『朝、目覚めると、戦争が始まっていました』 未来を知らない十二月八日の言葉

気になった書籍メモ。

『朝、目覚めると、戦争が始まっていました』 未来を知らない十二月八日の言葉 – HONZ

本書は、太平洋戦争勃発時の知識人・著名人の反応を日記や回想録から抜き出した、アンソロジーである。さぞかし重苦しい空気なのかと思いきや、むしろその逆だった。戦争を歓迎する言葉が多いのである。知識人にして、そうなのだ。「一般人は?」と考えずにはいられなかった。

その問いの答えが、本書の最後にある。何とも心にくい演出だ。太宰治の短編小説『十二月八日』が収録されているのである。この小説は次のような書き出しではじまっている。「きょうの日記は特別に、ていねいに書いて置きましょう。昭和十六年の十二月八日には日本のまずしい家庭の主婦は、どんな一日を送ったか、ちょっと書いて置きましょう」

名文家の筆を借りて、当時の一般的な受け止め方を浮かび上がらせているのだ。


Kindle版は少なくとも現時点ではなし。出て欲しいなあ。



こちらはKindle版あり。

十二月八日
太宰 治
2012-09-27