大阪豆ゴハン、このユルいマンガに不覚にも感動させられる

大阪豆ゴハン (サラ・イイネス)、まだまだ品薄のようですね。amazonでは文庫全6巻のうちほとんどがマーケットプレイスで高値を付けられている(先月とあまり変わらぬ状況)。

いやもうほんとに。まさかこんなにじいんとくるとは。
大阪を舞台とした、4人キョウダイと彼らの職場など周辺の人々の習性やら生活やらをユル~くのほほんと描いた、サザエさん的日常描写マンガ。
だと思っていたのですが!


いや、途中まではというか最後の最後までは実際そうなんですが。
4,5,6巻がやっと発売される!というお知らせの時にも書きましたが、何ともこう、そこにおるヒトをモデルにしてそのまんま観察結果を記録してるみたいな、細かくリアルで淡々としたかんじ。
たぶん好きキライ別れるんですよね、この手のマンガは。こんなん読んでどこが面白いの?って思っちゃう人もいるかと思います。
なのでね、逆にこういうのが好きな人にはマニアックながら絶大な人気を誇っていたらしいです。絶版になっていた単行本が文庫で再出版されることになったのも、ファンのかたがたの草の根活動の賜物だったそうですし。
そうしてめでたく再版された文庫の帯には。
豆ゴ、帯の背表紙「読んだらノンキになるよ」
「読んだらノンキになった?」
「読んだらノンキさん」

(^▽^)

あと思ったんですけど、シミュレーションゲームとか箱庭ゲーが好きな人ってハマるんじゃないかなと。
SIMSとかね(爆)。
ハコを開けるとそこにいつものメンツがいつものよーに好き勝手にフラフラへろへろ生活してる、その様子を外から眺めてると飽きないんだよね~。みたいな。
この作家さんのマンガってまさしくそういう感じだわ!と思ったんですよ。
いや、何も1,2,3巻を貸したらめっちゃハマって4,5,6巻自分で買っちゃった!という友人が一時期SIMSに大ハマりしていたから言うわけではありませんが(注:実話)。
それと何だか、この作家さんの世界の、ところどころにふっと見える価値観の健全さみたいなものにとても惹かれました。ゆる~いのほほんの中に、たまにひょっとマジメな、それも綺麗事っぽくない妙に生々しい哲学を登場人物が語るところがツボで。
一応男女取りそろって(?)出てくるので、どっかとどっかが恋愛関係になってもおかしくないハズなのに、それっぽい雰囲気もまったくないわけじゃないのに一向に艶っぽい展開にならない。そこも何ともいえずこう、緊張しないかんじというか。いや、それダメかもしらんけど。まあいいじゃないですか恋愛関係を描いてるマンガは他に星の数ほどあるし。
で、そんなかんじのたまにマジメで主にのほほんな、色恋レスの箱庭世界が延々続いてくれてるだけで十分満足だったんですよ。
4,5,6巻が出て初めて読む時も、どうせ最終回まで何事もなくのほほんな日常のままハイさようなら~っとくるんだろうなと。
ところがどっこい。
最後になって。
主役の4人キョウダイのうちの一人がご懐妊。ダンナさんとの間に子供ができるんですね。あらまあ最終回っぽい、めでたいお話やねと思っていたら。
病院で「ご懐妊ですね」と言われた帰り道に、しょっちゅう出てくる登場人物の一人とばったり会う。
そしたら、
「何かようわからんが、この時このヒトのことが自分の身内のように思えて」、ぽろっと妊娠のことを話しちゃうんです。
家族の誰よりも先に。

