<イグアナの娘 萩尾望都/amazon>
はい、20歳頃、実母からいとこを庇った数日間の、緊迫のサイコホラーの話に皆様温かい反応をありがとうございます!
次は30歳の、ハハが保険証を持っていないことが判明して震えた話に続けようかなと思ったのですが(なぬうう)、先にその間の掌編を書こうかと。それが耳鳴りの話です。20歳の頃のいとこの話を書いていて思い出したの。
いとこがね、えーハハに、わたくしの実母にいびられまして(何だったんだよほんと…克明に書いたけど根本的には何ひとつわからない。謎は深まるばかり)、彼女が自分のお母さんと電話で話しながら泣いてしまったのを見てね、ああ彼女はお母さんの声を聞いただけで安心して涙が出るくらい、お母さんのことが好きなんだなあ、お母さんってそういう存在のはずだよなあ、と思うともなく思ったものですが。
私にとって「母親の声」といえば、まず怒鳴り声でして。
悲しい話!悲しい話ヤメテ!すいません。ほんとですよね。悲しい話。まず怒鳴り声でして。(ヤメテって言ってるのに!)という、淡々と書きますけれども、悲しくてつらい、機能不全家族の話なのでそういうのしんどい人は無理せず避けてくださいませ。
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■母の耳鳴り
あのいとこ救出劇の後、いよいよ実家での暮らしが耐え難くなり、23歳で家を出まして。実家を離れるために福利厚生のしっかりした地方転勤のある職場を選んで、晴れて初めての一人暮らし!何もかも一人。鍵を開けて入ってきて私を害する人が誰もいない。なんという平穏。楽しくてしょうがなかったそんなある日。
夜、あるいは昼、周囲が静かになってしばらくすると、それが始まるのです。
母の怒鳴り声が、耳鳴りのようにキインと響いてくる。
最初のうちは、一人暮らしを始めてからだと思っていたけれどどうも違う。そういえば実家で暮らしている頃から夜中に一人で布団に入ると鳴っていたなあ、とぼんやりと考えまして。(ああ、そんなんだから子供の頃から眠りが浅かったのかも)
実家を出るまで気づかなかったのは、実家では耳鳴りだけじゃなく本物の母の怒鳴り声も常に響き渡っていたからだな、と。具体的に、フィジカルに鼓膜を振動させていた。常に。
で、特に何をするでもなくじっと横たわっていると、そのうち引いていくのです。潮のように。あまりにも日常だったから、あーまた始まったなー、と淡々と思い、しばし待つとそのうち抜けていく。そんなものでした。
ある日、あれ、今日久しぶりに聴こえるな、ということは最近止んでたんだな、と気づいて。だんだん間隔があいていって、ついには聴こえなくなりました。何年かかったかなあ。覚えていないけれど、少なくとも23歳で実家を出てから数年は続いたと思います。タイトルを「母の耳鳴り」にしたけれど、正確には母の怒鳴り声の耳鳴り、ですね。でも私にとって母といえば怒鳴り声なので、母の、の中に怒鳴り声もあらかじめ内包されているのでした。悲しいことに。
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と、こういう話も、もちろん夫にしてあったんですけどねえ。悲しいことに。
なんか、こういう過去のことを改めて書いていると、夫はこういう異常な家庭に育った私についていけなくなってもっと他の健全な女性に救いを求めたんじゃないかという安易なストーリーに引っ張られそうになるので、不倫相手の女性に会ってきて良かったです。私と似たような家庭に育った上にその自覚がまったくない、健全でもなければ年相応の分別もない奇妙な人だと瞬時に伝わってきたから。そうでないと子供二人も産みながら16年も不倫続けられないからある意味当然。ほんとに!まともな人が出てこない!いや大丈夫、この20歳ごろの時期は確かにほぼ一人で闘ってきたけれど、今回の夫16年不倫にはもう、それはもう頼もしい援軍がわんさか押し寄せるのでご期待ください。人から人へ、樹の枝が広がるように。
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