<サウンドトラック ドラマ10 大奥>
<大奥 19 よしながふみ>
ああもう…皆さんご覧に…ウッ（泣いてる）
ううううう（泣いてるー）
いやもう！！本っ当に素晴らしかったですね…
俺たちは…俺たちはよしなが大奥が実写化された世界線を生きてる…
まさかここまで…まさかここまで完璧に実写化してくれるとは…
すいませんもうあの完璧すぎてなんにも言うことなさすぎっていうかむしろ逐一あれが素晴らしいこれが素晴らしいって言いたすぎて、はしょれなくて困るのであんまり言いませんが。もう…いやもう本当に…
ボックス買う…
箱、買う…
それでもちょこっと思い出話として書かせて頂くと。
最後の最後、和宮様が西郷隆盛に言ったセリフのね。「この江戸は、列強の町にも劣らへんというこの町は、あんたが恥ずかしい言うた女将軍のお膝元で、その町の女らが育ててきたんやで」
このセリフ、原作では、大ゴマで和宮様が滔々と語る大きなフキダシの長ゼリなんですね。
そこに。この名ゼリフに。
江戸の街で立ち働く女たちの！姿を！次々インサートするとか！
泣くしかないやろこんな改変んんんん！！！
原作ではもう少し前後が長くて、「ご城下の女たちが200年もの間営々と築き上げ守り抜いてきたものやないのかえ？」となっているのですが、それをぎゅっと凝縮して…さらには活き活きと働く江戸の女たちの映像を差し挟むことによって「ご城下の女たちが200年もの間営々と築き上げてきた」感を、数秒で！！表現！！するとか！！
あとね。瀧山の「なんということだ、このかたは今、徳川家のまことの御台様におなりあそばした…」という心の声を。西郷の「御台様」の一言に凝縮して！瀧山の「御台…様…」のつぶやきと涙に凝縮して！
一体どんな。凝縮の悪魔か。
その凝縮の技についてはこちらに書かれていました。
■ドラマ10「大奥」“放送尺ちょうど”を目指す、筋肉質な脚本作り／脚本家・森下佳子｜NHK広報局
いやもう本当に…。
和宮様が最後の花見で着る着物もね！今回ドラマを見ていて初めて気づいたのですが、もしや家茂が京から届けてくれたあの打掛を！最後の花見で着るのでは！？て。果たして本当にその通りでしたし、改めて原作を見返してみたら原作でもちゃんと！あの時の打掛を着てはるやないの〜。
もうね…あの時の「徳川とかこの国とか、そんなん争うことが大好きな腐れ男どもにやらして、私ら綺麗なもん着て、お茶飲んで、カステラ食べてたらそれでようない？」という…セリフがドラマオリジナルで…ぐあああああ。ぐおおうおうおうおう（泣き方）。
その直前のね、能登に対する和宮様の…「上さんは、ほんまに死なはったん？」ていう…優しい喋り方も！ドラマオリジナルですねあああああ。
それから、静かに息を引き取った、と言いかけた能登の表情と、実際には苦しんで亡くなった家茂の様子とのカットバックももうむちゃくちゃぐっときましたああああ。
そして今回検索していて、打掛のエピソードが史実と知りびっくり！そんな！
■家茂・和宮の「衣の心」 – チャコちゃん先生のつれづれ日記
空蝉の唐織ごろもなにかせむ 綾も錦も君ありてこそ
和宮による有名な句だそうです。不勉強ながら知らなかった…。
こちらには史実の和宮の境遇や心境についても詳しく。
■皇女和宮 ｜ 下諏訪温泉 聴泉閣かめや
しかしこうして読むと、江戸城無血開城には、史実でも和宮と天璋院という二人の女性による尽力が大きかったのだなあ。それも、二人とも血の繋がった実家や家族のためではなく、嫁いだ家のために。男たちがやれ血縁だ嫡男だと大騒ぎしている間に…女の腹は透明なチューブか何かだとでも思ってるんですかね。歴史から女の存在を消し去ろうとするこの『大奥』と、現実がほんとあんま大差ないっていうね。
あの！あと！
胤篤と瀧山が、流水紋を前に思い出語りをするシーン。「大奥のような哀しい場所が消えてなくなるのを誰よりも望んでおられたのは、お万の方様ご本人であられたかもしれませぬ」と滝山が言うまでは原作通りですが、その後「悲しみばかりであったか？そなたにとって大奥は」と胤篤が問い、それに対して「いえ、この上ない喜びも」と答える瀧山…ここはドラマオリジナルうううう素晴らしすぎる…
その後の！御鈴廊下で目を閉じ、歴代将軍と大奥の歴史に思いを馳せる瀧山の、原作にもあるシーンではありますが！ドラマでは！御鈴廊下の襖が次々に開くたびそこに立っているのが歴代将軍！どんどん時を遡って…ドラマの名場面とともに…！こんなん泣くううう！！
