クドカン『季節のない街』2話の毒母、ゲス兄描写が容赦なくて素晴らしかった [まじめに][機能不全家庭]

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はい。さっき9000字もかけてクドカンふてほど(不適切にもほどがある)にダメ出ししまくったのに。すいません。クドカン大好きなんです…。でね、今やってる『季節のない街』は、2話まで見た今のところ、あまり引っかからずに見ることができています。2話の毒母、ゲス兄回は良かった。良くない。胸糞悪くて良かった。良くない。(『いだてん』か。違う!そう!違う!て)

えっとですね。しばらく前のなんですけど、残念だったドラマの話をまたします…仲野太賀くん繋がりで思い出したの。『コントが始まる』です。脚本は金子茂樹さん。菅田将暉くんと神木隆之介くんに有村架純ちゃんというすんげえキャスティングで。とっても面白かったの大好きだったの途中まで。

そうですよ、神木隆之介くんの毒母回ですよ。

(以下、『季節のない街』2話までと、『コントが始まる』のネタバレが含まれます)

神木くん演じる瞬ちゃんがね、実母と絶縁してて。最低のクソ女なんだよ!って言ってて。7〜8年会ってないって言うんですよ。彼ら28歳なのでまあまあな長期間。でもね、病気で余命わずかと病院から電話かかってきて。菅田くんと太賀くんが、いやお前行けよと。いつまで意地張ってんだよ!と。神木くん、最初は「なんで俺の気持ちわかってくんないの!?」と絶叫拒絶するんだけど結局行って、なんか、涙の和解。オカーキンと涙の和解。それで結局オカーキンはすぐ亡くなるんだけど、神木くんはスッキリした顔をしててハピエン。

いや…………(声低)(いやラジオじゃないから。聴こえないから)
いいよ!?それでもさ!(声でか)ハピエンいいよ!?神っきゅんが幸せならそれでさ!

でもさ…あんなに罵ってた母親に対するわだかまりがね…?死を目前にしたら思わず駆けつけてしまって、涙ながらに本音で話し合えば融解する程度のクッ、ククククク…(何?この音)(寄生獣?)そうです田宮良子の意図せず込み上げてきた笑いです(ほんとに寄生獣だった)。

肉親と縁を切る辛さを、重さを、舐めるなよど畜生。と思うんですよ。
こういう安易なフィクション作るから…現実で絶縁してる人間に「そんな親不孝なことしてちゃいけない」とかいう善意の忠告してくれる人が現れるんですよ。

ドラマの中で唯一救いだったのは、菅田くんも太賀くんも、綺麗事や正論並べて神木くんを諭した感じではなかったの。うん、今久しぶりに録画データを見返してみたのですが、あくまで自分たちが、お前の母ちゃんと会った時、お前にいつか会わせるって約束しちゃったんだよ、って言うんですよね。そこが良かった。と思った。綺麗事や正論だって時には有効だけれども。この場合はね、やはり嫌な思いをさせられてきた子供の気持ちを蔑ろにしてしまうから。

でも二人ともすごく真剣でね、菅田くんと太賀くん。ちょっと、困惑してるんですよね。まず親の死に目というだけでピンと来なさすぎる。若いから。でもこれすげえ一大事じゃね?とはわかる。なのに、そんな一大事に駆けつけたくないと言う瞬ちゃんの気持ちはわからない。でもこのままにしてちゃだめだろきっと…というのはわかる。だから、なんとかしようとしている必死な感じが。短い場面の中ですごく出ていて。

あとね、お母さんが亡くなった後の、車の中での喪主とか全然想像できねえわ、とか、今日はもう疲れただろゆっくり休めよ、というちょっとしたやりとりとか、3人でファミレス行ってコーヒー4つ頼むとことか、いきなり塩頼んで除霊する気かよ!とかわちゃわちゃしてたのも良かった。人が亡くなった時って悲しいだけじゃなく、こんな感じになるよねと。

たださ…あれはさ…8年も絶縁してて最低の鬼女、とかじゃなしに…ちょっと喧嘩してたくらいの温度感では。最終的にああなるようでは、それまでの神木くんがただ子供じみたワガママで意地張ってただけになっちゃうじゃん。枕元に駆けつけた時もさ、神木くん「早すぎるでしょ」とか言うし。いやあー、親が死ぬことを早すぎると泣ける幸せ。当たり前だと思うなよ?もっと時間ちょうだいよと泣き伏すくらいならば、8年も会わないなんていう行動を取るべきではなかったのではないか。村上春樹も『ダンスダンスダンス』で言ってた。後からそんなふうに言うくらいなら、生きているうちにもっとフェアに接するべきだったんだ。

