<NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第1週[全26巻]吉田恵里香/amazon>
いや!もう!はい!皆さん!ご覧になっておいでですかしら?あひるちゃんはついつい華族言葉になってしまうくらい毎朝楽しみにしておりましてよ?
「お気立てに難がおあり」(おめえ性格悪りいな!)
「殿方の股間を蹴り上げる」(殿方の股間を蹴り上げる)
声に出して読みたい涼子お嬢様語録。これについては別記事にて詳述いたします(えっ)。
あの、すいませんもう素晴らしく面白いし朝ドラ史上最高とも謳われ、本っ当に素晴らしいのです。共同親権に揺れたこの4月半ばの一週間にDV裁判を取り扱った奇跡、そして慈愛に満ちた大江殿裁き…それが!まさかの史実だったとか!実際に当時あった判例だとか!
もう。あの。ぜひ見て。できれば土曜にやってる週まとめだけじゃない方がいい…大事なセリフや場面が悉くカットになってるから!
例えばですね。第1週の金曜日にね!石田ゆり子さん演じる、主人公の母はるさんが。いつも甘いもの食べようとしてるとこを遮られる運命を背負ってる松山ケンイチ氏に啖呵を切る場面があるんですけれども。娘の寅子(ともこ。愛称とら子。我らが伊藤沙莉ちゃんん!)がマツケンから、君のように甘やかされて育ったお嬢さんは泣いて逃げ出すに決まっている、と言われているのを聞いてお黙りなさい!と割って入って。
その時のやりとりを一部書き出します。太字は週まとめでカットになっていた部分です。
えー、とら子が甘味処で偶然会ったマツケン先生に、実は母に反対されてて…と相談を持ち掛けたら「僕も女子法科に入るのは反対だ」とぽんぽん言われ、応戦しても畳みかけられ言葉に窮しているところへ「お黙んなさい!」と母登場。
母「そうやって女の可能性の芽を摘んできたのはどこの誰?男たちでしょう!」
松「そんな…私に感情的になられても」
母「自分にその責任はないと?それならそうやって無責任に娘の口を塞ごうとしないでちょうだい!」
母「行きますよ寅子」寅「えっでも」母「行きますよ!」
ここ!ここカットしちゃダメでしょ!?
だって週まとめだとこう↓なっちゃうんですよ!?
母「そうやって女の可能性の芽を摘んできたのはどこの誰?男たちでしょう!」
松「そんな…私に感情的になられても」
母「行きますよ寅子」寅「えっでも」母「行きますよ!」
言われっぱなしやん!「私に感情的になられても」て言われっぱなしになっちゃってる!キイイ!違うう!
そもそもですね、マツケンに「私に感情的になられても」って言わせた時点でおおお!!ってガッツポーズだったのよ。それ!!よく男が言うやつ!!旗色が悪くなってきたら急に女に感情的シール貼って聞く価値ないムーブかましてくるやつ。ムキー!よく言わせた!と思っていたらさらに向こうへ!
「自分にその責任はないと?それならそうやって無責任に口を塞ごうとしないでちょうだい!」
プルスウルトラああああ!!!!
ね?おわかりいただけただろうか。だから週まとめだけだと大事なエッセンスを見逃してもったいないのです。
さらにね?このやりとりの直前も大事なとこカットになってるの!母に反対されてて…僕も反対だ、えっでもやってみないと、いや無理だ、時期尚早だ。
松「それに、母親一人説得できないようじゃ話にならない」「この先戦うのは女だけじゃない、優秀な男と肩を並べて戦わなければならなくなるんだよ」
寅「あの…私の母はとても優秀ですが」
松「は?」
寅「おそらく今想像していらっしゃるよりもずっと頭が良く、記憶力も誰よりも優れています」
松「何言ってるんだ君は」
寅「ですから、母を説得できないことと、私が優秀な殿方と肩を並べられないことは、全く別問題かと」「心躍るあの場所に行けるなら、血くらいいくらでも流します」「それに私、同じ土俵にさえ立てれば殿方に負ける気はしませ…」
松「いいや負ける!君のように甘やかされて育ったお嬢さんは土俵に上がるまでもなく血を見るまでもなく、泣いて逃げ出すのがオチだろう」
母「お黙んなさい!」寅「お母さん!」松「お母さんん!?」
とこうですよ!?ノーカット版は!
