＜ＮＨＫ連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集 第13週 吉田恵里香／amazon＞
ネタバレです！ネタバレ！
えー本題の前に小咄を一席。
うちの子がね？（コロンボか）先日漢字で、「母ちゃん、”こつにく”の”こつ”ってどれ？」と。ん？骨だよ。”骨肉の争い”ってやつね。
TR「そう！”骨肉の争い”って例文にも書いてある！」
でしょ？
TR「どういう意味？」
んとね、血を分けた親族同士の醜い揉め事のことですね。主に遺産相続などの金銭が絡む場合が多いいです（スラスラ）。
というお話をしたばかりのところへとらつば13週です。
息子よ、こちらが”骨肉の争い”でございますよ？
そんなネタバレ感想わーわーです。5000字。
あのね。梅子さんのご家族がね。てかご家族って言いたくないご家族。梅子さんの元夫の家族たち。いや元夫じゃなかったんだけど！！離婚できてなかったんだけど！うわああ！そのご家族が、クソモラハラ浮気弁護士夫が身体壊して介護のために梅子さんを連れ戻して10年介護させた挙句亡くなって、相続問題勃発と。骨肉の争いいん。家庭裁判所の役割として梅子さんをこんな事例に…うううのめり込んで聞いてしまううう。
でもね、月曜には目も合わせてくれなかった梅子さんが、火曜の冒頭から「とらちゃん…！」って笑顔見せてくれた瞬間から私は泣きましたよね。とらちゃんも「梅子さあああん！！！」って涙の抱擁。これ！！これが見たかった！！梅子さあああん！！！
そしたらもう…
色々あっていやあもうまさかの！！
光三郎ちゃんんんん！！！！
つっら！
つっら！
つっらああああ！！！
えーっと、あのね。
梅子さんの高笑いが。先週の予告で民をざわつかせた…泣きながらの狂ったような高笑い…そりゃそうなるわなと納得の…まさかの、この子だけは夫のような人間にしたくないのと手塩にかけて育てたはずの三男が、夫の妾に籠絡されていた！！恋人関係に！！なっていた！！
えっぐ…
えぐう…
お妾さん…光三郎ちゃんを誘惑するなんて赤子の手をひねるようなものだったでしょういや無理！むしろ無理赤子の手！ひねれないっつの！それはともかく。
お妾さんを演じた武田梨奈さんって空手家らしいですね！なのに長男のヨメさんが姑に命じられてお妾さんを居間からつまみ出そうと揉めてたけど次の場面ではほんとに退場させてて。一体カメラの外ではどんな異種格闘技戦が！？父の妾と長男の嫁が！着物で殴り合い！実況中継してほしい。他人事みたいにリングの外から命じてる姑もなぎなた持って参戦すればいいのに。鷲尾真知子さん！きっつい昭和の姑を体現してらっしゃいましたああ。『きのう何食べた？』では原作そっくりのケンジの素敵なお母様だのに！
ええと。
それはともかく。
次男もきつかったですね…「そうだ！母さんが放棄すればいい！（ニッコニコ）」って。ニッコニコか。
父は長男に夢中、母は三男だけを連れて逃げ、戦争で負傷してトラウマを抱えて戻って家族からは今まで以上に蔑ろにされ。母が自分を捨てて逃げたせいだと酒に溺れ。謝るしかない梅子さん…うーんうーん。
そんな次男に三男が、「兄さんが一緒に行くのを拒んだんじゃないか！」と言ってくれたのすごく有難かったんですが。この手の機能不全家族内でありがちな、自分が言ったことややったことを都合よく（時には都合悪く）改変して、記憶改竄して被害者ぶるってあるある。すごくある。だから光三郎ちゃん…！って有難かったのに。
その三男まで。
祖母が「長男の嫁は言うこと聞かないから嫌（梅子さんの教育が足りないせい）、光三郎の世話になりたい、そうすれば梅子さんもついてくる。だから遺産を三男に多めによこせ」と言い出した時、「わかった」ってえええ！？つっぱねて！？光三郎ちゃん気づいて！？お母さんにばあちゃんの世話させる前提になってるから！！
とやきもきしていたら…
それどころか！まさかの光三郎ちゃん、父の愛人と通じていた！！！遺言書の偽造ももしや光三郎ちゃんの入れ知恵なの！？嘘でしょ！？ひいいいん。
で。
梅子さんの高笑いですよ。
平岩紙さん…鬼気迫る熱演…
