はい歯を抜いたのです前編、インプラントか矯正かブリッジかの続きです。こちらも4000字。
いや大変だったマジで!!歯、大変!抜くの大変!人生を感じました!!
だってほら、根っこ膿んでるし弱ってるから抜くんであって、するんといくのかなと思うじゃないですかとんでもなかった。1時間以上かかりました。先生も目算を誤ったようで次の予約の人来ちゃって15分くらいお待たせしてました…。コロナ以降完全予約制になって、待合室でも重ならないように15分くらい間空けて予約取ってくれてるのにその15分を食い潰し、合計30分は頑張っていた私の6番(奥歯)…。私からもごめんなさい…頑固で…歯が…しがみつかれてて…歯に…
人生!!
もう神経もとっくに抜いてて膿んでてここに留まってもあとは宿主に悪影響しかないというのに。それでもそんなに抜かれるのが嫌か!貴様!早く往ね!と、誰に向けてかついつい人生を感じてしまわずにはおれなかった診察台の上のあひるちゃんでありました。いやもうしんどい。1時間口空けっぱなしなのがまず無理。先生もちろんたびたび休ませてくれるんですよ。はい楽にしててくださいね、とか力抜いていいですよ、とか、疲れたら左手あげて知らせてくださいね、って。やさし。好き。それでもきつい…50歳の今こんだけきついんだから今のうちにインプラントにしておくべきなのか…?とも頭をよぎる…およそ3ヶ月4000字分悩んだのに。
や、あの真面目な話(いつでも真面目ですけどね?キリッ)、歯を抜かれている時そんなどこぞの誰ぞになぞらえて疾く往ね!と本気で呪詛を送っていたわけではなく、いやいやここまで頑張ってくれたもんね、ありがとう、さようなら〜すっぽん、するするすっぽん、と念じていました。うんあひるちゃん大丈夫?ほんとつらかったんだね。うんつらかった。でもほらそれとこれとは。ていうか他にやることもないから。なんかこう、せめてイメージだけでもね。するするすっぽん、といかんかな、と。ついでに今の悪縁もするするすっぽんといってくれんかなと願を掛けつつ。風船がたくさん空にのぼっていく光景がなぜか頭に浮かびつつ。
あとがんばれ〜がんばれ〜とも思っていた。先生に。うんとこしょ、どっこいしょ、と気分はすっかり『大きなかぶ』。いやこれ「それでもかぶは抜けません」だな…抜けて…先生頑張って…。ほんとになかなか抜けず、先生が新たな道具をじゃらじゃら出してくるたびに娘キターとか犬キターとか猫キターとか思ってました。
まずね、奥歯だし3本の根っこがあるじゃないですか。それがこう、レントゲンで見ると鉤爪のように、ガッと曲がってギャッと掴むように生えてまして。重機でこういうのあった気がする。なんだっけ…思わずうちの子の重機列挙記事を見るも載ってなかった。まあいいや。
先生、これをそのまま一気に抜こうとすると、根っこの周囲の骨までごそっと取れてしまう、そうすると予後が悪くなるので、三分割にして、一本ずつ抜いていきます。レントゲンだけだと写り切っていない部分もあるから、どの向きにどう刺さっているのか、どう引っ張ると抜けてくるかいろんな向きからあれこれ試して、パズルみたいに探り探りやっていくので時間がかかりますが、と。パズルみたい!おもろ!お願いします。パキパキと歯が砕ける音がするかもしれませんが、大丈夫ですからね。やさし。好き(SPY×FAMILYの夜帷でご想像ください)(あんな激重でいいんか)。
で…まず三分割の時の削る音が面白すぎました。チュイーーンて高い音するじゃないですか。あれがなんかこう、金属を削ってるからか、電子音?みたいな響きになってて。明らかに音階がある。ヒロリロ、ヒロっ、ヒロロロロロ、ヒロリっ?ヒロっ?みたいに聴こえる(伝われ)。昔のゲーム音楽みたい。あるいは欽ちゃんの仮装大賞。
と、この辺りではまだ余裕があったのですが…まあ抜けない。抜けない抜けない。先生も「ううん…あれっ…んんん〜…」と試行錯誤ふう。がんばれ〜がんばれ先生〜。
私は思い出していました…12年前の夏…いや13年前かな?妊娠前に、歯をしっかり治しておこうと思い立ちまして。評判を聞きつけて初めてここの歯医者さんに来た時のことを…。
ちょうど金属アレルギーがわかった頃だったのもあり、昔の治療跡の金属をなるべくセラミックに替えたいとも思っていたんですね。そんな事情や希望を説明し、ひと通り検査してもらって、まずは上の前歯の差し歯をやり直そう、ということになり。これ…以前から他の歯医者でも指摘されてたんですよね、根っこの治療が中途半端になってるからって(またか!ほんと子供の頃の近所の歯医者薮だったな!)。
で、先生、これは確かにやり直した方が良いけれど…
「正直やりたくないです( ´_ゝ`)」
えっ。
いや〜昔の歯科って今では考えられないような強すぎる接着剤使ってたりするんですよ…と。外すだけでも相当大変で、根っこが割れてしまう可能性も高いのでね…
「正直、歯科医として最もやりたくないことの一つです( ´_ゝ`)」
えええ。
なので、相当慎重な作業になるし、患者さんのご負担も相当だから、確かにご妊娠前にこれはやっておいた方が良いと思います。他にもやり直した方が良い箇所はいくつかありますが、ここを最優先にしましょうか…と。「嫌だけど…( ´_ゝ`)」と顔に書いてある先生。「嫌だけど…やるしかないか( ´_ゝ`)」とも書いてある。
