ひとつ前の記事は、キャラメルボックス春公演『夏への扉』が超面白かったのでご紹介、感想を書きましたが、こちらではもう少し詳しく、周辺状況などを綴ってみます。3月末とだいぶ前の話です。
千秋楽の3月27日、14時の回の当日券に並んで、無事チケットを確保。私は13番目でしたが、結局全部で60人超の大行列でした。13時前に無事チケットを購入し、開演まで1時間あったので、ちょっと慌ただしいけどお昼を食べに行く予定だった銀座カフェ オハナ(Cafe Ohana)へ。
地震の影響でサービス産業も多大な打撃を受けていると聞いていたので、機会がある時はなるべく好きなお店に立ち寄るようにしていましたが、カフェオハナはほぼ満席でした。ヴァローナのチョコレートムース美味しかった。
開演前のステージでは、急きょ開催が決定したというZABADAKのアコースティックミニライブがありました。マイクもなしの生歌とギター、タンバリンのみ。
そして終演後にもロビーで生歌ライブ!
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以下、もうちょっと詳しく今回の公演についてと、もっと遡って10年くらい前のキャラメルについて。
この日、3月27日の地下鉄構内。天井から下がっている「銀座線渋谷方面」の案内板と、向こうの壁の「日本橋」のサイン、節電のため電気が消されているのがわかるでしょうか?東京の人間にとってはもうすっかり見慣れましたが、関西の方々にはけっこうびっくりな光景かも。
写真ではあんまり伝わらないかもしれませんが、実際はかなり薄暗いです。こういう非常事態のさ中での公演でした。4月も、そして5月に入った現在でも、どこの駅も街並みもこんなかんじです。
劇団プロデューサー、加藤さんのブログを読んだことが、久しぶりにキャラメルの舞台を観に行くきっかけでした。
今回の地震以来、世間をじりじりと覆いつつある不安感、不信感、閉塞感、そういうものを打破したい、という彼の、劇団としての覚悟や実行力を目にし、これは微力ながら力になりたいと思わざるを得ず。
と、そんなふうに始まる前まではいろいろ考え込んでしまっていたけれど、幕が上がってからはもう夢中。すっかり物語に集中して、思いっきり楽しんでいました。
舞台が終わった後の、カーテンコールは今回一度きりでした。
普段ならなかなか拍手が鳴り止まず、袖にはけた役者さんたちが何度も舞台上に戻ってきてくれるのですが、「今回は節電のために、この一度きりで本当に締めとさせてください!」とのことで。
それから満場の拍手の中、役者さんたちが次々と舞台から客席に向かって降りてきました。小柄な女優さんは男優さんに抱えられてひょいひょいと。そして客席通路を通って、手を振りながら退場。
お客にとっては役者さんたちが思わぬ近くを通ってくれて嬉しいサプライズでしたし、後で気づいたのですが、いつも通り舞台袖にはけられるよりもこうして「もう裏には誰もいないよ」とはっきり伝えることで、お客さんも帰りやすいだろう、との配慮だったのでしょうね。すごい!ナイスな機転だ。
おお、乙武さんも見たんだなつとび!そしてカーテンコールについて話してらっしゃる。
■「誰のための自粛なの?」乙武洋匡の”不謹慎厨”に対する思いとは!? – 日刊サイゾー
関連リンク。
劇団プロデューサー加藤さんのブログより、私が観た最終日のお話。
■CaramelBox★加藤の今日 Blog: 『夏への扉』最終日のご報告と現状。
■CaramelBox★加藤の今日 Blog: 『夏への扉』の時の義援金の送り先について。
「被災者の方に直接届く形で、と、調べに調べ、考えに考えて、やはりそれぞれの「県」が設けている義援金受付窓口にお送りすることにいたしました。」とのこと。
なるほど、県に直接!良いことを教えてもらいました。
その後調べてみたところ、県よりもっと細かく、市が設けている災害対策窓口などに直接送金することもできるのですね。各県の公式ホームページからそれぞれの市へのリンクが貼られていますし、義援金・寄付金についてまとめられているページがありますので、気になるかたは調べてみてください。
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以下は、超個人的なおもいで語りです。
キャラメルを初めて観たのは高校の頃でした。これまでの公演を見てみると、91年の『ナツヤスミ語辞典』、それから92年の『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』(初演!)。この2つ以来、しばらくはほとんどすべての公演を観るほどハマって、その後はブランクがありつつ何年かに一度ふらりと観に行っていました。
中でも印象的だったのが、97年の『サンタクロースが歌ってくれた』と、2002年の『銀河旋律』。
97年のサンタは、本当は別のお芝居が予定されていたのですが、脚本演出家の成井豊さんが急病で入院してしまい、公演中止の危機に陥るも、サンタを再演することにしよう!と劇団がいつも以上に一丸となり、何とかして公演中止の事態を避けるべく、演出家不在で臨んだ舞台でした。
お芝居の内容自体が、映画の中から抜け出してきた登場人物たちが、自分たちの映画を守るために銀幕の外の世界を奔走するというもので、もう現実とのリンク加減が半端無くてすごかったです。あれを越えるサンタは観れないだろうな、と思いました。
それから2002年の銀河旋律は、キャラメル15周年記念公演。これも素晴らしかった。
キャラメルのファンクラブ、CSC(キャラメルサポーターズクラブ)への感謝の気持ちとして、もう主役を張ることが少なくなった初演当時のオリジナルキャストでの上演もあり、ファンサービス満点でした。それまでは同じ舞台を何度も観ることはなかったのですが、この時は特別に、事前予約で新キャストの回を観て、千秋楽のオリジナルキャストの舞台も、当日券の立ち見で観ました。
そうしたら、その千秋楽の舞台が終わった後、客席総立ちのスタンディングオベーションが起こってびっくり。こんなの初めて!カーテンコールで出てきた役者さんたちもその光景に驚いて涙ぐんでるし。なんといういたわりと友愛に満ちた空気。
私がいた立ち見席は舞台からかなり近い位置だったのですが、開始前に案内された時ふと後ろを向いたらプロデューサーの加藤さんが真後ろに立ってて吹きそうになりました(失礼です)。加藤さん「や、気にしないでくださいっ気にしないでくださいっ」って気になりますよ!