そこに納得いかなかったんですよ。
いや…でも…あれはあれで良かったのかなあ…若くて意地を張っていたら親と8年も音信不通にしてしまう、って普通のことなのかな。ガチで絶縁してる私にはよくわからないだけで。死に目には和解できる程度の瑕疵でも。和解できて良かったね、って思っていればいいのかな。それはそう思いますよ、やっぱり。仲良くできるなら越したことはないし、楽になるのが一番だもの。会うことが辛いなら無理しなくていいし、会うことで楽になれるならそれが良い。死に目に会えなくたって、間に合わなくたって後からいくらでも和解ってできると思っているので。自分の心の中で。

久々に見たら、なんか、やっぱり好きだった部分をたくさん思い出してしんみりしてしまった。回も回だし。あとね、菅田くんの破壊力。菅田将暉くんの破壊力(フルネームで言い直した)。

細かいところも好きだったんです、あのドラマの空気感。菅田くんたちの先生が、解散すべきかどうか悩んでるって相談してきた菅田くんたちに対して「そりゃ解散すべきだろ」ってあっさり言ってしまうあたりとか。「夢を追いかける辛さがわかるから」と。「これまでの、18歳から28歳の10年と、これからの10年は別次元の苦しみだぞ」と。空気お通夜になっちゃうんですけど。シビアで、良い展開だな…と思ったものです。あと有村架純ちゃんのマクベスオタっぷりが面白かった。すごく色々わかりみ。(マクベス=菅田くんたち3人のお笑いグループ名)

あとはそうそう、芳根京子ちゃんと太賀のカップルこそ納得いかないエピソードだらけだったんだよな…見直してもきっと治らないやつ。それはまあここでは割愛。テーマがずれるので。

でね。
やっとクドカン『季節のない街』の話なんですけど。

(ここからネタバレです)

仲野太賀くんが、母坂井真紀さんと二人で、とある災害の被災地の仮設住宅で慎ましく暮らしてるところへ家出してた兄がクズになって帰ってきて。ウェーイって。めっちゃ胡散臭くなって帰還。なのにお母さん、旦那さんが身体壊すほど必死で働いて稼いだ金をばんばん渡しちゃって。それがまたすごい厚みなの!剥き出しで、人目を憚るようにさっと渡すんですけどそれ30万はあるよね!?っていう。そしてまた歌って踊ってるし。『ふてほど』みたいにクズ兄が母を称えるラップ始めてカメラぐるぐる回るし坂井真紀さんもノリノリだし。意味わかんないでしょうけど大丈夫です見たらそのまんまですんで。

また、クズ兄を拾って世話してくれてる人っていうのがてっきりヤクザだと思ったら政治家で、そこでヘイトスピーチとかやって活動してるっていうのが妙にリアルだったり。
弟である太賀くんはそんな兄が憎くてたまらない。母さんもなんで金を渡すんだと。内心呆れ果てている。でもある日、兄が帰った後、隠しておいたへそくり用の通帳と印鑑が無くなっている。その直後、兄が刺されて瀕死の重症を負ったと知らせがきて思わず病院へ駆けつけてしまう。そしたら兄の所持品から、無くなったはずの太賀の通帳が。

やっぱり兄が盗ったのか…と思いきや!
お母さんが渡しちゃってた。
兄が盗んでくれてた方がましだった地獄。

しかもその後お母さんなじるなじる。太賀をなじるなじる。「あんたが夜中に通帳見ながらニヤニヤしてたの知ってたんだからね!?一人だけ逃げようとしたんでしょうそのお金で!」太賀から話を聞いてた池松壮亮くんも違うんだ!母さん!言うわ。そのお金は母さんと弟たちとみんなで引っ越すためのお金だったんだ。でもその声はナレーションだからお母さんの耳には届かない。いや?目の前の太賀が言っても毒親こうなっちゃうともう信じないっていうか耳に入らないから一緒か!もうやめてやめてあげて。すごい知ってるからこういうのほんとリアル。覚えがありすぎる。坂井真紀さんブチギレて意味わかんないことまくしたててる母親の演技うますぎて思い出しちびりしそう。

兄がさ〜、母さんにめっちゃ都合良いことばっか言うんですよ。ラップで。母さんを楽させたいとか。でも明らかに兄はもらった金溶かしてんのね。ちっとも実現してないのその親孝行。なのに…一緒に暮らして家計を助けてる太賀のことは冷たい親不孝者呼ばわりで、金がなくなった頃にせびりにくる長男は優しいいい子!なのになんであんたはそうなの!?って…ええ…

聞いたことありすぎる(真顔)。
あるよね。あるある。毒家族あるあるすぎる。
クドカン氏、解像度高し。ふてほどとは打って変わってピンピンに角が立っている。原作がこうなのかな…?読んで比べてみたいな、と思わせる、救いがないけれど、惹きつけられる話でした。綺麗事に逃げない潔さを感じた。

おお、原作は1962年発表で、貧民街での人々が題材なのか。震災は関係ないのだな…どちらかというとこの年代なら第二次大戦後の話か…?それをなぜクドカンが311と絡めて被災地を舞台としたのかも気になる。

このあとどうなっていくのかも気になっています。とりあえず見る。シナリオブックも興味あるな…。


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