アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』面白かったよ!(ちょっとだけネタバレ)

シャフト打ち上げ花火、観てきた!!
良かった!

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

最初にネタバレなしのざっと感想。

ネットの噂は「酷評マーケティング」じゃないか?と思うくらい良かったです。まあ雑すぎるCGなどツッコミどころは色々あったけど、原作のあの感じを増幅してたたみかけてくるアニメオリジナル展開のアグレッシブさ、私は好きでした。

『君の名は』ほどド派手などんでん返しや世界を救ったりはないけれど、家庭内のゴタゴタで傷ついた一人の女の子の今後の人生を明るく照らすには十分な、夏の思い出を作ることができたんじゃないだろうか。一人の男の子の頑張りで。

あとね、主演の二人、棒じゃないよ!
て言ったらそもそも原作ドラマが棒だったじゃない、主演子供だらけで!
だからそこが心配な人も安心して観に行ってください。
劇場で観た方が良いんじゃないかと思いますよ、これ。映像も音楽も美しい。

あと教えてちゃん。ゲームに詳しい人、典道たちがやってるゲームの函体が何かわかったら教えてくださーい(一緒に観に行った友人が気になったけどわかんなかったって言ってた)。

以下、ネタバレリンク紹介なども交えて、もうちょっと細かく感想。ちらほらとネタバレを含むのでご注意ください。書いてみたらすっごい量になったのでおヒマでネタバレとかあひるちゃん的先入観とか大丈夫なかただけどうぞこちらへ…。
ほんっと思ったことと知ってること全部ダダ漏れに書いちゃったので、ちょっとでも観に行こうかなという気持ちがあるかたはこの先読まずに先に見てください!観たら戻ってきてね。そして感想をコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。

(ここから少しのネタバレ感想です)

・主演の二人、棒じゃないよ!て言ったらそもそも原作ドラマが棒だったから!
そうなんです。原作は主演の二人もクラスメイトも子供たちばっかりだったから、そもそも演技は棒でした。でも典道くんが病院行った時の受付で「スイマ…すいません」と声裏返っちゃったり(またこんな細かいネタをちゃんと今回のアニメでめっちゃ上手に再現してた!!)、ところどころ光ってましたが、そもそも子供二人ですから。なので今回主演の広瀬すずちゃんと菅田将暉くんも、そりゃアニメ声優と比べたら小慣れていないしゃべりかたでしたが、それが中学生になりたての二人の幼い感じを出していて、良かったんじゃないかと思いました。
あとなずながお母さんに連れ戻される時の悲痛な叫び、広瀬すずちゃん超うまかった。女の子役の声優さんは叫びが良いかどうかだとシータ以来(ラピュタのですよもちろん)思っているので、超オッケーでしたよ。

・CGどうにかしてほしいおす。
内容について、冒頭から書き始めたらまずはダメ出しになってしまった。
あのね、オープニングがね、主人公の中学生男子たちの登校風景で、自転車やスケボーで坂がちな海辺の町を疾走し、そこに軽快な音楽が重なって夏の朝の空気感とともに彼らの一日と物語が幕を開ける、ワクワクするシーンが始まったと思った途端に引きになったらCGで。
もうまんまガッツポーズ外人の逆回し気分でした。おおおお、とガッツポーズで前のめりになったのにヘコいCG見せられて真顔で座席に戻りました。

さっきまで顔のアップや足元や車輪のアップとテンポよくカメラワークを切り替えてスピード感も心地よく描写してくれていたのに、海辺の道路に出るあたりでカメラが引いた途端、美しく描き込まれた海辺の町の背景を、小さいぺらっぺらのCGの人形がぺらっぺらな動きで糸で引っ張られてるみたいにつーっと右から左へ動くだけのつまんない映像を映画館の座席に座って見せられている自分、と意識めっちゃ醒めた。(隣に座ってた人なんて失笑してました。うんわかる)

