような気がします。

初期のコミックスもKindle版になってるなー。懐かしい。


父ちゃんタローの『ももタロー』

ある日の寝入り端に、突然こんなお話が始まりました。

OT「昔々、成増(仮名)に父ちゃんと母ちゃんが住んでいました。父ちゃんは事務所にお仕事に、母ちゃんは家でネットサーフィンをしていました。」

ちょ、待て。

OT「そこへ、」

TR「ピンポーン」

えっ。

OT「チャイムが鳴り、amazonからダンボールが届きました」

何2人のその連携!?
てかamazonから届くの!?

TR「桃の形のダンボールかな?」

そうなの!?特別仕様!?

OT「開けてみると、中から可愛いももタローが生まれました」

amazonからうちの子が!!さすがうちの子!!

TR「タローはもう大きいから、おぎゃ!(バンザイ)とは言わないんだよ?」

かわいいな!!

OT「ももタローはすくすく大きくなって、お弁当を持って幼稚園に通いました」

普通のお子さんだ!鬼退治とか行かないの!?

OT「そこへ犬がやってきて、『ももタローさん、お弁当を分けてくださいな』」

TR「いやでーす」

えっ。
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昔の絵本が好き。1960年、70年あたりが黄金期にして全盛期なんじゃないかと思う

ずっと書きたかった、絵本の話です!わーい!
先日の福音館書店60周年記念『絵本とおともだち』展、玉川高島屋記事にもちらっと載せた、かこさとし先生と絵本と戦後の話。
かこ先生は過去のインタビューの中で、「昭和24年頃から外国の子供向けの雑誌をとっていて、そこには戦争の間作品を発表できなかった作家たちが書きためたものがうわあーっと載っていた(要約)」と語っておられて、それが子供のために絵本を集めるようになった私がここ数年感じてきたことと重なる内容だったので、とても興味深かったです。
絵本って、1960年、70年あたりが黄金期にして全盛期なんじゃないかと思うのです。主に日本の絵本。海外のも日本で有名なものは同じ時期な気がする。
子供のために絵本を集めるようになって驚いたのですが、自分が子供の頃に読んでいたものが、そのまんまベストセラーのロングセラーになっていて、今でも第一線で読まれているのです。もちろん1990年や2000年以降にも人気作は出ているんですが、誰もが知っている馴染み深いものは大概が1960年、70年代出版。

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福音館書店60周年記念『絵本とおともだち』展、玉川高島屋にて!スタンプラリーやるべし!

GWの5/7(日)まで開催です。とっても楽しかった!
場所は二子玉川駅の玉川高島屋、基本無料です。
なんと!『ぐりとぐら』がカステラを作った後の「たまごのくるま」に乗って記念撮影ができます!
それから『しょうぼうじどうしゃ じぷた』の実物大車両もあります!じぷたくんだ!(こちらは残念ながら乗れないので見るだけ)

詳しくはこちら。
絵本とおともだち – 玉川高島屋S・C
大人が大興奮でした!
特に物販!!かこさとし先生の『だるまちゃん』グッズが山のように!
以下、ほんの一部ですが写真でご紹介です。

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