松坂桃李くんが大変なことになるらしい『娼年』に、一条ゆかりの漫画を思い出した

娼年 (集英社文庫)
石田 衣良
集英社
2004-05-20


ネットでふと見かけて、気になって検索してみたらえらいことに。

石田衣良原作の小説『娼年』が、映画化されるんだそうで。
主演は、数年前の舞台化の時と同じ松坂桃李くんだそうで。
で、何をやってもつまらない、というモラトリアム男子高校生が、ある日友人男子の紹介で出会ったのが女性専用のコールガールならぬコールボーイを斡旋している女性、そこで主人公は女性を相手に身体を売る、娼婦ならぬ”娼年”になる、というストーリー。
を、舞台でって…?

と検索したら、えらいことになってたようです。

まずは真面目なレビュー。

「延々とセックスを見せる」という表現手法 舞台『娼年』観劇レポート | 【es】エンタメステーション

こちらのレビューは抱腹絶倒系。より詳しくて超面白かったです。

松坂桃李も親に見てほしくないらしい【娼年】がR指定すぎる件~ネタバレ・感想~ – 腐ったみかんは俺かお前か?

「お互いのマロニーちゃんを見せ合う」ってナニ??ドコ??
謎すぎる。
「もう松坂ぁー!!松坂ぁぁー!!」って何度もテイクオフしてらっしゃって超笑いました。
こりゃあ…親には見てほしくないだろうな…すごいな…うちの子が万一こういう世界に進んでこういう作品に出たら、こっそり観に行って「あんたなかなか良かったわよ」とか言ってあげよう(やめたげて)。「でもあそこでああされても女としてはちょっとねえ、もっとああしてくれないと」とか(やめたげて!)

なんか、映画ならかなりのエロさでも納得できるっていうか、似たような作品がいくらでもあるけど、舞台で!となるとすごいですね。
様々な角度からセックスを題材にした舞台というのは確かにあって、「舞台なのにかなりリアルな濡れ場があった」と話に聞いたりしたことはありますが、それが連続して!次々に!てかほぼ全員と!ってすごいな!

あと、『娼年』のストーリーを聞いて一条ゆかりの漫画を思い出しました。『正しい恋愛のススメ』。
(石田衣良さんの原作未読なので、全然違ったらすいません)


これこれ。全5巻です。面白かった。
(メインストーリーは4巻完結で、5巻はサイドストーリー集)

何をやってもつまらない、というモラトリアム男子高校生が、ある日友人男子の紹介で行ってみたのが女性専用のコールガールならぬコールボーイ斡旋所、そこで主人公は女性を相手に身体を売る、娼婦ならぬ”娼年”になる、というストーリー。

一条ゆかりの漫画では、ここからがお客さんの1人と本気の恋愛関係に入っていって、それがストーリーの主軸になっていくので『娼年』とはちょっと違うけど。

そういえば、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』にも少し似た状況が出てきますね。主人公は30代だから少年ではないけれど、様々な女性を相手に、娼婦的なことをする。具体的にマロニーちゃんを出したり入れたりするわけではないのですが(ってマロニーちゃんが何のことだかわかってないからますます意味がわからないかもしれませんが)、主人公が「自分のやっていることは娼婦と同じだな」と考える場面があるのです。

その中で、主人公(そして主人公にお客を斡旋している女性)が相手にする女性たちは、いずれもおそらく生活水準の高い、中年以上の女性で、全員が身体の中に「何か」を抱えている。得体の知れない、蠢く何か。捕まえようとするとぬるりと身をかわして逃げてしまう。マロニーちゃんか?これがマロニーちゃんか?マロニー捕まえにくいですよね、お箸の先からちゅるんと逃げていきますよね。でもおそらくあんな牧歌的な何かではない。

前にもちらっと書いたんですが、ハルキさんはこの、「女性たちが内に抱えている、女性たちを蝕む『何か』」にたびたに目を向けて、描写してくれますよね。私自身にもそれが何なのかはわからないんだけど、でもあると思う。女性たちの中に。自分の中にも。これは何なんだろう?

石田衣良さんの原作小説も、そういうものを探り当てようとしているのかしら。今度読んでみようかな。

あと思い出すのは山崎紗也夏『シマシマ』。
あちらはマロニーちゃんを見せ合ったりはなし、添い寝オンリーで、やっぱり現代社会で疲弊している女性を癒すことが目的、という。ドラマにもなってましたよねー、けっこう好きでした。
これもやはり、「何か」を抱えて眠れない、心も身体もバキバキ…という女性たちの話だったな。そこに出てくる添い寝をするだけの男の子たちは、やはり性欲にガツガツしてない、さっぱり爽やかで小綺麗な人たち。この時点で女の都合の良い妄想かもしれないけど。

『正しい恋愛のススメ』のレビューで、売春を肯定してる!とか考えが浅い!とか怒ってる人もいて、あらら…そう言われてしまうとすいませんそんなの読んで面白いとか思っちゃって…と小さくなるしかないんですが、何というかその、女の妄想をたまには肯定してほしいというか、いや肯定までしなくてもいいんでそっとしといてほしいというか、やっぱり世の中、女性のセックスとか性欲とかマロニーとかに対して圧倒的に厳しいと思うんですね。禁忌扱いというか。今でもまだまだ。それをもっと緩めてほしい、緩めたいな、と思うけど抵抗もあって(このあひるちゃんですら一応抵抗があるわけです。平気でマロニーとか言ってるように見えるかもわかりませんが)。

そういう女性たちの焦れた思いを、フィクションで表現しようとしていたり、読んでやり過ごそうとしていたり、するんじゃないかな。と思ったり思わなかったりしました。

似た話題で前に書いた記事。
February 13, 2008 悪霊島 岩下志麻といえば、女性が1人でいたす映画まとめ(やや真面目に)

ナツメグとシナモンが登場する第3部好きです。



矢田亜希子さん主演のドラマ版!悪くなかった気がします。



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