狂ったように泣きながら高笑いし、「私は全部失敗した！」と。「結婚も家族の作り方も子育ても全部！」と。そっそんなことない…そんなことなくない…！？
遺産も放棄するし（えっ！？）母業も嫁業もおしまい、あとは民法第730条にも「直系血族及び同居の親族は互いに扶け合わなければならない」とあるように兄弟で話し合いなさい、育ててあげられなくてごめんね、でもお互い誰かのせいにしないで、自分の人生を生きていきましょう、御機嫌よう！と何もかもを放り出して障子を開け放ち、明るい庭と廊下に出ていく姿はまるでよしながふみ『大奥』の綱吉のよう。弁護士助手として同席していたよねさん、思わずニヤリと微笑む！
のはいいとして！
えっ遺産放棄するの！？
なんで！？
これまでの嫁として、妻として、母としての務め分と思って受け取ったらいいんじゃないの！？
特にこの連れ戻された10年は！？
もしかしてこの10年のせいで光三郎ちゃんがこんな感じになってしまったのかもしれなくない！？母の苦労を間近に見すぎて、「父に虐げられる気の毒な女性」を放っておけない性癖を獲得してしまってお妾さんの泣き落としに抗えなかったんだとしたら！？
この10年が無駄すぎない！？
あの時逃げおおせていても遺産は手に入らなかったけど、光三郎と二人で慎ましく幸せな暮らしはできたはずで…なのに遺産も無く、光三郎まで失ったら差し引きマイナスでしかなくない！？
せっかく新民法で定められた妻への1/3の遺産（現在は1/2ですよね？1/3の時点で少ない、と思ったけどそれもともかく）、その権利まで放棄しないと、女は自由を得ることができないのか！？
と…
すごく！絶望的な気持ちに！なったんですよ！最初は！
それでとぅいったらんどを放浪してみても、皆さん一様によく言った！スッキリした！梅子さーーーん！って祝福ムードで。えええ嘘おん！？遺産もらってほしかったな…って書いてる人1人2人しか見つけられなくて。
いやっお金！！大事では！？
私が少しも損をしたくなさすぎ！？がめつすぎるせいですか！？
こんな散々な目に遭わされて、散々な扱いされて、金くらいもらわなきゃやってられなくない！？だって放棄しちゃったら全員の思うつぼじゃん！奴らのご希望通りだよ！？そんなんでいいの！？
なんか、また別の話になってしまうかもなんですけど、民法第730条を持ち出されると、直系血族は逃げられないってことになってしまう。いわゆる墓守娘とかは。現実問題そうやって逃げられずにいる人がたくさんいるんですけど…
だからせめてお金くらいもらってほしかったというか…なんて言うんだろう…うーんうーん…
すべてを捨てて逃げていいんですよ、という開放感じゃなく、こんなにもすべてを捨てないと逃げられないのか…という閉塞感に感じてしまって。
うーん、と思っていたのですが。
でもあれなんかな。そこで金を手放さないのは、妾の人と同じになってしまうの…？
光三郎ちゃん曰く「こうでもしないと生きられないかわいそうな人、お父さんのせいでこうなった」という…
そう言われると、梅子と妾のどこが違うのか。法的な手続き以外に差がない。お妾さんも「10年介護した！」て言い張ってるから。梅子がいるのに何をどうやってたのか知らんけども。それはそれとして。
だから、金という権利にしがみつくのはやめて、自由を選んだの…？
その代わりに息子たちにも、母から解放されるという自由を与えたの…？
私が…母の遺産は私の金じゃないし、手続き一切手伝いませんので、と思い切ることでストレスから解放された（と思うことにした）のと同じなの！？（こんなところに似た実体験を持ってるあひるてぃん）
いやっでも！ほんと！それにしてもこの結婚生活なんだったの…てならない！？なんのために…なんのためにせめて三男だけでもと必死になって育てたのか…
と、いじやけていたら。
友人C美が。「いや、夫のようにならないように、と育てたからそうなったんでは」と。
前に永作博美さんと芳根京子ちゃんが出てたドラマ『半径5メートル』でもあったのよそういうの、と。
