出産で命を落としかけた話、今回は小ネタです。小ネタ…になってないかもわからんですけど…直に話した少数の友人たちには笑い事じゃないって言われたので…ごめんフレンズたち……
確かに克実(仮名)の言動はすっとぼけていますが、緊急手術の物々しい描写もありますので出血表現などが苦手な方は避けてくださいませ…。
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
2017年3月2日
ヘルプ産科医、高橋克実(仮名)
(前回までのあらすじ)
分娩直後に癒着胎盤でかなり出血、なんとか傷が塞がったかと思われた産後4日目に再び大出血、私の耳にもドボドボドボドボッというペットボトルを逆さにしたかのような勢いのある流血音が聞こえるほどで、医師が止血の手を緩めるたびにその音が響く。緊急手術になり狭い処置室にばたばたと看護師さんたちが駆け込んできて、ストレッチャーに担ぎ上げられ手術室まで院内を駆け抜ける。
子宮温存のため担当医師は汗だくになって必死に努力してくれたが、とうとう「すみません〇〇さん、これは取らなダメです。もう2人目とかじゃないんで」と切迫した調子で告げられる。「今躊躇していると、2人目の妊娠出産どころかこの場で命を落としてしまう」ということだ。
医師だけでも5人、助産師さんは10人くらいいただろうか。人一人の命を救うためにこれだけ多くの人がこんなにも必死になってくれるものなのだな、と感慨を抱く。
(あらすじは以上)
この辺で高橋克実が颯爽登場。
担当のT先生(働き盛りで関西弁の、普段は飄々とした男性医師)に呼ばれてヘルプで来た医師の一人が、高橋克実そっくりだったのだ。えっ克実!?と二度見するほど(んなわけないのだが)。
「38歳?癒着胎盤?体外受精?ああ~」と納得したような顔。やはり多いんだな、と思う。
そしてその後、診察台の上で身動きできない私の前で克実劇場開幕。
克実「点滴あれ入れようあれ。…んーなんだっけ(笑)」
T先生「○○?」
克実「そうそれ!いやー最近名詞が出てこなくて!ど忘れ!」(額ペシリ!)
克実「あれ、あれ持ってきてあれ。…んーなんだっけ(笑)」
助産師「○○ですか?」
克実「そうそれ!いやーほんと出てこなくて!」(額ペシリ!)
克実!
その他のスタッフたちは緊迫した様子で走り回っている物々しい雰囲気の中、緊急連絡先でご家族に連絡しますと言われ、いよいよか、というかんじに。
ところがオットに電話をかけている克実、
「ですのでまあ、すぐにどうこうってことはないんで、これたらってかんじでハハ」
ちょっと待って!?私素人だけど今たぶんけっこう死の危機に瀕していると思うの!T先生「輸血まだ!?大至急って言った!?」って声荒げてるし!必死だし!汗だくだし!
電話代わって代わってと目顔で言い、「あ、代わります?」と院内PHSを渡されるとオット「え、何どうなの?すぐ行った方がいいの?」と困惑気味。
「今すぐ来てください。今の時点で分娩時より出血してるから」と伝えるとさすがに顔色を変えるオット(電話だけどわかった)。
最初の分娩時の出血は2500ml、T先生から関西弁のイントネーションで「異常な出血のお産」と言われ(通常のお産の出血は500ml以上で「多い」と数えるとのことだった)、4日後のこの大出血では最終的に「測れただけで4000ml」、後日T先生に「身体中の血を2回入れ替えるくらいの量です」と言われた。
言われたんだけど…克実!
電話中オットと「これがひょっとしたら最後の会話になるのか…?」とお互い思って(電話だけどわかった)一瞬間ができる。しかし「子供をお願い」とか「あなた愛してるわ」とか死亡フラグも甚だしいのでやめておくことにして、「…とりあえず大至急きてください」と伝える(二回目)。克実!
後日、妊娠中の健診の頃から一番話しやすくて良くしてくれた、ベテラン助産師係長のMさんに面白すぎたのでついこの話をしたら(高橋克実に似てる人、と言ったらああ!髪がね!特にね!と額ペシリ)、大変申し訳ない!と朗らかな顔を困り顔にして謝ってくれながら、
「あの人ね~、無駄に明るいのよね」
すごく熱心な先生で、他の病院から転院してきた患者さんのことで前の病院の担当医に連絡したら、転院させた患者に興味ないといわんばかりの態度だったからって電話口で怒鳴って喧嘩になっちゃうような、熱心で良い先生なんだけど無駄に明るいのよ〜(困り顔)。
とのことでした。
克実(仮名)…。
もしもあなたのまわりに高橋克実似で無駄に明るい産科医がいらしたら、それはこの克実(仮名)かもしれません。
わたくしからは以上です。
(2017年3月2日)
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
関連あひる
うお!すっかり忘れてたけど2016年にちらっと克実(仮名)のこと書いてたわ!実はこんな背景があったのでした。
■ 2016-09-02 トリビア高橋克実の締めの一言を書き起してみた [コピペ]
ーーー
分娩記録シリーズ
■2023-04-25 スプートニクとライカ犬と私の排出された卵子 [まじめに][分娩記録1]
■2023-04-30 スプートニクと卵子の話、子供が乳幼児期の自分の追い詰められっぷりとオットへの不満と分析 [分娩記録1のつづき]