成田美名子原画展、生の絵の精密さと美しさの虜の巻

NATURAL5巻成田美名子さん原画展に行ってきました。先ほどは先生と直接お話出来た喜びや、大変な人数で長蛇の列だったことなどを詳しく書きましたが、今回は原画の美しさのお話と、無料で上演されたお能の話。
原画は、本当に!期待以上の素晴らしさでした。


絵が、特にカラーが綺麗な作家さんだから原画のクオリティと大きさで直接見れるなんて、さぞや美しいだろうと楽しみにしていましたが。。もう本当に!印刷には出ないような細かい筆致などもじっくりじっくり見ることができました(皆さんそうだったので行列の動き自体が遅く、そこそこじっくり堪能することができました。でも気に入った絵の前でいつまでも立ち止まっていることはできず残念。。)。
一枚一枚の絵を、顔を寄せてまじまじと見つめてしまいました。コミックスの表紙や、画集の絵では気づかなかった波頭の細かい粒や、服の質感を出すための重ね塗り、それから修正の少なさ!!原画ってもっと修正が入っているものなのかと思いましたが、消したり塗り直したりのような跡はほとんど見られませんでした。
初期の作品にはタイトルロゴを手描きでレタリングしてあったり(それがまた美しい!)、自転車や車など、高いデッサン力が必要とされる事物(得てして少女漫画家にはそういうのをおざなりにしている人も多い。。)も初期の頃から精密に描かれていて、細かいところまで大変見応えがありました。
大きなサイズで原画だからこそ、登場人物の微妙な表情の翳りに改めて気づかされたり(ちなみに『NATURAL』の、ミゲールと西門さんの矢大臣姿の大きな絵です。当時心配事のあった西門さんが微妙に心細げな顔をしていることに初めて気づいた)
さらに。。。私は気づいてしまったのです。。
トップにも貼ったこの絵。
NATURAL5巻『NATURAL』5巻の表紙の、犬と波と佇む西門(サイモン)さん(大好き)。

この原画も飾られていたのですが。
彼が肩からかけている黒い皮の編み上げブーツに、何と潮が浮いているの!です!!
非常に細かな白い粒が、つま先や靴底のあたりに点々とこびりつくように、描かれているではありませんか。コミックスの表紙の小さな絵ではとてもそこまで写っていません。原画ならでは!うおおおこっこれは。。。
ほしい!!
なんとキケンなことにこの絵の複製が会場で売られていたのです。会場限定販売、完全受注生産のプリマグラフィー(精密複製原画)が5作品。こちら、今回お能を披露して下さった三聲会メンバーのかたのblogに白黒写真が載っています。
成田美名子先生30th,vol2(能学殿《笛方,藤田流;竹市学》能楽の日々+++α)
くりおねさんの「原画展情報直前チェック」でお値段15,000円と聞いていたので、うーん購入はしないだろうなーと思っていたのですがもうその潮が浮いているのに気づいてしまった途端ものすごく!!欲しくなってしまいました。。。結局私は七転八倒の悶絶の末我慢したけれど、あれは買う価値ありだと思いました。どれも本当に素敵だった。予約申込されたかた、羨ましい。。
ちなみに西門さんは才能才覚に溢れ努力を惜しまず、情に厚くて普段は抑えめなんだけど時に相手を思う余りキレてしまったり、見目べらんめえに美しく色気ある男子、というもうツボというツボを心得まくった大っ好きなキャラクター(大好き)(二度目)(いや三度言ってるから)。です。
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さて今回の原画展は連雀、いやいやいや銕仙会能楽研究所(作品内では「連雀能楽研究所」という架空の名称なのです)が会場となり、無料で仕舞と舞囃子の上演も行われました。
『花よりも花の如く』で能楽師を主人公に、お能の舞台の作り手の苦労や努力、伝統とそれを継承していくことの大切さや難しさ、葛藤、などについて詳しく描いている成田さんなればこそ。


