日本国憲法に “両性の平等” 条項を起草した女性（『虎に翼』オットも見ている）

＜1945年のクリスマス日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝ベアテ・シロタ・ゴードン,平岡磨紀子(訳)／amazon＞

ほい、せっかくなので憲法記念日の本日にあわせて、載せようと思っていたこの話を。

朝ドラ『虎に翼』をね、うちの子10歳だけでなくオットも一緒に見てまして！最初は1週目と2週目のまとめだけ見たんですけど、いやこれ全然足りてないんで、オリジナル版のこれとこれだけは見る？いかが？じゃあ、ってんで最重要回だけピックアップして見たりなどし。

でも先日オット出張だったので視聴が途切れて、それを機にフェイドアウトしちゃうかなあ…と思っていたら「向こうでも見てたよ毎日」あらまあ！嬉しいこと！これね、一部の男性には不評らしいので、オットが毎回見てくれて嬉しい。ぜひとも、ここに描かれている様々な事柄が、ドラマとして誇張しているわけでも昔の話でもなく、今に至るまで女性たちから見えている世界というのはこういう不当で過酷なものなのだ、ということを感じ取ってもらえたら尚嬉しい。

2週目の離婚裁判を見終わったくらいのタイミングだったと思うのですが、オットが「これだけ不平等だった憲法に、”両性の平等”が盛り込まれたのってすごいことだね」と仰り。

1回目のオープニングでも読みあげられていた日本国憲法序文、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」という。すべて国民は平等であって性別で差別されないと。明記されているはずなのですが。

え、でも実際には機能してないじゃないですか、とつい私。それでもはっきり書かれただけでもすごいんじゃないの？とオット。

んーまあ確かに、書かれないよりは書かれてた方がそりゃあまあ。と思いつつ、どうして書かれることになったのかの経緯を検索してみましたら。

ベアテ・シロタ・ゴードンさんという、一人の女性の提言だったと知ることができました。

pdfなんですけど、すごく良い記事だった…。

■会日本国憲法に「両性の平等」条項を起草した女性（pdfファイル）

内容をざっとまとめますと。
父親の仕事で幼少期の10年間を日本で暮らしたベアテさんは、母親の友人である日本の女性たちの話などを通じて、日本の女性が置かれた立場を考えるようになったと。日本の女性は、夫の後ろを歩き、客が来ても一緒に食事をしたり、会話したりすることもなく（スン…！）ただ給仕をするだけ。日本の女性には社会的な役割は全くない。離婚もできず、好きな人と自由に結婚できない。財産権もないし、相続もできない。こうした日本の女性の姿はベアテさんの心に深く刻み付けられた。

そして時は流れ、終戦直後の1945年12月、GHQの民間人要員として来日したベアテさんは、新しい日本の憲法草案を作るメンバーに選ばれる。22歳の若さで！

ベアテさんは、子どものころ見聞きした日本の女性が置かれている状況を思い出し，日本の女性にはどのような権利が必要かを考えていった。例えば、
・配偶者の選択の権利
・妊婦が国から援助を受ける権利
・非嫡出子への差別禁止
・社会福祉に関する権利

必要！必要すぎる！
そんな女性に必要な権利をできるだけ多く憲法の中に書き込んでおけば、民法などの法令を起草する官僚ーーその多くは日本の保守的な男性であるーーは、これを無視できなくなるであろう。ベアテさんはそのように考えたのである…！おおお…！！

しかし！！

日本政府の代表は女性の権利の条項に強く反対した。しかし，GHQ 側は，日本政府が通訳としてのベアテさんに強い信頼をおいていたことを知ったうえで「これはここで通訳しているシロタさんが日本の女性の立場を考えながら書いたものです」と言って説得した。このようにして，日本国憲法に両性の平等に関する条項が挿入されたのである。

日本政府、反対しとるやんけ！！！
女性の権利の条項に強く反対しとるやんけ！！！
クソが！！クソか！！クソだ！！

オットが言ってた、「差別的だった明治憲法からいきなり平等が謳われるようになっただけですごい」は、一人の女性の意思と、GHQからの外圧の賜物やんけ。危うく日本政府に握りつぶされるとこやったやんけ。

