『海に眠るダイヤモンド』最終回に寄せる随筆(ネタバレあり)


<海に眠るダイヤモンド/楽天>


んんん、素晴らしかったですね…!!圧巻!圧巻の!2時間スペシャル…2時間も情緒もたんと思ってたけどもたんかった(もたんかったんか)。

お子が寝静まってから起き出して、放送直後に録画しておいた分を見ちゃいました。どうせ最近夜眠れないし。でもずっとうちの子と二人で見てきました。お夕飯の時に毎週楽しみに。うちの子の反応や感想が楽しみ。

でね。今回感想というよりもはや随筆で。ドラマの内容にはほとんど触れてません。自分の話ばっかりしてます。それもまだぼかした状態で。あまりにもドラマが…素晴らしすぎて…。今回の記事ほぼポエムです。すいません情緒がもたなくて。

文末の方でドラマのネタバレも書いてます。4500字。

率直に言って、朝子が羨ましいです。二人の男性から深く深く愛され、大切にされて。

私はとうとう、誰からも愛されなかったな、と思っているから。49年間。

私が、これがそうかな、と25年に渡り思っていたものは、幻だったから。

でも、朝子のように、いづみさんのように、ずっと信じ続けてきたわけじゃなく、これがそうなのかな?本当に?おかしいな…これそうじゃないんじゃないかな?と、25年間訝しんできたから、本物じゃなかったと知った時も、やっぱり!という答え合わせ感の方が先に立って、崩れずにいられた。

いづみさんの中にずっと眠っていた鉄平への気持ちのような、一途な、凝縮されたものは、私の中にもなかったんだと思う。ただ、ないなりに誠意を尽くしてきたつもり。だから、それが無駄だったと知った時に、怒りを爆発させて、鮮やかにかなぐり捨てることができたんだと思う。私が憧れた槍使いの女戦士のように、ひらめくような速さで。

25歳の私と向き合った時、たとえば75歳の私は、あんなふうに笑えるかな。きばって生きたわよ?って。
50歳の私は胸を張って言える。私は今の私が好きだよ、かっこよかったよ?って。
50歳の私に、75歳の私はなんて言うだろう。25歳からの25年間よりも、50歳からの25年の方がずっとずっとラクで、楽しかったよ、と、きっと笑って言えると思う。

海に眠るダイヤモンドが始まった10月は、私の人生の転換期で。9月半ばに突然、本当にきしむ音を立てて舞台が回り始めて、10月はまだごとごとと音を立てている真っ最中で。

12月までのこの3ヶ月の間に、間違いなく人生で一番底まで落ち込んだり、危うかったり、途方に暮れたりもしたけれど、たくさんの人の手で、声で、知識で、助け起こされ導かれて、やっと落ち着いてきたところで。文字通り激動の、2024年だった。

でも、9月までの私は、まだ幸せな夢を見ていた。ガラス工芸もやったし、事が起こる前日なんて、子供の中学受験のために学園祭をはしごして、家族でお祭りに参加して、幸せな夢を見て。ここに子供が通うとしたら、どんな生活になるんだろう。その時私はどんな生活をしてるだろう。私たちは。江戸切子体験も家族で行ったの。子供とは別に私も自分のグラスを作って、私の方が汗だくになって必死にガラスを削って模様を描いた。旅行もして、船に乗って、島に行って、遺跡を見て、生い茂る緑の中を歩いて、そういうのも全部家族で行ったの。よちよち歩きの小さな子の手を引いて、生まれたての子を抱いて、お腹に宿って、祝福されて、ドラマに重なるたくさんの思い出が泡のように湧いてきて、そのすべてを粉々に砕くようなことをされて、だけどそれも、石炭か。すでに死んでいる、はじめから死んでいた思い出。死骸だけれど、目を背けたくなるような腐敗は超越して、長い年月を経て、凝縮されて、黒く輝く、燃料になる。私を突き動かす、炎にくべる、燃える石に。意志に。

