NHKドラマ大奥、家光編、村瀬殿強火オタ説、リンク集(美術や衣装のこだわり)

よしながふみ原作、NHKドラマ大奥が圧巻だった!吉宗編、綱吉編について。この国で女として生きることの苦しみ [まじめに]

続きです。

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【家光編】

忘れちゃいけない家光編の…福士蒼汰くんの美しさ!悲しげな微笑があんなにも似合う若者がいるだろうか!もうやめて!つらい!2人をそっとしておいて!と何度思ったか。

堺雅人さんのドラマ版では無しになった女装シーンをNHKではやってのけたことにも息を呑みました。どなたかがツイッターで書いてらしたんだけど、福士蒼汰くんほどの美形でも、女装は浮いていて、そこがまた、性別を曲げさせるこの大奥の歪さ残酷さを表している、と。おお…。いかがですか、私の女のなりは、と堂々と笑う有功がまた悲しくて。上様の方がよほどお似合いでございます、と美しい花柄の打掛を羽織らせる仕草は原作と同じだけれど、「千恵様」と優しく名前を呼ぶのがドラマオリジナルで。

この家光編では、名前にすごく重きを置いた脚本になっていて、とても切なかった。家光編の悲しさが凝縮されていたように感じました。

そして家光編の改変といえば、春日局…!
斉藤由貴さんの鬼気迫る春日が素晴らしかったのはもちろんのこと…あの、家光公=知恵様の過去を有功に話して聞かせるタイミングが!実際有功に話したのは正勝だけど、これも春日が言わせたのか、あるいは正勝も春日の意図を忖度したのか?その辺りにも想像の余地がある。いずれにせよそんなん今聞かせたら有功はもう知恵様の元を離れられなくなるに決まっとる!!という…。

ドラマではカットされていた、有功のモノローグ(堺さんのドラマ版ではあった)「私は、この方をお救いするために生まれてきたのや…」という、家光を愛し支えるために、大奥に一生留め置かれる決意を固めた有功の悲痛な心情すらも…NHKドラマ版では!まるで春日局の思惑通り!とも読める!!ひいいい!

ただそれが、ただお家存続のための冷徹な計算づくなのか、それとも家光を心から思うが故に有功を引き留めたかったのか…という解釈の余韻を持たせる、深みのある改変でございました…。

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【村瀬殿!】

そして。
家光編といえば、よしながふみ全作品の中でも、いや漫画という漫画の中でも屈指と言っていい名モノローグ、「それは、二羽の傷つき凍えた雛が互いに身を寄せ合うようにして始まった恋であった」が!!
まさかの!村瀬殿の手によるもの的な!
御祐筆村瀬殿の二次創作!!
村瀬殿、家光x有功推しか。大奥ガチ勢か。
友人C美と毎週見るたびに村瀬殿今回も筆キンキンに冴え渡ってるとか、村瀬殿筆ノリノリとか言ってました。もうそうとしか思えん。春日局にこの国の滅びる様を書き残せって言われたのに。全然滅びそうにない。むしろウッキウキ(そこまでではありません)。

そんな村瀬殿にも、ドラマでの大きな改変がありましたね…。原作では、吉宗の目の前で事切れるのです。寿命で。しかしドラマの村瀬殿は…何者かに暗殺されたふうになっていて、えっなんだろう…?と思っていたら…まさかの久通…!た、確かに、没日録には紀州藩主の変死やら、六代将軍の不審死やらに関しても記述があるんですものね。村瀬殿アームチェアディテクティブすぎ。大奥に閉じ込められているはずなのに、入ってくる断片情報の点と点を繋げて線にしすぎ。それが高じて久通に取られてしまった村瀬殿…。

ドラマオリジナルとして、回想シーンの解説的に毎回吉宗とちょいちょい言葉を交わしているのも楽しかったです。それから若かりし姿の岡山天音さんのナレーション声もとても良かった。

ああ…本当に。本当に素晴らしいドラマでした…。ただでさえ素晴らしい原作の、複雑で膨大な人間関係のひとつひとつをより掘り下げ、愛憎の絡まり合いを一層深く描き出しており、圧巻でございました。

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【ドラマ制作リンク集】

どれもむちゃくちゃ面白かったです!

ドラマ10「大奥」御鈴廊下にこめた美術チームのとある“野望”

「江戸幕府の長い歴史の間に、将軍は代替わりを繰り返し、居並ぶひとたちの将軍を見る目も違ってきますが、最初から最後まで変わらずその歴史を見守ってきた場所として、御鈴廊下という空間を象徴的に同じ場所として描きたいと考えました」
おお〜〜!なるほど…!

ドラマ10「大奥」衣裳の秘密

家光編のテーマは、イエロー、埃ほこり、土煙!おお…戦国時代の影響がまだ色濃いことを衣装のテーマカラーでそんなふうに。
家光自身の衣装は、鮮やかな紫系から、有功と打ち解けていくことで有功のカラーであるブルー系に寄せていっている、と!