それにしても…一人の女性、それも外国人女性が、日本の女性たちの扱われ方に心を痛め、知恵を絞ってくれただなんて…これもシスターフッドですね…。

そして、せっかく1946年にそうやって女性の権利を守るための24条が憲法に盛り込まれたのに、80年経った2024年の今、共同親権法案で女性と子供の生活や人生の選択権が脅かされ、前時代に引き戻されようとしている現実…

（ちょっと追記）
日本国憲法に関して、私が大学受験の頃（今から30年ほど前、1993年、平成5年頃）、予備校の現代史の熱い先生が話してくれたのが、確かに日本は負けたけれど、この時作られた憲法は決して押し付けではない、世界大戦などというものが二度と起こらないように、国家が国民を踏み躙ることのないようにと、当時の知識の粋を集めて作られた、理想を詰め込んだ憲法なんだ、と。いまだに覚えています。日本はダメだ、ということばかり教わってきたから、とても印象深かった。

と…書いたらなんだか思想的にあれかな…あとなんか、無知で恥ずかしい…と書かずにアップしたのですが。
そしたら今朝のとらつばで！（5週の金曜日、お父さん裁判編の最後）
無実の父のための裁判を1年半もの間戦い抜いたとら子が改めて感じたこととして、法律とは、例えるなら綺麗なお水が湧き出ている場所、と！
私たちはその綺麗な水に変な色を混ぜられたり、汚されたりしないように守らなきゃいけないのではないか、と！
これは…現代史の先生が言っていたことに通じる、と思ったので、やっぱり書くことにしました。

とら子も言っていたけれど、法律改正をどう捉えるかが微妙なところではありますが…と、まだ結論が出ていないようだったし、難しい問題ですし、法律と憲法は厳密には違うとか、憲法と民法も違うとか（共同親権は民法の話）色々とややこしいのですが、調べてみたら専門家の間でも議論がされているらしい。なので私も知識が半端でも、とら子の倍以上の年齢でこれって恥ずかし…とも思うけれど、それでも今の自分が感じることとして書いておくことにしたのでした。（追記、以上）

そんなことを色々と考えました。
共同親権法案については、各地域の弁護士会が続々と反対声明を出したりしているので、また別途まとめようと思っています。

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関連リンク
こちらの記事にはより詳しくベアテさんの半生が。
■オンライン展示「ベアテ・シロタ・ゴードン展　～日本国憲法に男女平等の思いを込めて～」 |国立女性教育会館

真ん中らへんの美しくも可愛らしい筆文字の画像が、なんと「ベアテさんの会」が作成した「富山弁で憲法二十四条」！「二十四条がでっきる前っちゃ、結婚ゆうたら顔も見たことない人と一緒にさせられ、『嫁にやった、嫁もろた』いうがが、あったり前やったがいぜ」楽しい！iPhone広島弁みたいな親しみ！

冒頭のamazonリンク、説明文に情報がまとまってる。
■＜1945年のクリスマス日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝ベアテ・シロタ・ゴードン,平岡磨紀子(訳)／amazon＞

日本の女性が幸せになるために必要なことは何か。
23歳の若さで日本国憲法GHQ草案の作成に加わり、
現在の人権条項の原型を書いた女性の自伝。
50年ものあいだ口にすることができなかった、
日本国憲法草案作成9日間の迫真ドキュメント!

現代史の先生が言っていたことを検索して見つけた、ほぼ同じ内容のお話。ベアテさんのお名前も出てきたのでリンク。
■#3 日本国憲法は「押しつけられた憲法」か？ | Meiji.net（メイジネット）明治大学

ベアテ･シロタ・ゴードンによれば、彼らは当時の最もレベルの高い新しい憲法原理を取り入れることを目指していました。それはアメリカの憲法を超えるものだったのです。その意欲は、アメリカの憲法には謳われていない社会権の保障や、家族における男女平等と個人の尊厳を掲げた24条、平和的生存権を謳った前文など、日本国憲法の随所に見ることができます