CGWORLDってオットくんがよく買ってくる雑誌ですが最新号が、
キモ!!なにこれきんもー。
OT「寄生獣好きなんじゃないのか」
好きだけどこれはキモいだろ。わかってやってるだろ。
OT 「キモかわ?」
いや、キモ。
中読んでみたけど面白かったです。専門的なことはわからないなりになるほどこんなふうに作られてるんだなーと。映画寄生獣どうなんですかね?アニメは色々残念な出来だなーと思ってますが。そこそこ評判良いのがまた残念。絵は荒いし脚本や演出も雑だし音楽(劇中のBGM)も適当だし、随所に丁寧さが感じられない残念な出来。声優さんの演技だけは素晴らしいと思いますが。
っていうようなことを最近友人知人から二度ほど「寄生獣アニメけっこう良い出来だよね?」って言われるたびにいやいやいや?って滔々としゃべってしまって誠に恐縮ですがさらに続くよ?今回は長いよ?
(後日追記)
実写映画版を観てきたら、アニメ版の方がまだ原作に忠実に作ろうとしてくれてるのかも?と思いました。映画もまあ思ったほどダメじゃなかったけどダメダメな部分もあり。そのうち別記事に書くつもりです。
(追記以上)
音楽が適当っていうのはですね、OPの曲が印象薄くて残念だなーというのはまあ仕方ないとして。進撃の巨人くらいインパクトあるものを持ってきてほしかったけど、そこら辺にも制作側の熱意が感じられなくて残念だなーとは思いますがまあ大人の事情が色々あって制作側の意向が曲選びに反映されなかったりってよくあるらしいから置いておくとして。劇中のBGMのことです。たとえば海辺の戦闘シーン。手のひらの火傷の跡見て動きが止まるとこ、あそこで何の緩急もなくだらだらと戦闘音楽鳴りっぱなしとかあり得ない。原作見開きよ?だって。たぶん映像やら細かい演出やらが間に合ってなくて、ざっくりした指示だけであたりをつけて音楽作ってそれを後から切り貼りしてるからちぐはぐなんじゃないかな。にしたってあのシーンよ?序盤の要よ?そこであれって。おばちゃんがっかりよ。原作読んでた時高校生だったおばちゃんがっかり。
脚本が雑っていうのの最たるものはあそこです。島田秀雄が出てくる一番最初のシーン、お食事中の島田秀雄に田村玲子が新一の話をしてるとこ。あそこで田村玲子が「ニヤリ」とかしてんの。なにそれ。そんなとこで田村玲子が笑っちゃったら後々の探偵さんの時の笑いの凄みとか色々台無しじゃん。パラサイトには感情がない、という大前提と、それが少しずつ変化していくところがこの作品全体や特に「田村玲子」というキャラクターの重要要素なのに。
それから、原作のちょっととぼけたギャグっぽい要素がほとんどカット、改変されているのもかなり残念です。Aとの戦闘前の「いてっケツ刺しちゃった」とか、「靴ここに置くよん」とか。
「あれ?俺が片付けるわけ?これ……」のようにちゃんとやってくれてる箇所もあるんですが、小ネタ要素がかなり削られている。ささいなことだと思う人もいるのかもしれないけれど、重箱の隅をつついて原作厨乙と笑わば笑え、私は寄生獣の、岩明作品の大きな魅力だと思うんですよね、あの感じ。ぎょっとするほど凄惨で残酷なことが起こるのと同時に、常にちょっとした笑いの要素もそこにあって、それって現実と、実際の人生と同じだと思うんです。なんか語りに入ってきた。いやもうほんと大好きなんで。好きすぎるので。そういうところが岩明作品の暖かみであり、あの荒唐無稽な設定をリアルに感じさせているところで、その日常感と緊迫した場面との緩急が今作の魅力なんであって、登場人物が常に暗い顔して深刻な話しかしてないとただのSFホラーでそういう作品はわりと他にもあって、寄生獣のあの唯一無二感が薄められちゃってるなーと。加奈ちゃんが島田秀雄にからまれるところの「お前を殺す!」「アハ、何もそんな…」とかさ。あれがなくてアニメのように本気で加奈ちゃん怖がって警戒しちゃってたらあまりにもリアルじゃないし、そもそもその後の展開にも支障をきたすと思うんだけどな。
ほんとになー。蟲師くらい原作の空気感をしっかりアニメに映し込んで丁寧に作ってくれてたらなあ。Blu-rayボックス買いだったのにな。と思うと残念でならないのですよ。このあとがっかり浦上も控えてるしなあ。はあー。