そうですねえ…雰囲気が近いのは佐々木蔵之介さんかも。お顔が似てるわけじゃないのですが、ひゅっと縦長い感じとか。蔵之介先生だと思ってください。好き(ここでか)。あっお顔立ちはどちらかというと島田8段ですね!羽海野チカ先生『3月のライオン』の。じゃあ島田先生でも、お好きな方でご想像ください。好き(お分かりいただけたであろう)。
そしてたっぷり2時間、しかも午前終わりの枠…(先生の「場合によっては昼抜き」という決意が伺えるお時間枠…)4本の古い差し歯を抜く作業に取り掛かったのでした…。いんや〜この時も大ぁぃ変だった〜。12〜3年前だから今ほどの酷暑ではなかったにしろ真夏、もちろん冷房は効いている診察室にも関わらず先生も私も汗だくに…。なんだろう?抜くはずなのにカンカンと押し込むようなあの謎の道具、何されてるかわかんないのでどういう仕組みのものなのかも謎のままなんですけど、上の前歯の根本に押し当ててカン!カン!カン!と、かなりの力でカンカンやられるんですよ…それを4本分!!だいぶしばらくカンカンガンガンやったのちに1本抜けた…と思ってもあと3本ですねと。絶望。いや先生の方がげんなりだったろうけども。
結果的に、先生が慎重に慎重を期してやってくださったおかげで、4本すべて、根っこは無事に割れたりせずに差し歯を外すことができまして。もうなんか、何かを成し遂げあった…!同志…!みたいな雰囲気でした(いや知らん私だけかも)。MIU404の井戸の端の志摩と伊吹みたいに頭をかきいだきあってもよかったと思う(やりすぎ)。ていうかそんな元気なかったな二人とも。終わりましたぁ……(はふう……)ありがとうございまふ……(はひい……)て感じで…。
でもこの時知ったんですけど、私あの、歯がボロボロでね。でも思ってたより残ってるんだな自分の歯、と。
そもそも前歯4本差し歯って何事?って話なんですが、虫歯でダメにしたんですよ…中学生くらいの頃。奥歯も神経抜いた歯すごく多い。昔は痛むと神経抜いてたじゃないですか。神経抜いたら歯が弱くなるなんて知らなかったし、虫歯もネグレクトだと大人になって知って納得しました。ただ、そもそも予防歯科の知識や感覚が一般家庭にも歯科医にもなかったから(いや、あるところにはあったんだろうけど)時代として仕方なかった部分もあったのかな、とも思っています。あともともと虫歯になりやすい体質らしい。エナメル質が薄いと言われた(それはうちの子も…遺伝的に…うちの子の小児歯科行脚の話もいつか書きたいです…)。
だから私、4本差し歯だし3本ブリッジで潰してるし、酷い有様だな…と思っていたのです。でもこの時先生から聞いた話では、私、歯の欠損は1本だけだと。ブリッジの真ん中だけ。差し歯の4本は、歯の根っこが残っているので自分の歯と数えるのだそうです。へえ!そうなんだ〜。それはなんか、ちょっと意外で嬉しかったです。だからこそ、この根っこを大事に長持ちさせるためにこの時全てをやり直したのでした。
無事に差し歯を取り外した後、根っこの掃除をしっかりやってもらって、神経の代わりに薬と、補強のための芯を埋めて(芯も金属ではなく、適度な柔らかさを持ったファイバー素材にしてもらった気がする)、新たな差し歯も、それまでは裏が銀色の金属剥き出しだったんだけど今度は裏も白いセラミック!これが嬉しかった〜!前歯4本の裏がずらりと銀色だから大きな口開けると角度によっては見えるので、長らく恥ずかしかったんですよね。14歳ごろから20年以上!
なので、口腔内の健康のためにも審美面、心理面においても、お金もがっつりかかったけれどやって良かったと思いました。
と…昔話をしている間に現在、2本目の欠損となってしまうけれどこちらも無事に抜けまして。今は大穴開いてます。抜いた当日、麻酔が切れてきたらずきずき痛み出したので、もらったロキソプロフェン飲んだらものの15分ほどですうっと引いて医療の偉大さに感謝しました。産後の手術後にも出してもらって飲んだなロキソニン。そんな話を心配してくれるうちの子にしながら、湯たんぽ作ってソファに横になって過ごしたのが金曜日。土曜日曜と、痛みはかなり引いてきたけどやっぱりずーっと疼いているので寝る前に痛み止め飲みました。食べ物はちょうど久しぶりに作った甘酒にオートミール入れて食べたり(おいしいしタンパク質も取れる)、お粥作って食べたりしています。あと卵。
もうしばらく庇いながらの生活ですかね。一週間後に経過を診てもらって、それから型取りして歯を作ってもらうことになってます。たぶん年末年始には間に合わないだろうけど、その頃には抜いた跡も落ち着いてるだろう。この抜くタイミングも悩んだんですけどね、年明けに回してジャスト正月休み中に猛烈に痛み出されたりしたら目も当てられないから!やるなら今かな、と。
そんな抜歯日記と、推し歯科医さんの話でした!先生と共に差し歯4本と格闘した話、いつか書きたいなーと思ってたのがやっと書けました。お付き合いいただきありがとうございます!
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