このたった数秒だけでも、オープニングの、客を物語の世界へと誘(いざな)う重要な数秒間だけでも、走る主人公たちを手描きにしてほしかったけど、それもできないくらい今のアニメ業界ってお金や人手不足が深刻ってことなのかなあ、と、ますます日本のアニメ業界を憂えながら映画館の座席に座っている自分感。没入させて。もっと物語に没入させてほしかったおす。
その後も走る系のシーンは細かいところまで全部CGで、そのたびに目についてしょうがなかった。

あと、なずなの妄想も背景フルCGで、うーん、非現実感を出したかったのかもしれないけどいかんせん今度は技術的な問題以前に「夢の世界」のイメージがバブルすぎる。古い。シンデレラ城みたいなの。お城とクリスタル。それ、今時の女の子が夢見て憧れる世界かなあ…?
このバブルすぎる夢の描写も、一緒に観に行った友人が指摘していてなるほどだった「時代設定が曖昧」という難点につながるかも。

・時代設定が曖昧
80年代なのか、それとも現代に置き換えているのかがちぐはぐだった、と友人。確かに!
子供たちが好きな人の名前を叫ぶシーンで「観月ありさー!」が原作そのまんまだったのに、なずなの夢の中ではスカイツリーが出て来たり。観月ありさを残すなら東京タワーにするべきだったのでは?その辺のツメの甘さはありましたね。

・大人としての子供へのいたわりを感じる原作のセリフがカット
もう1つちょっと残念だったのは、冒頭でなずなが先生に親からの手紙を持ってくる場面。中には再婚と引越などの家庭の事情、それによる転校願いが書かれていたことが先生同士の会話で伺えるのですが、原作実写版では先生が「子供にこんなもの持たせるなんて」って呟くんですよね。そのセリフが今回のアニメ版にはなかった。それがけっこう残念でした。

映画『寄生獣』のダメ出しにも書きましたが(あひるちゃんは唐突に『寄生獣』の話を出すよ?)宇田さんが「これはもちろん君のお母さんなんかじゃない。でも、やっぱり君がやっちゃいけない気がする」という、ああいうセリフや、今回の原作の方の「子供にこんなもの持たせるなんて」に現れている、子供に対する大人としての振る舞いの、大げさにいうと哲学のようなもの?自分ではまだ色々なことを選べない子供に対して、経験値と選択肢を多く持つ者としての気遣いというか。こういうところに、書き手さんの考え方や価値観、人生観?がふと感じられて好きなんです。
でも今回はそこがカットになっちゃってたのでちょっと残念だなーと。

それからもう1つ、なずなの義父(アニオリキャラ)が、典道をぶん殴るんですよね。グーで。あれやりすぎ。ドン引き。なずなを連れ去られるのを止めようとしがみつく典道を、なんだお前離せ!とグーでぶん殴るの。それ完全にアウトな人じゃん。なずなの新生活暗雲が垂れ込めすぎじゃん。悪い予感しかしないじゃん。
離せ!と振り払おうとしたらはずみで当たっちゃったとか振り払った拍子に典道吹っ飛んじゃったとかで、義父ちょっと狼狽えつつも立ち去る、くらいにしてくれないと逆に現実味がなさすぎる。今時子供を躊躇いなくグーで殴る人とか通報事案が発生じゃないですか。その辺が雑。アニメ的、記号的で現実味のない行動をそのまま登場人物に取らせてしまっている。もうちょっと考えて欲しかったなあと。
…あるいはあそこでガチで義父のダメ人間っぷり、事故物件っぷりを提示しているつもりなのかなあ…そしてなずな母の男を見る目がなさすぎっぷりも同時に?意図的な脚本なの?…そっちの方がヤダ(泣)。

でもね、そんなちょっと気になったなー、というところを押して余りある美点もたくさんありましたよ。

・「キャラデザが高校生にしか見えない」のが失敗だったのであって、中学生にしたこと自体は良かったと思う。
主人公たちの年齢を小学生から中学生に変更したことが原作ファンから酷評されていますが、それはまあ、良いんじゃないかな?と個人的に(いや全部個人的な感想ですが)。
問題は作画が大人っぽすぎて高校生にしか見えなかったことで、もっとちゃんとはっきり「中学一年生」と打ち出して、見た目ももっとちゃんと幼くすれば良かったのでは。

