『夏子の酒』があひるを席巻している件

はいすいませんもう夏子奈津奈津で。でもでもだって。
『夏子の酒』を薦めて下さった、純米友の会(今発足)会長(今任命)くりおねさんからこれまた素晴らしいトラバが届いたんですもの。
「夏子の酒」はマンガもドラマもマイ最高傑作(くりおね あくえりあむ)


(↑文庫4巻の表紙、女性同士で楽しそ~に日本酒を酌み交わしてるこの絵とっても好きです。マンガにもちらっと描かれていましたが、連載当時の20年近く前には”日本酒好きの女性“、”居酒屋に女性“って今よりもっとレアなことだったんですね)
さすがくりおねさん、『夏子の酒』で私が感じつつもうまく言葉にできなかった部分を見事にまとめ上げておられます。
【 】内=くりおねさんのエントリより引用)
【お話は幻の酒米「龍錦」を作るためには無農薬でなければダメだということから、自然と米作りに軸足が移っていくのですが。日本農業の暗部を次々と突きつけられる、正直読んでてつらいパートです。でもそこから逃げないで、本当においしいものを作ろうとする心がだんだんと通じていく過程。農家の皆さんだって、好きで農薬振ってるわけじゃなかったんですよね。単行本の1巻は1988年出版で、まだ産直とか無農薬とかが一般的ではなかった時代にこういう作品が描かれていたのは驚きでした。
そう、そうなんですよね。山奥で自給自足生活をして変わり者扱いされてる豪田さんが「有機農法はいつか世界を席巻する….!」と繰り返し呟いていますが、20年経った今見渡してみると確かに、有機栽培、とか○○さんの作ったトマト、とか、そういう文字を当たり前に見るようになりましたよね。
(ただ、それが”ブランド”として扱われている感も否めない現在の風潮は、残念ながらまだ豪田さんが望んだ未来には辿り着けていない状態なのかもしれません)
【日本酒が米と水だけで作られているわけではない事実、なぜ普通に売られていた「日本酒」が二日酔いのする後味の悪いべたっとしたものだったのかが描かれていて、私はこの作品を読んで自分の舌がおかしくなかったことをようやく知りました。
農業と酒造業が置かれている状況、そしてそれを少しでも変えていこうとする人たちもいること。苦悩と希望。そのはざまで主人公夏子は成長していくのです。

そ こ な ん で す よ !!(´;Д;`)(びょびょびょ)
苦悩と希望!!(ノ;゚Д゚)ノ*
そのはざまで!主人公夏子は成長していくのですぞ!?( ´Д⊂・゜・
(そんなにか)(そうですよ!)
いやもうほんっとそうなんですよ。『夏子の酒』という物語の核は、まさにくりおねさんのこの表現に尽きます。最小限の言葉で最大限に魅力を引き出して、まさしく純米酒の如しですよ!デジャブ?
 *  *  *  *  *  *
ええさて、盛り上がりきったあとはヘッドライトテールライトでも流しながらしっとりと参りましょう。
ドラマがとても丁寧に作られていて良かったというのもくりおねさんから伺っておりました。参考に貼られていたこちらのリンク。
夏子の酒 – goo Wikipedia(ネタバレ注意)
キャスティングを知りたくて検索したけど見つけられなかったのでこれは嬉しいです。あ、石黒賢が亡くなってしまうお兄さん役かと思ってましたが違ったのね(『振り返れば奴がいる』の見すぎです)(例えが古すぎです)。
ビデオになってないのか~、もったいない。レンタルやさん探してみようかと思っていたのですが。私も再放送希望。
それから最後に。
(ちょっとネタバレなので一応伏せますね)物語の最後にある人物が亡くなりますが、そのあっさりとした後日談的な描きかたにちょっと驚きました。なんというかもっとこう、ドラマを盛り上がらせるために杯落としたり夏子にすがりついて辞世の句を口走ったり、いくらも見せかたがあったろうに、そういうよくあるお涙頂戴の愁嘆場にしなかったところが読後感をいっそう爽やかにしてくれて、著しく好感を持ちました。
本当にちょっと、素晴らしい作品に出会えた手応えに震えております。
しかも個人的に今このタイミングで読めたことがまたよりいっそう。遠ざかっていた日本酒の旨さを再認識して、真菜板に出会い日本酒の置かれた状況を聞き日本酒好き同士熱く語り合ったりしてきた、この流れの中で読む『夏子の酒』『奈津の蔵』そして『蔵人(クロード)』は格別でした。これ以上ない、マストな機会だったと思います。やった!松尾様(お酒の神様)ありがとう!


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“『夏子の酒』があひるを席巻している件” への2件の返信

  1. dancyu4月号は特集「日本酒の春」そして日経ビジネスアソシエにも蔵元インタビューが

    はい、あひるさんから純米友の会会長を拝命したくりおねでございます。 微力ながら、精一杯純米酒の普及につとめさせていただく所存です。 そんな私たちの日本酒愛に満ち

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