さっきもぽろっと理不尽とか言ってしまいましたけども。それはね、実は『十二国記』を読み終わったこととちょっと関係がありまして。
ええそうなんです!
『十二国記 白銀の墟 玄の月』読み終わりまして!
読み終わりまして!
(あまりにも読み終わったので二回言っています)
ネタバレなしで、まずはこの感慨を書き記しておきたくて。
もうね、『十二国記』といい、上橋菜穂子先生の『獣の奏者』といい、おがきちか先生の『Landreaall(ランドリオール)』といい、この世の理不尽というもの、それにどう立ち向かうか、どう受け止めるか、ということがすごく、とても、切々と、熱く、冷徹に、描かれていてですね。
やっぱりファンタジーって素晴らしいなと思うのです。
この人たちが、この物語の登場人物たちが、こんなにも圧倒的にどうにもならない運命に対して、こんなにも必死に、がむしゃらに、立ち向かい続けるのなら。
自らの手を汚すこと、他者の命運をも取捨選択することへの葛藤も、覚悟も、すべてを抱えた上で、諦めずに抗い続けるのなら。
自分も頑張らないといけないな、と思うのです。
どれだけの勇気をもらえることか。
たぶんファンタジーだからこそだと思うんですね。現実の物語だと、なんというか、あくまで自分ではなくその人の人生、という感じがして。逆に現実感が希薄になるというか。
ファンタジーだからこそ、新たなゲームを始める時のように、キャラクターと経験値ゼロから、その世界の成り立ちをまっさらな状態で知るところから始めて、FPS視点、あるいは主人公の少し後ろから三人称視点で寄り添って、ずっと世界を旅してきて。
だからこそ、彼らに降りかかる過酷な運命や、その都度の選択の痛みや、壮絶な苦しみが、その先にある喜びが、ダイレクトに心に入ってくるんじゃないかな、と。
本当にありがとうございます、と言いたいです。小野不由美主上をはじめとする、私を励まし続けてくれる作家の皆さんに。
それから、編集さんをはじめ、作家さんを支えるたくさんの人にも。
『十二国記』を4巻分読んで改めて思いましたけれども、こんなにも長く複雑な物語を、まっすぐに書き続ける推進力、それを維持し続けるのって並大抵のパワーではないと思うんですね。隣で伴走してくれる人たちがいてこそだろうな、と思うので、もうほんとありがとうございますと言いたい。
今回の『十二国記』新刊の中で、泰麒や驍宗様を支えた数々の人々の思いがあったように。『青条の蘭』で、先人の思いを繋いで走った一人一人の走者のように。
もうちょっとしたらネタバレ感想も書きたいです!
もうほんとうに!本当に素晴らしかった!!
できることならもう1冊ぶんくらい書いて欲しかった!
4巻あってもまだ足りない!
もっとあの人とあの人はどうなったのかとか、あの人との再会の場面をじっくり書いて欲しかったとか!欲を言えばキリがありませんが!
でも本当に素晴らしかったです。ああ本当に素晴らしかったのです。
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関連あひる
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ソクイ!(゚◇ ゚)と白雉が鳴いてから6年…待った甲斐がありました…!
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■2013-06-20 『丕緒の鳥』小野不由美主上 十二国記シリーズ短編が新潮文庫で発売!
■March 16, 2010 たいきと!(よつばと!×十二国記パロディ)
■2010-03-13 弐瓶勉スレメモ、気づけばSFがけっこう好きみたい
■July 23, 2010 屍鬼アニメでは正雄くんの特徴がさらにパワーアップしています
■February 05, 2010 『屍鬼』マンガ版がおもしろい
■July 07, 2008 『屍鬼』マンガ版と、原典『呪われた町』の話
■January 20, 2008 小野不由美『過ぎる十七の春』のあとがきに度肝を抜かれる
■March 19, 2005 小野不由美『屍鬼』登場人物メモを作りながら読む
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以下、表紙の素晴らしい絵を大きく貼りたくて。
泰麒いいいいい。
立派になって…立派におなりになって……
驍宗様ああああ。
貴方様は本当にもう…本当にもう……
李斎殿おおおお。
貴女様も本当に…本当にいいいい。
もしも作者をまたいだスターシステムを採用して良いなら上橋菜穂子先生『精霊の守り人』のバルサ。彼女が軍人だったらこんなかなあ、という。
阿選なー…うーん…ねえ……ああネタバレ感想書きたい。ちょっと検索したら皆さんめちゃめちゃ考察、洞察してらして赤べこのように頷きまくり。
最後あと50pだけど本当にこれ終わる?終わるの?大丈夫?!本当はあともう一巻続きますとかないよね?!って別の意味でハラハラしました。
登場人物多すぎてネタバレの人たちが作成した人物名鑑に助けられました。
今回は「王と麒麟」だけじゃなく「市井の人々」にズキュンと撃ち抜かれましたね!!