確かに「小学生だから良いのに!」というご意見もものすごくわかるし、原作の魅力はそこだったのですが、そこまで同じにしてアニメで焼き直しても仕方ないというか、前にも書いたのですが、もう20年前とは時代が色々違うので、小学生主人公のままであの原作の空気感を出すのは難しいのかもしれない、なんて思いました。
それから声の配役も、小学生だと大人が演じるのは無理があるし、本物の小学生や中学生を起用するのも、原作実写版以上のたどたどしさをアニメで90分続けるのはちょっと厳しいような…(アニメ『放浪息子』のような現役中学生キャストで大当たりもありましたが)。

ストーリー的に見ても、原作実写版と違い、アニメの方の中学生の彼らは、自分たちがまだ未熟で、親や大人の都合に人生を振り回される、住む場所も引越先もタイミングも、自分では選べないことをちゃんと知っている。だからこそ、「今日だけは二人きりでいたい」と強く願う。その強い気持ちがタイムリープを引き起こす。
原作の小学生たちのように大人の都合にただ傷つき逃げることしかできない状況よりも、自分たちで選択肢を手の届く範囲に限定しているあたり、私にはこのアニメの設定の方がより一層切なく感じました。

また、移動した先が何かおかしな歪んだ世界だった場合にも、典道はちゃんと「この世界はおかしい、現実に戻らないといけない」と言う。これは少なくとも主人公を小学生のままにしておいたら言わせられないセリフだし、中学生にしても大人びていると思うけれど、そこがより、現実の大きさ、重さをもう薄々分かっている年齢の発言で、切なさ倍増。

原作ではなずなは典道に転校の事実を伝えず、夜中のプールで「次に会えるの、二学期だね。楽しみだね」とだけ言うんですよね。あれはあれで大層余韻のある美しいシーンですが、今回のなずなはちゃんと典道にも自分の境遇をしっかり伝えていて、それゆえに典道にもちゃんと選択肢が発生する、という展開もわりと好きでした。最初のプールの時からなずな一緒に泳いじゃうしね。そして男子二人よりも滅法早い。

にしてもなずなたんのような危うげな美少女とこんなことやあんなことになっちゃって…典道はほんと人生踏み外したな。あんな初恋忘れられるわけないし。原作実写版では奥菜恵ですからね。あんなのチートだろ。同じクラスに奥菜恵いたら女子は全員暗黒時代ですよ。ナッパの群れにフリーザ紛れてるみたいな。紛れてない。ちっとも紛れてない。全員瞬殺。酷いと思います。

・原作ドラマのDVDにも入っていない、TV放映時のタモリさんの後説について
そういえば原作『打ち上げ花火』のDVD、Blu-rayにも入っていない、ストーリーに重要なカットがあったのです。当時TVで観ていた記憶だけですが、鮮烈だったので覚えてる。あとでDVDで見直した時に入ってなくてびっくりした。

『If もしも』というドラマは、『世にも奇妙な物語』の後番組で、タモリさんがストーリーテラーでほぼほぼ世にもと同じ形式でした。オムニバスのショートストーリーの前と後にタモさんが出てきて一言言う、みたいな。
この『打ち上げ花火』の時は、先に触れたラストシーンの夜のプールでなずなが「次に会えるの、二学期だね。楽しみだね」と言ってから背中を向けて泳ぎ去る、そこで本編は終わっており、DVD版にもここまでしか収録されていないのですが、TV放映時にはこの後タモさんが出てきて、「典道は二学期に学校へ行って、初めて担任からなずなが夏休みの間に転校していたことを知らされるのです」みたいな一言があったのです。そこでようやくエンドロール。この余韻!この切なさ!
このタモさんの一言、なくてもまあ、物語的に支障はないのかもしれないし、映像作品としてはいきなりのタモさん唐突すぎるから割愛もやむなしなんでしょうけど、もったいない気もすごくする。せめて愛蔵版みたいなものには納めてくれたらいいのになー、とちょっと思います。

