安楽椅子探偵と忘却の岬、エレガントな解答

（ネタバレしますのでご注意ください）
わああ！すごい！当たったよ！
なんと正しい推理によって犯人を言い当てた解答は、応募数24,321通の中で、46通！
その中に入ってた！

友人の推理が！(*ﾟДﾟ*)

自分じゃないのかよ！！
ってすいませんぽへ～っと見て面白かった～あすこ怪しいねえ～どうなのかな～とか考えなくもない程度で解答編を楽しみにしちゃうという、もったいない試聴の仕方でいつも見ています。
オットくんにいたっては「出題編も解答編放送してから連続して見ようよ( ・ω・)*」とか最高にぬるい提案をしてくれていました。
が、一応放映後すぐに見た。
そんな折、知人の一人が「推理メモ一度見」「推理メモ二度見」と、ビデオを見直すたびに（ビデオっていうな）検証メモを日記に書いており！
わ、すごい！
えっ物置の配置が変わってる！？
えっじゃあ犯行現場は！？
あっ携帯が！？
ということは！？
うわほんとだ！！
みたいな。なんと6回も見直したそうです。
理路整然と言われるとほんとだその通りだ～なるほど～、とすんなり思っちゃいますが、果たして正答率はどのくらいなのだろう。。
そうしておかげでいつになく解答編をわくわくしながら見ることになったのですが。
正答率が！
24,321中、46人！
すっすごい！！少ない！！
しかし友人の推理では、パーフェクトな正解ではなかったらしい。パーフェクトな正解は7人だったそうです。
どこが間違いだったかというと、「携帯をOFFにしていた理由」。
「犯人は土砂崩れのため携帯が不通になっていたことを知らなかったから」というのを理由にしてしまっていた人が多かった、と解説で原作者のお二人が言っていました。知人もそう書いてた。
ですが全員揃っている場面で「携帯が繋がらない」という発言があったんだそうで、理由はそこじゃない、と。
「ひょっとしたら復旧して鳴るかもしれないし、電波は通じなくてもアラームが鳴るかもしれない」と、犯人が確実な隠蔽を計った結果、被害者の携帯の電源を切っておいた、というのが正解、だそうです。
ああっそこで完全正答から漏れちゃったのかあ！惜しい！惜しかったなあ～。
それから7人の中で最優秀エレガント賞（？）に選ばれた人の、一位の決め手になったのは、「他の人たちは携帯をマナーモードにしていた」という点に言及していたところ、だそうです。
以下、歌って踊って大騒ぎという妙なトーンの解答編で語られた真相と、その後の原作者による解説を総合してまとめてみます。
被害者の携帯がやたら大きな音で鳴り響いて、みんながびっくりする、というシーンが二回ほどあって、「この人の携帯は爆音」というのは確かに印象づけられていました。
さらに、「それに比べて他の人はマナーモードにしている」という比較が、さりげなく出題編に盛り込まれていたのだそうです（言われてみれば。。）。
それがあったからこそ、犯人としては心理的に「被害者の携帯は爆音だし、マナーモードでもないから鳴ったら確実に注目を集める」「だから万全を期すのなら、電源を切っておかなければ」と思った、と。
冷静に考えれば、たまたま電波が早く復旧して、たまたま人がいる時にたまたま被害者の携帯に電話がかかってくる、なんていうことは確率的にはとても低い。
それなのに、わざわざ電源を切っておくという不自然な工作をしてしまったということが、犯人の焦りを現してる、と。
そういう、製作側としてはさりげなくヒントを示していた、そこにも気づいてくれた細やかさに「好感が持てた」、と有栖川さんが言っておられました。
それから、「指名手配犯を見つけて（携帯が繋がらないため）固定電話で110番しようとして、一番近くの宗谷家に駆け込んだ（そして庭先で、通報を止めようとした犯人と問答になってSATSUGAIされてしまう）」という流れについても言及していた人は少なかったんだそうで、そういう他の人たちが気づかなかった（あるいは推理の条件として書き落とした）ところまできちんと押さえていたところ。
