分娩後大変だったこと、『屍鬼』の多臓器不全を実感、産後1ヶ月は水に触るな [ゾンビ][分娩記録8]

<屍鬼（一）[小野不由美]>

はい！そんなわけで、ようやくひと段落つきました、2014年に出産したあひるちゃんの分娩記録シリーズ。壮絶。分娩日記ってもうちょっと牧歌的なものじゃないのか。すいませんほんと。重くてヘビーな内容（ダンシング盆踊りみたいな表現）に、お付き合いいただきありがとうございました（てかダンシング盆踊りって何）。

さて。ここでは各エピソードに入りきらなかったこぼれ話を、これを機に2023年の今改めて振り返っておこうと思います。

まずは失血から。
オットくんの相変わらずなゾンビ発言の話を書きましたが、ゾンビといえばついでにこれも書いておきますとね？（だからそこの補足必要かな！？ほんとあひるちゃんもたいがいだよね！）

担当医師T先生が「これだけの出血量だとどんな臓器にどんな影響が出るかわからないから怖くて休みが取れない」と仰っていた言葉にですね、私が思い出したのは小野不由美主上『屍鬼』の死因でした。あれ、まあゾンビじゃないですか。作内では「起き上がり」ね。怖い呼称だな〜普通の言葉なのに怖いな〜さすが主上だな〜。

（ちょっと追記）
そだ。「測れただけで４,０００mlの出血」って話をしたら、「ええ！？出血量1500mlで成人男性でも死ぬって『アカギ』で言ってたのに！？」って反応を複数人からされました。みんな漫画や小説で知識を得ている。あひるちゃん、成人男性が2度死ぬ量出た。（追記、以上）

私がまっさきに連想した『屍鬼』ではね。死因がゾンビとはっきりするまでは、村のお医者さん、武闘派・尾崎医師がカルテに書いていたのが「多臓器不全」だったんですよね。失血によりいろんな臓器が機能しなくなった、と。どちらかというと原因じゃなく結果ですよねこれ。今思えば。そりゃ尾崎先生も苦々しいわ。
最初に読んだ時には、そもそも多臓器不全と失血がどう繋がるのかピンとこなかったのですが（尾崎先生はむちゃくちゃ閃いてたけど）、今回自分がこうなってみて、担当医師の説明でようやく腑に落ちたのです。

尾崎先生ならぬ、わたしくの担当医師T先生曰く、全身の血液量が足りなくなってくると、脳や心臓など生命維持に最重要な器官に血を集めようとするため、内臓の隅々にまで行き渡りにくくなる、と。血管細くしちゃって通行止め。そうして末梢血管まで血が届かない状態があんまり長く続くと、その後どんなに流そうとしてももう隅々まで血が流れなくなってしまい、内臓が壊死。ひい！怖！なるほど！

それを私、割と身を持って実感しました。産後の肥立ちが悪かった。38歳での高齢出産のせいか、この大量失血のせいか、元々の体力のなさのせいかははっきりしないですが、まともに立って歩けるようになるまで半年くらいかかったの。

でもほら赤子抱えてるからそんな寝てられるわけないじゃないですか。だから動くよね。すると寝込む。それからご飯もしっかり食べないと授乳できなくなるから食べようと頑張る、んだけどすぐ赤子泣くから慌ててかっこむよねご飯。すると寝込む。たびたびかなりきつい胃痛に悩まされて、病院に行こうにも2ブロック歩くのも休み休み…普段なら5分で着く距離に30分くらいかかって、壁伝いにひいひいふうふうそろりそろりと。時々痛くて動けなくなりつつ。

弱い。フラッフラでしたねほんと。
なのでご飯もかっこまずにゆっくりよく噛んで、消化を助けるよう心がけながら生活してました、しばらくの間。

産後ヘルパーさんにきてもらっていたのですが（親の助けが借りられないことがわかっていたので色々準備しておいたのだ！）、結果的にかなり長いことお世話になって本当に助けられました…。ある日玄関までベビ太郎を抱っこしてお見送りしたら、ヘルパーさんがしみじみと「そんなふうに抱っこしたまま歩いてきて、立っていられるようになったのねえ、回復しましたねえ…」って言ってくれて。ほんとだ！最初の頃は私起き上がれなくて寝たまま帰ってもらってたし（鍵はその後トイレなどのタイミングでゆっくりゆっくり歩いて行ってかけていた）、ついこないだまで抱っこで立ってられなくて座ってお見送りでしたもんね！と。それが産後半年過ぎた頃だったと思うのです。無茶苦茶弱ってる…あひるちゃんマジ満身創痍だった…。

