サプライズが苦手です

フラワー・オブ・ライフ (1) (Wings comics)
よしながふみ
新書館 2004-04

あのね。『フラワー・オブ・ライフ』読み終わりました。とても素敵だった。。なんかあんまりしゃべっちゃうとこれから読む人の感覚や自分の読後感をジャマしちゃいそうなのでこれ以上内容については語りませんが、素晴らしかった。
そして即1巻から読み返していて思いついた、派生話を少々。
1巻にサプライズ・パーティーの話が出てくるのですが。
これを読んで、ずいぶん昔に宮部みゆきの『地下街の雨』を読んでものすごくブルーな気持ちになったのがなぜだったのかわかった！気がしました。
（どちらも一部ネタバレします）

『フラワー・オブ・ライフ』では、へそまがり・偏屈・極悪、という性格の真島くんが、クラスのみんなにサプライズを計画されて「俺はこういう自分に隠れてこそこそ何かを企まれるのが一番嫌いなんだよ」と無言で激怒する、という話があるのですが。
真島の気持ちわかる！
昔から私は「何か贈り物を選ぶなら本人にほしいものを聞いちゃうのが一番じゃない？」とか思ってしまうロマンティックスの足りない性格ですが、中でも苦手なのがこのサプライズ。。。やられたことないけど。
フィクションとかでもいくらもありますやんか。「なんかみんながよそよそしくて寂しい。。(´；ω；`)と思っていたら実はみんながボクの部屋に隠れててパーティーの準備してくれてた！(*´▽｀*)」とかいうやつ。
あれがどーしても納得いかなかった。子供心に。
私だったら、「なんかみんながよそよそしくて寂しい。。」の部分で傷ついた心が、「パーティーのためだった」では晴れない気がして。
だってウソついてたってことじゃない。騙したんだよね？しょんぼりしてるの知ってたでしょう？
僕のためにやってくれたのはわかるけど、そうまでして内緒にしないといけないことだったの？
ていうかそれ、本当に僕のため？
単にそうやって、誰かに隠れて何かを準備するのが楽しくなってただけじゃないの？
とですねえ。。いんいんめつめつもじもじくよくよクンがですね。現れるんですよこの手の話に触れると。
何も知らずにいた自分がバカみたいに思えるというか。そんな私を見て優越感に浸ってたんですかあなたとしか思えないというか。。
「良いことだから」で嘘をつく人は、きっと保身と傲慢のためにも嘘をつくだろうと。
明らかに言い過ぎですけどね！ごめんねロマンティスコ（何語だよ）足りなくて！
まあこんなにもいつも常に考え込んでるわけではもちろんなく、何となく嬉しいと思えなそう。。程度だったのですが。
今回の『フラワーオブライフ』ではサプライズ企画側の「何か。。楽しくなってきちゃったね」という描写があって、ココだ！！とひらめいたのです。私がサプライズにおいて腑に落ちなかった点はこの「当事者置き去り感」だったのだと。
ミヤベの『地下街の雨』はもっと直接的にひどくて、友だちからこっぴどいことを言われてとんでもなく傷つけられるんだけど実はあれはあなたのためを思っての演技だった、とかいうんです。ありえない。。しかもそれがやはり「そんなにまで私のことを。。」とほっこり良い話というオチで、理解出来なかった。
終わりよければすべて良し、相手のためと思ってさえいればどんなに傷つけてもリセットされるなんて。そんなわけない。
とですね、どうも私にはこの、「サプライズを喜ぶ」という素直な能力が欠けてしまっているようで、たびたび微妙な気持ちになったものでした。
あっ！
当たり前の話ですけどあくまで私がこのキーワードでどうにもこういう想像をしてしまうというだけで、実際にサプライズをやる人・受ける人の気持ちを否定するつもりは毛頭ありません。気を悪くされたらごめんなさい。一応書いておかないと。。素直にサプライズを企画できるマメさや洒落っ気、それを受けて素直に嬉しいと思える関係は素敵だと思います。何というか、ちゃんと嬉しいことが一致しているならいいんです。
私が考えすぎというか、結局独善的なんでしょうね。悪い意味で子供なのです。蚊帳の外に置かれるのが我慢ならない。真島と一緒です。
今回『フラワーオブライフ』の中でその一番の変人・狭量・社会性無しキャラ真島と同方向の感想を持ってしまったことはいささかビミョーではあるものの、自分がこの一連の事象のどこにひっかかってきたのかがわかった気がして、ちょっとすっきりしたのでした。これを喜べないのって私だけじゃないんだなーって初めて聞いた気がするんで。（や、しかし「というすっごいけったいな反応でした」っていうオチ扱いだったんですがね。。）