C美「夫にモラハラを受ける妻が、『夫みたいな男にならないように』と息子に『女の子には優しくするんだよ』と教えるんだけど、後に夫が『男は強くなければならない』と思ってるから妻子にきつくあたるのではと気づいて」
おおう…。
自分が息子にしていることが、その再生産になるかもしれない。男は女の子を守らないと、強くなければいけない、弱さを見せてはいけない、と息子に刷り込んでいるのでは、と思い至り。
夫にも息子にも、弱音を吐いたっていいじゃないかと伝えるようになる、という。
おおおおおう。
そっそうするとさあ！！
やっぱり梅子さんが間違ってたってことになっちゃうじゃん！？
いや梅子さん本人もそう認めてるんだけども！！
そんなのつらすぎてえええ！！
鬼脚本んんんん！！！
あっ！？あれか！！
うちのハハが！うちのアニにおヨメさんのこと殴ったりしちゃ絶対！だめなんだからね！？つってたあれか！！ダチョウ倶楽部式！！おかげで兄は殴ってはいないからDVじゃない！と言い張る夫、父親になり、結果実の妹として共同親権に猛反対せずにいられなくなるような所業の数々を…（またしてもこんなところで実体験持ってるあひるてぃん）。
マジで涙が出てきました。つらい。梅子さんこの気づきは辛すぎる。聡明な人だからこそ…自分の盲点にも気づいてしまったのか…誰かのせいにできればいっそ楽だったかもしれないのに…それをせず、自分の過ちも含めてしかと目を凝らすことにしたのか…梅子さん…
おろろろーーーんろんろんろん（泣き方）。
いや私もマジ泣きながら笑ってしまってもう。梅子さんか！！
誰かのせいにしないで…
自分の人生を生きていきましょうって…
でも……梅子さんに選択肢あった！？
夫のような人間にしたくない、と必死で息子に優しさを教える以外に…決死の覚悟で家を出たのに連れ戻され…
いや、そうか…ようやく手にした遺産相続という権利を、選択肢を、放棄することによって行使した、んですね…梅子さん…
ううう、もおおおおおう。んもおおおおおおう。牛か。牛化。牛化せざるを得ん！！！
誰のことも無罪にしておかない脚本…夫のせいであり、姑のせいで妾のせいで、長男は夫そっくりに育っちゃって手遅れで、梅子さんは残りの息子とハッピーになりました、とはしないのか…。
ただ！！
そんなに何もかも母親のせいか！？と思わんでもないんですよ！！
明らかに父親と姑の悪影響もあるでしょ！？それを防げなかったから同罪なの！？
とまだいじやけを燻らせていたらツイッターで「あそこで光三郎を瑕疵のない人間にしてしまうと、それはそれで『こどもは（母親の）育て方次第』となってしまいかねない」というご感想も！たっ確かに！その通りですねーーー！！！
完敗です…白旗をあげざるを得ない…なんつう練られた脚本だ…
そうか…ほんとだなあ…しみじみ…
やっと私も、あの時梅子さんが開けた障子の向こうの明るい庭に立てた気がします。
相続を放棄することで、すべてを捨ててすっきり晴れ晴れとしているのなら…梅子さんがそれでいいなら、いいのかもしれん。
そして轟法律事務所に人員が増えちゃった！素敵！
梅子さんもね、法科で頑張ってきた、そしておそらく独学も続けてきた卒業資格と知識があるから、今後も仕事と生活を続けていけるわけで。やはり勉強は大事…。しみじみ…。知識は力。
民法第730条のね。「直系血族及び同居の親族は互いに扶け合わなければならない」に対して梅子さん、竹もとでとらこと花江さんとお茶しながら、「腹が立ったの、助け合うって言葉でまた私のような人間に押し付けるつもりだなって」というのも、セリフではっきり入れたのすごい！と思いました。先ほども書いたけれど、墓守娘問題はどうしたらいいのかな…というのはありますけども…。
でね！
ずうっと通低音のように描かれてきた、花江ちゃんの孤独に！
たぶん金曜に光が当たるんじゃないかなと！
うちの子も気づいて心配していた…「花江ちゃん大丈夫かな…」って。ね、心配よね…
楽しみに…しています…
とっちらかってるけどえい！
今週もシナリオ集読んだらきっと色々深まるんだろうなあー！全部終わったら買おう…
ーーーーー
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