綱吉のテーマは「きらびやか、豪華」。世はまさにバブル期!
「綱吉は原色の強いカラー、例えば、レッド、イエロー、グリーン、ホワイト、ゴールドをベースにコーディネートしました」って全部!全部盛りすぎる!だがそれが良かった!ド派手で強気な仲里依紗さんの上様、すっごく綱吉でしたね!

吉宗時代のテーマはもちろん「質素倹約」。
ただ、実際は職人さんの手刺繍を裾にあしらったり、生地の質感にこだわったりしたら総重量15kg!(それを冨永愛さんは気に入っていつも笑顔でお召しだったとか!)、御中臈たち=男性キャストの衣裳も、日本画家の方たちに裃を描いてもらったり、中性的な美しさのためにあえて女性物の着物から仕立て直したり、その数70枚!ちっとも質素倹約じゃない!吉宗が怒る!あの千両箱は本当だったのか…。

流水紋も、本当に刺繍だとか!すごい…!
うう、原作の最終回を知っていると、あのシーンが!あのシーンがもしや再現されるのか!?と今から泣きそうでなりません…!
すごいなあ本当に、NHKだからこその美術や衣装のこの盤石さ。

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こちら、ドラマプロデューサーの岡本幸江さんによる記事もすごく面白かった!

「大奥」を今あらためてドラマ化したい!16年を経て受け継がれたバトン

男女逆転という設定はあれど、登場人物の名前や起こる出来事は、ほぼほぼ歴史的事実に沿っていること、その物語構成が全編貫かれ、大政奉還で現実世界に戻ってくるようになっていて…「よしながさんの頭の中には、最初からこの設計図があったことがよくわかり、もうお見事の一言しかありません」と。ほんとに!ほんとに!

そして、「家光の時代から大政奉還まで、『大奥』にとらわれた人たちを追っていくことで見えてきたのは、血のつながりで社会体制を維持しようとすることのグロテスクさでした」、さらに、「ふと我に返ると少子化におびえる日本社会は同じことを人々に要求しています」と。

「男女がどういう役割を担おうが、血脈でシステムを維持しようとすることは暴力的で悲劇的である。
 それは、男にとっても女にとっても。
 それが『大奥』完結を迎えて一番強く感じたことです」と。

ほんとに…!ほんとに…!

また、「戦国時代の香りの残る家光の時代から大政奉還まで200年にわたって江戸時代を描きます。これだけ長い時代を一番組の中で描くのはNHKとしても初めて」とも。

戦国時代から幕末まで、着物やかつらやしきたりの違いを瞬時に答えられる演出・プロデューサーチーム、NHKのスタジオに何度も江戸城セットを建ててきた美術チーム、大規模な時代劇撮影を何度も率いてきた技術チームがいてようやく、この壮大な物語を映像にすることができる。そういうプロジェクトなのです。

おおお〜〜〜。本当に…!
ほんっとうに今後も楽しみです…!

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【そしてシーズン2、いよいよこの秋!】

あらすじも発表されましたね!

ドラマ10「大奥」Season2 制作のお知らせ

・10代家治
・11代家斉
・13代家定
・14代家茂
・大政奉還、そして

ふおおおお、やる気だ…!NHKさんやる気だー!!
治済(はるさだ)は誰が!?あのサイコパスばばあ…品のない言い方ですがそうとしか言いようがない…退屈しのぎに孫すら間引き殺す、しかもそれをすっかり忘れて「あっしもうた、もう殺したのだった」とか言っちゃうあの…一見柔和で、理知的な大きな瞳で、信頼おけそうな笑顔で…ふっくらとした…一体誰が!
大竹しのぶ?だと名前見ただけでちびりそうに怖いからちょっとな(褒めてます)
50代60代の女性俳優さんで検索してみたら、
風吹ジュンさん!とか。
石野真子さん!とか…すてき…
あっ堀内敬子さんは!?鎌倉殿で比企の妻を演じてらした、夫の佐藤二朗に他の家を滅ぼすように可愛らしくせっついてた!いいかもしれない!(良くない…)

現時点での主要キャストも!

「大奥」青沼役は村雨辰剛!平賀源内は鈴木杏、黒木は玉置玲央|シネマトゥデイ

青沼は予想通りカムカムでも筋肉体操でもおなじみの(?)村雨辰剛さんだったり、平賀源内役は鈴木杏さん!松坂桃李くんとの『今ここにある危機とぼくの好感度について』も、柄本佑さんとの『空白を満たしなさい』も観てました!うおお!しかし鈴木杏さんの源内がたどる命運を思うと今から泣きそうに。

シーズン2放送、楽しみに待ちたいと思います!

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