志村貴子『淡島百景』『わがままちえちゃん』など、新刊祭りがどれも素晴らしかった

最近立て続けに出ている志村貴子さんの新刊、どれも素晴らしく面白くて期待以上なのですが、特にすごかったのがこれ、『淡島百景』です。歌劇団のスターになることを夢見る少女たちが集う歌劇学校を舞台にした群像劇。

淡島百景 1
志村 貴子
太田出版
2015-04-14



わかりやすく言うと松任谷由実の『卒業写真』の世界、というのでしょうか。あ、私あの歌の「あの人」って女性で、女性同士の憧れのあのヒト、的な話だと思ってるんですがどうなのかな、それって一般的解釈と違うのかな?一般的には男女の恋愛の歌?まあいいやそれはそれとして。
マンガで言えばよしながふみの『愛すべき娘たち』が好きな人ならがっつりとハマると思います。それからマイナーなところで榛野なな恵の『卒業式』もふと思い出しました。小説では江國香織の『いつか記憶からこぼれ落ちるとしても』。あれが好きだった人ならハマるんじゃないかしら。
誰にでも覚えのある、少女だった頃の級友への憧れや、友人とのすれ違い、こわれやすい繊細なあの思春期の日々を、志村貴子さんがもうまたなんともいえない絶妙な空気感で紡ぎだしていて、素晴らしかったです。特に第三話は圧巻の一言でした。この鮮やかな場面転換!今敏監督にアニメ映画化してほしいと思いました。

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