BL畑でつかまえて ～よしながふみ本人の同人誌を買ってみる

そういう皆さんにはすっかりそういう季節となりましたが皆さんいかがお過ごしですかあー。
さてわたくしとうとう、よしながふみをきっかけに同人誌、というよりボーイズラブでびゅーをしてしまいました。
以下、マンガは少女誌少年誌青年誌問わず昔から好きで読んでいるけどBL系には行ったことのないど素人のあひるちゃんが垣間見た、めくるめくBLの世界をちらっとお届けしてみます。男子中学生がドキドキしながらエロ本買いに行ってみた的なものかと思って頂ければ。
さて。
よしながさんの商業誌作品『西洋骨董洋菓子店』（それほどホモホモはしていない）、『アンティーク』というタイトルでドラマ化もされたこの作品に、実はご本人が描いたとってもホモホモしたBLバージョンがあると聞いてしまい。

西洋骨董洋菓子店 (1) (Wings comics) よしなが ふみ 新書館 2000-06 by G-Tools

アンティーク ～西洋骨董洋菓子店～ DVD-BOX 滝沢秀明, 椎名桔平, 藤木直人, 小雪 フジテレビ 2002-03-20 by G-Tools

ついうっかりまんだらけに行ってみてしまいました（嘘だすごい何週間も前から計画してたんだ検索しまくったんだカレンダーに書き込んであったんだ）。
そうすたら。。
あの、よしながふみの『それからのアンティーク』ってありますか？
店員さん「あ、こちらです～（案内してもらう）こちらにスラダン関係も揃ってますので」
すスラダン関係！？(＠Ｑ＠||;)（志村、よだれ、よだれ）

そう。。。対談集でも読みましたが、よしながさんはスラムダンクの同人本で有名なかただったのですね。

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり よしなが ふみ 太田出版 2007-10-04 by G-Tools

陳列棚を見てみると。。。あるわあるわ三井×木暮。逆じゃなくてよかったとか思ってしまう自分を発見。逆ならやっぱ木暮くんのヘタレ責めというやつなのだろうか。
私もしかし『げんしけん』で「斑目先輩は受けです！！」とかいうところにピンとこなかったのに最近では友人から最近のドラマの話で
「岡田君がSPで堤真一さんが理解ある熱い上司でして、何といいますか、えー
　これ絶対堤さんが受けだよなー
　て普通に思ってしまう自分が嫌でしかたありませんどうしたらいいでしょうか」
とかいう相談メールに対して「ドラマは見たことありませんがその設定を聞くにガチで受けなので仕方ないでしょう」とか返すようになってしまって（そしてこの友人とはこんな話ばかりしている）。
それはともかく。
どれにしようかうっかり熟考。
表紙ですんごい向かい合って抱き合って見つめ合って微笑みあってる三井くんと木暮くんのもあってかなりステキでしたがちょっと気恥ずかしいので、あっさりした二人のショットの（木暮くん一人のもあった）を選んでみた。タイトルは『そしてぼくらには青春があった』
ワクテカなんてしてないんだからねっとか言いながら開けてみる。
いきなり恋人同士って設定でいたしまくってます三井くん×木暮くん。
キャーーーっ(＠Ｑ＠||;)
キャーーーっ(＠Ｑ＠||;)
キャータイヘンなことに！(||;＠Ｑ＠)
キャータイヘンなことに！(||;＠Ｑ＠)
ごめん正直三井くんにこんなことされたりしたりしたいわ。
三井くん好きだものだって。スラダンキャラで一番好きなのは実は赤木くんだけどあれこれしたりされたりは三井くんがいいだもの（ごめん単純にアゴが細い人が好き。。←非道すぎ）（だって好みの問題だもん仕方ないじゃんか）（赤木くんの仲間に対して発揮されるあの安心感が恋愛関係においても享受できるのならとても素敵と思う）。
ああっでも仙道くんかなあ！？あの髪がシャワーでぺたっとなってるとこ見たいなあもう！！（黙れ）

