でね。いきなり。赤ちゃんムービーに初心を思い出した続きです。
先日、幼稚園で、鏡開きの行事があったのです。
うちの園、園長先生がお寺のご住職でして。でもいわゆる仏教系の園ではなく、たとえば「クリスマス禁止」みたいなことはないし、キリスト教系みたいにミサの時間があるだとか、食事の時に神様にお祈りしたりもしない。
(幼稚園選びの時期にあちこちを見学してみて、うちはオットも私も無宗教だし、それなのに子供だけが幼稚園で宗教的な考え方や振る舞いを教えられても、家庭内にギャップが生じてしまいそうだなあ…と思い、宗教系ではない園にしよう、ということにしたのでした)
でもきちんと手を合わせて「いただきます」は言う。
園長先生が、食べ物を「頂く」というのはこれこれこういう意味なんだよ、だから感謝の気持ちを忘れないように、というお話をたびたび子供たちにしてくださるので、何というか、宗教宗教しているわけではなく、でも日々の生活での礼儀作法はきちんと、その裏にある意味まで教えて身につけさせてくれる、という、とっても良い塩梅の園でして。
で、おもちつきや鏡開きなんかの行事も、園長先生がご厚意で、子供たちに日本の伝統行事を体験してほしい、っていうんでたびたびやってくださるんです。すべて園長先生のポケッツマニー!すごい。
幼稚園、保育園選びであちこち見学に行っていた時期に、弟ヨメちゃんが「宗教系の園は資金などの面で経営に余裕がありそうで、保護者のニーズに応える体力がありそうだなという印象を受けました」と言っていたのが印象的だったのですが、なるほどと納得しています。
七夕の時には園長先生みずから裏庭から笹を切って持ってきてくださって、笹待ちで子供たちのその日のスケジュールだだ狂いだったりとかまあそういう困った面も若干あるんですがね(一番困っているのはその園長先生の熱意に翻弄される現場の先生方で本当にご苦労様です…でもみんな朗らかに働いてらしてありがたい…)
保護者の参加も自由だからいわゆる「行事が多い園」にありがちな、保護者の労働力をあてにしていて親大変…っていうこともなくて、むしろ参加すると楽しいのでなるべく毎回顔を出すようにさせていただいてるんですが。
今回もですね。長いね話が。すいませんやっと本題で。
鏡開き、という行事の由来から。まず昔の丸い銅の鏡の説明から始まって、しかもパワポみたいに、A4用紙に銅の鏡の画像を印刷してきて子供たちに見せながら説明されていて(パワポじゃなくて紙ポ?)。幼稚園の子供たち相手にわざわざそんなことまでするんだな~。ていうかあの丸い鏡が語源だったのか。大人も知らなかった。
で、その鏡をかたどるから丸いお餅なんだけど、丸、という形は、心の持ちようも表しているんだよ、と。カリカリしていたり怒ってばかりだと、心も四角く、とんがってる。だけどまあるい心でいると、笑顔で穏やかな気持ちでいられる。お友達にもそうして、まあるい心で仲良く接しようね、と。お父さんお母さんにも、まあるい感謝の心を持とうね、と。
ええお話や…ええお話やないですか。
それから、鏡餅を食べると、今年一年健康でいられる、という言い伝えがある。
昔は、お医者さんなんてものはその辺にいなかったし、薬も今のようにたくさんなかったから、具合が悪くなってもお医者さんに診てもらうなんていうことはなかなかできなかった。だからみんなのような小さな子供を持つお父さんお母さんたちは、祈ることしかできなかった。どうぞうちの子が、元気で健やかに育ちますように、と、子供の健康や無事の成長を祈ることしかできなかったんだよ。そういう、きみたちのお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんと同じような、昔の人たちの祈りが、鏡餅を食べると、この一年を元気で過ごせる、という言い伝えに込められているんだよ、と。
ええお話や~!ええお話やないですか~!
もう泣きそうです。マジで。じっとお山座り(体育座りのこと)して先生のお話に聞き入っている子供たちの後ろで母ちゃん号泣寸前。
でも私だけかと思ったら帰りに話した何人かのお母さんたちもみんな言ってた。
「まあるい心で、って、お正月怒ってばっかりだった自分を反省した!」「わかるー!てかお正月やっぱり大変だった!?大変だったよね!?」「もうさ~、ダンナに腹立って腹立って!」「わっかっる~!」おまいらまあるい心はどうしたと。いえ、オットもがんばってくれるんだよね、それもわかるんだけど、あまりに家にずっと一緒にいるから至らない点ばかりが目についてね!わっかっる~!っていう。
そんな話で盛り上がったりしたので、私だけではなかったようです。
園長先生、さすがその道ウン10年のベテランご住職だからお話が上手。面白くてためになる。子供たちも真剣に聞き入っていました。またたびたび子供たちにも質問したりして、上手に聞かせるんですよね。すごいなあ。
親もためになりました。まあるい心持ち、忘れないようにしたいと思います。
それから、祈ることしかできなかった昔の親御さんたちの気持ちも忘れず、現代の恵まれた状況に感謝しながら。
祈ることしかできない、というのは、究極的には現代でも変わらないところだとも思います。不運や災厄に見舞われないように。できる限りの幸運が、子供たちを護ってくれるように。小さな園なので、もうクラスの子供たちやそのきょうだいまでみんな親戚の子みたいな気持ちになってしまって。みんな元気にすくすく大きくなってほしいな。
そんな鏡開きのお話でした。
なにこれおせち!!超かわいい!!