ココ!ここになんだかやたらやられまして。
なんかこう、淡々とのほほんと好き勝手に行動してたかのようにしか見えてなかった彼らが、ちゃんとお互いに縦糸横糸と関係しあって、それが何らかの形で実をつけつつあるという。
「実をつけた!」じゃなくてこの「つけつつある」という、ほのかな予感のようなもの。
これがもう、最高に読後感が良くてですね!
不覚にも最後のほうはもう何だかうるうるしっぱなしでした。
「不覚にも」ってシツレイな、ってかんじですがほんとそうとしか言いようがない。まさかこんな、素敵な物語として立派に大団円を迎えるとは、いや大団円手前の爽やかさで閉じるとは、ほんと予想出来ませんでした。
恋愛描写にしても、色恋ナシだなーと思ってましたがなまじ直接の恋愛感情や恋愛関係やを描くよりも上質かもしれない、と思わせられました。
人と人との距離が少しずつ縮まっていく感じを、なんのこたない日常の些末なことを積み重ね積み重ねて、外堀から埋めるというか。
似たようなことを那州雪絵に対しても書いた気がする
幸せな結婚、仲の良い家族というのはええもんだなあ、なんていう本当に当たり前のことを、しみじみほのぼの感じさせてくれる作品でした。
いやこれはすごいわ、素晴らしいわと思ってですね。
さあそうくると俄然気になるのが現在の連載ですよ!
『誰も寝てはならぬ』 (サラ・イネス)。モーニングで連載中。


この『誰寝』がまたですね、淡々のほほん色恋レス、ええオトナが雁首揃えてちっとも艶っぽい展開にならない。
と思っていましたが!
『豆ゴ』の最終回を読んでしまった後ではもう、『誰寝』を読む目まで変わってきてしまうわけですよ!
うわひょっとしてココとココとか、ソコとココとかになんぞあるわけ?起こるわけ??と。
いやーこんなの初めてです。前作を読んで、今作の印象にまでこんなに影響を及ぼすとは。
二つの作品があまりにも同じ作風だからでしょうね。それだけに、何だかやたら期待してしまうというか。終わらないでほしいけど終わりが楽しみだなあというか。
いやあ面白い。面白い作家さんです、サラさん。
豆ゴ、早く普通に入手可能になるといいですね。ちゃんと作家さんご本人に利益が行くように。
こちらのサラ良イネス掲示板は、ファン掲示板なのですがご本人もたまに登場するし、各地での販売状況などが投稿されています。まだ入手出来ないかたはちらちら覗いてみるとお役に立つかと。
幸せな結婚、仲の良い家族っていいものだなあという、リアル友人の妹ちゃんの結婚式話
大阪豆ゴハン (2)

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5 Replies to “大阪豆ゴハン、このユルいマンガに不覚にも感動させられる”

  1. はい、当然どっちも全巻もってますw。
    豆ゴハンのあと、一時期活動を中止していたので、誰も寝てはならぬの開始には狂喜乱舞しました。

  2. >いしたにさん
    おお!お久しぶりです!そう、長い活動休止が開け、突然始まった誰寝が豆ゴとまったく同じ作風だったもんだから感激、と書いてらっしゃいましたね。そういうファンのかたは多いようですし、そんなファンの皆さんの復刊努力のおかげで私のような誰寝で知った者も豆ゴを読むことができ。。感謝しております。

  3. 文庫版が出る前に古本屋で全巻そろえましたが、そのとき、モーニングで不定期に連載していた「水玉生活」というマンガも買いました。
    これはサラさんのエッセイマンガといった感じで、そのなかに「豆ゴハン」のベースというかモデルとなったらしい家族の話がでてきます。
    「水玉生活」の家族はお母さんがなくなっていて、90になるおばあちゃんが出てくるのですが、園芸ではタブーとされている「夏の昼間の水遣り」をして、父親に怒られるところが、のほほんとしていて愛らしいのです。

  4. >日月さん
    あ、『水玉生活』タイトルだけは聞いたことあります。古本でもかなり入手困難なようで、やはり復刊希望が出ていました。
    「豆ゴハン」のモデルとなったらしい家族の話、いいなあ!
    >のほほんとしていて愛らしいのです。
    わあ、なんかとってもわかる気がします。豆ゴ、誰寝と同じなんですね。

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