Slam dunk―完全版 (#14) (ジャンプ・コミックスデラックス) 井上 雄彦 集英社 2001-09 by G-Tools

ああっ髪見切れてるよ！？（いいから）（よくないよ！）（そうだね）
さすがよしなが氏いうところの「女子による女子のためのエロというジャンル、ボーイズラブ」。いいですなあ。
まあエロ部分もタイヘンステキなのですが（むしろもっとやれ）、何より特筆したいのが、
ものすごく普通に、ストーリーとして面白いです！
ていうかうるうるきましたよ。泣けたからどうというわけでもないですが。
ああそうか、木暮くんそういう道を選ぶんだね、うんうん向いてるよ。。みたいな。あ、あのソッチの道とかじゃなく、バスケの話ね。
二人はすでに就職していて、三井くんは会社の実業団バスケで活躍。木暮くんは普通にサラリーマンで、三井くんの試合を毎週観戦している。
そして最近、三井くんが何だかイライラしている。
どうしてなのかようやく問いただしてみたところ、
三井「イライラしてるのはお前のほうだろ木暮！」
いやあ。。
スラダンが本当に好きで、キャラを本当によくわかっていて、その上で豊かな想像力と創造力があって。
見事に独立した、だけどきちんと繋がっているサイドストーリーが出来上がっているんですよ。エロ関係なく！
しかもたった40ページほどの小作品で、うち半分くらいエロなのでわずかなページ数の中で。いやエロももちろん全体の中で大事な何かを担ってるんだけど。
よしながふみってすごいですね。
実はこのスラダン三井×木暮本の前に、『ジェラールとジャック』も読んでいたのですが。
ジェラールとジャック (白泉社文庫)

こちらもやはり、エロ関係なく大変素晴らしいストーリーで。泣かされました。あひるちゃんとうとうBL読んで泣くようになっちゃったよはじまったなとか友人には言ってましたがなかなか目からウロコでした。
いやでも本当に上質ないい話なんですよ。人と人とが近づいてゆく、大切にしあうこと、過去の痛みを癒してゆくことの、哀しさ美しさ。
もっとホモホモしてもよかったのにってくらい、エロシーンは少なめだったんじゃないかな。私も伊達に子供の頃からビックコミック（スピリッツもスペリオールもついてない、無印ビックコミック）読んできたわけじゃないんでね、エロには耐性がありますよ。だから参考にしないでくださいね（何が言いたいんだ）。
　*　　*　　*　　*　　*　　*
このような感じのあひるBLデビューでした、最後にお値段の話。
もう一冊の目的だった『それからのアンティーク』1巻（2巻もあるようですが今回は在庫なし）が、160pほどで4,000円。三井×木暮本は40pほどで880円。でした。いきなり5,000円の出費。
冬コミに行けば何とよしなが氏ご本人から定価（たぶん6～7割くらいの値段かと）で買えるとも聞いたのですが、今年の年末は予定も詰まってるし、あの音に聞くとんでもない人の多さとかすごい熱気の中に漕ぎだしてゆく覚悟も決まらず。。高く設定されてても近場で手に入るほうがいいかなと。（あ、でもこれが古本扱いなら作者に利益がいかないですよね。委託販売とかなのかな？聞けばよかった。。しまった）
さて。
大変盛り上がっているように見えますが、現時点での総合的な感想としては、このままこっち方面（BL、同人誌の世界）にどっぷりハマる、ということはたぶんないんじゃないかな、と思いました。初見の印象。
散財してしまうという状況をほんのちょびっとですが経験してみて、彼女の同人誌ならクオリティを考えれば決して高いとは思わないけれど、自分のお財布からこのペースでお金が消えていくとなるとやはり正直厳しい。。と思ったんですよね。他の新刊も買わないといけないし。
そう、よしながふみの場合は、彼女のオリジナルの新作がまだまだこれからも読めるので、同じお金を払うならそちらに払い続けたいなと。それがこっちには今後あんまり手を出さないだろうな、と思った理由のひとつです。
『大奥』は3巻も相変わらず凄かった。緻密な迫力でした。


今回のスラダン本を読んでみて、よしながさんの筆力に対する信頼と感嘆が増すことになりましたし、これは商業誌へと活躍の場と人気を拡大するのも当然だろうと思いました。他にもたくさんの、私の知らない作品・作家さんがあるのはまんだらけに隙間なくひしめきあった薄い本たちを見るまでもなくわかっているのですが、それを発掘していって、よしながふみ級の絵柄とストーリーに出会える確立を思うと。。尻込みしてしまうというのもまた正直なところです。商業誌のマンガの中から探すのもひと苦労だよね、そういうのは。
今回本当にごく一端ではありますが触れてみて、そんなことを思いました。他にも何となく思うことがもやっとあるのですが、まとまったらまた書いてみるつもりです。

きのう何食べた? 1 (1) (モーニングKC) よしなが ふみ 講談社 2007-11-22 by G-Tools

こういう人だから、この作品のようにモーニングで堂々と40代ゲイカップルの日常をテーマにできるんだなあ。

**あひるとよしながふみ**
きの何：新連載・単行本
フラワー・オブ・ライフ
対談集について：12（フェミニズムは関係なくないんだ）・羽海野チカ