ハイ突然ですが、『大神ノススメ』番外編です。
あのですね、雪国の面に入ったら、出てきた妖怪がなんと「かまくら」。
これ妖怪だったのかー!?
てか中にダレか入ってるー!Σ(゚Д゚||;)コワ!!
なぜコワイかというと、『うる星やつら』のあの話。
そう、「カマクラ伝説」です。
皆さんは、高橋留美子といえば何ですか?
私はですね、実を申しますと高橋留美子といえば….
ホラーです。
キャーッ(゚Д゚||;)
それはこちらの印象が強いから。
高橋留美子傑作短編集 〈保存版〉るーみっくわーるど (2)(うちにはこれの昔の版がありますよん。黄色い表紙の)
『うる星やつら』や『めぞん一刻』がまだ巻数を重ねる前に、これを読んだのです。小学校の頃だなあ。
ここに収録されているお話。
・『闇をかけるまなざし』(詩的で美しく哀しい、夏のお話)
・『笑う標的』(古風で妖しい雰囲気の女性がコワイ話)
これがめっぽうこわい。(゚Д゚||;)
「笑いと恐怖は紙一重」とは中島らもも言うてはりましたが、高橋留美子のギャグのテンポと空気感、表情やポーズで笑かすあのセンスがホラーに向けられるとですね。もうこええこええ。
そんなわけで一例をご紹介しましょう。
* * *「カマクラ伝説」* * *
(収録本:単行本30巻/文庫16巻/ワイド版14巻/アニメ無)
…..例によって例のごとく、いつもの面々でスキーに来たところ。テンちゃんが雪山ではぐれ、迷子になってしまいます。
「くっそ~幼児を残してスイスイすべっていきよって…」といつもの悪態をつきつつも心細くなってくるテンちゃん。
そこへ…..
「坊や」
「坊や」
声のするほうを見ると、
(←左のコマの顔がすでにコワイです!)
テンちゃんは青年に呼ばれてかまくらの中に入り、暖を取らせてもらいます。
そして「おっちゃん、こんなとこでなにしてたんや?」と何気なく聞くと、
「うん、私はね
ずっと待ってたのさ」
青年の話はこうです。
かれこれ80年ほど前(え?)、雪に誘われてこの辺りを散策していたところかまくらの中から女性に呼ばれ(着物に毛皮の上着をまとい、まるで時代劇のような身なりの女性です…..)、火鉢に当たらせてもらいつつもてなしを受けました。
そうしているうちに、その女性はついとカマクラの外に….
(←この「つい」がコワイ!!)
「書生さんのおかげでようやく出られました。ごきげんよう」
そう言い残して雪の中を去っていこうとする女性を、追いかけようと思わず手を伸ばす青年。
ところが…..
(←この手がっ!目の下のタレ線がもうコワイっ!ぜひクリック拡大してみて下さいっ)
思わず笑顔をなくし「………..」と聞き入るテンちゃんの表情を、ロウソクがバチ….バチバチ…..と音を立てながら照らします。
そこへ言葉を続ける青年の顔!
コワイコワイコワイコワイ!!!!?(@口@||;)(||;@口@)
目!目の中にまで謎の線が入ってます!
(拡大してみてネ★)
あるかなきかの鼻がコワイ!
線が太すぎる口がコワイ!
いやあもう。怖いの怖くないのってアナタ、
コワイよー!!(||;´QДQ`)
物語はこのあと、「代わりの誰かがこないと外に出られない」カマクラの中に1人取り残されてしまったテンちゃんのところへ、あたるくんがやってきたり面堂くんたちもやってきたりでいつものドタバタに戻るわけですが、いやはやこれは怖い。カマクラ伝説。
いかがですか皆さん。高橋留美子、怖いでしょう?
