うちの子タロー2歳半がね、最近いろんなものを怖がって号泣するんです、それも突然(稲川の淳二さん的な口調でお読み頂ければ幸いです)。
本当に突如として怖がって泣き叫びながら逃げ惑ってくるのでこっちもびびります。さっきまでニコニコ一人であれこれおしゃべりしながら遊んでるーと思っていたら「これやだ~~!!」と鬼瓦泣き(すごい形相で顔を四角くしながら泣くのでうちではこんな呼称)で台所まで駆けてきて、体当たりするような勢いで台所侵入防止ゲートにぶち当たって「怖い」ものを台所に投げ込んでくるのです。
一時はトミカが全滅でした。車のライトのあたりが目のように見えて、しかもそれが「おこってるからや」と。マスキングテープでふにゃっとした眉毛をつけてあげたりしてました。家中のトミカが下がり眉。それでもダメで結局しばらくしまい込んでおいたり。
そういうのも、想像力が発達してきたってことなのかなーとその都度眉毛をつけたり、求めに応じて目につかないところに隠したりしてきたのですが。
そんなある日のことじゃった。
タローが淡々と「これ、こわいー」と指をさすのです。
何もない壁を。
えっ?何?どれがこわいの?
TR「これ」
何もない壁です。
えーっと…
TR「このひと、だれかな?」
えっ。
TR「おめめがついてる」
えっえっ。
TR「ちょっとこわいかおしてる」
トミカの時のように取り乱したりせず、極めて淡々と状況説明の言葉を重ねながら壁の一点を見つめる2歳児。
TR「おこってるかおしてるから、こわいー」
そうか。うん、母ちゃんも今超怖いよ?
それをオットくんに話したら、
OT「タロー友人帳か( ´_ゝ`)」
ありがとう今ちょっと怖さ減った。
OT「タローは将来神谷浩史みたいな声になるのか~( ´▽`)ノ゙(しゃがみこんで頭を撫でながら)」
ありがとうもっと減った。友人帳の神谷浩史っていまや浮いてるよね神谷浩史キャラとしては。友人帳シリーズが始まった頃はここまで神谷浩史的なキャラが固定されてなかったんだろうけど、夏目くんちっとも滔滔と喋んないしツッコミもほぼしないし、もはやなんで神谷浩史が声あててるのか必然性を感じられないとすら。
OT「タローもそのうち滔滔と脳内で一人語りをするように( ´_ゝ`)」
うん、面白いから脳内だけじゃなくちゃんと声に出して母ちゃんに聞かせておくれ?
それはいいとして。
その後、そのインビジブル・パーソンには「ぬっくさん」という名前があることがタローの発言により発覚しましたが、「ぬっくさん、こわいー」とか、「ぬっくさんがこっちみててこわいから、たりょーかあちゃんのとこきちゃった」と洗面所で洗濯の準備をしている私の足元にぺしょんとくっついてきたりしていました。これまでだったら全力疾走ですがりついてくるのに、そういう苛烈な怖がり方じゃなく妙に淡々としているのが余計に怖い「ぬっくさん」関連。
うーんまあ、生きてる人間の方がいざとなったら強いって言うから大丈夫だよきっと。
ちなみに元ネタは『百鬼夜行抄』です。私実はそこそこ度外れた怖がりなので(20歳前後の頃に聞いた都市伝説系の怪談話が怖すぎてしばらく安眠できなくなって以来極度に苦手になった)、この「生きている人間の方がパワーが強いからいざとなったら気迫で何とかなる」という説にはものすごく励まされました。
あと、生きてる人にしろそうでないしにろ、不躾にじろじろと見るのは失礼なのであんまり見ないようにしておきな?
蚊に刺されとおんなじで、かき続けてるといつまでも痒みは治まらないし、じーっと見てるといつまでもいなくならないよ。忘れて他のことしてたらいつのまにかいなくなってるよきっと。
と、努めて平静を装いつつ主に自分に言い聞かせるように話しておきました。その間もじーっとじーっと「ぬっくさん」を見つめるタロー。ヤメて。マジで。
さらに、
TR「ぬっくさん、こっちにもいる」(反対の壁を指差して)
なにいいい!?
TR「こっちのぬっくさんは、こわくない」
そ、そう…ちなみにぬっくさんはいつからいるの?
TR「ずっといる」
さようですか。聞くんじゃなかった。
と、どきどきした日々を送っていたら、なんとあっさり、「ぬっくさん」とは、部屋に立てている二本の天井突っ張りポールだったことが判明しました!部屋の端と端に立てて、そこに大人はまたげる高さの柵を固定して、子供ゲートにしているのです。TVの配線やデッキなど、触られると困るものを隔てるために。なあんだ!ハイハイを始めた一歳の頃から立ててるからあまりに風景と化していて、何もないところを指差してるようにしか思えなかったよ!これが「ぬっくさん」だったのかあ!
と、ほっと胸を撫で下ろしたあひるちゃんでしたが……タロー目線ではそのポールにこの世ならぬ何者かが絡み付いていて険しい顔をこちらへもたげているのであった…なんてオチにはならないでほしいな。と切に願っています。マジで。