と思っていたら！最後に家光が！おおー！
そうなんですよね！シーズン1のファンミーティングで、実は家光だけ御鈴廊下を歩いてないのが心残り、と堀田真由さんが仰ってて。まさかの！回想シーンとして実現！なんて粋な計らいをなさるのでしょうドラマ班ん！！
瀧山を発見するのが胤篤で、きっかけが懐中時計の虫の知らせ、というのもドラマオリジナル改変で、とても良かったです。原作の仲野との絆も好きでしたけどね。
でね…ラストシークエンスですよ！シルクハットの瀧山きたあああ！やってくれるとはー！！
昔のドラマ化だとさ、泣ける展開だから瀧山このまま死なせとこ、みたいな雑な改悪多かったですよね！ちゃんと原作通りしぶとく生き残らせてくれて…謎に馬を駆る胤篤様まできっちり映像化してくださって！もう！わかってる！ドラマ班わかってくれてはる！
さらにはあの、最後の最後のラストシーンがね…！アメリカに渡る、まだ幼い津田梅子！に、胤篤がそっと秘密を打ち明けるあの…「この国はかつて、代々女（おなご）が将軍の座に就いていたのでございますよ」という…あの…！！原作読んでももう感無量だったのです…ほとんど原作そのまんま！福士蒼汰くんがもうほんと作画よしながふみの胤篤その人すぎて。麗しい…。
はあ…もう…本当に…本当に素晴らしいドラマ化でございました…ありがとう…ありがとうすべてのスタッフキャストの皆さん本当にありがとう…！！
最後に思いついたことだだっと。土御門がね！山村紅葉さん演じる、和宮さんの付き人土御門が、原作より愛情に溢れていて嬉しかった…原作だともうちょっと私利私欲の人だったのに。そして平岩紙さんが演じた和宮の実の母がまあ怖かった。無表情が。いやー友人C美はんが言ってたけどほんと大奥って毒親見本市。
そんな凍りついた和宮の心を溶かす…家茂役の志田彩良さんが本当に素晴らしかった。家茂そのものの、明るく誠実で聡明な…あっ！花びら餅！原作ではイマジナリー家茂だったけど、ドラマでは！ちゃんと生身の家茂が宮さんと一緒に食べてて！びょってなりました！（涙が）
その宮さん、和宮様役の岸井ゆきのさんももー。知ってた！キャスト発表になった時ガッツポーズしたもん！うおおん！て。絶対やってくれると思ってた！しかしその期待を軽く飛び越える素晴らしさ…あの好かんタコ呼ばわりとか。慶喜を。いや慶喜もたいがいでしたね！鎌倉殿の仲章以上の憎々しいヒールっぷり！中晶は生田斗真さんでしたが、慶喜は大東駿介さん。いや〜嫌なやつだった。好かんタコやったわ（褒めてます）。江戸城で勝が信じられぬ光景を目にすることとなる、という岡山天音さんのナレーションを原作通り入れてくれたの嬉しかったけど、あそこでガツガツ食べてんのはドラマオリジナルで笑った。ますますのふてぶてしさ。きっと豚丼ですよね！（慶喜は当時では珍しく獣肉を食べる習慣があった、と原作に書かれていたことがあった）
あとね！家定！すっごく素敵だったー！家定ァ！って感じでした！
■ドラマ10『大奥』家定役・愛希れいかが乗馬シーンで体感した“奇跡”｜NHK広報局
正弘役の瀧内公美さんも…素晴らしかった…あんなさ〜、原作通りですけど上様の病は私が身代わりに持って参りますって〜そんなん言われたらそりゃ家定も号泣するわ〜。似たようなこと言われたことあるけどすんごいつらいよ？（流産した時の話）
その他のリンク。
ラストシーンの船上の撮影。ほうほうへえへえ！
■「大奥」ラストシーン制作秘話！VFXチームが届けたかった“未来”のこと｜NHK広報局
って金魚CGだったのか！よかった！すごい本物感だけど大丈夫か…？と心配だった。昔の世にも奇妙なのあれを思い出してしまった…。
最後にこちらも！インティマシーコーディネーターさんのお話がもう本当に。ドラマ制作だけでなく、人生とか生き方とか社会がこうなればいいのに、ってお話でした。
■ドラマ『大奥』性的シーンの調整役 浅田智穂さんに聞く – ジェンダーをこえて考えよう – NHK みんなでプラス
もう本当に、本当に素晴らしかった…。
ああっよしながふみ先生の短編集、『環と周』についても書きたいです！！近いうちに！！
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関連あひる
今年はよしながファンにとって至福のひとときでしたね、素晴らしいドラマ化に原作新刊に素晴らしい短編集まで…！
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