で、場所が奥まってたので加藤さんの位置からだとこの光景見えてないんじゃないかと加藤さん加藤さん!って振り向いて手招きしたら、「え?うわ!!」
当時のことを、後に加藤さんがweb日記に書いてくれてたんですよね。15周年記念の千秋楽で感極まってぼろぼろ泣いてしまい、前にいる立ち見のお客さんに「振り向くな~~振り向くな~~」と念を送ってたら加藤さん加藤さん!って手招きされて、客席を見るとスタンディングオベーション。って。
あの時念を送られていたのが私です。
こんなふうに自分にとってのベスト・オブ・キャラメルを振り返ると、こう、お芝居単体の出来が素晴らしいだけでなく、現実、舞台の外の出来事もひっくるめて強く記憶に刻まれているんだな、と改めて思います。
今回も観に行ったきっかけは、現実の出来事、地震、そして電力不足と自粛ムードに対する劇団の姿勢に感銘を受けたからなのですが、それにしても今回は、いや、だからこそかな、そういう現実の張り詰めた重さをすべて一瞬忘れさせてくれるほど、お芝居自体の出来が良かった。2時間夢中で、集中しきって楽しませてもらえました。本当に楽しかったな。キャラメルを知って20年近く、今数えてみたら30本前後観てきた自分の中で、『夏への扉』は今燦然とトップに輝いています。
今度、鈴木祥子も西田大輔という方の演劇の音楽をやるまたいですよ。ザバダック?といえばこの前、日比谷カタンとライブやった方か?日比谷カタンやっぱりすごかったです。五つの橋だったっけ。ustreamでもあるはずです。
初めまして!キャラメルで検索してお邪魔させてもらいました
自分もキャラメルボックスの大ファンですが、今回の作品は色んな意味で特別になったなと思います
こういう時に本気で演劇に取り組んでいて、ピンチの時こそより演劇をするキャラメルボックスはホント尊敬しますね
過去の事は本などでしか知らず、記事を読んで色んなことを乗り越えてきたんだなと知りました
またお邪魔させてもらいます
いつも楽しく拝見させて頂いております。
自分もキャラメルファンでよく通っておりました。
学生で貧乏だったので当日半額チケット狙いでした(笑
このような大変な時期でも公演をされるなんてすばらしいですね。
この記事を読んで久々にザバダックの「夜明けに銀の~」が聞きたくなりました!
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「ふんばろう東日本プロジェクト」という、行政に頼らず、自分たちで避難所・個人宅が必要としている物資を送るというプロジェクトがあります。
http://fumbaro.org/
家で眠っているカーテンや靴下でも助かるそうです。検索欄に自分の送れる物資を入力すると必要としている物資が出てきます。
ご参考までに・・賛同頂けたらプロジェクトを応援しているものとして嬉しいです。
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3月11日(日)14時46分、首都圏の電車が停止訓練を実施
東日本大震災が起きてから、ちょうど一年が経ちますね。都心では、大手私鉄が地震の起きた14:46に一斉停止訓練を行うそうです。
■東京メトロ・小田急・京成・京急も – 3/11停止訓練 …
キャラメルボックス『夏への扉』、DVD化決定
おお!これは嬉しいニュース。
■キャラメルボックス製作総指揮★加藤の今日 Blog: 『夏への扉』、奇跡のDVD化決定っ!!『トリツカレ男』初日に発売いたします!!
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2011年3月に上演した『 …