魅力的な「小学生マンガ」とは。~色々マンガレビュー

予告した通り書きます。またちょー書きます。もうこういう話題になると俄然イキイキツヤツヤしてきます。
*主な紹介作品*
吉野朔実『ぼくだけが知っている 』『少年は荒野をめざす』『ECCENTRICS』
榛野なな恵『Papa told me 』
大島弓子『綿の国星』
柏木ハルコ『よいこの星』などなど。


さて。
日本全国・見たいもんはみたいぞの会の、「小学生をマンガの題材とすることについて」の中でいしたにさんが真っ先に挙げている2作品。
>吉野朔実の『ぼくだけが知っている 』が結局は子供を舞台装置として利用していないことや、『Papa told me 』の知世ちゃんが結局成長を止めてしまっていること
どちらもめっちゃ大好きです。そして確かにいしたにさんの言う通りかも。
まず『Papa told me』。
北原さん(心静かに働く女性編集者)ラブ。
満月をとってくれよと泣く子かな。びょ(;口;)
これはあれですね。「人気あるからずっと連載続けてよ。最終回とか言わないでね」という編集部からの要請によるドラゴンボール化現象でしょうかね。初期の頃は知世ちゃん惑ってましたもんね。
割と新しい巻で、父親からDVを受けている幼い男の子に遭遇して大ショックを受けていた、あれが知世ちゃん久々の成長だったのではないでしょうか。
大島弓子『綿の国星』も同じ現象に見舞われていたようですね。
文庫最終巻の解説で触れられていたのですが(本編に深みが増す素晴らしい解説でした)、人気のためずるずると連載が伸び、そのため主人公は成長を止めざるを得ず、それに合わせるかのように絵柄まで縮んで…と。
ストップ!人気作品のドラゴンボール化。SAVE OUR COMICS.
さて次。『ぼくだけが知っている』。
吉野朔実めっちゃ好きです。
ちなみに今林くん萌え。ナニ、ちなまないでいい?
舞台が小学校なことでノスタルジックな雰囲気が全体を包んではいますが、テーマ自体は確かに子供とはちょっとずれますね。
限定された空間の中で、そこにいる人物たちに自然と役割が振られていくという、人間関係のバランスのようなものを描きたかったのかな、と思います。
吉野朔実で『放浪息子』のテーマに近いのは『少年は荒野をめざす』かも。
もうどうしようもなく黄味島くん萌え。ああいう天才肌に弱ヨワです。
これは性だけでなく、自分というものを受け容れる・他人を認める、などなど、若者の様々な通過儀礼のお話ですね。それがまた初期吉野の緻密で耽美な筆致と構図、言葉とリズムの美しいモノローグで綴られていくのでもう圧巻です。
文庫は絵が小さすぎてもったいない。むしろ大判出してくれ!買う!おばちゃん買うたるで!なんぼやー。
それか『ECCENTRICS』のほうがより直接的(?)。
当然のように比良坂さん撃萌え。
それから最終巻の短編「カプートの別荘においで」が鬼のように好きです。
かなり哲学的に謎めいた語り口なので正確に把握するのは至難の技ですが、わたし的な解釈としてはモロ性。心と体は分離できるのか、するべきなのか、という。思春期後期な悩みですね。た、たぶん。
あ、小学生を題材としていないものが二作続いてしまった。
あと私が読んだ中で『放浪息子』と隣接してるなあと思ったのは『よいこの星』です。
すなおちゃんけっこう好きです。(←『放浪息子』のさおりちゃんが権力握ったみたいな存在)
これは「小学校」を舞台に据えた「女の闘い」なので、『放浪息子』のように男女や性差が交錯はしないけれど。子供であることの痛さはそこかしこにびしびしです(ものすっごいケンカしたあと平気で一緒にお風呂に入れられたり)。
小学生女子って、かなり剥き出しに「女」なんですよね。体面を慮って隠すとかマイルドにやり過ごすとかできない。そういうところをかなりリアルに痛々しく描いてると思います。クラスのリーダー的男子が女子の争いに巻き込まれて失墜してしまう下りなどは震撼です( ゚ω ゚||;)。
また、それがしばらくすると何事もなかったかのように元に戻ってるあたりもリアル。男子同士はね、戻れるよね。でも女子は無理。クラス替えまで針のむしろだヨ?(^_<)=★
ところで柏木ハルコ、この人はすごいと思う!
誰にも似ていない絵、誰も描かなかったキャラ(←『いぬ』の高木清美はほんとすごかった。小鳥ピヨピヨのいちるさんにも『ハッピーマニア』以上のトラウマを残すことうけあいです)。がんばってほしい。いやトラウマのためにじゃなくてね。
ああっ。「小学生」で「性」といえば忘れちゃならない
澤井健『イオナ』。

Sexy dynamite in elementary schoolとかいう副題がついている。ま、まあね。
これはまあほぼギャグというかエロというかなんというか。でも面白いんですよね、真面目さとのバランスが。すごいまともなこと言ってるし。
主人公の男の子が「何となく」でクラスメイトの女子にキスしちゃったりする、リアルないい加減さが好きでした。
さてどばどば書いてきましたが(読んで下さったかた、ありがちょう!)。
何がポイントなんだろう、「小学生マンガ」。
時間を止めないことでしょうか。
やはりあの、ふと目を離した一瞬の隙に大人になってしまっている、その儚さとそれゆえの輝き。そこを描ききってほしいものですよね。
作家さんに凄まじい力量と、掲載誌にかなりの度量が要求されるところだと思います。

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“魅力的な「小学生マンガ」とは。~色々マンガレビュー” への7件の返信

  1. マンガに無縁な私なんだけど、こんなふうに楽しく話されるとすごーく興味をそそりますねー
    いつか、あひるしゃんちでマンガにふけってみたい。。。

  2. >シオリちゃん
    えへ、ありがと~◎ いっぱい書いてみた。長すぎ&語りすぎで誰も読んでくれてないかと思ってすんすんしてたので嬉しいです!
    うちにくるお客さんは大体勝手にマンガ出してきて読みふけって帰っていったり、勝手にゲーム始めて遊び耽って帰っていったり、勝手にお好み焼き焼き耽って帰っていったりしてるよ。ぜひどぞー。

  3. > 時間を止めないことでしょうか。
    時間を止めて円環にしてしまうと、それは民話かファンタジーの領域に足を踏み入れることになるんですよね。

  4. >SWさん
    >時間を止めて円環にしてしまうと、それは民話か>ファンタジーの領域に足を踏み入れることになる
    そうですね、うん。漫画家・山口美由紀が昔「サザエワールド」とか呼んでいましたw
    そういう魅力ももちろんあるけれど、時間が止まらないことの残酷さがまた美しかったりもするんですよね。

  5. カフェアルファ、ドアベルの音が変わっても ~『ヨコハマ買い出し紀行』最終巻(バレなし)

    『ヨコハマ買い出し紀行』、とうとう最終巻です。
    12年もの連載だったと聞いてびっくりですが、確かによく考えてみるともう10年以上の付き合い。
    なぜこんなに、12年という歳月に驚いてしまうのでしょう。(ネタバレなし)

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