いくえみ綾ご紹介エントリ

知人が先日の3巻紹介記事をきっかけに『潔く柔く』を読んで下さり、『バラ色の明日』に行くか思案中、とのことなので、僭越ながら私的いくえみ紹介をば。
ちなみに「いくえみりょう」ですよ~。「いくえみあや」じゃないんですよ~。


まずは件の『バラ色の明日』
うんーと、これのエッセンスを凝縮/抽出して洗練したものが『潔く柔く』だと思うので、『潔く』を読んだ後で『バラ色』を読んでも若干物足りなさを感じるのではないかと思われます。
ただ、やはりその作品にしかないぐっとくる台詞やそれが話される流れなど、他で得難いものがあるのも事実。
そんなわけで、おススメは全6巻のうち、マンガソムリエさん絶賛1,2巻(主人公はシフトするけど続き物)。
私からは3巻を。
バラ色の明日 (1)
バラ色の明日 (2)
飛べ!!


バラ色の明日 (3)
個人的に、青い目になっちゃうお寺の息子さんの話『PICE OF MY LOVE』が大好き。大好きです。


でも、『潔く』から入ったかたにお薦めしたいのは、私としては『バラ色』よりも『かの人や月』かも。
家族もので、やはり視点を少しずつシフトさせて全体像を紡ぐ感じ。
かの人や月 (1)
かの人や月 (2)
かの人や月 3 (3)


これの前身が『子供の庭』といえるかも。中期の良作です。参考までにぺとり。
子供の庭 (1)
子供の庭 (2)

ただ、上の作品たちは時にもう痛くてつらいです。その価値があるとは思うけど、その人の状況によってはおいそれと薦められないエピソードもあったり;
そんな中、軽く楽しくちょっと切なく読めるのがなんといってもこの2作。『オススメボーイフレンド』と『ハニバニ!』。
オススメボーイフレンド
「うわ~私なら蹴るね!と思ったらほんとに蹴った」by友人の名言。
強いていえば、悪い人なんて誰もいない状況のほうが痛々しさは増したかも。でもいいんだよね、そんなの現実だけでたくさんだよね。


あ、『オススメBF』には素敵な裏面が。読切『頼ちゃんは叶わぬ恋をしている』掲載。これは『バラ色の明日』のとある短編の続きです(1~3巻の中に入ってます)(文庫『バラ色』にはまとめて収録してありますね)。
まさか続きが読めると思ってなかったので嬉しかったなあ。
うん、ここまではガチでオススメです。ここで一区切りつけよう。
 *  *  *  *  *  *
それから『ハニバニ』。これはねえ、いくえみの描くオレ様な男の子と空回りな女の子がすっごく活きてて大好きなんですよね。明るい気持ちになれます。
ハニバニ! (1)
ハニバニ! (2)


それからやはり裏面、2巻の短編『ラブレター』がイイ!Don’t MISS it!
『ラブレター』の登場人物は『アイスクリームチョコレート』(これもイタ切なくて良作)にも出てきます。
ケチャップマヨネーズに収録。


あとは、オマケ的にひとつ追加するならこちらの裏面。
朝がくる度
表題作ではなく、『いちごの生活』のほう。
切なすぎ!!ああもう自分がいちごの立場になんて考えただけで胃に穴あきそう。


そうなんです、いくえみは長編の最後についてる読み切りがイイ!!
それがまとまってるのがこちら。
いくえみ綾THE BEST-PREMIUM!長編セレクション
『あの星になるから』『My dear B・F』『10年も20年も』(←初期読切の傑作)
2冊出ているまとめのうち、こちらは初期・中期。


