はい、年末蔵出しがっかり申告…続きです…。
数ヶ月前のことですが、ツイッターでライターの女性が「村上春樹が嫌いって言い出せない空気がしんどい」みたいなことを呟いて、案の定袋叩きにされているのを見まして。ひいい、となりました。
なのに私もやっぱり書いておこうと。以前、好きだと書いてしまった手前、今はそうではなくなった、とわざわざ…言わなくてもいいのかもしれないけど、「村上春樹が好きな女」と思われたままではいたくないな!と思ってしまって。言い訳を。今は違うの、と書き記しておこうと。西原理恵子さんについて書いたような感じです。なんと…(なんと?)最近はあんなに好きだった新井英樹さんからも離れています…。(2500字)
クドカンについてはふてほどの時に書きました。
ハルキは…以前はセックス描写を擁護していたものですが…20代の一時期、間違いなくハルキ小説に救われたのも事実なのですが…最新作『街とその不確かな壁』をね、読んで。キモ、と思ってしまって。女性キャラクターがあまりにも…男性に都合の良いマネキンのような、しかも少女の形の。永遠の処女、みたいな。儚げで美しい。そしてそんな永遠の少女にいつまでも恋焦がれる「僕」も永遠の少年で。今回は小説の中で、文字通り「僕」がどんどん若返っていって、少年の姿になって少女の姿のままの「彼女」と並んで言葉を交わしてて…いや〜ちょっともう無理!!と。
「僕」がさ。「君」の一対の胸の膨らみのことばっかり考えてんのよ!「君」のスカートの中についてばっかり考えてんのよ!
これがさあ、愛だとか恋だとか、魂の結びつきだとか思ってるわけ?
肉欲じゃん!!
ただの性欲だろ!!
と。
もちろん僕だってそんなことを考えたいわけじゃない。でもペニスは硬く勃起している。みたいな感じなわけですよ!!
もう嫌無理ィ!!!
ってなった。
やっと?遅ない?あの擁護なんだったん?
いや〜もうほんと。あれ、前に読書家の友人が「村上春樹はおっさんの気色悪い妄想としか思えなくてムリ!!」って言ってたのあれやっとわかったよ!私も急にムリんなった!って今度言おうと思ってたんだけど言ったっけ??って今度言お(回文めいた自分メモこんなとこに書くのヤメテ)。
そこだけじゃなく、現実パートで、いつもの肉欲担当のね。現実に僕を繋ぎ止める現実的な女性がいるじゃないですかハルキ作品。ノルウェイの森の緑ちゃん的な。今回はコーヒーショップの女性ね。ここでも…おんなじなんですよ!!彼女と寝るところを想像しないわけにはいかなかった。彼女の服を脱がせ、ベッドの中で裸で抱き合うことを。
ねえ男の人ってみんなこうなん!?(急な一般化)
みんな頭の中で、ちょっと会話したり、一緒に食事したりした女性の服脱がせたり脱がせないままセックスするとこ想像してんの!?(脱がせないままのディテールみ必要?)
当たり前じゃん、って真顔で答える男性多そうで嫌すぎるんですけど!!
え、女だってしょせんイケメン目の前にしたらそうなんでしょ?とか鼻で笑われそうで嫌だしあひるちゃんの場合否定したって説得力皆無だが!あえて言わせてもらう!!
しねーよ!!!
いやもうあの、ハルキの話ですよ?
女性登場人物の…キャラクターがなさすぎて…いやコーヒーショップの女性には、わりと人間味を感じるの。今までもそうだった。緑ちゃんにもまあまあ。でもお父さんの遺影に向かってま◎こ広げて見せたりはしないな。フロイトか。男の人、性器に特別な愛着抱きすぎ。ちんこちんこ言い過ぎ小学生か。最近の小学生はYouTubeが情報源だからかちんこだけじゃなくペニスとも連呼してるそうです(我が家の小学生談)。女の子も元気いっぱいちんこま◎こペニース!って叫んでるらしいです。令和すげえな!隠し事のない明るい学級!母ちゃんめちゃくちゃ笑ってしまいました。
話が逸れたな。いやいいんです、書いてたらキリがないから。ハルキ作品のアンチレビューみたいな物量と熱量になってしまうから。うっかり気持ちがわかっっちゃった…あの人たちの…。
いやあれだフロイトだけは回収しとこう。男の人、ちんこに特別な愛着抱きすぎだし、ま◎こにも乳にも特別な執着抱きすぎだから、遺影の前でま◎こ広げて見せる女性キャラとか月光の下で乳やらおへそやらを祈りのようにそっと曝け出す女の子キャラなんかを描いちゃうんだろうなと。
そういう描写がもうきつすぎて、読んでいられなくなった。なりました!