が、たった一人の栄誉に繋がったのだそうです！
すべてを網羅するほうももちろんすごいけれど、そこまで考えてあらゆる要素を配置している製作側もやっぱりすごいなあ！
いやあしかし、本当に知人の綿密な推理メモのおかげでちょー楽しめました。私も次回からはもうちょっとマジメに取り組んでみようかなあとか思わせられた。だって絶対楽しいですよね！！6回も見直して。。（ちなみに24,321人の応募者の、平均試聴回数が6てん何回だったそうです！）
登場人物の行動を時間軸ごとに表にしてたし！
取り組みまくり。すんごい楽しそう。
また今回も解答編のふざけっぷりがおかしかったです。特に出題編がまともにシリアスなドラマだっただけにギャップが。
なんだよ純粋推理空間って。まっしろな空間に出演者全員放り出されて、予算削減なだけだろ。しかも妙な前衛演劇みたいの始まるし。妙な仮面の人いるし。
安楽椅子探偵のいつものノリではあるのですが、今回初めて観た人はどー思ったんだろう。。
しかも「2007年と言われているけど実は2008年なんじゃないか」という、製作側が仕掛けた罠プロット。
そう勘違いさせて犯人をミスリードさせるような描写があちこちにあったのですが、「それはこれこれこういう理由で、ただのアナタの妄想です！」とか言い放ちまくりでキャスト全員で歌って踊ってるし（こういう無茶をさせるからこの番組はいつも演劇畑の俳優さんを使うんでしょうね）（予算削減もあるんでしょうけど）。バカにしすぎｗｗひどいｗ 2008年説の人涙目。
でも「これはひょっとして、実は2008年なんじゃないか？」と思ってしまったらそれを裏付けるような証拠（と思えるもの）もたくさん転がってるし、そうだそうだ、解けた解けたと勘違いしちゃう人も出るよねえ。。
ただ、そういう人は思ったより少なかったみたいです。
綾辻さんが「もう2日くらい締め切りが早ければ、この勘違いの割合はもっと多かったじゃないか」と言っておられました。それだけ冷静に考え直す時間があったから、誤答率が下がったのですね。
さらに「物語の舞台が2007年であるという決定的な証拠」が、なんと月。
新聞にちらっと載っていた月齢と、背景にちらっと映っていた半月の形が、呼応していると。
「2008年のその日の月はもっと膨らんでいます」ってええええええ！！！そんなことまで注意しないといけないの！！？？
あとなんかBGMがやたら懐メログループサウンドだし。遊んでるなあ。
そんなところにもずっこけたり笑ったりしましたが、なかなか今回は、ストーリーが全体的に恋愛がらみで悲しげで、余韻のあるかんじでしたね。
製作側もしかし大変ですよね、出題編が金曜か土曜深夜（地域による）の放映で、推理応募締め切りが翌週水曜深夜。締め切りから解答編までは丸2日ないですよ！その間に2万4千通に目を通して振り分けて、最後の解説録りもしないといけない。わあ～～一体何人態勢でどうやって振り分けたんだろう。。
作るのも大変だったでしょうけど、十分楽しませて頂きました。次回の構想もないわけじゃないんだそうで、楽しみです。
華麗な推理を見せてくれたお友だちにも、最後にもう一度感謝。
正答者7人のうち、一位は賞金50万円。
2位と3位のお二人には、こちらの2冊どちらかが賞品だそうです。

十角館の殺人 (YA!ENTERTAINMENT)（綾辻行人）
表紙が山下和美さん！

火村英生に捧げる犯罪（有栖川有栖）
7人のうちあとの4人への賞品は、11月発売の最新DVD。あら？DVDのほうが高額じゃないか？

安楽椅子探偵 ON AIR 鳥越俊太郎, 内片輝 メディアファクトリー 2008-11-28 by G-Tools