さて。

(ここからラストの一番盛り上がるシーンについて書きます。ネタバレしたくない人は回避してください)

・けいすけにも渡される、「もしもこうだったら」という優しい未来の欠片たち
ここがね、アニメ版のすごくグッときたところでした。
最後、キラキラと降り注ぐとあるアイテムの破片。そこに、それぞれの人物が抱いていた「夢」、「理想の未来」が映るのです。
キャラデザのせいで散々な酷評されちゃっているcv宮野真守けいすけくんですが、彼にだってなずなと仲睦まじく花火見物をしていた可能性もあったかもしれない。それからなずな。もしも誰にも邪魔されず、典道と電車に乗って、東京に着いていたら。片田舎の女の子が夢見る、好きな男の子とのきらびやかな東京デートの場面の数々。もうこれ。

そしてここのBGMが満を辞しての「Forever Friends」 です!!

この一連のシーンから溢れる優しさに、私は今回のアニメ版製作者さんたちの、「もしも『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』がこうだったら」という理想、叶えたかった夢を見ました。皆さんきっと原作が大好きで、心を揺り動かされて、それを自分たちの手と培ってきた技術で現代に蘇らせる時、愛すべき登場人物のそれぞれに、こういう形で救いを渡してあげたかったんじゃないかと。

それで、典道の目の前にはやはりなずなとの未来の欠片が落ちてきて、意を決してそれを掴むのですが、そこであれを思い出しました。うる星やつらの因幡くんの回。

うる星やつら’87 夢の仕掛人 因幡君登場 [DVD]
平野文
ファイブエース
2000-08-19


様々な未来へ通じる運命のドアの管理人、因幡くんと、いつものうる星メンバーのドタバタでね、あたるくんとラムが結ばれる未来がどのドアを開けてもちっともなくて、ラムちゃん傷つくわけですが、あたるくんが普通に2人が結婚する世界のドアをやっと見つけて、その「未来」を守るために必死になるんですね。一瞬だけね。それをラムちゃんが見てまたうっかり感動しちゃうっていうあれ。あたるくんのこの省エネな愛情ったらずるいですよねほんとに。
っていうあれをふと連想しました。ああ、2人の未来をちゃんと掴んでくれるんだなあ、と。
そんなこんなが色々と重なってツボだったので、私はこのアニメ版好きでした。

たとえ、夜の学校のプールのシーンがなかったとしても!!

衝撃ネタバレ。皆さん!プールはありません!この列に並んでもプールはありません!ファビュラスもありません!(叶姉妹のコミケの話もそのうちまとめたいです)
なんと!暴動が起きそうなこの驚愕の事実!
今回は、原作実写版では一度きりだった時間遡行が何度か行われるのですが、そのたびに、次か次かとガッツポーズ外人でした。次こそプールか!?次こそか!?と。たぶん岩井ストの皆さん(今勝手にぬるっと出てきた造語です、岩井俊二作品に心酔している人たちのこと)おんなじ心持ちだったのではないかと思いますが、今か今かとプールを待ちましたよね!?
それで夜の海でなずなたん脱ぎ出して泳ぎ出して、目線をこっちに固定した挑発的な笑顔のままかがんでサンダル脱ぎ捨て海に捨て技にはハートを撃ち抜かれはしたものの、そこでForever Friends流れ始めちゃったらくぇええええ(って普通に「ええええ」って打つつもりだったのにミスタイプが怪鳥みたいになっちゃったけどこの方が切羽詰まった感じが伝わるからいいか)プール無し!?まさかのプール無しなの!?神よ!!なぜこのような試練を我々にお与えに!?と絶望しかけませんでしたか?皆さん!(誰)