うる星には他にもホラー・オカルト仕立ての話はたくさんありますが、群を抜いて怖いのはこれだと思います。
ちなみにこの話の元になったような、かまくらにまつわるこういう伝説・伝承があるのかどうかちょっと検索してみたのですがわかりませんでした(ご存知のかたいらしたらぜひ教えて頂きたいです)。やはり高橋留美子の完全オリジナルなのでしょうか。いやすごいな。怖いな。
**あひるうる星ネタ**
*1* *2*
■2024-03-03 うる星やつら令和2期OP『ロックオン』には48歳更年期で倦怠期の私も撃ち抜かれたよ(夫婦を超えたくてもがく私)
こんばんは!ゆばばです。有難うございです・・・本当は怖いうる星やつらのアップ楽しみにしてました。そう言えば不気味さ漂うストーリー展開があちこちに出てますよね。るーみっくわーるどなども絵がグロテスクでは無い分夜ひとりでも読めますが・・・後から背筋がゾクっとするようなお話が多い(冷)人魚のお肉を食べて死ねなかったりと・・・最近でこそ漫画コミックはあまり読まないですがひよっこだった当時はリアルタイムでサンデー発売日を楽しみにしてたので懐かしいでした。
>ゆばばさん
こちらこそリクエストありがとうございました!細かいところ(trailer)まで読んで下さってるかたがいるのだなあ、ととっても励みになりました。
人魚シリーズも大好きでしたよ~。人生初の”本屋さんで予約して買った本”が『人魚の森』です。まだ持ってます。
リアルタイムでサンデーですか!あの頃のサンデーはほんと凄まじいクオリティの高さでしたよね。うちではサンデー自体は買っていなかったのですが、当時のサンデーコミックスはやたらありました。小山ゆう・里見桂・村上もとか・ゆうきまさみ・尾瀬あきら、などなどなど。
こんにちは、大神公式から彷徨ってきました。
高橋さんの漫画は結構好きなんですが大量すぎて手が出せず、手持ちがアリマセン(苦笑)。これとか見たことないです~
きたのがテンちゃんでよかったなTT
コワ・・
ちなみに、かまくらじゃないですが、代わりを入れないと出れない、っていうのは西洋系で「鬼の三本の髪の毛」(だったっけ?出典はグリムかな・・ウロオボエ)という話があります。
これは、ボートから降りられずずっと船の上に居る渡し守のひとがいて、代わりがいないと降りられない。
用があって通った主人公は、帰り際に送ってもらってから「次にきた奴にオールを押し付けちゃえばいいんだよ」と教えておきます。
主人公はワガママな領主だか王だかに難題を申し付けられてたんですが、彼が貴重品を持ち帰ると、まだほしいようなのでうまくノセられて自分で取りにいこうとして、川にくると・・ てなかんじで。
↑の王様はオロカモノなので永久に漕いでそうですが(自業自得・・)。
たしかこの元ネタをパロディにした話で、「渡し守が、かつて騙されて代わった吟遊詩人。もう諦めてるけど竪琴を弾けないのだけが苦しい、と聞き、通りかかった旅人が向こうに渡る間だけという約束で漕ぎ手を代わると歌いだす。向こう岸につくと約束どおり吟遊詩人はオールを戻してくれというが、素晴らしい歌にうたれた旅人は、あんたはもう十分だから自分が代わると言い出す。そんなことはさせられない、一時はよくても自分と同じ思いをすることになる、と双方でオールを譲れと言い合っていると。実は100回代わると呪い完了で舟が壊れる」というのがあって、すごく好きな話だったりします。
長々と失礼;ノ
>りうさん
はじめまして~、大神Blogからきて下さったのですね!
そして身代わり伝説バナシをありがとうございます、嬉しいです~!ほほう、面白い…。しかも、こういう呪い系の話でこんないい話って初めて聞いた気がします。確かに素敵なオチですね。
高橋留美子は、短編なら数冊だけだしかなり質高いですよ。だらっと続く最近の長編よりはよほどおすすめです。