なんて、勇気づけられる物語だろう。そう思いました。

それから、冒頭にとうとう誰からも愛されなかったな、と書いたけれど、それは男からであって。あくまで婚姻関係の話でしかなく。女たちからは、愛されたな!愛されてる!と、強く実感するこの3ヶ月でした。頼もしく温かく力強く、懐深い友人たちから、有形無形のエールを、愛を、次々に差し伸べられる日々でした。ありがとう。

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ドラマの感想も。ネタバレありです。思いつくままに。

いやもう本当に…ラストの登場人物が次々と入れ替わり立ち替わり現れるところ…タイタニックか!って思ったら斎藤工さんも台本読んで「野木亜紀子版タイタニック」と思ったらしいですね。みんないてみんな幸せで…リナと百合子と朝子がね!3人で笑い合って…情緒!情緒がもたない!!
お母さんが最後リナと孫と一緒に暮らせてたのよかった…あのまま一人じゃあんまりだと思ってた。鉄平は…鉄平はしかしあんな理由で、あんな人生で…正直ちょっとつらい。あれはきつい。途中でどうにかならなかったのか。そういえば「小鉄」って名前が鉄平の「鉄」ですね…!?これまた野木脚本あるあるのメタファーなの…?なんの…?小鉄はもう一人の鉄平的な…何かのスイッチが違っていれば鉄平だって小鉄のようになっていた的な…?いや似ても似つかなくない?考え過ぎ?そもそも小鉄が嫌なやつすぎてぶっ殺されてよかったんちゃうとしか思えんくて。でもそのせいで進平兄ちゃんは責任を取る形で物語から退場し、リナも業を背負い、さらには鉄平がそれをすべて引き受ける形で…え、どうして…?わかんない鉄平なんか悪いことしましたっけ?それともなんにも悪いことしてなくてもある日ほんの少し運命が狂ってああいうことになることもある、って寓話?いやつらい。しんどい。ん?私の話してる?なんにも悪いことしてないとまでは言わないけどこんな16年越しに酷い目に遭わされるほど酷い行い何かしましたっけ神様。なんの罰でこうなったの?いやわかってますよなんの罰でもないのに酷い目に遭う人はいるし酷い目に遭う時はあるよね。たまたま自分だっただけで。知ってる。でもちょっとたまたまが重なりすぎじゃない?私の人生。ん?いつのまに私の話に?

でも、そうですね、そんな私の人生についてここにつまびらかにすることで、見も知らない、血縁もない、誰かを勇気づけるかもしれない。あわよくば誰かの人生を突き動かすきっかけにも。玲央のように。いや、そこまで大それたことは。ほんの少しだけで。大袈裟でなく、ささやかでいい。ちょっとだけでも、熱く、おおお…!って。ホッカイロくらいの燃料になってくれたら。

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一晩寝かせてもうちょっとネタバレ感想。
あの!小鉄兄のね、柳行李。押し入れにしまってある箱みたいなあれね、誠が入ってると思わせて入ってないのでは…?脅しでは…?と思わせてからの!アイスピック刺してから一拍の不穏かつリアルな間をあけて響き渡る赤子の悲鳴と泣き声!!滴る血!!いやああああ!!ってC美に言ったら。

C美「これもあれですかね、子ども自身が怖い思い痛い思いをしない、それを映像にしない配慮」

ああああ!?インティマシーコーディネーター案件!なるほどそうねええって大人へも配慮してえええ!?視聴者と鉄平への衝撃むしろ増してたからああ配慮おおいやわかるけどおおお!!!