たぶん岩井ストの中でも、ここで絶望したまま戻ってこられなかった人も多いんじゃないかと。それっくらいプール重要。ライブをやらないハルヒ。ポケットの中をまさぐらないドラえもん。クールな美声で流暢に喋るクレしん。そのくらい重要。
でも私は、先に述べたような理由で(もう小ネタが長すぎる上に子育て中で数日かけて細切れに書いてるから自分でも何をどう書いたか流れがよくわかんないよ)、プールがカットだったにも関わらず、アニメ版のこのラストの盛り上がり、とても胸に迫りました。

ただね、欲を言えば、2人の水中での〇〇はためらってほしかったな!一瞬ためらってからガブッと行って欲しかったな!(中学生だからガブって擬音はないだろ)

・傷ついている女の子を、男の子が救ってくれる話
それからさらに極個人的な感想。
家庭内など逃れられない場所でつらい思いを強いられている女の子を、男の子が救い出してくれる、というシチュエーションに弱いので、そこもグッときました。そこには何も超常の力は必要ないのです。ただ善良な男の子、それだけでいいの。そこに勇気をもらえる。それだけで救いになるし、女の子の方だってただ手をこまねいて王子様を待っているわけじゃなく、そういう誰かのまなざしが自ら檻を壊してつらい現状から抜け出すための原動力になるのです。だからなずなはもう大丈夫だろうな、と思う。典道のおかげで翼を得た。典道は知らん。なずながそうして大人になって、本当に結ばれる相手は典道じゃなくてもたぶん良いんだと思う。ブースターになってくれた初恋の人、という位置付けで。だが典道はあんな強烈な思いをしちゃったらもうなずな以外目に入らなくなっちゃってめでたく新海誠の世界へ仲間入りです。ようこそカルピス原液の世界へ。酷いな。色々酷いな。でもそんな気がする。ああっじゃあ最後の最後のシーンで典道が旅立った先は新海誠の世界線だったのか!?
ほんと色々酷いけど勝手に納得しました。すいません。色々すいません。

・映画館すかすかだった!(泣)
余談。
ガラガラ、まではいかないけれど、すかすか…。平日とはいえ、夏休み中、封切り最初の水曜レディースデーのお昼時にTOHOシネマズ新宿に行ったのですが、すかすか。
ただ、TOHOシネマズ新宿ではなんと3部屋同時上映しており、私が観たのは比較的大きな部屋だったせいもあるかもしれませんが、3部屋同時上映って大きく出たな~という感じ。売れるといいんだけど…でも作品がすごく良くても、映画館ガラガラだとなんか、感動が下がる気がするんですよね…こんなにも良い作品なのに、こんなにも求められていないのか…と、またガラガラの劇場の客席に座っている自分のぽつん感に意識がいってしまって。なので、みんなに観てもらえるといいな、この映画がツボな人のためにも、と思いました。

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以下、関連リンクメモ。リンク先は超ネタバレですのでご注意。

こちらのおふたかた共に、「声の演技も言うほど棒じゃないよ!酷評されてるほどひどくないよ!」というスタンス。同意。
【ネタバレ感想】アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 観てきたけどクソ映画じゃなかった! : オレ的ゲーム速報@刃

【レビュー】酷評と話題の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』見に行ってきました。まずは自分の目で確かめて欲しい、そんな作品だった。:はちま起稿

こちらのブログも興味深く拝読しました。そうそう!と頷いたり、ほんとだ気づかなかったけど言われてみれば!という点が多々。

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想と解説、批評 賛否両論!? シャフトの味がこれ以上なく出ていたでしょう! – 物語る亀

「君の名は」との比較、もっと言うと「君の名は」劣化版だと批判されている点について。

主「君の名は。と本作の内容を比較することは『ジュラシックワールド』と『シンゴジラ』を同じように怪獣が出てくるパニック映画として比べる、というくらいに変な話。

(中略)

主「本作と比べるとしたら『劇場版まどマギ』であり、さらには『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』の方が分かりやすい。

「新海誠は岩井俊二作品の影響を受けている」というお話。なるほど!言われてみれば!!

