いくえみ綾『カズン』と安野モヨコ『脂肪という名の服を着て』

カズン3カズン (いくえみ綾)がですね。完結してもうけっこう経ちますが。
ものすごく!!良かったんですよね相変わらずほんといくえみすごいってかんじで。


書こう書こうと思いつつ書きそびれていたのですが、『潔く柔く』の記事になんと中三の女の子がコメント下さって、嬉しかったので『カズン』のことも書いちゃいます。
カズン棚3巻が出た当初の写真。レジ横にどどんとカズン棚が!

何ともですね。『バイ・アンド・バイ』にもちょっと通じるような、前向きで素直な女の子ががんばる、明るい話なんですよ。
でもそこにちょっと、不穏な影も差してくるのね。
それはダイエットとリバウンド。
しかもけっこう深刻に。うわこれどうなるんだろう。。と思ってハラハラしていたら、見事に!立ち直るんですよ。しかもその立ち直りかたがすごくいくえみらしい。家族や友人の持つ力がですね、染みこんでくるというか。
あのう、ダイエットマンガといえば私にとっては『脂肪という名の服を着て』。
脂肪と言う名の服を着て 完全版(安野モヨコ)

これはもうまさしくダイエットの暗黒面。ダイエットと、”痩せること”にすがりついて他の一切が見えなくなってしまう女性のダークサイドを、超バッドエンドで浮き彫りにした傑作だと思います(主人公、しにはしませんよ。ある意味それより後味悪い)。
物語として完成されていて、後味は悪いけど作者の言いたいことはものすごくよく伝わってくるので、すごいとは思う。
でも、いくえみの『カズン』を読んでね。「ああ、『脂肪という名の』の主人公も、こうなってくれればよかったのになあ」と思ってしまった。
やっぱり幸せになってほしいじゃないですか。欲と悩みの螺旋から、抜け出してほしいじゃないですか。
同じテーマで、いくえみはそうしたんだなあと思ったのです。
あとやはり『カズン』に救われたのは、タイトルもカズンてくらいなのでいとこの女の子が出てくるんですね。なんとアイドルちゃんなの。すっげえ可愛いの。
で、その子がむちゃくちゃいい子なんですよ!(号泣)
引き合いに出して申し訳ないんだけどやはり安野モヨコ作品で、高嶺の花だったモデルのすんごい可愛い女の子と、ようやくお近づきになってみたらすんげえダークな性格してた、っていうことがあってですね。
花とみつばち (安野モヨコ)

なんというか。。これもやはり必要悪というか。おそらく作者はヒロインとの対比を明確にするためにこの子を悪く出してきたんじゃないかなと思うんですよね。ヒロインは、見た目ギャルで強そうだし言葉遣いとか乱暴だけど、わりと真面目で優しい子。モデルの子は、見た目ほんわかでしぐさもしゃべりかたも可愛らしいんだけど、すごいきつい。いじわる。
『脂肪という名の』を見ても『花とみつばち』を見ても、また、現在連載中の『働きマン』とかを見ても、『ハッピーマニア』もそうだったかも。安野モヨコが描こうとするのって、様々な形の壁(人の悪意だったりコンプレックスだったり)にぶちあたってはじき倒されて、その後その人はどうするか、というところなんじゃないかなと。
その壁を、悪意を持った人に設定してしまうところが、そういうものを書かざるを得なかった作者自身の悩みの深さに思いを馳せてしまいますが。だけど彼女の作品の大抵のヒロインたちは、そういうものにズタボロになりながらも立ち上がってぶつかっていってぶち破って、また次の闘いへ漕ぎだしていく(涙)んですよね。強い。
そんな力強さと清々しさが、安野作品の大きな魅力だと思うのです。
でも、いくえみの場合は。
ぶちあたる壁というのが、誰のせいでもない。どうにもできない不可抗力なことが多いんですよね。これは特に『バラ色の明日』『潔く柔く』に顕著です。
それで沈み込んでいる登場人物を、ほんのささやかな善意や、大きく温かな好意が、少しずつ引っぱり上げてあげる。ちょっとだけ日が差してくる。
大切に守られてきた、清いもの。それもはじめから傷つかなかった美しさではなく、川底でなぶられ続けて丸くつややかに輝くようになってしまった真っ白な石のような。
そんな眩しさなんですよね。彼女が描くものって。
川底での様子はあえて描かない。におわせるだけ。だから物語の印象がひたすら優しいの。ともすれば厳然と描かれているダークゾーンは読み逃してしまいそうになるほど。


何だろうなあ。。性善説と性悪説か、ちょっと違うかもしれないけど。狩猟民族の歴史と農耕民族の日記というか。安野モヨコといくえみ綾の間には、そんな違いがあるのかもしれないなあ、と、『カズン』と『脂肪という名の服を着て』についてあれこれ考えてみて思いました。
いやほんと『カズン』良かったです。何だかいろいろ大仰に書いてしまったけれど、ほのぼのと明るい気持ちになれる、良質な物語でした。
装丁もとっても可愛らしいし。
**あひるといくえみ**
**潔く柔く 4巻/3巻/2巻
**いくえみいろいろご紹介エントリ
**バイ・アンド・バイ
カズン3カズン1なぜamazonに画像がないんだ!

あ!シュガシュガルーンは安野モヨコの明るく前向きサイドですね。この作品はほんと繰り返し言ってるけどかなりすごいです。あと『ジェリービーンズ』と『美人画報』シリーズも明るくラブでガーリィな気持ちに。


働きマンも読むと励まされる。
**働きマン アニメの曲(おお!奥田民生でいくえみ繋がりw)/ドラマ化/3巻/2巻

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One Reply to “いくえみ綾『カズン』と安野モヨコ『脂肪という名の服を着て』”

  1. あひるさん初めまして。
    「カズン」を知って、いくえみ綾さん作品にも注目するようになりました。
    「カズン」、3巻で完結だったんですね。
    1巻は表紙にひかれて買い、いつの間にか2・3巻が出てレンタルで借りて、はまりまくり。2回借りました。
    4巻まだかなと思って今日、3巻の終わりを見たら…
    もう続きはないのでしょうか。ぼんちゃんとシロの先が見たかった。
    読んでると元気出るし、心理描写がすごかったし、私に似てる→でもぼんちゃんは頑張った→私はそのまま。
    2・3巻は購入したいです。

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