先ほども書きましたが14:00の仕舞は400人の行列!(半分のかたが会場に入れなかったとか)、私が何とか見ることのできた16:30の舞囃子も一時間待ち、そして運営スタッフさんたちの「何とか希望者全員に見て頂きたい」というお気持ちによるきゅきゅっと詰め込み状態(笑)にて、通常キャパを遥かに上回る人数(推定300人くらい)で見ることができました。
演目は『高砂』(能『高砂』に詳しいです)。
笛や太鼓のお囃子とかけ声が力強く賑やかで(時に謡が聞きづらいほどでしたが、そういうもののようですね)、きらびやかな装束を身にまとったシテ(主役)の演舞は迫力がありました。
(おもて)をかけたシテが最初に舞台に現れ、扇をひたりと中央に向けて立った時にはつい、見所(けんしょ)のお客さんたちの大部分がきっと「あ、見えないのね」「見えないのね」と思っちゃってるんじゃないかと想像してしまいました(^口^)。『花花』によく出てくるのですが、あのお能の面って、なんと前が全然見えないんだそうです。。能楽師の皆さんは、ほとんど長年の経験と勘!で舞台上を飛んだり跳ねたりするのだとか。
『花花』で見慣れている、豪華な装束の袴ってほんとに後ろから見ると平らなんだな~(幅が広くて左右に膨らんでおり、後ろ側は不思議なくらい真っ平らなのです。座りやすいから?)とか、金糸の刺繍のお装束も間近で見るとけっこう糸がぴんぴんほつれているのね、昔から大事に受け継がれているのだろうし、動きも激しいからどうしても傷んでしまうのかしら。。なんて余計なこともついつい考えてしまいつつ、舞台上を縦横無尽に舞い踊り続けるシテの姿に釘付けでした。
舞台が終わってなんとカーテンコールが(爆)。ツレ(助演役)と笛のかた、そしてさっきまで激しく舞っていたシテさんも面をはずして汗を拭き拭き出てきて、素顔で「本来能ではこういうカーテンコールはないのですが、今回は成田先生30周年の特別な企画ですので」と会場にご挨拶をして下さいました。ていうかあっという間にしゃべりの軽快なおにーさんで噺家さんみたいな風情にw
成田さんの作家生活30周年へのお祝いということで、祝いの一曲『高砂』を舞ったのだそうです。
ぜひよかったらお能の舞台にも足をお運び下さい、と言ってらして、ううむ本当に見てみたくなってきました。。『砧』。。。
2巻参照。

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以上、原画展はこんな様子で、そして先週の発表会と同じく『花花』のおかげでお能の世界に少し触れることのできた貴重な機会となりました。しかもファンイベントの催しとはいえ、タダでだなんて!
くりおねさんが参加された銕仙会さんの虫干し「能舞台バックステージツアー」も、実はくりおねさんから何度か誘って頂いたにも関わらずことごとく都合がつかず。。でも次回何かあるなら今度こそ、ぜひお邪魔したい!と思いました。
ぜひとも次回の原画展は、
・もう少し広い会場で、
・もう少し原画を多く、
・期間ももう少し長く、
・新しい画集をその場で販売!!

して頂きたいと思います。もう本当に、『花花』の絵の画集が出るのが今から楽しみで仕方ないのです。いつも思うんだけど、見開きのページは真ん中が見にくいので、ポスターのように開く形にするとか。。それはそれで折り目が傷むなあ。。今回の複製原画って実はかなり有り難いのかも。
watermark―成田美名子画集
数年前に出たこちらが、会場で若干数販売されていたようです。

私が画集を集めている数少ない作家さん。さっそくページをめくっています。ああ生の絵を見たから脳内で細かな情報が補完されてしあわせ。ブーツのつぶ塩も写ってたよ!!でも生の、あの本当に固そうなぎゅっと輝く白とは違う~。でも脳内補完できるよ!
**成田美名子原画展、ご本人とお話!
**成田美名子原画展情報
**『花よりも花の如く』が素晴らしい話
**『花よりも花の如く』4巻の話
**くりおねさんのお能発表会12
**BSマンガ夜話で『CIPHER』(2005/8/30)

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One Reply to “成田美名子原画展、生の絵の精密さと美しさの虜の巻”

  1. 月見座頭 ~成田美名子『花よりも花の如く』6巻

    花よりも花の如く 6 (6) (花とゆめCOMICS)成田 美名子白泉社 2008-11-05by G-Tools
    『花花』最新巻6巻に載っていた狂言の演目、『月見座頭』が気になったので検索してみました。メモ。

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