現実の女の子はそんなに自分の身体に価値があると思ってない。少なくとも誰も見ていないところでやっても意味がない。だって見られるモノとしての価値しか与えられてないんだもの。そう、だから一人きりの時にそういうことをするキャラクターが不自然に思えるのかも。男の目線を感じる動作といいますか。そこがもうムリ!と。このほど。
いや!いいやもう何を言っても読解力がないとか曲解だとしかみなされないんだろう。大丈夫です not for me だったと言いたいだけです。鈴木祥子ねえさんも言うとった、フィッツジェラルドはもう読まないことにしたのと。まるで平安時代に戻ったみたいだったわと。いや〜〜、前は「好きな人が好きな人を嫌いだと悲しい」と書いたけど、わかりました!嫌いな気持ちがわかった!うん、not for me だったわ。
『海辺のカフカ』とか好きだったんだけどな…静謐な図書館での日々。でもあれも…15歳の少年が、性衝動をヨシヨシしてくれる大人の女性に行く先々でヨシヨシしてもらうお話で(身もふたもない説明)。いつかうちの子が読んだら面白いかもしれないな、と思ってハードカバー全部とってあったんですけどこのほど全部処分しました。あんな感じで、性衝動は女の人になんとかしてもらうもんだと誤学習されたら!!たまったもんじゃねえ!!勘弁してくれ!!
え、海外ではどうなの…?ハルキ作品海外でも人気みたいですけど、女性蔑視だとか非難されてないの…?(好きだって言ってたのに途端にアンチに振り切れるあひるちゃん)
いやだってほら日本のAVのせいで日本女性は痛いの好きだとか乱暴にされるの好きだと海外の男性から誤解されてるとかいう恐ろしい噂もあるじゃないですか。怖すぎる。ネットによくある嘘大袈裟都市伝説だと思いたい。
三谷幸喜氏はもちろんあれです、松本人志復帰についての擁護発言。私の落胆をお見せしたい…黒々としたこのどろどろを…。返せ。今までの…鎌倉殿の…その他色々な作品への感動を…いやでも鎌倉殿は女性スタッフさんたちにご意見を聞きまくったって言ってたな…そういうところも謙虚でさすがと思っていたのにこんな伏線回収に使われると誰が予想…けっこうしてる人いたな…結婚離婚再婚の話とかも…確かに考えてみれば…ぐううう。
もうこの、自分の価値観がアップデートされると、過去に好きだったものを嫌いにならざるを得ない現象に誰か名前を…蛙化現象ってこれで合ってます…??
新井英樹さんについては、また別記事に。インティマシーコーディネーターの件として書きます。
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2025/1/17追記。
その後もハルキ作品について色々こきおろしてしまいましたが、阪神淡路大震災から30年に際し、思い出したことを追記しておきます。以下のスピーチには当時随分と勇気づけられました。それから2009年のエルサレム賞スピーチにも。こういう場に、逃げずに出ていき、自分の言葉の影響力を把握した上で率直に語る春樹氏のことはまだちょっと好きかもしれません。今後のことはわからないけれど。
■2011-06-12 村上春樹 カタルーニャ国際賞受賞スピーチ、動画と原稿全文 [地震関連]
”前にも述べましたように、いかに悲惨で深刻なものであれ、我々は自然災害の被害を乗り越えていくことができます。またそれを克服することによって、人の精神がより強く、深いものになる場合もあります。我々はなんとかそれをなし遂げるでしょう。
壊れた道路や建物を再建するのは、それを専門とする人々の仕事になります。しかし損なわれた倫理や規範の再生を試みるとき、それは我々全員の仕事になります。我々は死者を悼み、災害に苦しむ人々を思いやり、彼らが受けた痛みや、負った傷を無駄にするまいという自然な気持ちから、その作業に取りかかります。それは素朴で黙々とした、忍耐を必要とする手仕事になるはずです。晴れた春の朝、ひとつの村の人々が揃って畑に出て、土地を耕し、種を蒔くように、みんなで力を合わせてその作業を進めなくてはなりません。一人ひとりがそれぞれにできるかたちで、しかし心をひとつにして。”
■2009-02-18 村上春樹のエルサレム賞スピーチメモその4、動画と口語的英文【リンク元、日本語訳追記】
「高くて硬い壁と一つの卵との間で衝突が起こったら、私はいつでも卵の味方をするだろう」
そう、どれだけ壁が正しくて、卵がどれだけ悪くても、私は卵の味方をします。他の誰かがどっちが正しくてどっちが悪いかを決めるでしょう。多分時間や歴史が決めるのでしょう。
我々は国籍や民族や宗教を超えて個々人の人間で、システムと呼ばれる高い壁に相対しているもろい卵なのです。誰の目から見ても、我々に勝ち目はありません。壁は高すぎ、強すぎ、そして冷たすぎます。もし我々に勝利の望みがあるとすれば、我々自身、そして我々の魂の独自性とかけがえのなさを信じること、そして魂が寄り集まって得られる暖かさに由来しなくてはならないと思います。
本筋の感想でなくて恐縮なのですが、私、「嫌いって言い出せない空気がしんどい」ってめちゃくちゃわかります。昔から春樹の文体が苦手で読まない人生でした。でも、あひるさんの身も蓋もない説明で、ダメすぎていっそ『海辺のカフカ』が読んでみたくなりました笑
「春樹呼び」なのは知ってる人とかではなく「同じ村上だと龍派です」と言っていた名残ですが、もうここ20年くらい読んでないのでこちらも内容的にだめかも知れません…。
あと、ちょう余談ですが、嫌いと言い出せない人にオザケンがいます。お好きでしたらごめんなさい…!