それが週まとめだと、
松「母親一人説得できないようじゃ話にならない(中略)優秀な男と肩を並べて戦わなければならなくなるんだよ」
寅「心躍るあの場所に行けるなら、血くらいいくらでも流します」
いやいやいや!!待って待て待て!
これじゃあマツケン先生がナチュラルに母を優秀な男たちの下に置いたのを放置してるやん!黙して認めちゃってるやん!
私も最初セリフ回しがあまりにナチュラルすぎて、あとリアルにこういう扱いされること多すぎて気づかなかったのですが、言われてみれば失敬な!またナチュラルに女が下だと、母親なんて男性より思考力が劣るという思い込みを強化されるところだった、でもとら子が「私の母はとても優秀ですが?」と言ってくれたから!「母を説得できないからと言って、私や母を優秀な殿方とやらよりも劣っていると決めつけんなボケ」「そもそも母を説得できなかったのは母の娘を思う親心が痛いほどわかったからであり、そこには連綿と続く男女差別の構図も分かち難く横たわっているからこそであるのにも関わらず、それを理由に母親すら説得できないと劣等であるかのように決めつけるのはいかがなものか。お前さんの言う説得ってえのはなんだ相手を言い負かすことかやり込めることかああん!?」と言ってくれたから!(言ってません)(でも言って欲しいあのゲイン感溢れる声で)
おわかりいただけただろうか…(にじり寄り)「私の母はとても優秀ですが」をカットしてしまう罪深さ。
そもそもね、「血くらいいくらでも流します」「血を見るまでもなく」って、その前のマツケンの「時期尚早だ」の後の「今君が先陣を切って血を流したとしても、何の報いもないだろう」というセリフがカットされちゃってるから迷子になってしまってるんですよね。セリフの駆け引きが死んでるってやつだ。渡辺多恵子氏が『ファミリー!』で言ってた。そこも勿体無いと思う。非常に。
それからね…まだまだあるの…
このドラマ、ほんっとうに隅々まで、細部まで趣向が凝らされていて。セリフのやりとりだけでなく、セリフのない通行人とか、ちょっとした画面の端々まで油断できないの!
この甘味処の直前のシーン。
そもそもですね(また遡るんか。あひるちゃん説明下手か)、娘の法科進学を母は最初強硬に反対するんですね。お見合いをして結婚した方が確実に幸せになれるの!と。だから振袖を買いに行きましょうね、と甘味処で待ち合わせをするのですが。とら子も母が自分を思って言ってくれているのがわかるだけに、それ以上言い返せなくなってしまい、渋々…とぼとぼと…甘味処に向かうのですが…
あのね、ノーカット版では、下校時刻に賑わう女学校の階段の上から、うなだれるとら子の様子を心配そうに見つめる女性がいたでしょう?描写がさりげなさすぎて気づかないかもしれない。あれ、とら子の担任の先生なんですね。お父さんととら子が面談に行った時、法科進学の話を聞いて「お母様にご相談されては…?」「法科学校に通うとお嫁に行くのが遅れてしまいますし…」と戸惑う、当時の世間一般的な心配をする役どころとして登場したのですけども。このあたりも週まとめではカットでした。
この先生、面談の後に一人教室に佇んで、何事か物思いに耽るシーンがちらっとだけ挟まるんですよ!
さらにその数回後になって、母に気圧されて進学を断念し、とぼとぼと階段を降りるとら子の背中をじっと、物問いたげに見つめる先生として再登場…というわけなのです。
ほんの数秒のカットなんです。どちらも。
でも、これだけで、先生も教師として、いや同じ女として、迷っている、現状に疑問を抱いているのが伝わってくるじゃないですか!これでいいのか…!?と。
そこのすべてがまるっとカット!!
もったいな!!
それからね!(まだあるの!?)(あるんですよ!!もうほんとすごいの!)とぼとぼと道を歩くとら子の長回しがあるんですけど。週まとめではまるっとカットされていた。その、道ですれ違う女の子がね。とら子より一回り幼い女の子が、泣いてるんですよ。目をこしこしとこすりながら俯いて。
その子がね?とらちゃんとよく似た紺のコート着て、とらちゃんとよく似たたまご色の手編みのマフラー巻いてるの!
インナーとら子やん!!
心の中の小さなとら子が泣いてるやん!!
