小池一夫先生死去

2006年にも劇画塾をネタにしたりしましたが、子供の頃うちには父が買い集めていた小池一夫先生原作の漫画がたくさんありました。
以下に追悼のため、思い出せる限り並べておきます。

一番覚えているのは『ラブZ(ゼット)』



原作・小池一夫、作画・やまさき拓味のコンビで、1982年~1984年、黄金期の「週間少年サンデー」(小学館)で連載された、新境地を拓く意欲作。主人公・早見公平は、同級生の小楯薫子(ル子)のことを、小学校からずっと想い続けていた。遂にある日、募る気持ちを抑えきれず、自転車を疾走させながら「好きだーッ!! ル子ッ」と叫ぶ! しかしその瞬間、トラックに激突し、不慮の死を遂げてしまう――! 果たして、公平の片想いの行方は? 意表をつく展開で、「幽遊白書」に先駆けること8年、死者と生者の恋愛を描く異色ラブ・コメディ、感動の名作。


そうそう「ル子」ちゃん。途中で髪型を変える珍しいヒロインでした。何らかの目的で別人になりすますためにばっさりとベリーショートにするんですが、しかしそれを見た実の父親まで「はじめましてル子のお友達ですかな?」とか言っててそりゃないだろと子供心に思ったものです。いくらなんでも髪切ったくらいで父親まで別人だと思い込むなんて。
そんな昭和の漫画の雑っぽさもありましたが、最後の方は怒涛の熱すぎる展開だったような覚えが。それから、ファンの人から届いたという詩に作者さんが(今思えばこれこそ小池先生?)いたく感激して、物語にもキーになる歌として登場させたんですよね。そんな模様もエッセイ風に漫画に挿入されていて、連載中の漫画にファンレターがこんなにも影響を及ぼすものなんだなーと子供心に印象に残っています。

続いて『ズウ~青春動物園』



朝の連続ドラマか昼メロか!? と思いきや、裏には壮大な陰謀ありの怒涛の展開! 『男組』よりも熱く、『愛と誠』よりも感動的なコテコテ純愛青春大河ド ラマ! 原作・小池一夫、作画・やまさき拓味。1978年11月~1981年10月まで「週刊少年サンデー」(小学館)にて連載


うんうん、そんなんだった気がする。
当時で言う孤児院的な施設でね、子供の頃から熱愛なカップルがいるんですよね。男の子の方が「しし兄ちゃん」って呼ばれてて、「しし」に傍点がついてるんです。毎回。なんかそれが妙に印象に残っているのですが今思えばすごく小池先生です。そして顔が濃かったです。登場人物みんな熱くて濃いい。
子供の頃から一緒だった2人がたくましい若者と美しい少女に育って、満を辞して入れ入れするシーンが神々しかった覚えがあります。その時もやっぱり傍点付きで「しし兄ちゃん!」って呼んでた。もしかして「しし兄ちゃんッ!」だったのかも。

あと『ノストラダムス・愛伝説』

ノストラダムス・愛伝説1
やまさき 拓味
グループ・ゼロ
2017-07-04



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そうそうそう!あったあった!この絵この絵!
小学生の頃に読んでいたからなんというか、ここに書かれていることが本当だとも予言だとも史実だともよくわかんないまま読んでいた気がする。
昭和後期の子供たちが受けたノストラダムスの洗礼ですが、私はなんとなく、「ノストラダムス」という1人の人の人生が描かれたこの漫画を読んでいたおかげなのかどうなのか、あんまり「ノストラダムス」という人物を不気味あるいは神がかった預言者、とは捉えていなくて、こう、『マンガ世界の歴史』とかに出てくる歴史上の人物の1人として認識していたような気がする。いや誰だってそうだったのか??