シベリアさん
うっコメントしづらい記事なのにありがとうございます!「嫌いって言い出せない空気がしんどい」、これなんにでも当てはまりますよね。マジョリティからの明るい圧。
ダメすぎていっそ読んでみたく!ありがとうございます!カフカだけじゃなく大体どれもこんなかんじです!でもこういう性描写以外に面白いところや引き込まれる描写も多いんですよね冷静に考えると。
龍か〜、龍、私も学生の頃ちらっと読んでダメだった記憶しかないです…
あらオザケン、私は特にファンというわけではなくフツウです。そっかだめなんですね?今年は何十年ぶりのライブでファンの人たちがむちゃくちゃ盛り上がっていて、楽しそうだな〜と思ってました。
告白しますが、私、村上春樹は十代に読んで、どうしても理解できないまま、二度と触れずにきまして。
ただ、過去ログであひるさんが村上春樹について語っているのは、めっちゃ楽しませてもらいました。
好きなものについて語っている人を見たり、読んだりするのが大好きで。
理解できないのが寂しいけど、あひるさん、生き生きしてて可愛いな~゜*。(*´Д`)。*°と癒されておりました。
↑軽率に萌え過ぎ。
すいませんキモくて。
でも好きなものに一度「無理!」ってなっちゃうと、アンチに振り切れるっていうのは、仕方ない事かも。
好きでいた時間が長く濃密だったなら余計に。
その時間や、好きでいた自分すら、他でもない好きなものから否定されたような気になっちゃうというか。
蛙化ってやつなのかはよく分かりませんが、好きのベクトルが大きかった分、反動もデカいというか。
なんにしろ、正直に、言葉を尽くして説明を試みる(そしてNot for meと言い切る)あひるさんの文章、やっぱり好きだなあ。
k.satさん
うわーんありがとうございますー!私も十代の時にはなんじゃこりゃキライ!って思って、でも20代でズガーンとハマって以来好きだったんですよね…でも結局50前後にして「やっぱあかんやん」と。好きでいた時間が長く濃密だったから余計に、好きでいた自分すら、他でもない好きなものから否定されたような…ほんとその通りすぎます。なんでこんなに蔑ろにされてるのに平気でいられたんだろう…と…おや?ハルキの話なのか実生活の話かわかんないくらい重なってしまってますね!?怖!怖いわ〜謎のシンクロ怖いわ〜。いや、きっと謎じゃないんですよね、人生のそういう、気づきの時期、目覚めの時期ってことなんだろな。実生活と人生の話もきっと書きますので、待っててくださいね。
うん、待ってます。
でも無理はなさらないでくださいね。
人生を見直す時期、ありますね。
いろんなものの見方やとらえ方がガラッと変わる。
つらい事も多いかもですが、必要な痛みだったと思える日がきますように。
k.satさん
ありがとうございます…!
つらい事も多いけれど、おかげさまでそれを遥かに上回るスッキリ感に支えられています。50歳を目前に、残りの人生をこのスッキリ感と共に漕ぎ出せるのは悪くないです。
龍は、なんというか10代独特といいますか、ちょっとアウトロー・アンダーグラウンドなものに惹かれる性質だったんですよね。時代もあるのかもしれません。もう一回読んでみようかな…。
オザケンは、なんというか怖くて。その怖さの正体は掴めていないのですが、ふわふわしているようですが、なんかすごい冷徹なものを感じてしまうといいますか…。でもライブの演出など、趣向を凝らしていて、ファンの皆さんは嬉しい楽しいだろうなあ!と見ています。
シベリアさん
龍はアウトロー、アングラ…そんないメージありますあります。時代、確かにありでしょうね。
オザケンへの漠然とした怖さ…なるほど…。そういえばオザケンも時代の申し子というイメージです。