あの傷みっぷりはやっぱり異常だったので、多臓器不全に近い状態だったんじゃないかな、と後々思ったのでした。でも、そのくらいで済んで良かったんだろうな、とも。

そういえば、乳腺炎にもなったんだった。
出産が3月だからうちの子2ヶ月くらいの頃、5月。もうね！乳が！痛いのよ！！ガチンゴチンに張って！血管浮いてるし！人体でこんなに硬くなる場所ち○こしか知らん！（またあひるちゃんはとお思いでしょうが乳腺炎を経験するとわりとみんな連想すると思うよ？知らんけど）（知らんのかい）
さらに吸われすぎで乳首も切れてるし！吸わさないと乳詰まって痛いわ吸わせても乳首切れてて痛いわで！どっちも悶絶！なんで女の身体ってこんなに痛いの！？

で、ほら、母乳マッサージも痛いっていうじゃないですか。冗談じゃない絶対やだと思って必死に検索して、痛くないマッサージの良さそうなとこ行ってみたのです。そしたらそこの院長先生が、問診票の私の癒着胎盤で大量出血と大量輸血で子宮摘出、に対し、大層心を寄せてくださいまして。まあそれは…大変でしたね……って。

その時、そのおっとりと優しい初老の女性院長先生に言われたのが。
通常のお産でも、身体はずいぶん傷つくものなので産後1ヶ月は水に触っちゃいけない（家事をしちゃいけない）って言うけれど、あなたの場合はもっと長い、少なくとも3ヶ月は安静にした方がいい。交通事故や何かで大怪我をして九死に一生を得た人と同じだ、まして赤ちゃんのお世話でどうしても動かないといけない場面も多いだろう。母乳も出すだけで体力を消耗するから決して無理せず、ミルクと併用でできるだけ身体を休めてくださいね、って。優しいィ。

それをオット母に話したら、それは本当にその通りよ、一ヶ月なんて短すぎると私も思っていたわ、って言ってくれたものです。産んだ病院にも一応術後の経過観察のために2回くらい行ったんですけど、割とすぐ終了しちゃったんですよね。傷もちゃんと塞がってるしもう来なくていいですよーって。いやでも胃めっちゃ痛いしゆっくりしか歩けないんですけど…ってそういうのはもう産婦人科の範疇じゃないんで診てもらいようがなくて。そしたら母も、やっぱり自分の手術の後そうだった、病院は手術の傷口とか単純なところで治ったかどうかを判断するけれど、もっと目に見えない、わかりづらい不調が長引く場合もある、だから治ったと言われても油断せず、自分の感覚を信じていいのよ、無理しないでね、って。優しいィ。お母さんﾝ。

それからお産で痛いと言えば、会陰切開ももちろん痛いです。特に産後。切るわ縫うわの大騒ぎだったから、座れない痛くて（ただ、数日〜1週間ほどで腫れが引いてかなりましになったけど）。最初はね、これは私が特別大変なわけじゃなく、通常のお産でもこうなんだよなあ、あと帝王切開の人もこの下腹の傷は一緒よね、みんなこれやってるなんて大変すぎる…と思うも束の間、んっ待てよ、私経膣分娩の４日後に帝王切開と同じ手術もしてるわけで、会陰と下腹両方切ってて両方痛い人ってなかなかいないんじゃね！？普通どっちかじゃね！？んがあああ！！てなりました。

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んーだいたい以上、かな。こぼれ話集でした。いやほんと、妊娠や出産は病気じゃないなんて誰が言ったんだ。病気じゃないからって元気いっぱいなわけない。私は幸い妊娠中は元気だったけど（それでも普通につわりで数ヶ月苦労はしたし、臨月の時期は足がつるとか色々あったものの）妊娠中から入院が必要な人もいるし。人それぞれですし、しんどい境遇の人は労わりたいし、そういう世の中であってほしいなあと思います。そのために、いろんなところが安定してほしいなあと。雇用とか福祉とか…色々。

読んでくださってありがとうございました！
数年ぶりの勢いで怒涛のように更新してしまったので、ちょっと間をあけたら、生殖医療に通っていた時期のことや、子宮移植や代理出産について思うことも書きたいと思っています。

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