★ちなみに余計な情報★『あの星に』にはどう見ても香取くんとキムタクが出てきて、奥田民生が好きなあまりタミオ顔の主人公ばかり描いていたらライブに同行してレポートマンガ描かせてもらえるようになっちゃったりとファン冥利極まれりな体験に味を占めたかいくえみ、二匹目のドジョウで一石二鳥を狙っているのかいくえみ、とのもっぱらの噂(私と友人の間で)。
長編の後に読むからこそぐっとくる、というのもある気はしますが、まあ手っ取り早くていいのかも。
下のこちら↓は中期・現在。
いくえみ綾THE BEST-FANTASTIC長編セレクション
『ラブレター』『アイスクリーム チョコレート』『ケチャップ マヨネーズ』『赤い月の話』

さっきお薦めした2編が入ってますね。『ハニバニ!』を読まないならこちらをどうぞ。
と、大体こんなところでしょうか。
もちろん初期の連載物もそれぞれに味があってよいです。若いけど!絵は紡木たくだし。部活とか片思いとか友達とかに悩んじゃったり。甘酸っぺええ~。
ただいくえみの場合、その甘酸っぱさの中にビリっとくる主張というか、価値観の軸みたいなものが一本通ってるんですよね。それがあまり、前面に出ていないさりげなさ。そこもすごいところな気がします。
 *  *  *  *  *  *
最後に、20歳前後に友人(さっきから出てきてるヒト)から借りて読んだ、私の初いくえみ『POPS』でびっくりしたエピソードでも。(一部ネタばれです)
POPS (1)
POPS (2)


登場人物の男の子が、主人公の女の子に話して聞かせる童話があります。正確でないかもしれませんが、あらすじをご紹介。
田舎の女がいて、幼馴染みの婚約者は都会に出て、待てど暮らせど帰ってこない。結局男は浮気していたわけでもなくほどなく帰ってくるのだけれど、その頃にはすでに女は男の帰りを待ちすぎて、とうとう”とても溺れることのできないような浅瀬”に顔を突っ込んでしんでしまっていた。
そこで語り手の男の子が、「この話で一番馬鹿なのは、待つことしかできなかった女だ」って言うんですよ。
これには驚いた!

中学高校生向けのマーガレットですよ?そこにこんなショッキングな寓話。さらにこの教訓。これはすごい。半端ねえ。
と思いました。
そして、初期から中期への転機になったのはこの中編と思われます。
ベイビーブルー
タミオを出し始めたのもここからなので、いろんな意味で転機(^△^)。表紙の絵もいいですね。

これの流れを汲んでいるのが現在連載中の『カズン』かも。
カズン (2)


ってうわ!『10年も20年も』って『ベイビーブルー』に載ってるんだ!この本すごい。濃い。
ああっいい加減にしないと何もかもを薦めてしまうのでこの辺で無理矢理退却~。


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“いくえみ綾ご紹介エントリ” への3件の返信

  1. 素敵エントリーお疲れ様です。
    私は「うたうたいのテーマ」が好きですねぇ。
    いくえみさんの作品は中学からこつこつ集めて、全作品コレクトしました。
    はっきり言って絵はそんなに好きではないのですが、なぜか離れられないんですよね。
    私も止まらなくなってしまいそうなので、退却します。
    失礼致しました~。

  2. >misakiさん
    >素敵エントリーお疲れ様です。
    ありがとうございます~。きてくれたー(^^)嬉しい。
    どうぞ止まらなくなって下さっても一向に歓迎ですがもったいないからご自分のblogに書いた方がいいかも?
    ああっ、うたうたい読まなきゃ。
    話もですが絵もなんとも、掴みどころがないですよね。リアルなんだけどこう…うーん表現できない。最近の作家さんでモロいくえみの影響受けたタッチの人多い。

  3. いくえみ綾『バラ色の明日 完全版』最終巻に単行本未収録最終話収録

    早口言葉みたいなタイトルになっちゃいましたが。こういうことだそうです。
    ジュンク堂書店の説明より引用。
    完全収録、完全完結!カバーイラスト描きおろし!全巻に作者の描きおろし解説ページ掲載!再収巻6巻にはコミックス、文庫未収録の「バラ色の明日」新作100P….

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