『君の名は。』の新海誠は岩井俊二作品の影響をもろに受けていて、それは作品にも見事に現れている。

 例えばさ『打ち上げ花火』のドラマ版を見ても、映像と音楽のミックスがうまいんだよね。PV出身の監督だから音楽の使い方が非常にうまくて、ここは新海誠と本当に同じ。

 さらに言えば岩井俊二の世界観と、新海誠の世界観は非常に似通っている」

一番頷いたのは、ラストシーンについて。私も100%同意です。
「ラストシーンの意味がわからない」「ちゃんとラストになっていない、投げっぱなし」というのが酷評の主な理由のひとつだったようなのですが。

〇〇の名前が呼ばれなかったことは誰も疑問に思わない。それは観客も含めてね。

 だけれど、△△もそこにもういない。これは学校という場所を抜け出して一足早くに大人になったということだ」

カエル「え? じゃあどこへ行ったの?」

主「どこへ行ったなんて無粋なことは聞かなくていいの!

 可能性は無限にあるんだよ?

 その居場所を描いてしまった瞬間に、可能性は閉じてしまう。そんな無粋な真似はしなくていい……というか、しちゃダメだ!

 だからラストシーンは描かない!

そうそう!ですよね?
ていうかわざわざ言うのも野暮。
私は見終わってから、え?ちゃんとラスト締めくくってるじゃん?これの何がわからないのかがわからない、と思いました。これで意味わかんね!と怒るような人たちはね、神山監督の009見たら泣くよ?本当に意味わかんないから。
や、私がわかんなかっただけでちゃんと考察班の手にかかれば謎なんてないはずだと思いますけど。009にしろアニメ打ち上げ花火にしろ、これだけの規模の商業作品、何らかの明確な意図があって製作されているに決まってるのだから。

でも、そんなにも説明されないとわからない人、そして、わからないことが不満で低評価をつけまくる人が増えてるのかなー、と思ってしまいました。iPhoneアプリの評価とかを見ている感じ。海外作の無料アプリに対して「日本語版がありません!不親切!」と星1、みたいな。
まあその辺も、上のリンク先のみなさんが書かれているように制作側のミスなのかもしれないですね。アニオタ向けの小作品とすれば良かったのに、普段アニメ見ない一般の中高生たちまで広く対象にして宣伝しまくってしまったから。

そんなことをつらつら考えました!
書きたいこと全部書いたー!ここまで読んでくださったかた、ありがとうございます!!映画の魅力が伝われば嬉しいです。やはりアニメや映画を愛する者、いや愛するっていうほどでもないんだけどまあ見ない人よりは見てるよなあ、という者として、この酷評はちょっとフェアじゃないのではないかと思ったり、アニメや映画を観て楽しむ人が増えてくれたらいいなあ、文化を支えることになるんじゃないかな、その一助となれれば嬉しいな、と思ったり、単純に10代の頃から好きだった作品のリメイクを観て興奮してわーわーしゃべりたかったりで、書きましたー!

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関連あひる。
December 13, 2016 岩井俊二の傑作「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」、新房昭之でアニメ映画化!

June 02, 2017 アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』主題歌がREMEDIOS『Forever Friends』!!

原作ドラマをリアルタイムにTV放映で見ていた話。読み返してたった12年前に高3だったなんて2005年当時の自分の若さに衝撃を受けました。12年前なんて最近すぎる。ブログも長くやってるなー。今2017年から遡ると高3の夏はえーと、24年前か。
June 26, 2005 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

Coccoの話だけど、ネタフルさんからトラックバックをもらったりした、『打ち上げ花火』の話にもちらっも触れている記事。
続 Cocco~ブログの醍醐味

April 17, 2011 音楽がREMEDIOUS!!『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』
February 09, 2010 春のにおい(四月物語)
December 11, 2006 冬には冬の岩井俊二(Love Letter)
July 27, 2011 岩井俊二『打ち上げ花火 下から見るか、横から見るか』、公式サイトで夏休み無料公開中 [地震関連]

おお!こんなの出てたんだ!でも評判いまいち…TV版のタモリさんの前節後説も収録してくれればいいのに!





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