東日本大震災から15年、被災地での性暴力を根絶したい

※震災、災害について、性暴力についての記事です。辛い気持ちになってしまいそうな方は、どうぞご無理なさらずスルーしてください。あたたかくして、優しいものに囲まれてください。

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東日本大震災から15年が経つ今年、非道な事件が無罪にされました。

復興ボランティア団体代表に無罪判決。知人女性への不同意性交の罪に問われていた 前橋地裁

本当は、こんなことをこういう日に取り沙汰したくないのです。
もっと死者を悼み、被害にあった方々が積み重ねてきた15年の歳月を労いたい。

でも、髙橋正幸裁判長による判決があまりにも酷い。この一件は文字通り氷山の一角で、被告の男性自身の「ボランティア関係者を10人以上抱いたことがある」という発言からも余罪があることは想像に難くない、にも関わらず、こんな理由で無罪になる。
また、被告の男性の余罪の話だけでなく、こういう男性は他にもごまんといる。そういう意味でも氷山の一角で。

さらには、髙橋正幸裁判長の判断基準こそが、その空気そのものが、こうした犯罪を犯罪とも思わず行う男性の温床となっている。

この事件だけでなく、災害が起こるたび、不吉な口伝としてひっそりと女性たちの間だけで語り伝えられてきた、被災地での性被害。それがようやく、ここ数年になって表に出せるようになってきた、と感じています。
そんな時にそんな状況下で、そんな酷いことまでされるなんて。そんな酷いことまで警戒しなければならないなんて。

先ほどのハフポストの記事を引用します。本文にはもっと詳細な記述がありますので、閲覧にはご注意ください。

復興ボランティア団体代表に無罪判決。知人女性への不同意性交の罪に問われていた 前橋地裁

知人女性に対する不同意性交の罪に問われていた復興ボランティア団体代表の男性(福島県南相馬市)に対し、前橋地裁は3月2日、無罪判決を言い渡した。求刑は懲役6年。

被告の男性は東日本大震災で被災し、子ども2人と両親を津波で亡くした。震災後、ボランティア団体を立ち上げる。菜の花で作る迷路や追悼花火のイベント開催といった団体の活動は、大手新聞やテレビでも報じられた。

髙橋正幸裁判長は判決で、「(女性は)2次会の途中から被告人に何度も胸のサイズを聞かれ、3次会でも胸のサイズの話をされたほか、ボランティア関係者を10人以上抱いたことがあるなどの被告人の発言を聞いていた」ことなどを踏まえ、「そのような状況下で男性が女性をホテルの部屋に誘うことは、一般的にいえば、性的行為をすることを目的としている場合が少なくなく、そのことを当該女性も認識することができるといえる」と述べた。

判決では、「当時25歳で相応の社会人経験を積んでいた女性において、いくら復興活動の点で尊敬していた被告人を信頼していたとはいえ、本件客室で二人きりで飲み直しても性的行為をされるとは全く予想していなかったというのは、不自然さを否めない」として、女性の主張を退けた。


無茶苦茶すぎる。

以下は、あくまで私個人の観測範囲の記録です。
阪神淡路大震災の時にも、表沙汰にならなかった性加害がたくさんあったと聞きます。今から30年も前なら、被災地ばかりでなく日常の中でも「表沙汰にならなかった性加害」は夥しい数ありました。私も被害者の一人です(軽い方、と言う自覚はありますが、重い軽いで遠慮してしまうことも、「この程度なら仕方ない」と女性を我慢させる空気に加担する気がする)。

東日本大震災の時は、ネットが普及していたこともあり、少しずつ被害を耳にすることが多くなっていた。私が阪神の震災での性暴力について初めて知ったのもこのタイミングで、強い衝撃と憤りを覚えました。でもまだ、「被災地での性被害/性加害を話題にすると、こんな時にそんな瑣末なことを言ってる場合かと方々から猛攻撃される」という現象もセットで語られ、女性たちの口は重かったように思います。

その後、熊本、能登、大きな災害が起こるたびに、「女性一人だけでトイレに行かないように」「小さな女の子、男の子も一人にしてはいけない」という注意喚起がされるようになっていった。今では、少なくとも私にとっては、「大きな災害時には性暴力が起こる」というのは、憤ろしいながらも、直視せざるを得ない常識です。
さらに、「加害行為をしやすい属性側にとっては、普段の生活よりも心理的ハードルが下がり自分を正当化し、より凶暴化する」構造がある。それと呼応するように、「被害に遭いやすい属性の側は、物理的にも心理的にも、より逃げ場がない」という、蟻地獄です。

しかしこうして書いてみると、それは、普段の生活にも等しくうっすらと影を落とし続けている、と思わずにいられません。加害者どころか、それを裁く側の髙橋正幸裁判長まで、加害行為に及ぶ側の心理的ハードルを下げ、行為を正当化し、被害者の「落ち度」を指摘する世の中です。

命からがら逃げてきて、家族も安否が知れず、家も職もどうなるかわからず、そんな状況で…そんなことにまで神経を張り詰めていないといけないなんて、どう考えてもおかしい。女性専用の避難所を作ろうとした団体が猛バッシングに遭い断念したという話もありました。作ったら作ったで今は性自認が女性の身体男性も受け入れろ、差別だと大騒動を起こされるのでしょう。

いつになったら女性が安心して暮らせる世の中になるんだろう。
もうすぐ14:46です。
今日この日に、こういうことで怒りを表明するのは違うのかもしれない。でも、直前の3月2日の無罪判決があまりにも酷かったので、書いておくことにしました。

津波で、震災で亡くなった方の数も、災害関連死と認定された方の数も記録に残されていますが、災害の混乱下で性暴力に遭わされた人たちの正確な数は表に出ません。今も、15年経った今もその時の記憶を抱えながら、あるいは封印して、生きて、仕事をしたり、家族の面倒を見たり、何も言わずに生活を続けている人たちがいる。あなたが今日まで必死に生きてきたこと、日々の営みをやめずに懸命に続けてきたことを、心から労りたいです。
決して強いわけじゃないのに、平気じゃないのに。ここまで来てくれたことが嬉しい。これからも一緒に歩んでいます。

SNS、インターネットの美点として、「自分だけじゃなかった」「やっぱりあれはおかしいんだ、自分は間違ってないんだ」と知ることができる、気づける、その声が広がっていく、という現象が挙げられます。そこで得られる連帯も。この悪夢のクソみたいな世界の中で確かな、強い輝きを放つ事実だと思う。

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