あとはなんといっても、『弐十手物語』です。

弐十手物語1 狼の睾丸
神江 里見
グループ・ゼロ
2013-12-20



色々間違ってる。
小学生の頃からお父さんの本棚にあった『ゴルゴ13』と『弐十手物語』読んでた。
色々間違ってる。
「鶴ーーーーッッッ!!!」とか読んでた。
色々間違ってる。
なんというか、裏『必殺仕事人』的な感じの、エログロ時代劇でした。小学生に読ましちゃいけないやつ。

でも何と言うか、こうして並べてみるとですね、デッサン力の高さが。昭和全盛期の漫画家さんたちの画力の高さすごい。
小池一夫先生の審美眼の確かさが伺えますね。
思えば小学生の頃からデッサンの整った絵が好きだったのですが、もしかしたら小池一夫先生のおかげなのかもしれません。
以上、世代的にもっとど真ん中で楽しんだ方々に比べたら語れることなんて何もないのですが、子供の頃に触れて印象に残っているものを挙げてみました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

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関連あひる
2010-09-07 蚊と小池一夫
2006-06-04 街で見かけた小池一夫の劇画塾ポスター

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関連リンク
劇画界の巨星また…小池一夫さん逝く 「子連れ狼」原作者 (1/2ページ) – 芸能社会 – SANSPO.COM(サンスポ)

長期入院中だったが、17日に人気アニメ「ルパン三世」の原作者で漫画家のモンキー・パンチさんの死去が判明した際に、追悼のコメントをツイッターに投稿したばかりだった。


後進の育成にも注力し77年に「小池一夫劇画村塾」を設立。「うる星やつら」の高橋留美子さん(61)や「北斗の拳」の原哲夫さん(57)らを輩出した。大阪芸大教授も務め、漫画誌を創刊した。


「マジンガーZ」や「デンジマン」の歌も……小池一夫のもうひとつの偉業 | ニコニコニュース

 先に『巨人の星』(’66年)や『タイガーマスク』(’68年)等で世を席巻した梶原一騎ともども“漫画(劇画)原作者”の知名度を上げ、広く世間に浸透させた。“一夫”の筆名は1976年からでそれまでは“一雄”名義で筆を執っていた。後進の育成にも力を注ぎ、幕末の思想活動家・吉田松陰の私塾・松下村塾にちなんだ“劇画村塾”を開設。高橋留美子、原哲夫、堀井雄二、さくまあきら、山本直樹らの才能を輩出した。その業績の多くは先の『子連れ狼』を筆頭に『御用牙』(’70年)、『修羅雪姫』(’72年)、『弐十手物語』(’78年)など主にアナーキズム溢れる時代劇作品に集約されるが、そのいずれもが幾度も映画やテレビドラマ化され、映画監督のクエンティン・タランティーノやジョン・ウーなどに世代・国境を超えて愛され続けている。


小池一夫のもう一つの“顔”

 そんな原作者・小池一夫には作詞家の顔もあった。大ヒットしたテレビ時代劇『子連れ狼』の主題歌も小池の作詞だ(小池一雄名義)。とりわけ吉田正・作曲、橋幸夫と若草児童合唱団の歌唱による第3部の主題歌「子連れ狼」は大ヒットした。なかでも「しとしとぴっちゃん」というフレーズは当時の流行語にもなったが、そぼ降る雨を擬音と効果音の口述で表現したそのフレーズは、同時に今日も父親の生還を信じて待つ幼い大五郎の心情をも表現しており、作家・小池一夫(雄)の底力を世に知らしめた。なお、歌詞の2番は「ひょうひょうしゅるる」で3番は「ぱきぱきぴきんこ」。それぞれ風と霜(氷)を表現していた。

 意外に知られていないのが『マジンガーZ』や『電子戦隊デンジマン』(’80年)などのアニメ・特撮の主題歌だ。そんなに数はないが、どれも今なお歌い継がれている名曲ばかり。『マジンガーZ』では副主題歌「ぼくらのマジンガーZ」(歌:水木一郎、コロムビアゆりかご会)と挿入歌「Zのテーマ」(歌:水木一郎)を作詞した。『マジンガーZ』は’72年に放送され、日本中に一大ロボットアニメーション・ブームを巻き起こした金字塔的作品。“超合金”という名の亜鉛合金製人形や全長1メートルはあろうビッグサイズの玩具「ジャンボマシンダー」は飛ぶように売れた。2018年には新作長編アニメーション映画も劇場公開され、その健在ぶりを示していた。そんな歴史的大ヒットアニメ作品の副主題歌、挿入歌の歌詞も小池一夫の筆によるものだったのだ。



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