あとはまあ個人的なことですが(いや全部そうだけんどもよ)、原作のセリフまわしの絶妙な間を、陳腐でわかりやすすぎるセリフをわざわざ付け足すことで台無しにしてる箇所もたびたびあるし(「奴を……!」のあとに殺してやる、とか、「君が間違いなく泉新一くんだってこと……」のあとに信じられるのに、とか付け足してる)まあそこは漫画とアニメで表現を変えるのは仕方ないと言えなくもないですが、キャラデザや性格づけの変更も、原作加奈ちゃんのスケバン風なのはさすがに時代遅れなので変えてやむなしにしても、里美ちゃんがもっと元気でひょうきんなところのある子なのに、ひたすら大人しく控えめな、声の小さな性格になっちゃってるのがいかにもオタクに媚びてるっぽくてなんだかなーとか(そういえば「俺は『ギョエー塚原卜伝!』が見れればそれでいい」って2ちゃんで言ってた人お元気ですか?見れなかったですねーあなたとは旨い酒が飲めそうです)、クラスの女子たちが新一に片思いしすぎっていう無駄なハーレム要素はいわずもがなですが美術部の女の子が島田に頬染めてるってのは完全にどうかしてる。こんなかんじでぶつぶつダメ出ししながら見てるので原作ほぼ忘れてるオットに不評です。忘れてる方が悪いと思うよ?一緒に暗唱しようよ。
と散々くさしておいて何ですが、原作をあんまり覚えてないっていう友人が普通に面白く見れてるらしいのでまあ良いことなのかも。ここまであれこれ重要要素(って私が重要だって思ってるだけっちゃだけ)が原作から抜け落ちていてもなお面白いと思われているってことは、原作の魅力は損なわれつつも伝わっているってことかなーと。原作の方がもっとしっかり面白いよ?アニメ見てて面白いなーと思ったかたはぜひ原作にもあたってみて頂きたいですよ?140字のツイッターやら人の発言抜粋で眺めるのがデフォのfacebookやらが大流行りしてるこのご時世にこんなド長文をここまで読んでくださるようなあなたならきっと私と近い感じ方をしてくれるはずよ?ありがとうございます。あなたあってのあひるちゃんです。マジで。
あとそうそう、アニメも全体的に絵が雑だけどたまに決めの表情とかは良い絵だったりしている。そこは評価する(えらそう)。OPの最後のカットとか。歌は飛ばしてるけど10秒だけ戻って毎回あの顔だけ見てます。
——————–
関連あひる
■August 23, 2014 実写映画『寄生獣』ミギー役に阿部サダヲ、モーションキャプチャーも
■August 17, 2014 【寄生獣 セイの格率】チンピラと化した浦上、田宮良子:田中敦子
水着回がきっとある。
■July 31, 2014 寄生獣アニメ版キャラデザが原作と全然違う、新一がメガネ、ミギーは平野綾
■May 29, 2014 出るとは思ってましたが「寄生獣」ミギーぬいぐるみ
■November 20, 2013 寄生獣、東宝で実写映画化、田宮良子を深津絵里が!TVアニメ化も!
■March 08, 2009 寄生獣完全版「読者の問いかけに作者が答えた」が大変素晴らしい件
■October 31, 2007 寄生獣、勝手にキャスティング
小ネタ。
■July 25, 2005 寄生獣とうとう映画化してしまう(ミギーの声をこの人にだけは)
■May 26, 2010 寄生獣で、ミギーが新一の右手ではなく
■May 28, 2005 ビバ!岩明均
■June 04, 2008 田宮玲子の頭を割れるだけ割ってみました
その他岩明作品。
■April 16, 2007 西荻古本発掘、『七夕の国』を褒めてみる
■November 09, 2008 我が子の首を前に ~歌舞伎と古代ギリシア(ヒストリエ)
——————–
お、ユリイカ、岩明先生へのインタビューや、吉田戦車、福本伸行、ヤマザキマリなど寄稿。岩明先生の語る言葉がとっても好きなのでこれは買いかしら。
どれを買うか迷ってるって方、できるだけ情報量が欲しいって方には完全版をおすすめします。岩明先生と読者のやりとりつきでこれがまた素晴らしい。ただし大判なので注意。
こういうの一個買いました。「これなら馬の差で勝つな」って言ってたミギーが名刺立てになってるやつ。
あ、これこれ。だけどすごい値段になってる!あらー。
原作厨はついつい比べてしまいますなー。
僕は母親をのっとったパラサイトと戦う時に、「新一は思わず目をつぶった」的なナレーションをどうするのかと思ったらばっさり切られたのも寂しかった。あそこだいじだよー
> Kさん
あそこ大事ですよね!大事大事。せっかくアニメ化するんだから、原作そのまま忠実にやってほしかったな~と思いますね。最近はそういう作品も増えてるのになー。