私、えっ!?と思って巻き戻したんです。この子いつからいた!?って。そしたら、この道に差し掛かったとら子の背中がだんだんと道を進んでいって角を曲がるあたりまでの長回しなんですけど、いろんな人とすれ違うんですね。夕暮れの道にはいろんな人が行き交っていて。その中を一人悄然と歩いていくとら子、という何気ないワンシーンなんですけど。ナレーションも一切なし。
最初、とら子の背中がまだ近いうちは、おじいちゃんが!なんてことない通行人のおじいちゃんが角から曲がってきてカメラに向かってしばらく歩いてくるもんだから、小さなとらちゃん的女の子にまるかぶりで、隠してるんですよ!視聴者の目から!それで、とら子が歩みを進めて、女の子とちょうど並ぶくらいのタイミングでふとじいちゃんカメラの画角から外れるから、まるでふいに小さなとら子がとら子のちょうど隣に出現したかのような演出に!なっていて!
なんという計算づく…!
これが!週まとめではまるっとカット!
もったいない!もったいない!もったいないオバケ出るでマジで!!
さらに。じいちゃんに隠される寸前、小さな女の子がなんで泣いてるかっていうと、男子たちにやーいやーいって何事か言われてたの。セリフどころか声も無いから内容はわからないけれど一瞬だけ、男子たちが何か女の子を囲んでからかってパーっと走り去っていくのです。ここもね…深読みすれば、「母親に叱られて泣いている女の子」にせず、「男子に泣かされて一人取り残される女の子」にしたことにも、意味を感じる。製作側の意図を感じることができる。そうじゃあないか!?(声でか)
なのでもう本当に…マジノーカット版が激しくお勧めです。録画して見れば一週間分が1時間ちょいだから、週末にまとめ見する方式でぜひ…。私はこんなにも質の高い作品を毎日見られることの喜びを噛み締めたくて毎日15分ずつ見ています。
あとね。ここは週まとめにも載っていたシーンだけれど(やっぱり前後の余韻などがあるからノーカット版がお勧めだけども)もう本当に、俳優さんがたの細やかな演技が圧巻。
あのね、母はるさんが、娘寅子の両腕を掴んで言い募る、「頭のいい女が確実に幸せになるためには、頭の悪い女のふりをするしかないの!」という…世にも悲しいセリフがありましたでしょう…。あの前から、とらちゃん一生懸命お母さんに向かってでもね、私は、と話そうとするんだけど、お母さんは「でもその弁護士になれなかったら?なれたとしても幸せになれるの!?」と、親としての不安をどんどん娘にぶつけてしまう場面ですが。至近距離でずっと母親を見つめながら、母の訴えを聞いていたとら子が、「頭のいい女が確実に幸せになるためには、頭の悪い女のふりをするしかないの!」という件のセリフを聞いた途端、みるみる目を潤ませるんですよ…
これはきっと…こんなことを娘に言わなければならない、母の人生に、母の悲しみに、潰されてしまった母の可能性に、思いを馳せて、痛烈に悲しみを感じたのだな…というとら子の思考の流れが、目を潤ませるタイミングに凝縮されているのだなと。
だからこその!「私の母はすごく優秀ですが」なんですよ!
このドラマ最初から、家庭内の主婦たち、母たちをすごく優秀で有能な人物、と描いてくれていてですね。兄の結婚の準備を通して。なのにお父さんたちばっかり嬉しそうに「いやいや準備が大変だったでしょう」「いえいえ喜ばしいことですからそんな」「いやいやいや」とか言って母たちが作った手料理で嬉しそうに飲んでるっていう。母たちはといえば、用意も準備も段取りも全部取り仕切ったのお母さんたちなのに夫たちの横では急にスン…としちゃって。私あの顔キライなの、ととら子。そして流れるスンの歌。スン…スンスン…(本当)。ちなみに「はて」の歌もあります。とら子がいろんな疑問を「はて…?」と素直に口にするたびにはて?はて?はてはて?と可愛い声のSEが鳴るのです。
そうなんですよ!(ど、どう?)
これまでの既存のドラマや物語って、お母さんは専業主婦で世間を知らない世界が狭い、私はそうなるのは嫌!もっと広い世界が見たいの!みたいなのはいっぱいあるじゃないですか。
でも、実際色々実務を取り仕切ってるの母やん、主婦やん。と言い切ったのって、初めてでは!?細田守監督『サマーウォーズ』のようにちらっと言及されることはこれまでもあったと思う。私も書いたし。実際女たちばっかりで回してるじゃんか、と。
でも、それに留まらず、なのになんで何にもできない扱いされてんの?おかしくない?私の母はとても優秀ですが?とまで言い切るとは。その女たちの悲哀だけでなく、そうさせている社会構造にまで言及するとは!(感涙)
おそらく女性向けの漫画などではこれまでにも描かれてきたのではないかと思うのです。ただそれを、NHKの朝ドラのような大勢の人が接する物語で言ってのけたことが!もう!
