「鳥坂さんがキライ」という人がいることに驚き

『げんしけん』と『究極超人あ~る』比較論、というものがあるらしいですね。



2つの作品を並べて比べること自体はともかく、ちょっとかなりびっくりしたのは「鳥坂さんがキライ」という人が存在することでした。


比較論についてはこちらにたくさんのリンクが貼られています。
オタクはどうして鳥坂センパイに憧れるのか?(ARTIFACTー人工事実ー)

私は『げんしけん』と『あーる』どちらもとっても大好きですが、まず両者を比べるという発想自体がなかった。
言われてみれば確かにどちらも文化部を舞台とした学園もの、という共通点がある。しかし両者を結びつけて考えたことはまったくなかったです。
なぜかなーと考えてみると、こちらのかたと同じような感じでした。

げんしけんとあ~る その2(活字うろうろ – 誰の挑戦でも受けない)
げんしけんとあ~るの違いについては、(略)ゆうきと木尾の作家性の違いが一番大きいと思っている。
四年生と五年生の延長上にげんしけんはある
し、あ~るはバーディーやじゃじゃ馬と通底するモードを持っている。前者は内向とかナイーブで後者は前向きとか明日へ向かってな感じ。】

そうそうそう。そうなんですよ。
ていうかそもそも『げんしけん』はキャラクターの内面や成長に重点を置いたストーリーもので、『あーる』は完全ギャグマンガですよね。キャラのパワーで作品世界をひっぱっていく系統の。そこは少し似通っていると言えなくもないけれど、物語の構成の仕方が全然違う。
掲載誌だって、『あーる』は『うる星やつら』などが連載中で飛ぶ鳥を落とす勢いだったメジャー少年誌週刊少年サンデーですよ。しかも20年近く前。
それと、暗くて濃くて掘り下げた内面描写が許されるようになった現代のアフタヌーンで、暗くて濃くて掘り下げすぎな内面描写が作風だった木尾士目が描いた『げんしけん』。

五年生(木尾士目)
大好きですがナニか?(゚Д゚)

それを並べて比べて批判してしまうのは、ちょっとフェアじゃないんじゃないかと。。
特に、鳥坂さんが妙に責められているのを見て思ってしまった次第です。「先輩後輩の上下関係がウザイ」とか、「鳥坂先輩がうざったい」とか。うーんそんなふうな責め方をされては、彼があまりに気の毒ではないかと。

こんなふうに鳥坂さん熱烈擁護派も存在するのですが。

げんしけんとあ~る
【「鳥坂先輩=人生の目標」という認識しかない自分には、たわむれにも「うざったい」という形容は思いつかない。ひどいよkanoseさん!】

(^▽^)

一方、どうも鳥坂さんキライ派の中には、鳥坂さんを「仕事がつまらないからといって卒業しても部室に押しかけ、狭い世界で王様気取り、責任を払う必要のない場所で好き放題」というふうに捉えているかたもいるらしい。

うーん、そこを取り沙汰して責めるのはどうかしら。。
それはすでに鳥坂さんではなく、自分の現実で「いやだったけれど文句を言えなかった先輩」を思い出して、その人を責めることにすり替わってしまっている。。ように見えます。
そうだとしたら、そこでどっちの作品のどの登場人物がどうと評価を下してしまうのは、フェアじゃないように思えました。

『あーる』はギャグマンガなんです。それもキャラもの。
「鳥坂さん」という主要キャラがいないと作品が成立しないから、卒業後もムリヤリ出させたと。単にそれだけ。「仕事がつまらないから部室に入り浸っている」なんてのは制作側の苦しい言い訳にすぎないのです。鳥坂さんが選んだことではない(そりゃそうだが)。

そもそも言われてみると、確かにキャラ作りとして矛盾が生じていることに気づきます。
当時読んでいて、すごく違和感を覚えたのを思い出しました。
鳥坂さんがつまらなそうに仕事をしていることに。

仕事中に半分寝ながらディスプレイに向かってる鳥坂さんの周囲を、コビトさんがピヨピヨ働いてる、という描写がありましたよね。そして17時になったら急にいつもの元気な鳥坂さんになって部室に向かう、と。

なんか鳥坂さんらしくないなあ(´・ω・`)とちょっと見ていてもの悲しかった。

ああいうキャラクターなら、次の世界に行ったらそこでも中心的に何かをやり出して、そこに新しい友人たちがたくさん集まってくるはずです。
でもそうすると、部室にきてるヒマなんてなくなっちゃう。

だから、「仕事は閑職で、寝ながら適当にこなして」ということにせざるを得なかったのではないかと。
よって、本来なら「卒業後も部室に入り浸る」という行動を取るはずのなかった鳥坂さんが、ずっと主要人物としてマンガの中に顔を出し続けることになったと。

って深読みしすぎですが。
そこに矛盾が生じているからといって、まあギャグマンガですから。あのマンガ最大の魅力であるドタバタ進行を優先するのは仕方なかったと思います。
ともかくも、そこを理由に鳥坂さんを責めないであげてほしいな、と思ったの。彼のせいではないのです。

 *  *  *  *  *  *

私も自分が高校の時に『あーる』を読んでいたものですが、「鳥坂先輩=人生の目標」とまでは思わなかったな。だって自分にはなれないから。あれには器が必要です天性の。
鳥坂さんという人物は、
強い引力と、
面白いことを見つける才能と、
実行する行動力を備えた、
すっげえカリスマ先輩。
だと思っています(現実にもこういう人っていますよね)。

