黙って笑って止まっている妻たち ~江國香織『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)
著者:江國 香織
販売元:集英社
(2003-06-20)
販売元:Amazon.co.jp
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数人の女性が出てきて、それぞれの生活、夫や恋人、友人との関係が描かれていく作品です。
とても個人的な感想ですが、いつからかエクニさんの小説はあまり楽しめなくなってしまった。その変化は彼女が結婚してから起きているのかも、とエクニ友人が言っていてその意味にちょっとショックを覚えたなあ。


ハードカバーが出た当時に読んだきりですが、何だか、身勝手な男とかそれを甘やかす女とかばっかり出てきたような。男女のあまりうまく働いていない関係の空虚さ、愚かさ、みたいなものをとても印象強く感じた気がします。
似た印象を感じた作品は、山本文緒の『眠れるラプンツェル』です。
眠れるラプンツェル (角川文庫)眠れるラプンツェル (角川文庫)
著者:山本 文緒
販売元:角川書店
(2006-06)
販売元:Amazon.co.jp
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夫からの海外みやげといえば、この話を思い出してしまいます。
夫が海外に行くたびに免税店でローラアシュレイの香水を買ってきて、匂いが好きになれないから一度も使ったことがないのに夫は毎年それを買ってくるからもう十何本も引き出しに溜まっている。。なんていう枯れきった妻のエピソードがありました。
(このエピソード、『薔薇の木枇杷の木』に載っていたものとしばらく勘違いしていました。最初はここにも間違ってそう書いてしまったのですが、後日友人から教えてもらって気づきました。大変失礼致しました)
確かに妻がまったくそれを使っていないのに気づかず惰性で買い続ける夫も夫だけど、気に入らないなら伝えてあげるのも愛情、というより礼儀レベルだよなあ、と折に触れて思います。そういうやりとりすらできない夫婦関係。それがローラアシュレイ十何本分。。
そういうのってもうどちらかの責任ではなくなってしまうのではないだろうか。
江國香織 – Wikipedia
好きな作品たち。
落下する夕方 (角川文庫)
原田知世と菅野美穂の映画も好きでした。

流しのしたの骨 (新潮文庫)
この大家族のありようがとても好き。エクニの中では一番読み返したかもしれません。

神様のボート
思春期の女の子の、ママよりも大人にならざるをえなかった悲しみが身を切るようでした。
うんー、このママみたいな人しか出てこなくなってしまったような気がする、ある時期から。

デューク
有名な良質短編。犬好きはバスタオルを用意して読みましょう。


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