『春にして君を離れ』他、アガサ・クリスティの恋愛小説シリーズ6冊がKindleに!

おわ!kindle版があれば大人買いしたいなーという作品を折に触れて検索してはやっぱりまだキンドルになってないー、とがっかりすることがしばしばなのですがこれは!
大人買いできるKindle作品発見!
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
著者:アガサ・クリスティー
販売元:早川書房
(2004-04-16)
販売元:Amazon.co.jp

アガサ・クリスティが、「メアリ・ウェストマコット」という名義で書いたミステリでない一連の小説群。恋愛小説、あるいはロマンス小説とまとめられる全6作が、全部kindleにある!素晴らしい!出版順にぷちぷちクリックしました。
kindle版にこうなって欲しいこと。
・まとめてカートに入れさせて。
・裏表紙や見返し、表紙はずしたとこも全部入れて。

それはともかく。


メアリ・ウェストマコット名義で出版されている本のタイトルを全て教えてください。 – Yahoo!知恵袋


メアリ・ウェストマコット名義のロマンス小説
1930年 愛の旋律 (Giant’s Bread)
中村妙子訳 ハヤカワ文庫 1975
1934年 未完の肖像 (Unfinished Portrait)
中村妙子訳 ハヤカワ文庫 1976
1944年 春にして君を離れ (Absent in the Spring)
中村妙子訳 ハヤカワNV文庫 1973
1947年 暗い抱擁 (The Rose and the Yew Tree)
中村妙子訳 ハヤカワ文庫 1974
1952年 娘は娘 (A Daughter’s a Daughter)
中村妙子訳 ハヤカワNV文庫 1973
1956年 愛の重さ (The Burden)
中村妙子訳 ハヤカワNV文庫 1973

おー、こういう順番なのか。本国での出版順と日本では微妙に逆転しているみたいですね。一番有名なのがたぶん『春にして君を離れ』だと思うのですが、これは真ん中らへんなのか。
彼女は1890年生まれとのことなので(Wikipedia調べ)、このあたりの作品は大体40歳から60歳代の頃に書かれたことに。また著作一覧を見ると、『オリエント急行(1934年)』や『そして誰もいなくなった(1939年)』などの有名作はこの作品群の前半と時期が重なっているんですね。なんとなく、ミステリ作家として大成してから違うジャンルに取り組んでみたのかなと思い込んでいたのですが、作家として初期の頃からミステリと並行して書いていたんですね(デビューが1920年)。実験的にいろいろ試していたのでしょうか。
ざくっと内容をまとめてみますと。
愛の旋律:男(天才音楽家)女女の三角関係。
未完の肖像:自伝的。結婚出産離婚など女の人生。
春にして君を離れ:主に夫婦関係。自分を見つめ直す。女の人生。
暗い抱擁:女男男の三角関係。
娘は娘:母娘関係。
愛の重さ:姉妹関係。
この中でしっかり読んだのは『春にして君を離れ』。ざっと読んだのが『娘は娘』と『愛の重さ』です。全部持ってるのですが(リアル本で)とにかく春にしてが強烈で、他の作品には少なくとも10年以上前に探し集めた当時はあまりピンとこず、手をつけないままになってしまっています。今回レビューを見るとやっぱりどれも面白くて一気読み系らしいので、これを機にまた読み直してみよう。当時は20代だった私もいまや40代目前、きっと感じ方も変わっているだろな。楽しみ。
他のはけっこう分厚いのですが、春にしてがたぶん一番短くてとっかかりやすいと思います。薄めの中編。だが内容は滅法濃い。もう本当に極上のミステリなんですよ!自分語りなのに犯人自分的な。旅の帰りに列車が立ち往生してしまい、思わぬ空白の時間に自分の人生をつらつらと見つめ直す機会を得たいかにも良妻賢母な女性が、家族や友人に恵まれ幸せな人生だ、と語っているのに娘や夫や友人たちから疎まれ距離を置かれている様子が読み手にだけはなぜだかビシビシ伝わってくる!コワイ!コワイヨー!叙述トリック!?
旅の途中から家に近づいていく物理的な移動感と、自分の意識が気づきたくなかった核心に近づいていく心理的な焦燥感が相まってラストまでの加速度的疾走感はすごかったです。またそしてあの締め方が素晴らしい。もうかなり好き。いやあ女の人生って。
以下、キンドル版へのリンク。
愛の旋律 (クリスティー文庫)愛の旋律 (クリスティー文庫)
著者:アガサ・クリスティー
販売元:早川書房
(2004-02-20)
販売元:Amazon.co.jp
未完の肖像 (クリスティー文庫)未完の肖像 (クリスティー文庫)
著者:アガサ・クリスティー
販売元:早川書房
(2003-12-31)
販売元:Amazon.co.jp
春にして君を離れ (クリスティー文庫)春にして君を離れ (クリスティー文庫)
著者:アガサ・クリスティー
販売元:早川書房
(2004-04-16)
販売元:Amazon.co.jp
暗い抱擁 (クリスティー文庫)暗い抱擁 (クリスティー文庫)
著者:アガサ・クリスティー
販売元:早川書房
(2004-06-20)
販売元:Amazon.co.jp
娘は娘 (クリスティー文庫)娘は娘 (クリスティー文庫)
著者:アガサ・クリスティー
販売元:早川書房
(2004-08-18)
販売元:Amazon.co.jp
愛の重さ愛の重さ
著者:アガサ ・クリスティー
販売元:早川書房
(2004-09-16)
販売元:Amazon.co.jp


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“『春にして君を離れ』他、アガサ・クリスティの恋愛小説シリーズ6冊がKindleに!” への2件の返信

  1. 『春にして君を離れ』 アガサ・クリスティ

    「アガサ・クリスティ」のロマンティック・サスペンス作品『春にして君を離れ(原題:Absent in the Spring)』を読みました。
    [春にして君を離れ]
    「アガサ・クリスティ」作品は、昨年10月に読んだ『死者のあやまち』以来ですね。
    —–story————-
    優しい夫、よき

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