<NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第12週 吉田恵里香>
はい、木曜までの感想を書き散らしましたが、金曜も!金曜も書きます!3800字。
今回は、今週だけでなく4月から6月までの、物語前半の締めくくりの回だったのですね!以下ネタバレです。ネタバレです。
木曜は梅子さああああん!でしたが、
は、は、
花江ちゃああああん!!!!
直道さんが!!!
夢に!!!
あのね、その導入が!演出が!
子供たちと一緒に横になって眠っている青い薄闇の中(今までずっと、子供たちが寝ていても起きて内職してましたもんね…)
あのね子供と一緒に眠るのね、難しいんですよね!
うちの子10歳まだ寝入る時に母ちゃんか父ちゃんに一緒にいてほしいお年頃、でもその添い寝がツラい。なぜなら眠くなるから。でも寝てる場合じゃないから。台所の片付けとか朝ご飯の用意とか翌日のゴミ出しの準備とかそういうのまだまだあるから。添い寝に時間かかると最近00時近くになっちゃって。雑事を終わらせるともう寝ないとって時間になるんだけどタスクこなしただけで寝るの嫌で!無理矢理『ダンジョン飯』読んだりしてたらとんでもない時間になりがちで…。
なので、できることなら子と一緒に寝てしまいたい。幸せだし。次第にスヤァ…ってなる子を追いかけるようにスヤァ…って。そのためにはその前に大車輪でタスク片付けないといけなくてそれはそれで忙しない…心を亡くすと書いて「忙しい」…誰が上手いことを言えと…。
そんな!あくせくするのは嫌なんですけど!花江ちゃんのやってもやっても終わらない感じもすごくわかる!
そんな花江ちゃんが、やっとみんなに「手抜きをさせてください!」と頭を下げ(頭を下げたりしなくてもええんやでー!!)、ほっと一息つけるようになって、子供たちと並んで眠っているところへ…
直道さんの「花江ちゃん」という優しい呼びかけ(違った!は、な、え、ちゃん、だった!)、だけど現実のようにはっきりした声に、暗がりの布団の中でゆっくりと幸せそうに微笑む花江ちゃん。これだけでも良かったんです。これだけでも良かったんですけど!!
目を開ける花江ちゃん。
そこに、画面外から手が差し伸べられて、布団から出てその手を取って立ち上がりつつフレームアウトする花江ちゃん…
ここまで!現実の部屋の中の布団が敷き詰められた薄暗がりで、
次の瞬間!淡い光に満ちた狭い居間の真ん中へ手を引かれ、少し輪郭が滲んでいる、娘時代の着物に戻った花江ちゃんと、ほのダサいチェックのシャツの直道さんんん!
この!演出が!
もう!もううううう!!
あの、「その夜見た夢の中で…」みたいなのでよくあるのは、子供らと並んで眠っている花江ちゃんの顔に、リバーブ多めの「花江ちゃん…」って声を被せて、次のカットはもうほんわりとした空想感溢れる明るい居間でしょ。
でもそうじゃなくて!直道さんの最初の呼びかけも普通にくっきりしてたし、目を開けても普通にまだ現実の布団の中で、そこに差し伸べられる手も普通にリアルで。暗がりの中手を取り、起き上がる動作にあわせて流れるようにシーンが切り替わって夢の中へ…。
ぐううう…(嗚咽)
しかも「わかってたわ」「わかってくれてるってわかってたよ」
ぐふううううう…(呼吸困難)
あのね。これね。もうね。いやほんとわかってたんですけど。もう無いな…ってわかってたんですけど。
直道さん、完全に亡くなっているんだな…と…。
いや!ほら言うても花江ちゃんの夢の中だから!花江ちゃんの意識の中の話だから!花江ちゃんは、もう直道さんは亡くなっている、と思っているのだな、でワンチャンギリギリ止めておくこともできなくはないけれど…。
いや、亡くなっているんだな…と…。実は生きていたパターンはもう、きっとこの物語上ないんだなと…はっきりしたというか…いやですからなさそうだなというか、もう生きてるみんなの生活、関係性、人生再構築を必死に応援しているうちに、正直もしかしたら帰ってくるかもしれないみたいな気持ちも薄れていたんですけども。
でも改めて、優しく突きつけられたというか…ふんわりとはっきりさせられたというか…。
いや、いいんです。とら子のモンパパがもう一度聴けただけで。
あの、常に怒りに満ちていたとら子のモンパパが。明るく楽しい、少し切ない思い出の歌になっていて。そこに次々と挟まれる、とら子の身近な女性たちの顔、そして歌が一瞬止まった静寂に、久しぶりの優三さん…!えびす顔ー!!
おおおおおん!!(号泣)
おろろーんろんろんろん!!(北風小僧の寒太郎の発音でどうぞ)
歌い終わったとら子の、ぐっと涙をこらえた笑顔がもう、あああああ。
そして…先週のね!はるさんを見送る回!
これも書いておきますと!