そうなんです!だからこそなの!
甘味処でね、マツケン先生に向かって、「私の母はとても優秀ですが?」と反駁しているところも、きっと母はるさんは立ち聞きしてたんでしょう。だからこそ、それまで娘が法律の道に進むことを断固反対していたはるさんの心を揺さぶって、「お黙りなさい!」に繋がったのだろうなと…。
そこからがもう圧巻でした!
お見合い用の振袖を誂えるはずだった呉服屋さんを素通りし、大通りをつかつかと進んでいく母はる…!慌てて追いかける娘とら子。石田ゆり子さんがこのシーンを「カルガモの親子みたい」と表現してらして!かわよ!そして向かった先は法律の専門書店。そこで六法全書を。振袖の代わりに六法全書を!娘に手渡す母!第1週、完!次週に続く!うおおおおんぬ!!見る気にさせる!見る気にさせるううううんぬ!!
ぜひ!皆さんもぜひいいい。めっっっちゃ面白いですめっちゃ面白いですめっちゃ面白いです。これはボックス買ってしまうかもしれん…最近良い作品は買って応援したいので。でももう棚が…いっぱい…でも欲しい…!
女として、本当に励まされるのです…。それに、ドラマとしても素晴らしい作り込み。ぜひ!
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関連リンク。
走っていくはるさんととら子の場面写真もあります〜。見るだけで泣ける…。
■「虎に翼」石田ゆり子が本当にいいシーンだったという名場面|シネマトゥデイ
石田ゆり子さんね、元日の能登地震直後の飛行機衝突事故で…ペットを貨物室に入れることに反対意見を書いて炎上してしまったじゃないですか。あの時の真摯な対応を見て、真面目で、しなやかな方だなあと思いました。時々インスタ拝見してたので、心配になってつい見に行ってたんですよね、数日。2回にわたって、言葉を尽くして謝罪してらして、一度コメント欄を閉じたり(それもコタツ記事のネタにされていて腹が立ったが)、でも数日後にまた開けてらしたり。すごい…私なら閉ざして逃げたい…。
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田幸和歌子さんによる、歴代朝ドラとの比較論。面白かった!端的にまとまっている見出しを抜粋しておきます。
■「虎に翼」で伊藤沙莉と石田ゆり子が突破した“朝ドラヒロイン”の呪いとは 「感情より正論で詰めるヒロイン」が生まれるまで | 文春オンライン
・朝ドラのヒロインは「お嫁さんにしたい」女性だった?
・仕事で成功する代わりに家庭や恋愛が破綻する、という呪い
・「幸せになるには、頭が悪い女のふりをするしかないの」
・感情で突っ走るのではなく、違和感を言語化して正論を語る珍しいヒロイン
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こちらはドラマの法律考証、明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長の村上一博さんによるコラム。面白い…!
■白雲なびく~遥かなる明大山脈~【番外編】「虎に翼」今週の解説 | 明治大学
■第1週「女賢しくて牛売り損なう?」振り返りコメント | 明治大学
女性差別を始めとする、憲法の定める「平等」原則は、まだまだ「画に書いた餅」であり実現にはほど遠いというのが現状です。
家庭や社会における女性の立場、生き方、幸せについても、ドラマは正面から向き合っています。(略)戦前期に当たり前だった「良妻賢母」論に対して、脚本家の吉田恵里香さんは「ハテ?」と「スンッ!」という二つのフレーズによって、根本的な疑問を投げかけています。最初に脚本を読んだとき、その見事さに唸ってしまいました。
そう!そう!本当に…!憲法の定める「平等」原則は、まだまだ「画に書いた餅」であり実現にはほど遠い現状…。そして脚本家の吉田恵里香さんによる「ハテ?」と「スンッ!」という二つのフレーズ!もうこれ発明!
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関連あひる
松山ケンイチさん大好きですよ?
