『きのう何食べた？』買った？

買いましたよもちろん！待ちに待っていたよしながふみ『きのう何食べた？』単行本第1巻～。
お料理のレシピが実用的で、かつストーリーも面白い。素晴らしい一冊です。
で、この写真。本の隣のオレンジ色のは何かというとですね、

雑誌からレシピ部分だけ切り取ってファイリングしてたりするのです～。えへ。

だって単行本が出ても台所で料理しながらめくると汚れちゃうじゃん！（いつも濡れた手とか野菜切った手とかそのまんまでめくるのでうちの料理本は汚れています。。）もったいないてかムリ、と思ったのでこういう形でとっておこうと。
この本のレシピの素晴らしいところは、
・材料が安価かつどこでも手に入るものばかり。
・作り方には手抜きのコツ満載。
手抜きのコツというのは例えば「がんもどきを湯通ししたお湯と鍋をそのまま使ってこんにゃく茹でる」とかです。そしてコマの隅っこに小さく「洗い物を少なくしたいから」って手書き文字で書いてある。確かに自分でもやる！こういう手間のはぶきかた。でも普通のお料理本には絶対書かれない。どころか自分で作り方を説明しようとする時にもあえて出てこない。。そういうほんのちょっとした工夫を、わざわざ書いてくれてるんですよ。そこがまた読んでてすっごく楽しい。
大ざっぱで安上がり。手を抜けるところはあまさず抜いてシンプルな作り方と材料。DSお料理ナビより40代男性向けなのではないかと思います（DSお料理ナビは一般的な料理本然とした作り方だったので指示が細かすぎと思った）。
料理に慣れてる人も、それこそモーニング読者層の男性がたもかなり参考になるのではないかと。何といっても主人公が40代ゲイなので（爆）見た目が崩れないようにどのメニューもメタボ防止・薄味ローカロリーなのだ。類い希な料理本だと思います、うん。
きの何ファイルの表紙・裏表紙は連載第一回の見開きカラーページ♪

料理本としてだけでなく。ストーリーも本当に面白い。一番よしながふみってやっぱすごい！と唸ったのはやはり、男性が被害者のDVの話でした。妻からかなり深刻なレベルで殴る蹴るの暴行を受けている男性の話。1巻にも収録されています。
深刻な身体的暴力が、被害者に対して服従・無抵抗、逃げる気力を無くす等の心理的悪影響を及ぼすことについては、悲しいかなそういうケースが多く耳に入ってくるだけにすでに広く一般に認知されるようになったと思いますが、男性が被害者にもなりうるのだということはまだまだ認められていない、という話を聞いたことがあります。だっていざとなったら男は力で女に勝てるじゃないか、”なんだかんだいって”女に殴られっぱなしになってるなんて情けない（この”なんだかんだいって”で被害男性の苦しみや状況の深刻さを全否定してしまっていることに言う方は気づいていない）、という意識が世間の中で根強いので、周囲に相談もできずに深刻化していく、というのです。
それをいち早くマンガに取り入れて、しかも短いページ数でさらりと描いてのける。そこがやっぱりうわあすごいなあと。雑誌で読んだ時から感嘆しておりました。やはり『大奥』と『愛すべき娘たち』を描いている作家さんです。唸らせてくれます。
というわけで本当に面白いです。今から2巻が楽しみでなりません。
きのう何食べた? 1 (よしながふみ)
装丁もとても素敵です。薄く透ける和紙のような材質で、お料理の名前が透けて見えるの。



さらに大奥 第3巻も12/20発売ですって！！嬉しすぎる！
**きの何新連載・対談集『あの人とここだけのおしゃべり』の話：1・2・フラワー・オブ・ライフ