『ハチミツとクローバー』 9巻、大変な展開になっている、とは先ほどもちらっと書きましたが、でもきっと、作者・羽海野チカさんはだいぶ前からこれを目指して描いてきていたんだろうな、とも思いました。
アニメ・実写映画、コラボレート(便乗?番宣?)商品と、これだけマーケティングの洗礼にじゃぶじゃぶと晒されながら、こんなシビアな方向に押し進めるとは。ウミノさん、胆力あるなあ。
(ネタバレなし)
編集部に「大人気だし、そんな暗い展開にしないでまったり楽しくお話続けてよ(人気が落ちるまで)」とか「もっとどんどん強い敵出してよ(??)」とか要求されなかったのかしら。だとしたら編集側も良心的ですよねえ。
強い敵はともかく、もっとウケそうなキャラ増やしてエピソードひねり出して、そしたらいつまででも続けられそうではありますよね。後輩要素が足りないから(『げんしけん』でいうクッチーと荻上さん)まだまだ余地はあるといえばある。
(『げんしけん』でいうな)
でもそうせず、「生きる意味」、「誰かを強く大切に思う気持ちを、どういう形に変えて生きていくのか」、そういう哲学的で現実的で、しんどいところへ突き進むのですね。。すごいなあ。
『まっすぐにいこう』が、けっこうこんな感じで(もっとオムニバス的ですが)楽しくワイワイやってくれるキャラが集まって、時に重めのテーマを出してくる、という形だったんですよね。
重めというか、日常的なささいなことなんだけれど、見逃しがちな傷や嬉しさみたいなものを、大仰にでなくさりげなく盛り込んでいて、題材にするだけでも評価すべきなのでは?と思うような難しいことを取り上げて、しかもそれをけっこう逃げずにがんばって描いていたり。
どんどん面白くなるなあ、と20巻くらいまでは思ってました(残念ながら最近はちょっと飽和気味…)。
(難しい題材の例を挙げると、車椅子の少年が出てきたり、ブームの裏で大量処分されるペットのこと、家族の絆に血の繋がりは必須か?とか…。うう、こうして文字にすると「よくあるいい話」っぽくなってしまうなあおかしいなあ。読んでいてそう感じさせないところがやはりすごいな)
ハチクロでも連載開始当初から、山田の恋愛切ない道場(?)以外にも、リカさんの家族運の薄そうな生い立ちや最愛のパートナー原田さんとの死別、原田さんの死は花本先生にも色濃く影を落としているし、竹本くんが父親と幼い頃にやはり死別していて、拭えない喪失感のようなものが確実に背景にあって、それがところどころでちらちら見え隠れしていましたよね。
そういった今までの分だけでも、「楽しいだけじゃない、人生で大切なこともきちんと盛り込んだちょっぴり切なく面白い作品」として十分成り立ったのではないかと思うのですが。で、これだけ読者層が広がってしまったので、そのままのほうがより多くの人に理解されやすかったろうと思うのですが。
さらに先へ、もっと奥へ行くのですね。。
すごいなああ~。
自分よりもずっと巨大な素材の塊に工具を振り下ろす、はぐや森田さんの背中に作者の姿が重なります。
そんな姿に、ちょっと言い過ぎかもしれないけれど冒頭でも触れた編集部や、アニメなど他メディアのスタッフも賛同してくれているのじゃないかなあ、なんて思いたくもなってきます。アニメが本当に原作の呼吸そのままなことや、実写映画のちらほら入ってくる評判の良さをみていると、少なくとも原作がとても大事に扱われているのはよくわかりますものね。
今までの流れからして、ストーリー上救いのない、作品としても壊滅的な終わりかたには絶対にならないだろうという確信と信頼を私同様すでに皆さん持っておられるのではないかと思います。楽しみに心を痛くして見守りたいですね。
(や、てかフツーに面白いなーって思っただけなんですけどね。何か書いてみたら大げさになってきた…)
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この絵好きです。画集出たら買うかもなあ。
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神山健治 × 羽海野チカ『東のエデン』
おおお!
こちらで知りました。これは楽しみすぎる。
■★究極映像研究所★: ■神山健治 原作・脚本・監督 新作『東のエデン:Eden of The East』
現段階ではまだ公式サイトにはポスターのみですが。