私は、自分はああはなれないけれど、ああいうヒトにくっついて歩いて、なんかおもしろいことに巻き込んでもらえるのが大好き。そういうスタンスで今日まできました(リアルの人間関係の中でも)。
なので先のリンク先・活字うろうろさんの「たわむれにも「うざったい」という形容は思いつかない。」というところには100%同意。

でもそういう人物によって、自分のペースを乱されて疎ましく思ってしまう人もいるのかもしれない。うるさいとかジャマとかいって責められる、それならもう好みとか相性の問題ですから….仕方ないことなのでしょう(´;ω;`)。そんなきらうまでせず、ナマ温かい目でスルーしてあげてほしいなと個人的には思いますが。


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“「鳥坂さんがキライ」という人がいることに驚き” への9件の返信

  1. あひるさんの深読みなとこスゴい好きですよ!
    キャラクターや作家さんや当時の時代背景とか
    全部ひっくるめて根っこの部分が見えてくる
    感じがします。
    部室に入り浸る卒業生とかの表面的な共通点だけで
    くらべるのって、やっぱりちょっと違いますよね。

  2. わたしもどちらも好きだけれど、そこの比較ってびっくり。分析すごい!全体的賛同です。
    >「いやだったけれど文句を言えなかった先輩」を思い出して、その人を責めることにすり替わって
    うんうん。そう思いました。
    そういうふうに見える、と思う人は、基本的に、部室に用もないのにわやわやいて、なんとなくぬるく楽しいね(なんか濃い人もいるなあ)、という雰囲気自体が好きではない人なのではないかなあ(雰囲気の好き嫌いってどうしてもありますよね。)。
    それに、あの世界では、「鳥坂さん」の行動をネタとしてみんながとらえている、という土壌があるからこそ、成立しているように思うし。退いちゃう人は歓迎会で来なくなってますねきっと。
    女子校で、部活もわりとさくっとしていたので(楽しかったのですけれどね)、ぬるーいの好きな私は、読みながらあ~るワールドにとても憧れていたのを覚えていますw。

  3. >たくあんさん
    >あひるさんの深読みなとこスゴい好きですよ!
    うっありがとうございます。そういって頂けると嬉しいです。
    そう、表面的な部分にとらわれすぎてしまってる気がしたんですよね。うん。

  4. >yanaさん
    ご賛同ありがとう。うん、確かにああいうぬるゆるい雰囲気自体に馴染めないという人もいるんだろうね。歓迎会でこなくなる(爆)そうだろうなあ。
    >「鳥坂さん」の行動をネタとしてみんながとらえている
    >、という土壌があるからこそ
    (爆)優しい土壌だよねえ。でも誰も相手にしてあげない鳥坂さんって想像するだけでかわいそすぎる。
    >ぬるーいの好きな私は、読みながらあ~るワールドに
    >とても憧れていたのを覚えていますw
    うんうん、それも多く言われてるよね。
    うちの高校の部活はまさに光画部みたいだったかも。ああ~だから煙たがられてるとかなしくなるのかな。実在したからねえ、鳥坂さんとかたわばさんとかあ~るくんみたいな人たち。あの人たちが責められてるような気分に。

  5. 【blog運営メモ】山本先生効果でアクセスが増えています

    自分メモ。
    「山本正之 ヤッターマン」の検索結果であひるが上位にいるため、普段の2.5倍くらいのお客さんが訪れています。

  6. >『あーる』はギャグマンガなんです。それもキャラもの。
    >「鳥坂さん」という主要キャラがいないと作品が成立しないから、卒業後もムリヤリ出させたと。単にそれだけ。
    >あのマンガ最大の魅力であるドタバタ進行を優先するのは仕方なかったと思います。
    等々の部分に特に納得。
    作品としての指向性を無視して「オタク」「人間関係」という”部分”を抽出してばかりな論調が多過ぎる。文脈を読んでいない。ある種、思い入れが深いからこそだとは思うのですが、権力やらなんやら作品に込められたメタファーと言いたくなったらその前に、要素はどういった要求によって生まれ構成されているのか、再確認してみるのもいいかと。
    単純な好き嫌いならしょうがないけれど。でもそれなら、持論の材料にしちゃダメだ。
    個人的には、微笑ましいとは思うものの、鳥坂先輩は実際に身近にいるとしんどいかもw憧れるというのもないですし。あくまで好きは好きなのですが。

  7. こんにちは、コメントありがとうございます。
    > 単純な好き嫌いならしょうがないけれど。でもそれなら、持論の材料にしちゃダメだ。
    そうですね、うん。その時点でバイアスが入っていることをちゃんと自覚しながら話したり、聞いたりしないと。
    といつも思いますいろんな場面で。難しいですけどね。怒るとおなかがすくじゃないか。
    > 個人的には、微笑ましいとは思うものの、鳥坂先輩は実際に身近にいるとしんどいかもw憧れるというのもないですし。あくまで好きは好きなのですが。
    ぶはwでもわかります。疲れはしますよね。

  8. 究極超人あ~る × 涼宮ハルヒ

    ぷは、ちょっと面白かったメモ。
    「春高(あ~るの世界)にハルヒがいたら」的お話でみなさんまったり盛り上がっております。
    ■あ~る田中一郎とキョン。どっちがつらい? :アルファルファモザイク
    早い内に出ちゃってる結論。
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    確かにww
    究極超人…

  9. パトレイバー上司比較、内海さんと後藤さん

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