■2009-03-28 『人のセックスを笑うな』のポスターを見ていたらとんでもないものを発見してしまった。どうしよう。
■2018-03-26 [真面目に] ドラマ『隣の家族は青く見える』最終回、子供がいる人生も、いない人生でも [生殖医療]
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「感情的になられても」に関する積年の恨みつらみ。
■2023-12-12 野木亜紀子x新垣結衣『獣になれない私たち』の溢れんばかりの女性たちへのエールと、夫婦を超えてゆきたくてもがくここ数年の私 [まじめに]
あなたが女性を差別しているから怒っているわけじゃない。
差別なんてしてないと言い切るあなたの傲慢さに、私は怒っている。
私は傷ついているんだと伝えようとしているのに、傷つけてない、そういうつもりじゃない、と受け取ろうとしない無責任さに怒っている。
必死で伝えようとしているのに、感情的になられると理論が通用しなくなる、冷静じゃないと話し合いなんてできないよ、と呆れたように突き放す身勝手さに怒っている。
あなたは自分の感情に理論、理性という名前をつけているだけに見える。
私が何か訴えようとするとあなたはすぐに「感情的になりたくないんだけど」とため息をつく。
私からすればあなただって十分感情的だ。
だけど、それでいいんじゃないかって言いたいの。
感情を大事にしたいの。私のも、あなたのも。
恩田陸の小説(多分「EPITAPH東京」)で「××は未婚だから、朝ドラのヒロインにはなれない」みたいな記述があって。
それ読んだ時、そうなのか、だからあんな人もこんな人も、取り上げられても精々ヒロインの関係者なんだ…と納得した覚えが。
だからこそ今季、朝ドラなのに?いいんだこの事実を突きつけて!と驚きながら、わくわく楽しんでいます。
男性は絶対「そんなつもりない」「被害妄想だ」で片付けるだろうけど。
何も受け止めずに自分の平衡感覚を無条件に信じていられるのは、女がその甘えを赦している、赦さざるを得ない生き方を有史以来強いられてきたからだと、考えた事すらなく。
面倒になって「だから女は」で切り捨ててきたからだと、少しは思い知りやがれオラァ!!
…取り乱しました。
あのダイジェスト作ってるのは、絶対男性だと確信しています。
楽しく見守っていきましょうね。
k.satさん
ああああk.satさああん!ぶるわあああん!(泣き方)
何も受け止めずに自分の平衡感覚を無条件に信じていられる…ほんとに!そうなんですよね!
何がつらいって、確かに積極的に加害を働いてやろうという男性は割合的には少数のはずでも、大部分大多数の”普通”で”良識ある”男性たちが「そんなつもりないのに」「被害妄想じゃないの?」と女性たちの声を封じるから、加害男性に都合の良い社会がずーっと続いているんですよね…。そして、普通の男性たちも無自覚にその恩恵を受けている。
また別記事にも書くかもしれませんが、朝ドラ受けの大吉さんが「嫌な男ばかり出てきてつらい」みたいなことを仰っているようで…申し訳ないけどそういうとこです…と思ってしまう。自分のその感じ方が二次加害であり、女性たちを傷つけるとは夢にも思ってないんだろうな…と。
少しは思い知りやがれオラァ!!ほんとそれ!!
ダイジェスト作ってるのは男性かあ!そう考えると納得いきますね。もしかして意図的に”毒気”を抜いてるのかなあ。
あひるさん
「虎に翼」を見ると、常に憤ってしまいます。まだまだ、対等には程遠いですね。
最近「虎に翼」を見て市川ジュンさんの漫画を読み返しています。
『この星の夜明け』も女性弁護士が誕生した昭和初期を舞台に弁護士となった主人公が活躍するのですが、朝ドラが令和になるまでできなかった女性差別問題を、すでに昭和後期~平成初期に描いているのすごいなと思いました。
女性だからとまだまだ生き方が制限されていた少女時代にこの漫画がある種、救いになっていました。
日月さん
わー、見てらっしゃるのですね!いや本当に…何に憤るかって100年前と今がそう変わってない、むしろ逆行しようとしている感すらあるところですよね。
この時代を必死で生きた先輩方に、「そう変わってない」なんて一言で言ってしまっては失礼なのですが、それにしても…だからこそ頑張らないといけない、抗わないといけないな、と思います。
市川ジュンさんも描いてらっしゃるとは!しかも「朝ドラが令和になるまでできなかった女性差別問題を、すでに昭和後期~平成初期に描いている」本当にその通りですね!少女漫画家の皆さんは、今振り返るとびっくりするほど先進的に、思想を込めて女の子たちを叱咤激励しようとしてくれていて、背筋が伸びる思いです。