その前のさ、小児科の待合室でリナが鉄平に打ち明けてるシーンで誠ちゃんが…誠ちゃんがはむはむきょろきょろ赤子にしかできない動きしてて、してて…かわいいいいんあああああ。あの、ツイッターでもちらほら言われてるんだけどお父さんが気にしていた学の無さがね…進平兄ちゃんは学がなくて、大丈夫何とかすると言うだけで結局リナと誠を窮地に立たせてしまい、学のある鉄平が現状のまずさを即座に認識して必要な行動を取り(栄子さんの戸籍をリナが使う)…進平兄ちゃんは気づかなかったのかもしれないけど家族に相談していればみんなで知恵を出し合えたのに…と言ったら、

C美「誠をちゃんと『リナの子ども』として扱いたかったんかな、とか。リナを守るためには栄子さんのふりをしてもらうのがいいけど、誠を『栄子さんの子』とすることに抵抗があったのかも知れないな、と」

あああ!?そ、そうかもしれないわね…!?進兄だって気づいてはいたけれど、それは最後の最後の手段と思って…避けたかったのかもしれない…リナのためでもあり、栄子さんへの思いもあり…あああああ!!ああああああ!!!

C美「今気づいたけど、そんな偽りを抱えた夫婦の息子が『誠』」

誠おおおお!!!

C美「こん子は優しか子になるよ〜(さだ)」

さだ和尚おおおお!!!
あとね…皆さん仰ってるけど賢将の活躍がすごすぎて。あと百合子への愛も深すぎて。みんなそれぞれに秘密を抱えてますよね。しかも相手を思うが故に…

人が去った端島に緑が生い茂っていた光景も涙なしに見られませんでした。しかもあれ、本物の端島ですよね!?凄すぎる…あの生命力、荘厳な実際の景色から、現実の歴史を巻き戻すように紐解きながら、当時暮らしていた人たちの悲喜交々を活き活きと描き、日本の発展を支えた労働者、それを支えた家族を讃え、単にセンチな前時代の遺物扱いすることもなく、黒字で幕を下ろした点もしっかりと伝え、明るく全国に散ってゆく島民たち…

船の上の朝子の表情も明るくて。波頭の彼方へぐんぐん遠ざかる端島の情景が、まるでラピュタのラストシーンのようでした。

素晴らしかった…本当に素晴らしいドラマでした…

はっ!!
玲央って…ディカプリオのレオ!!??
ああああああ!!!

あとね、ツイッターで鉄平が花瓶を置いた最上階の部屋は…家族になると入居できる部屋では…と…朝子と住むはずだった…一番眺めの良い部屋…

うちの子が前半だけ見た状態で「鉄平あのまま海で遭難とか、殺されちゃったりで死んじゃうかと思ってたからそういう描写がなくて良かった」そうね、そうね。

TR「じゃ鉄平生きてるのかな…いづみさんの会社に新入社員として入ってきたりして」

そっそれは素敵ね!?採用(号泣)鉄平内定という意味でも、その脚本でぜひという意味でも、採用(号泣)

コスモスの花畑も…そこにKing Gnuの♪ささやかな花でいいといい…泣きすぎて前が見えなかった。いづみさんは、超人めいたパワフルな女性ではなく、決して強いわけじゃなく、揺れ惑っていて、傷つき怯えていて、それでも進んでいく、本当に魅力的で素敵なキャラクターでした。宮本信子さんと杉咲花ちゃんが向かい合って笑って。あの青、南の海のような緑がかった青、私も大好きな色です。

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この、鉄平が作った江戸切子、中宮涼子さんという江戸切子作家さんの作品だそうです!素敵…


花瓶!!
ちゃんと持ってる!!
みんながプロポーズ見守ってる!!いやあもう神木隆之介くんと杉咲花ちゃんのカップルが本当に…可愛すぎて…このドラマ、どのカップルもお似合いすぎて推したすぎた。杉咲花ちゃんアンメットも凄かったけど今回も凄かった…あと土屋太鳳ちゃんの正解が導き出された、てツイッターで言われてたけどほんとそれ。気位が高くて情に厚い…すごくぴったりだった。

そうだ!あとサワダージ!酒向芳さん。サウダージは郷愁、憧憬、思慕、切なさ、愛などの意味を持つポルトガル語…


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