青森で震度6強、北海道・三陸沖に後発地震情報。津波警報のアナウンサーさんの切迫した呼びかけ

昨夜、びっくりしましたね。震源地近くにお住まいの方は大丈夫だったでしょうか。

津波警報が出て、今すぐ避難してください!と言われていましたが、この夜中の寒空の中、避難するのは相当な決断がいったのでは…。自分一人ならともかく、小さな子供やご高齢の親御さん、大丈夫だってそんなことしなくてもと正常性バイアスのかかった人物など(誰)、家族全員でとなるとますます大変だったのでは…。そもそも本当に避難するべきなのか、大丈夫なんじゃないか、と自分だって思いたいもの…。

午前2時ごろには警報から注意報に下がり、先ほど注意報も解除されたそうでホッとしました。実際に避難した方、本当にお疲れ様でした。

以下、東京で感じたことを日記的に記録しておきます。特にアナウンサーさんの呼びかけについて。
東日本大震災や、津波について話題にしていますので、お気持ちが乱されてしまいそうでしたらご無理なさらずスルーしてください。

23時15分ごろ、我が家は宵っぱりのうちの子タロー11歳とちょうどまさにそろそろ寝ようよ、と話していたところへ、『我が名はミエーヌ』を読んでいたタローが「地震?揺れてる」と。私は立って片付け物をしていて最初は気づかず、でも言われて立ち止まってみると、確かにうっすらと揺れを感じ始めました。ゆうらゆうらと、地面をゆっくりと水平に回されているような、豆を炒る時のフライパンをスローモーションにしているような、なんとも言えない嫌な感触。311の時に似てる、これはこのまま大きくなるのでは、と、NHKをつけてみたら青森八戸で震度6強の文字。すでに地震による緊急放送の青い画面で、アナウンサーさんがしきりと各地の情報を伝えているところでした。

さらにその少し後、津波注意報が警報に切り替わった瞬間も目撃してしまいました。男性アナウンサーさんがさっきまでの緊迫しつつも落ち着いた調子とは打って変わって、「たった今、津波注意報が警報に変わりました!津波が来ます!逃げてください!」と声を荒げ、大きな声で「急いで高台に避難してください!」と。
「家族の命を守る行動をとってください!決して振り返らないで、立ち止まらないでください!」「津波が来るぞ、高台へ逃げろ!と、周囲の人にも呼びかけてください!」といった内容を数分おきに繰り返し声を張って呼びかけ続ける姿に(画面は常に地震と津波情報だったのでアナウンサーさんは声だけでしたが)、非常事態だという切迫感がひしひしと伝わってきました。

311を受け、報道する側も悔恨の思いがあったと能登半島沖地震を機に読んだ記事を思い出しました(ここにも書いた気がしていたけれど、ブログ内検索と下書きも検索したけど見つけられず)。

それまでは、ニュースでは「落ち着いて行動してください」と呼びかけていた(確かに!)、でもそれは間違っていたんじゃないか、平常心を保てるように、慌てさせないように我々キャスターも努めて落ち着いた、平常通りの声とトーンで報道するように心がけていた、でも311のような非常時には、そんな自分たちの様子がかえって正常性バイアスを呼んでしまい、テレビの前にいる人たちに普段通りで大丈夫と思い込ませ、結果的に避難を遅らせてしまったんじゃないか、と。

だからあれ以来、地震津波警報が発令された場合は、通常のアナウンサーとしての常識を外し、声を荒げ、感情に訴え、避難を呼びかける、という方向に変え、内容や声の出し方について議論を重ねながら訓練を積んでいる、と。そんな内容でした。

数年前の大きめの地震の時に、女性アナウンサーが大声で避難を呼びかける様子が話題になっていて私も動画で見たのですが、今回はそれをリアルタイムに目の当たりにし、これが、と思いました。あの地震で、本当にあらゆる立場の人たちが様々な後悔をして、それを行動に変え、いろんな形で伝えようと、繰り返さないようにしているのだな、と、目頭が熱くなりました。昨夜のアナウンサーさんは、地震、津波の最新の情報を交えつつも、先ほどのような内容をずっと呼びかけ続けてふと時計を見ると20〜30分が経過していました。さぞ大変だったのでは…。

そんな話を、昨夜うちの子にも話しました。心配そうに画面とその向こうで暮らしている人たちを見つめていたうちの子でしたが、朝、警報は解除されて、津波は来なかったみたいだよ、と伝えたらほっとしていました。

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関連リンク。

あっこれかも!NHKのサイトで、PDFファイル?が開きます。
「今すぐ逃げること!」という呼びかけ表現 〜 「能登半島地震における津波からの避難呼びかけ全国調査」から〜 NHK

こちらはインタビュー。
津波、その時 命を救えた言葉は 東日本を伝えたNHKアナウンサー、自責の念に駆られ13年 神戸新聞

早く安全な高台に避難してください-。NHK神戸放送局の横尾泰輔チーフ・アナウンサー(49)は東日本大震災当日、東京・渋谷のスタジオから生放送で呼びかけを続けた。だが、逃げ遅れによる犠牲者は増え続けた。「もっと強く呼びかけるべきではなかったか。失われた命は自分の放送のせいではないか」。そんな自責の念を胸に、命を守る言葉を追求してきた。(上田勇紀)

こちらも同テーマの記事。
【毎日放送 アナウンスセンター 福本晋悟】津波避難アナウンスメントのありかたに関する研究 ―宮城県石巻市での住民調査から― HBF(公益財団法人放送文化基金)

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今回の地震について。
青森で震度6強、初の後発地震注意情報 今後1週間は警戒必要 日経新聞

8日午後11時15分ごろ、青森県八戸市で震度6強を観測する地震があった。
(略)
気象庁によると、今回の地震は日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域内で発生。より大きな地震の可能性が平常時より高まったとして「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。同情報が出るのは2022年12月の運用開始以降、初めて。

北海道や東北、関東の7道県182市町村を対象に今後1週間、より大きな地震に警戒を呼びかける。事前の避難は求めず、家具の固定や非常持ち出し品の準備といった日頃の備えの再確認を促す。1週間が過ぎると、注意の呼びかけを終える。

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関連あひる
2022-03-12 東日本大震災から11年、津波てんでんこの4つの意味


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