へなちょこさん
わかります!わかります!あとこれしかないよ!?という別の意味でハラハラドキドキ!
そうなんです、登場人物多すぎ、かつ最後は展開巻きすぎであっさり死んじゃってる人がいたりあっさり無事だった人がいたりしてえっえっ??てなってしまいました。
それでも18年経って、ここまで圧倒的に書き切ってくれたことは本当に嬉しいですねえ…!
王と軍、軍の上官と部下、軍人と騎獣、あらゆるものが入子構造のようになっていて、ほんのささやかな描写に胸を打たれることしばしば…
敵方の某ゲスな奴が、逃げようと部下の騎獣にまたがったけど慣らされてなくて動きが鈍い、とか。それに対して李斎殿の騎獣の動きたるや…
そうそうそうそう!あひるさんさすがの洞察力だなあと。毎回あひるレビュー楽しみにしてるのですよ。
最近のはやりの「転生すれば冴えない自分もなんとかなる!」とかいうファンタジー話
は、自分の中のハシビロコウ先生が無表情になります。
短編集「丕緒の鳥」の「風信」を読んだ時、疑問に思っていたことの答えもこちらで出た気がします。軍の規範は上司に忠実でないといざというとき動けない、だから時に非情な命令にも従う、という描写は、蓮花の悲劇にも通じますね。
そして、十二国では悲惨な命令のほうが早く伝わる気がします…。
私もなんだかんだで忙しく。まだ後半の感想がかけていませんが、後半は泰麒が陽子の「ハッタリ」スペックを習得したと思ったら、六太の「自由に動く」スペックも習得して意外な行動に出るところといったら…あと、驍宗さまがあんな…おや?誰か来たようだ…
暗殺されなければ、そのうち感想の続きを書きますね♪
日月さん
わあ!私の感情的なつたないレビューを楽しみにしてくださっているとのこと、ありがとうございます!
私も日月さんの、初心者、未読者にもわかりやすく説明しつつの説得力あるレビューいつも楽しみに読んでます!今回の1,2巻のぶんも密かにそうそうそうそう!と思いながら読んでました〜。
『風信』の蓮花…ありましたねえ…胸がえぐられるような話でした…
十二国では悲惨な命令のほうが早く伝わる…それはここ蓬莱でも同じかもしれませんね…
今回、あとでまたまとめて書きたいと思っているのですが、私にとっては大きく2つの感涙ポイントがあって、上のコメントに書いた主と従者、上に立つものと下に付き従うものの入子構造になっているように感じた、という点と。
もうひとつはもう、ひとえに、泰麒の無茶!!
それも徹頭徹尾、他者のために自分を痛めつけ、試し続けて、成し遂げ続けるじゃないですか!!「何かの瑞兆でしょう」には号泣でした。なんて痛々しいんだ泰麒いいい。
他の方々の考察を読んでいてもなるほどと眼から鱗だったり、そうそうそう!ですよねー!!と共感したりで楽しいことこの上ないです。ああ本当に素晴らしい作品でしたし、短編も待ち遠しいですねえ!
日月さんもぜひぜひ、時間があいても良いので続きの感想お待ちしてます!私も書きます!
あひるさんへ
ご無沙汰しております。日月でございます。
ようやく十二国記4巻までの感想を書き終わりました。だいぶ前に読み終わってはいたのですが、昨年末から仕事関係でハラスメントとかありメンタルをやられていて、休養に入ったとたん、コロナが来てまたメンタルをやられ、直ったと思ったら仕事の勉強やらなんやらで忙しく、ようやくブログが書けるようになりました。
読み返したら今の状況に当てはまる言葉がたくさんあって、たしかに未来を作るためには今踏ん張らなくてはなあ…
と思い至りました。
これからはちょこちょこ更新していきますので、よろしくおねがいします。あひるさんもご家族もどうぞご自愛ください。
引きこもり生活が長くなりますが、そういうときは「閉じ込められ系」の漫画やSF小説を読んでその気分を味わうようにしています。
日月さん
読みました読みましたー!ほんとにほんとに。ほんとに今この状況にも当てはまりますね…『白銀の墟 玄の月』。
お仕事、おつかれさまでした。大変でしたね。
私もたまたま小野不由美さんの、まだ読んでいなかった『残穢』『鬼談百景』を読んでしまい…怖い思いをしていますうううう。ずっと家にいないといけないのにいいいいい。
近いうち書くつもりです。単に怖いいいいいってだけですけど!