はるさん、最期の説明棒読みでわろた。いよいよ病床に伏せって、とらと花江ちゃんを枕元に呼び、財産とかいろんな管理のことなんかを告げるじゃないですか。なになにはこうしてください、これこれはここにあります、これこれはこうなっています、って。「す」に妙にアクセントというか。書かれたものを読み上げてる満載で。もうずーっとこれ言おう、いよいよとなったらこれをあの二人に伝えなければ、これとこれとあとこれについて言っておこう、ってずーっと考えてたんだろうなと。さすが用意周到な猪爪家のブレイン…。
日記は燃やしてください、恥ずかしいです、もフフってなりました。ごめんなさい私読んじゃってほんとごめんなさい!
とらと花江がね、二人で日記を燃やしながら泣き笑いしてた場面が本当に、悲しくも微笑ましくて。わかる。直言お父さんの時もそうだったけれど、悲しみに打ちひしがれるだけにしておかない、このドラマの死別の丁寧な描き方がすごく好きです。
あのね。いっこね。
昨日今日知り合った道男をね、今際の際まで気にかけ、最期にハグするのも道男か〜、ってすいません私直人と直治、ゆみちゃんたち孫は複雑な心境じゃないかなあと思ってしまいました。私だったらやだ。おばあちゃん!?私は!?ってなる。でも言えない。
そんな私だので、はるさんに泣いて縋るとら子を羨ましく思ってしまいました。うん、こういうのが「羨ましい」だな。嫌だーーー!!!って叫んでずっと一緒にいてよ!!と泣く。そんなにも感情全開、願望全開で、すごいなああー、と、羨ましいし、眩しく感じました。
やっぱりツイッターではとら子の子供みたいな振る舞いに批判的、否定的な感想も散見されたのですが、私は、こんなに素直に育ってすごいな、愛されてきたんだなあ、と好ましく思いました。
さあ!
来週からは新章スタート、なんだろうなきっと。本当に毎朝楽しみで…!9月で終わってしまうのが今から寂しい!
そして今週、『ブギウギ』からの菊地凛子さん降臨にネットが沸いてましたね!私ブギウギは見てなかったので、歓喜してる皆さんの反応で、菊地凛子さんの役どころの影響力や、朝ドラ同士がこうしてクロスオーバーすることの凄さを感じています。
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関連リンク
以前も載せたのですが、モンパパについて。
■「虎に翼」の“新しい男たち”は本当に新しいか 男を茶化す歌「モン・パパ」が男たちだけにウケる“深い理由” 河野真太郎| 文春オンライン
それにしても、男性たちが寅子のよき助力者になることには、もうひとつの落とし穴がある。つまり、一言で言えば温情的な父権主義とでもいえるものである。
拙著(『新しい声を聞くぼくたち』)で論じたが、近年の女性が活躍する(ポストフェミニズム的な)物語には「助力者」となる男性キャラクターがつきものになっている。例えば『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でフュリオサたち女性の助力に回ったマックスなど。
さて、この歌はどう解釈すべきだろうか。この歌は、大きいのはママ、小さいのはパパ、大きな声で怒鳴るのはママ、小さな声で謝るのはパパ、という感じで、従来のジェンダー的な階層秩序をひっくり返しているようにまずは見える。
(略)
寅子はこの歌を怒りながら歌う。その怒りは、自分だけではなく、志半ばで去らねばならなかった女たちがこうむった理不尽に対する怒りであり、いまだ解消されない女性の構造的排除に対する怒りだ。それにしてもこのコミカルな歌は、怒りを表現するにはいかにもふさわしくないように思えるかもしれない。シリーズもまだ先の長い現在、これは推測でしかないが、この歌はジェンダー秩序がひっくり返ったユートピアを歌っているようにも見えつつ、実のところ先述の「温情的な父権主義」の歌でもあるのではないだろうか。
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なぬう!?史実!!??
今朝の #虎に翼 で「モン・パパ」を歌い、優三を想う寅子。このシーンも史実に基づいています。… pic.twitter.com/Gq7Sc7avRr
— 本町文化堂📖(2024/3/16開店) (@BTCC_wakayama) June 28, 2024
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関連あひる
朝ドラは『カムカム』と『あまちゃん』、書いてないけど『らんまん』『おかえりモネ』を見てました。『半分、青い』も見たけど微妙だったな…
■2022-10-12 「家」というものと女たちについて、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』に寄せて [まじめに]
■2013-08-13 「あまちゃん」ダイジェスト一挙放送、昭和なものを思い出して報告しあうレポート
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とらつば
■2024-06-27 『虎に翼』13週木曜までのネタバレ感想、梅子さんの決断にいじやける!!いじやけたけど…/嫉妬とそれをぶつけることについてに [まじめに]
■2024-06-16 『虎に翼』11週の「寅子は傲慢」というネットの感想にいじやけてしまう(追記、シナリオ集読むと色々深まるらしいぞ!?)